弥勒世

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評判

弥勒世の評価:

4.09/5点 レビュー 34件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.09pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全53件 21〜40 2/3ページ
No.33
(5pt)

読んで良かった。

沖縄の見方が変わったように思います。上下巻と長編でしたが、だんだんと面白くなっていき本当に良かったです。
読み終え少し哀しい気がしました。 
沖縄の哀しい歴史を知りました。
弥勒世 下 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 弥勒世 下 (角川文庫)より
4043442106
No.32
(5pt)

凄く良かった

沖縄の見方が変わった気がします。まだ行ったことがないのですがこの本を読み沖縄の観光目的が変わりました。海よりも基地に行って見たい気がした。
読んでいてだんだん辛く哀しい思いがしてきて最後に来て読み終えるのに時間がかかってしまった。死に向かっているというのがきつかったなー仁美が可哀想でならなかった。
沖縄返還の事や沖縄の真実を教えてもらった、本当にこの本に出会えてよかった
弥勒世(みるくゆー) 下 Amazon書評・レビュー: 弥勒世(みるくゆー) 下より
4093797838
No.31
(5pt)

良かった

読み始めテンポ良く良かったのですが、沖縄の事全く知らずで最初はちょっと付いていくのにしんどかった。
途中で地図を見て沖縄の位置をしっかり確認したり、コザ暴動を調べてみたり・・・
でも本当に読んで良かった。
弥勒世(みるくゆー) 上 Amazon書評・レビュー: 弥勒世(みるくゆー) 上より
409379782X
No.30
(5pt)

凄く良かった

沖縄の見方が変わった気がします。まだ行ったことがないのですがこの本を読み沖縄の観光目的が変わりました。海よりも基地に行って見たい気がした。
読んでいてだんだん辛く哀しい思いがしてきて最後に来て読み終えるのに時間がかかってしまった。死に向かっているというのがきつかったなー仁美が可哀想でならなかった。
沖縄返還の事や沖縄の真実を教えてもらった、本当にこの本に出会えてよかった
弥勒世 下 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 弥勒世 下 (角川文庫)より
4043442106
No.29
(5pt)

良かった

読み始めテンポ良く良かったのですが、沖縄の事全く知らずで最初はちょっと付いていくのにしんどかった。
途中で地図を見て沖縄の位置をしっかり確認したり、コザ暴動を調べてみたり・・・
でも本当に読んで良かった。
弥勒世 上 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 弥勒世 上 (角川文庫)より
4043442092
No.28
(4pt)

沌と矛盾と怠惰と愚かさと悲しさを描く。

ウチナーンチュの混馳氏が沖縄返還を舞台にした作品を描き
高評価だという情報をみて早速読んでみました。

氏の作品は「不夜城」「鎮魂歌」しか読んでいないのですが
どちらも大変読み応えがあったこと、
そして私自身沖縄に生まれ育ったことから興味深く
さっそく読んでみたのですが

これが、もう、予想以上に、ものすごく面白い。

誰かの評にもあったのですが、
かなり取材しできごとを深く掘り下げて表現されているのでは
ないでしょうか。

物語では沖縄が日本へ返還されるまでの
ウチナーンチュの戦いの様子が描かれているのですが

それは私が生まれる数年前の話。

この本のように
憎しみや不満、悲しさが渦巻いている沖縄を
ウチナーンチュである私はほとんど知らない、想像できないでいました。

しかし。
氏の描く物語は
当時の沖縄の感じが、匂いや湿度、灼熱の光や
人々の目の暗さまで
その場でその体験をしているかのような感覚になってしまいます。

まさに現実以上にリアル。

日本は沖縄を、沖縄はやんばるを、やんばるは離島を差別する。

という一文にハッとしたりヘンに納得したり

小さい島が昔も今も抱える矛盾を、鮮やかにえぐりだしていて
もう、いっそ潔い。

出てくるキャラも一人ひとり、味わい深く、無駄がありません。

ところで主人公の抱える闇、裏切り、狡猾さ、哀しみ は
「不夜城」シリーズにも共通しています。

どこにも受け入れられず、馴染めず、ただ一人
生きる為にもがき続ける。

このキャラ、この視点は、馳星周独特ですね。
上巻は走り抜けるように読みました。
下巻も楽しみです。
弥勒世(みるくゆー) 上 Amazon書評・レビュー: 弥勒世(みるくゆー) 上より
409379782X
No.27
(4pt)

