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終物語
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終物語の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.85pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全55件 41~55 3/3ページ
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物語は10月の下旬、タイミングは鬼物語や囮物語の後だ。もちろん猫物語白も経ている。 八九寺真宵、千石撫子それから羽川翼にはそれぞれ深刻な変化があった。 つまり阿良々木暦の周囲の環境は文化祭直後から一変している。 忍野メメの姪を名乗る忍野扇が直江津高校に転校してくる。 佰物語で完璧にして最高の優等生、羽川翼をして「私が落ちるといううわさ」と言わせた難関を突破してだ。 すでにまともな相手ではない。そして阿良々木暦に紹介したのは神原駿河なのだ。 時系列では花物語は新年度のお話だが、二人は冒頭で奇妙な会話を交わす。 それが、忍野扇の異様さをますます際立たせる。 常に阿良々木暦を守り続けてきた忍が今回は気配も感じさせない。 怪異がらみの問題ではない、そういう前提だからだろうか。それとも他の理由があるのか。 忍がいない物語というのは、ひどく張りつめた雰囲気になる。 彼女の存在が、どれほど阿良々木暦と読者をすくってきたかがわかる。 八九寺真宵はもちろん、余接も現れない。彼女たちがいないせいでひどく荒涼とした印象だ。 忍野扇にはそんなやさしさは無い。情け容赦がない。 次々と浮かび上がる過去との柵が阿良々木暦の足をすくませる。 老倉育の偏執的なこだわり、その源流にある柵に戦慄する。 そのパーソナリティはこれまでのヒロインたちの要素を少しずつ備えている。 忍野忍の沈黙、羽川翼の天才、戦場ヶ原ひたぎの攻撃性、八九寺真宵の母への思い、千石撫子の自己愛、神原駿河の努力。 プラスであれマイナスであれ、どれもヒロイン達を形作る重要な要素だ。 それらを少しずつ抱え込んで、全てが負に置き換わって阿良々木暦に牙をむく。 今までなら、ヒロイン達、特に忍野忍と羽川翼そして戦場ヶ原ひたぎが解決のために力を添える。 忍は最後まで姿を現さない。囮物語で忍野扇の奇怪さに気づいていたのに、現れない。 阿良々木暦が助けを求めなかったからか、それとも何か事情があるのか。 戦場ヶ原ひたぎにいたっては阿良々木暦をかばおうとして失敗する。 唯一、羽川翼はそばにあるが、猫物語白で語られた通り、嫉妬や怒りが本来の明哲さを曇らせる。 如何に深刻でも、生徒同士の諍いの事後処理に疲労困憊するなんてことはかつての彼女ならありえないことだ。 だから、忍野忍と対峙したとき、文字通り頭を冷やすために水を頭からかぶり、白と黒の髪が入り混じる姿で本来の明晰さをとりもどす。そこまでしないと、もはやかつての彼女には戻れない。 誰もが、本来の立ち位置を見失った世界、それが終物語だ。 だが、過去が如何に猛々しい姿を現してもそこは阿良々木暦。 かつて彼は死にかけの吸血鬼、旧ハートアンダーブレードに己が命を差し出した。 忍野扇に「恩を仇で返すのか」と詰られても、狂言回しの意図を外れてみせる。 さから、終物語は上巻に限ってはきれいに終わる。 でも、すっきりしないのだ。きれいに終われば終わるほど、何かがおかしい。 忍野扇が仕組んだとしてもまだその目的はよくわからない。 果たして、終物語はその答えを示すものになるのだろうか。 否、おそらくはならないだろう。 花物語で、暦物語で、あるいはそのほかの物語でその断片は語られている。 忍野扇とは、怪異よりも怪異だ。そこらへんにオチが見えはしないだろうか。 | ||||
