双頭のバビロン
評判
双頭のバビロンの評価:
4.64/5点 レビュー 14件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1〜12 1/1ページ
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双頭のバビロンの評価:
4.64/5点 レビュー 14件。 B ランク
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何しろ圧倒的に自分に素養が足りないのだ。読めない漢字はKindle上で辞書検索をしたり、読めても知らない語句が出てくるとGoogle検索で調べたりしながらだからだ。そしてこの2年間に私はこの時代についての本を何冊か読み、ドキュメンタリーを見たりした。記憶に新しいのはAmazon Prime Videoで見たドキュメンタリー映画『命の綱・上海』と、NHKの『ハイビジョン特集 シリーズ ハプスブルク帝国』だ。どちらも少し本作とは時代がわずかにずれるのだが、この本を読むための基礎知識を授けてくれた。一見関係なさそうなウィーンと上海は、ユダヤ人にとって極めて大切な国際都市だったのだ。
この本のタイトルの『双頭の〜』は癒着して生まれた双子の形状を直接表すのはもちろんだが、同時にハプスブルグ家の象徴でもある『双頭の鷲』を連想させる。また『バビロン』は英語で綴るとBABYLONだから、赤ちゃんを匂わせるとともに、ユダヤ人にとっては屈辱のバビロン捕囚が想起されてしまう。巧妙な仕掛けだ。
正直なところ、上巻を読み進むのがとてもしんどい。何しろ冒頭が1929年上海の濃密な描写。そして主人公らしい豪放快活な人物が誰かに語り出す。この辺から時間や場所があっちこっち行ったり来たりする。何とか苦労しながら下,巻を読み始めると、今まで散らかり放題だった頭の中がきれいに整理されて、ピースがはまり始める。その爽快感たるや!そして映画でも見ているかのように場面が頭の中に流れていく。上巻で置き去りにしてあった紛失物を見つけて大きな絵画か地図でも完成させるような感じと言ったらいいだろうか。
私がどうしてもイメージしてしまうのは萩尾望都の『ポーの一族』のエドガーとアランだ。だからどうしてもユリアンがひげをはやしていることをイメージすることができない。同じ課をしているはずのゲオルクはひげをはやしていてもイメージができるような気がするから不思議だ。
気になるのは物語のあと、いったいゲオルクはどこでどのように激動のナチスの時代と向き合うのだろうか。どうか早くアメリカに戻って、メイベルとも仲直りしてハリウッドで映画を作っていてほしい、、、。