沌と矛盾と怠惰と愚かさと悲しさを描く。

ウチナーンチュの混馳氏が沖縄返還を舞台にした作品を描き
高評価だという情報をみて早速読んでみました。

氏の作品は「不夜城」「鎮魂歌」しか読んでいないのですが
どちらも大変読み応えがあったこと、
そして私自身沖縄に生まれ育ったことから興味深く
さっそく読んでみたのですが

これが、もう、予想以上に、ものすごく面白い。

誰かの評にもあったのですが、
かなり取材しできごとを深く掘り下げて表現されているのでは
ないでしょうか。

物語では沖縄が日本へ返還されるまでの
ウチナーンチュの戦いの様子が描かれているのですが

それは私が生まれる数年前の話。

この本のように
憎しみや不満、悲しさが渦巻いている沖縄を
ウチナーンチュである私はほとんど知らない、想像できないでいました。

しかし。
氏の描く物語は
当時の沖縄の感じが、匂いや湿度、灼熱の光や
人々の目の暗さまで
その場でその体験をしているかのような感覚になってしまいます。

まさに現実以上にリアル。

日本は沖縄を、沖縄はやんばるを、やんばるは離島を差別する。

という一文にハッとしたりヘンに納得したり

小さい島が昔も今も抱える矛盾を、鮮やかにえぐりだしていて
もう、いっそ潔い。

出てくるキャラも一人ひとり、味わい深く、無駄がありません。

ところで主人公の抱える闇、裏切り、狡猾さ、哀しみ は
「不夜城」シリーズにも共通しています。

どこにも受け入れられず、馴染めず、ただ一人
生きる為にもがき続ける。

このキャラ、この視点は、馳星周独特ですね。
上巻は走り抜けるように読みました。
下巻も楽しみです。
弥勒世 上 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 弥勒世 上 (角川文庫)より
4043442092
No.26
(5pt)

魅力ある登場人物達

軽いネタバレを含みます。 馳作品はだいたい読みましたが、私の中ではこの作品が一番です。上下巻あわせて1000頁を越える大作故に敬遠してしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、知人にオススメ本を聞かれたら毎回これを推しています。 虚無主義であり、沖縄を裏切りつつスパイ活動をすると見せかけ、実は二重スパイである主人公。アナーキストの政信。アメリカに対する憎悪を糧に反米活動をする仁美。ならず者かと思いきや、根っこの部分では主人公と志を同じくするマルコウ。情緒不安定で、登場人物達をひっかき回し、悲劇の引き金ともなった愛子。皆個性豊かです。 上巻あたりでは物語の方向性が定まらずにやきもきもしましたが、中盤で主人公の思想が転向したあたりから物語が加速します。 なんといってもラスト。これほど虚しい気分にさせられた小説は初めてでした。 馳作品はだいたい暴力と権力、性描写が色濃く絡んできますが、この物語はそれより深い部分が全面に押し出され、他の作品とは一線を画していると感じます。 ぜひ一読してみて下さい。
弥勒世(みるくゆー) 上 Amazon書評・レビュー: 弥勒世(みるくゆー) 上より
409379782X
No.25
(5pt)