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前々作の無駄なくだりとか無駄な会話やシーンがなくすっきりした印象です。これが好きな人は物足りないかもしれませんが。 なんか語り部がアララギくんなんだけどいままでより立ち位置が先輩を強調するよう背伸びするような感じになってしまって。ちょっと痛い感じが却って年齢相応を感じ、ちょっとした酸味のある味付けでした。自分は好きですけど。 でも、アララギくん記憶失い過ぎだろ!とつっこみが入ります。これは他のレビュアーの方々同様同意見。 今回新キャラ(おそらく今巻限りのキャラ)の育ちゃんに社会問題を突っ込んだり(社会問題としてシリアスに突っ込むにはライトな感じですがあくまでラノベなので良しとしました)育ちゃんの独白やアララギくんの説明には育ちゃんのような状況を追体験させられたり私的には最近の2作よりは深いかなとは思いました。特に新キャラの育ちゃんの独白は作者の描写に育ちゃんが乗りうつったのかのような気迫が感じられました。 ダークで不気味な扇ちゃんとうとう本格的に動きだしましたね。今までの短い登場では先輩を愚か者よばわりするキャラ付けはなかったけど、この上から目線が本性なのか。しかもニコニコとアララギくんをもてあそんでいるようです。 扇ちゃんはなぜあんな簡単にアララギくんをマインドコントロールできるのか?羽川委員長はその怪しさにすぐ気づきましたけど。忍ちゃんが横から口出ししない状況だと(今巻では登場はありません)アララギくんはこんなものなのか?と思いましたね。忍ちゃんが出てこないのはあくまで今巻の物語の構成上却ってすっきりした印象ですが、出てこないのは出てこれないという事情があるということになるのかな?(仮にアホみたいな理由としても)と勝手に妄想してしまいます。その代わり説明役と物語の進行役に押野扇と羽川翼の両頭が出てきます。この2人のバトルを出すには忍ちゃんが出てこられるとややこしくなるでしょうし扇ちゃんのストーリーの進行役としての役割も薄くなります。 表紙絵は扇ちゃん。文中に黒目がちと書かれて描写が忠実です。でも直江津高校の制服でなく黒ドレスの黒づくめの衣装で学校の机に座っているとはなんか暗示的ですね。まるで「くらやみ」が擬人化したごとく。 世界旅行のロケハンに行く前の羽川委員長の追加目的に押野メメ探しが加わったことも納得です。 終物語での怪異は私の中では扇ちゃんですかね。育ちゃんやと彼女を嵌めたある人物はあくまで人間のモンスターなところがありましたが。いい意味でいろいろ私の妄想が打ち破られることを期待しますが。 あとは作者がどこまで扇ちゃんを動かすのに興味が持続するか、とアララギくんにどこまでうっちゃらかしていた落とし前をつけさせるか。あるいは編集者の変な横やりが入りないかが巻数の増加するかどうかにかかっていますね。 講談社のもうけに加算して駄作を作るのはご勘弁。もっとじっくり練って書いてくれるならば巻数が増えるのはやぶさかではないのですが。前にも書きましたが憑物語は題材がもったいなさすぎ。練ったらもっと良かったのに。今回は消化不良感なし。講談社は作家の消耗に対してもっと注意を払って欲しいのですけど。 今回この本と同時にとあるTVドラマのノベライズ本を購入したのですが、正直自分の印象では終物語の方が読み応えありました。この1巻のみで言及すると個人的には満足。物語はアララギくん達は高校3年の10月下旬、まだ影縫さんのゆくえなどは不明ですけど。 あ、物語と全然関係ないのですけど、巻数が多くなってきたので、いい加減ぼちぼち電子書籍化して欲しいですね。場所を食う。作者が「背表紙が無い本はいや」というなら背表紙も入れて。 | ||||
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本編は3部に分かれてます 以後多少ネタバレです、注意してください ☆おうぎフォーミュラ 阿良々木くんの【友達を作ると人間強度が落ちる】の原点が話されるお話 怪異現象?によって教室に閉じ込められた、暦と扇ちゃん 教室から出れない原因を探る為、扇ちゃんは阿良々木君の過去を掘り下げます 正義の味方だった中学生の阿良々木暦はなぜ高校1年生の時変わってしまったのか? 【正しさに絶望した】 その原因とは? 私も小学生の時だかに経験した学級裁判みたいのを舞台に、推理小説風な内容となってます 内容は非常に重く、読み応えありました 意味のない言葉遊びはあまりありませんので、あしからず ☆そだちリドル 前章で暦に敵対心むき出しにしていた【老倉育】 老倉の敵意はどこからくるのか? 