ボクの町
評判
ボクの町の評価:
3.95/5点 レビュー 22件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全46件 21〜40 2/3ページ
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だいたい、警察官になろうと思った動機が不純。彼女にふられて、って。目標もない。義務感、正義感もない。根無し草のようで、警察官には全く向いていないと思えるような高木聖大。しかし、どうしてか憎めない。彼の中にある、どこかスレていない部分なのかな。ナンパに明け暮れ、おもしろおかしく生きていけりゃそれでいいじゃん、なんて口では言いながら、本心では(自分は気がついていないかもしれないが)、誰かがきっかけをくれるのを待っているようなところがある。きっかけさえあれば何かに目覚めることのできる若者って、けっこう多いのではないかな、と思います。聖大もその一人だと思います。ピアスをしてださいかっこなんて死んでも嫌だ、みたいなことを言っていても、根はわりと素直で正直な普通の人間。だからこそ、交通事故の現場で心ない言葉を口にする野次馬に腹を立てたり、人の死に遭遇してその理不尽さにむなしさを感じたり。一歩間違えば単なる”お馬鹿さん”になってしまいそうなキャラクターをここまで魅力的に描けるのは、さすが乃南さんです。
いつも乃南作品を読んでいると思うのですが、キャラクターの描き方が素晴らしい。ほんとに、どこかにいそうな感じがするんです。しかも、かっこよくない、強さと弱さを併せ持った普通の人間。音道貴子も高木聖大も、ほんとにどこかの町にいるんじゃないか、と思えるほど生き生きと描かれてるんですよね。私のボキャブラリーが少なくて、乃南作品の素晴らしさが伝えきれなくて残念。
この作品を読んでから、交番のおまわりさんに妙に親近感を感じてしまったりして。あー、ああやって交番の前にじっと立っているのを「立番(りつばん)」というのね、とか、2人で自転車でパトロールしているおまわりさんを見て、一人が特に若いと、もしかしたら研修中なのかしら、なんて。交番勤務は派手な事件に遭遇することは少ないかもしれないが、あれこれ小さい事件を持ち込まれて、それはそれは大変なんでしょうね。小説なのに、読んだことがすべて”ほんと”にあったことのように感じてしまう、それが乃南作品です。