魅力ある登場人物達

軽いネタバレを含みます。 馳作品はだいたい読みましたが、私の中ではこの作品が一番です。上下巻あわせて1000頁を越える大作故に敬遠してしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、知人にオススメ本を聞かれたら毎回これを推しています。 虚無主義であり、沖縄を裏切りつつスパイ活動をすると見せかけ、実は二重スパイである主人公。アナーキストの政信。アメリカに対する憎悪を糧に反米活動をする仁美。ならず者かと思いきや、根っこの部分では主人公と志を同じくするマルコウ。情緒不安定で、登場人物達をひっかき回し、悲劇の引き金ともなった愛子。皆個性豊かです。 上巻あたりでは物語の方向性が定まらずにやきもきもしましたが、中盤で主人公の思想が転向したあたりから物語が加速します。 なんといってもラスト。これほど虚しい気分にさせられた小説は初めてでした。 馳作品はだいたい暴力と権力、性描写が色濃く絡んできますが、この物語はそれより深い部分が全面に押し出され、他の作品とは一線を画していると感じます。 ぜひ一読してみて下さい。
弥勒世 上 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 弥勒世 上 (角川文庫)より
4043442092
No.24
(5pt)

毎度変わらぬやるせなさ

ちょうどオームの法則を読んだ後だったのでてっきり弥勒菩薩の本かと思ったら沖縄の話でしたね
いつもながら馳星周さんにはやられっぱなしで、体中が痛くなります。
弥勒世(みるくゆー) 下 Amazon書評・レビュー: 弥勒世(みるくゆー) 下より
4093797838
No.23
(5pt)

毎度変わらぬやるせなさ

ちょうどオームの法則を読んだ後だったのでてっきり弥勒菩薩の本かと思ったら沖縄の話でしたね
いつもながら馳星周さんにはやられっぱなしで、体中が痛くなります。
弥勒世 下 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 弥勒世 下 (角川文庫)より
4043442106
No.22
(5pt)

沖縄好きな人ほど読むべき

私も沖縄が好きだ。温暖な気候、澄んだ珊瑚礁、カラフルな魚、独特な調べを持つ島歌、陽気なカチャーシー、豊かな島料理、優しい島人… しかし本書はそんな沖縄の表面しか見ない人々を嘲笑うかのように歴史の現実を突き付ける。 「うちなーんちゅはおめでた過ぎる。おめでたいから戦前はやまとに蹂躙され戦後はアメリカーに家畜以下の扱いを受け、怒ることはあっても怒りを爆発させて歌って踊ればそれで忘れる」というような意味のことが主人公の独白や会話の中に何度も出てくる。 この考え方は衝撃的だった。琉球王国の解体や沖縄の地上戦 やアメリカの統治、復帰から今に至るまでの基地のことを知識として知ってはいてもそんなふうに考えたことがなかったからだ。 主人公とその仲間たちは何も変わらないことを知りながら、そんな世界に罅を入れたいと絶望的なテロルに乗り出す。 沖縄が今も基地の町であり続け、米兵による犯罪が絶えないことを思うと主人公たちの行動はより悲劇的だ。 徹頭徹尾他人を拒絶してきた主人公が唯一愛した女との恋愛とその結末が胸に刺さる。 私もその一人だが、巷に溢れる沖縄好きにこそ読んでほしい。
弥勒世 上 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 弥勒世 上 (角川文庫)より
4043442092
No.21
(5pt)