阿良々木はなにを忘れているのか? 話は阿良々木君が中学生、さらには小学生の頃にまで遡ります 愚かな二人が招いた最低の結末とは... 原因を探る為過去を振り返る今巻ですが、とにかく重い ☆そだちロスト 愚かな行動をとったことを、悔やむことすら拒む【老倉育】 愚かな過去の自分を忘れて無いモノとした【阿良々木暦】 二人のわだかまりは解けるのか 上記二人の関係を改善しょうと協力する【羽川翼】と【忍野扇】、この二人のバトルは怖い 頭脳明晰な両者のバトルは他者には化け物の戦いです 終物語(上)は終始推理モノでした 文章の節々を読み解くことで犯人や真実を暴き出す感じですかね 話そのものは重くて、人によっては吐き気を催しますが、読む価値あり 終わりに向けて阿良々木暦の始まりを読ませてくれました この巻読んだ後に思い出す言葉があります 忍野の【助ける?そりゃ無理だ、君が勝手に一人で助かるだけだよお嬢ちゃん】です 助かりたかったら、助けてもらうのを待ってるだけではダメなんです 自ら行動し、尚且つその行動が最良でなければならない セカンドシーズン鬼物語で【八九寺まよい】が成仏してしまったせいで、言葉遊びは鳴りを潜めがちですが 【忍野扇】が八九寺の代わりになってます 今巻は最初から終わりまで充実した内容でした(意味のない言葉遊びはまるでありません) 今まで読んできた方なら、安心して読める | ||||
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他の人がレビューしているように内容は推理小説風になっています。 第1章が今までの物語シリーズとは違い登場人物がとても多く 今までのシリーズのように読んでいると人物の把握ができず 混乱する可能性があり、名前の読み方が難しい事がさらに混乱を助長させる。 否定意見を書きましたが内容は間違いなく面白いです。 登場人物の把握に自信のない人はwiki等に登場人物一覧が出ているので、すぐに登場人物を確認できる状況をつくっておいて読むことをお勧めします。 | ||||
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読んでみた感想をいうならば、サクサク読めるという感じでした。なぜかというと、やはりそれは、他の巻にもちらほら顔を出しているメメの甥にあたる扇ちゃんがスムーズに話を進めていくからでしょう。内容の感想を抽象的に挙げるとするならば、話が流れているようで実はそういう風に見えているだけかもしれない、というような違和感、不快感(悪い意味でなく)、という感じでしょうか。ファイナルシーズンというだけあって、終りに近づいていると思います。百聞は一見にしかず! 皆様も一度手に取ってみてはどうでしょうか? | ||||
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物語シリーズは、読み始めがかなりきつくて 頭の中が『物語』の世界に切り替わるまでかなり時間がかかりますが 今回は案外早く読み進められました。 阿良々木くんの現在に至るその背景を、老倉さんとの関係を『思い出す』ことでたどっていく話。 ミステリーといえるほどのミステリーではなく、どうしても扇ちゃんの気持ち悪さがよく立つような流れ。 老倉さんの壊れ方も半端がなく、ある意味後味が悪い。 今回メインとなる忍野扇のその正体が、どのような落ち着き方をするのか、後編が非常に気になります。 ただ、今回、老倉さんに対して阿良々木くんがそこまで自分を悪く思う必要があるのか、 そんなの単なる言いがかりじゃないのかと言えなくもない動機で責められる阿良々木くん。 それが阿良々木くんだと言ってしまえばそうなんでしょうが、 どうしてもそこに共感が出来ず、そこが気になって少々違和感がありました。 そのあたりが後編にどのように絡んでいくのかも気になる所です。 それよりなにより、どうしても気になったのが 羽川さんのおっぱい、さわってもいいはずなのに、さわる前に羽川さんがロケハンに出てしまいそうで 果たして羽川さんのおっぱいをさわれるのかどうか、後半に期待したい(笑) | ||||
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待ったかいがありました。^_^ ミステリと思春期のやり切れない苦さが融合した遊びの少ない傑作。扇ちゃんがぬらりくらりと無気味な異物でラヴクラフトっぽくてイイです。オススメ | ||||
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此処に来て、又も新キャラ老倉育が登場し、しかもメインキャラ。もっとも育を中心に展開していても、一番重要なのは忍野扇。いよいよ忍野扇がクローズアップされて来た感がある。矢張り扇が、暦にとってのラスボスなのか、余弦を消したのも扇なのか・・・ 何処か鈍い暦は気付いていないが、翼はいっぺんで扇が敵であると認識したらしい。 それにしても、第一章はこのシリーズには珍しく大量の登場人物で、しかも新キャラばかり。アニメにする時に大変だろう。 | ||||
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物語シリーズ15冊目の終物語。 無駄な会話を挟むことに定評のある本シリーズですが、今回は一切ありません。 読後に受けた印象としては、同作者の少女不十分が最も近いです。 とにかく、いつものキャラに萌えるような描写は省かれ、ひたすら話が進行します。 また、物語シリーズでは怪異が登場するのがお決まりですが、忍すら今回は出てきません(アレを怪異というなら出てきてますが…)。 物語は今までにも言及されてきた、熱血漢だったという中学生の暦から、友達は作らないというスタンスの暦になる転換点となる過去のお話です。 暦の過去を見つめる話としては、よくできてると思います。 正直、今回の暦は頭悪いというか、記憶喪失にでもなってるだろと思いますが、あえて見過ごします。 ただ、見過ごせない存在がひとつ、忍野扇です。 この気持ち悪さを狙って演出しているのなら素晴らしいと思います。 暦の思考や、話の展開、果ては全頁の内容まで狂います。 とにかく読んでいて不快。扇が出るところがピンポイントで不快です。 彼女が出てくると、話がネジ曲がるのがよくわかります。 そのせいで、まるで酔ったように気持ち悪くなります。 ものすごい気持ち悪さや、話のヘビーさを合わせても、流石の西尾維新、ページを進ませる力があります。 今までの物語シリーズを期待すると戸惑うかもしれませんが、面白いと思います(気持ち悪い連呼してますが)。 次も楽しみにしています。 あまりキャラ萌はありませんが、扇が気持ち悪すぎて少し出てくる翼やひたぎ、メインゲストの老倉育が酔い止めかお茶か清涼飲料水かってくらい癒してくれます。 育の部分が癒しって結構なもんだと思いますが。 | ||||
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最近の西尾維新のトレンドは日常ミステリーなのでしょうか。暦物語で少々違和感を感じていたのですが今作は何時もの不思議な世界と微妙絡んでいて面白かったです。 特におうぎフォーミュラが面白い!お勧めです。不覚にも扇ちゃんが可愛いと思ってしまった。 しかしその後のそだちリドル、ロストまで読み進めると完全に敵として、何かよくないものとして書かれています。彼女なりの正義があると想像していたのですが。 彼女が出ると本当に話がねじ曲がる。そんな彼女にようやくちょっとした反撃の狼煙をあげるといった感じです。(羽川が) | ||||
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ミステリ小説的な叙述トリックがふんだんに使われている。 小説という舞台を上手く使って心地よい裏切りを味わわせてくれるのが心地よい。 しかしこれを上手くアニメ化することは出来るのだろうか。 なんとなく「西尾維新からシャフトへの挑戦」的なものを感じたのは自分だけだろうか。 本編において登場人物とその人間をつらつらと書き並べたところを読むのが苦痛だったのと、とあるキャラの結末をもう少し救いのあるものにして欲しかった(いくらなんでもアララギくんが物事を忘れ過ぎだろうというツッコミも含めて) という点でマイナス☆1。 | ||||