沖縄好きな人ほど読むべき

私も沖縄が好きだ。温暖な気候、澄んだ珊瑚礁、カラフルな魚、独特な調べを持つ島歌、陽気なカチャーシー、豊かな島料理、優しい島人… しかし本書はそんな沖縄の表面しか見ない人々を嘲笑うかのように歴史の現実を突き付ける。 「うちなーんちゅはおめでた過ぎる。おめでたいから戦前はやまとに蹂躙され戦後はアメリカーに家畜以下の扱いを受け、怒ることはあっても怒りを爆発させて歌って踊ればそれで忘れる」というような意味のことが主人公の独白や会話の中に何度も出てくる。 この考え方は衝撃的だった。琉球王国の解体や沖縄の地上戦 やアメリカの統治、復帰から今に至るまでの基地のことを知識として知ってはいてもそんなふうに考えたことがなかったからだ。 主人公とその仲間たちは何も変わらないことを知りながら、そんな世界に罅を入れたいと絶望的なテロルに乗り出す。 沖縄が今も基地の町であり続け、米兵による犯罪が絶えないことを思うと主人公たちの行動はより悲劇的だ。 徹頭徹尾他人を拒絶してきた主人公が唯一愛した女との恋愛とその結末が胸に刺さる。 私もその一人だが、巷に溢れる沖縄好きにこそ読んでほしい。
弥勒世(みるくゆー) 上 Amazon書評・レビュー: 弥勒世(みるくゆー) 上より
409379782X
No.20
(5pt)

やるせないラストシーン、沖縄アウトロー達が繰り広げる沖縄版「男達の挽歌」

馳星周の作品にハッピーエンドや爽快感を望んではいけない。
それは判っているのだが、それにしてもあまりにも絶望的な結末を向かえる。

殺人集団と化していく3人。
執拗に尾行を続ける刑事。
命を落とす者。
もはや無法地帯ともいえる米軍の不埒さ。
そして、うちなーの怒りと悲しみ。

上巻でたっぷりと舞台背景を語り、主人公たちのイデオロギーや存在に肉付けをした後の下巻。
物語は、用意された皮肉なエンディングに向かって、一直線に走り始め、
読み進むほどに助走はますます加速していく。

こういう終わり方は全く想像できなかった。
してやられた感にしばし虚脱。
弥勒世 下 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 弥勒世 下 (角川文庫)より
4043442106
No.19
(5pt)

やるせないラストシーン、沖縄アウトロー達が繰り広げる沖縄版「男達の挽歌」

馳星周の作品にハッピーエンドや爽快感を望んではいけない。
それは判っているのだが、それにしてもあまりにも絶望的な結末を向かえる。

殺人集団と化していく3人。
執拗に尾行を続ける刑事。
命を落とす者。
もはや無法地帯ともいえる米軍の不埒さ。
そして、うちなーの怒りと悲しみ。

上巻でたっぷりと舞台背景を語り、主人公たちのイデオロギーや存在に肉付けをした後の下巻。
物語は、用意された皮肉なエンディングに向かって、一直線に走り始め、
読み進むほどに助走はますます加速していく。

こういう終わり方は全く想像できなかった。
してやられた感にしばし虚脱。
弥勒世(みるくゆー) 下 Amazon書評・レビュー: 弥勒世(みるくゆー) 下より
4093797838
No.18
(5pt)

想像以上に良かった!

ネタバレになるといけないので詳しくは書けないのですが、
とにかく照屋仁美の真っすぐな生き方がとても美しくて心を奪われました。
彼女の存在のせいなのか、馳星周の他の作品に比べると「暗さ」をそんなに感じさせない感じでした。
夢中で上下巻ともに一気読みし、非常に満足な作品です。
弥勒世 上 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 弥勒世 上 (角川文庫)より
4043442092
No.17
(5pt)

想像以上に良かった!

ネタバレになるといけないので詳しくは書けないのですが、
とにかく照屋仁美の真っすぐな生き方がとても美しくて心を奪われました。
彼女の存在のせいなのか、馳星周の他の作品に比べると「暗さ」をそんなに感じさせない感じでした。
夢中で上下巻ともに一気読みし、非常に満足な作品です。
弥勒世(みるくゆー) 上 Amazon書評・レビュー: 弥勒世(みるくゆー) 上より
409379782X
No.16
(5pt)