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※ネタバレ含みます。ご注意ください ※最終巻の内容を多少当ててるかもしれません。ご勘弁ください。 とりあえずおもしろかったです。 全巻、前々巻が今一つだっただけに。(特に前々巻) あと読み易かったですね。無駄な会話というか、雑談と言うか、 ハーレムとの会話というかイチャつくシーンもあんまり無かったですから。 時系列としては囮物語の少し前の話になってます。 内容は暦の過去とそれに関わってくる育と、それに絡んでくる扇の話で、 推理小説ではないんでしょうけど、謎解きの様なスタイルに加えて、 暦が忘れていた過去を思い出しながら話が進行していくので、 いつも以上に早く次のページが読みたいと思わせる1冊でした。 (いつものは会話劇やいちゃいちゃしてるのを読み返しながら読むことが多かったので) とりあえず中心となった育はこの1冊限りの登場のようですし、 扇の紹介と主人公暦の過去との決着というか、 作中の表現を借りるとすれば、 今までなあなあにして誤魔化してきたものが、思い出したかのように急激に動き出す感じ・・・・ まあ、実際この後、撫子問題や吸血鬼化問題が出てくるわけですが。 セカンドシーズンにて、いかにもラスボスちっくに突如物語に現れた扇は このようにして物語を収束(終息)させる為に登場してきましたよ、 という扇登場回の1冊だったのではと思います。 また、最終巻に向けて暦がさらに大きな問題に対して 何かしらの決断を迫られるという事を予言しているように感じられました。 おそらくですが忍をとるか人間としての人生をとるかみたいな決断だと思います。 で、結論言っちゃうと、 花物語の内容から察するに、暦は忍ではなく人間を選んだんだと思います。 憑物語で鏡に写らなくなってたのに、花物語の時には車の免許とれてましたからね。 とまあ、大雑把ではありますがこんな感じの最終巻を予想してるんですけど、 いい意味で外れる事を、裏切ってくれる事を期待して 次巻を待ちたいと思います。 それにしてもガハラさん可愛いよ・・・ | ||||
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『別冊少年マガジン』2013年10月号に先行掲載の第一話に加えて,書き下ろしを二篇収録. 学園ミステリの体を装いつつ,主人公の過去を辿り,残酷に抉り出していく連作中篇集です. やはり目を引くのは,カバー絵を飾る,ずっと曖昧だった黒目の少女の存在でしょう. 冒頭から新キャラが登場し,少年を巡る,残酷で重苦しい過去が延々と語られるものの, それらのきっかけ,役回りにセリフ,時間の流れまで,どれもが彼女の思いのままのよう. カワイさの奥にハッキリのぞく,不思議で不快,不遜,そして不気味さは何とも言いがたく, あの完全無欠の委員長までもが見せる,強い警戒心と苛立ちが,それをさらに際立てています. その反面,『ミステリ』の部分については,いくつかツッコミどころがあるのは否めず, 『憑物語』,『暦物語』あたりからの動きが少ない点も,シリーズとしては物足りません. また,怪異も本作では登場せず,「そもそもなぜ学園ミステリ風?」という素朴な疑問も…. ですが,常に漂う落ち着かない空気,解決したかと思いきや,さらに続く二の矢,三の矢, ダラダラした雑談もなく,ユーモアもほどほど,時折見られる印象的な章の閉じられ方など, 引きつけられるストーリと演出は近作では一番で,その雰囲気は『世界シリーズ』に近いかも? このほか,すべての篇が閉じられた後,巻末に用意された一枚のイラストがとてもよかったです. また,少年の過去に一区切りがつき,一見,爽やかな余韻さえ残る結末ではありましたが, 実際にはここからが彼の,つまり終わりの始まりかとも思え,反対にゾッとしてしまうほど. 彼女が堂々と(?)動き出したことを受け,本当か否かの残り二冊にグッと期待が膨らみます. なお,『別冊少年マガジン』掲載時にあった,『読者への挑戦状』と『登場人物表』は, そのときにコメントされていた通り,こちらには収録されていませんのでご注意ください. | ||||
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主人公が自己の正当性について必要のない不安を抱き、天使と悪魔の誘惑を経て、自己正当化に成功する、というストーリー。 物語完結に向けて、忍野扇の実力をお披露目し、「怪異」と「現実」のうち「現実」から見た物語世界を提示しています。 * * * 終物語はおうぎフォーミュラ、そだちリドル、そだちロストの3話で構成されていて、各頁36行で2cmの厚みをもつこの本は興味深く、面白い。刺さる描写が細部にちりばめられています。 全3話によって忍野扇のスペックが開示されます。忍野扇は知らないものを知り、主人公を魅了し誘導できる怪人ですが、「お願い」「約束」などの契約を介さなければ、万全の力を発揮できないようです。主人公に対して、巧みに約束の言質を求める姿は、まるで契約をせまる悪魔のようです。 忍野扇は、羽川に「正直、守り切れるかどうか自信ないな」といわせるほどの力をもっています。 主人公を誘導し約束させようとする忍野扇。主人公に言質をとらせまいと奮闘する羽川。口舌による両雄のバトルは必見です。 * * * 推理部分について。ページをめくった直後、ヒント8まで読めば誰でも答えにたどりつく。あとから読みなおせば、ヒント2と3の間、ページをめくる直前で答えが確定している。そのようなページ配置へのこだわりに読者への配慮を感じます。 * * * “そだち”について。まるで、たった今まで存在しなかったのではないかと思えるほど唐突な「幼なじみ」「過去の出来事」「いままで忘れていた記憶」。 西尾維新が今巻で作った新しい設定という普通の読み方よりも、登場キャラクターの承諾を得て万能の力を手に入れた忍野扇が、あたかも「世界五分前仮説」の如く、幼なじみの裏事情や過去の出来事を創造した、と考える方が面白いかもしれません。 忍野扇は、物語世界の設定について外部から書き加えするメタ的な力をもっているけれど、物語世界の各キャラクターに対しては相対的な力しかもたないし、その力は制約された条件下で読者に確証を与えない形でしか行使できない、というように感じました。 * * * シリーズ最初の化物語とは、援助者の決め台詞や結末が対をなすほど対称的です。作者は初めと終わりに対称性を与えたのでしょうか? * * * 羽川の介入がなければ、老倉は怪異となったのかもしれません。そして、主人公が食われていたかもしれません。囮物語の千石とは対称的な経緯を辿りました。 * * * でも、そんなことよりもなによりも、そだちかわいい。バカすぎてわらえないほどかわいい。 | ||||
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うーん。 暦物語の最後の展開が熱かったので、時系列的に続きを期待したんですけど、結局また待たされることになりました。 今作は羽川翼が世界の旅の下見で旅立つ前、10月ころのお話です。 扇との出会いから始まるおうぎフォーミュラ。 今作登場、老倉育を軸に、扇の存在に対する違和感と、扇の存在に疑問を呈する羽川翼の様子、の二つが主に描かれるそだちリドルとそだちロスト。 以上3話に渡って、大きな枠として阿良々木暦の過去が暴かれます。 何故彼は友達を作らないようになったのか? 必見です。 表紙なだけあって、以前とは違い扇の登場頻度が多く、キャラクター性を見せつけてきます。 ですが彼女(彼?)の謎は深まるばかりです。 言葉遊び少なめ。会話も真面目一辺倒で楽しくない。ストーリー性は薄い。と作品単体としてはあまり評価の高いものではありません。 が、シリーズを通して終幕に向かってゆくのに必要なお話であり、おそらく終章の序章としてあくまでプロローグ的な意味合いのある巻だからこそ、あまり起伏のない話になっているのではないかと思われます。 前作の最後、そして今作、 扇ちゃんの最後のほうの発言からもやはり、あの子は重要な鍵を握っているようです。この後どうなってゆくのか、推理してみるのもいいかもしれませんね。 ※ あとがきに、 上巻と下巻の間に中巻が挟まらないよう頑張りたいと思いますと書かれておりました。うーん…。 | ||||
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