沖縄の闇を描く重厚作。後半にいくほどスリリングな展開。

今では沖縄が「日本であること」に疑問を持つ若い世代は皆無だろうが、
昔昔は、「日本ではなかった」時代がある。

本作は、日本に返還された当時の沖縄を舞台に描かれた人間劇。
主人公はやはり馳星周お得意の、「アウトローだが、どっぷりヤクザ者には成り切れない男」。

前半は主題がよく見えなかったのだが、
後半にいくと俄然スリリングになり、下巻への期待が膨らんでくる。

米軍、基地、混血、ヤクザ、差別、反戦、白人と黒人と黄色人種、本土と離島など、
ちょっと考えただけでもこれだけのキーワードが挙げられるほど
沖縄が抱える独自の事情は根深く、暗い闇に包まれており、
市井の人々の噴飯と無力感が伝わってくる。
舞台は70年代だが、沖縄の現在は今も変わっていないのではないか。

青い海と白いビーチのイメージの沖縄は、本書には、ない。
弥勒世 上 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 弥勒世 上 (角川文庫)より
4043442092
No.15
(5pt)

沖縄の闇を描く重厚作。後半にいくほどスリリングな展開。

今では沖縄が「日本であること」に疑問を持つ若い世代は皆無だろうが、
昔昔は、「日本ではなかった」時代がある。

本作は、日本に返還された当時の沖縄を舞台に描かれた人間劇。
主人公はやはり馳星周お得意の、「アウトローだが、どっぷりヤクザ者には成り切れない男」。

前半は主題がよく見えなかったのだが、
後半にいくと俄然スリリングになり、下巻への期待が膨らんでくる。

米軍、基地、混血、ヤクザ、差別、反戦、白人と黒人と黄色人種、本土と離島など、
ちょっと考えただけでもこれだけのキーワードが挙げられるほど
沖縄が抱える独自の事情は根深く、暗い闇に包まれており、
市井の人々の噴飯と無力感が伝わってくる。
舞台は70年代だが、沖縄の現在は今も変わっていないのではないか。

青い海と白いビーチのイメージの沖縄は、本書には、ない。
弥勒世(みるくゆー) 上 Amazon書評・レビュー: 弥勒世(みるくゆー) 上より
409379782X
No.14
(4pt)

日本ハードボイルドの金字塔

上下巻で1200ページという大作で、一部きわどい
叙述もあるハードボイルドです。約40年前の本土復帰
直前の沖縄の現実に向き合うつもりがないなら、読む
のはやめたほうがいいでしょう。
 5日間のストを構えた全軍労の幹部が、こう言ってい
ます。「このストは(中略)やっても無駄だが、やらなけ
れば自らが救われない」と。これに似たセリフ、楡周平
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京』で安田講堂に
立て籠もった学生も言っていましたっけ。

 閑話休題。昨秋、小阪修平氏を偲ぶ会に参加(その場
には『叛乱論』の著者や「矢吹駆シリーズ」の作者の姿
もありました。)した時、司会者がしきりに「私たちは還
暦を過ぎようとしているが、このまま朽ちていいのか。」
と問うていました。つまり、大多数が辛うじて残り火を
絶やさずに生きてきたということなのでしょう。だから、
大学での挫折の後、権力の中枢を狙うというお話しな
ど、いかにも作り過ぎで笑止という他ありません。『再生
巨流』、『ラスト ワン マイル』と快調に飛ばしてきて、ちょ
っと調子に乗りすぎましたね、楡さん。

 しかし、1969年の安田講堂攻防戦と1970年のコザ
暴動、同時期の話題をとりながら、本書の主人公の世
界をぶち壊すという思いに迷いはありません。主人公を
頼る少女の惨死や理想に生きる恋人の自殺、そして主
人公自身の殺人行為など下巻は凄惨で殺伐とするきら
いもありますが、人々の暴発と主人公と仲間の米軍基地
へのテロ行動がクロスするクライマックスまでストーリー
は疾走してやみません。ラストでは、『仁義なき戦い 広
島死闘篇』(深作欣二)での特攻くずれ(北大路欣也)の
最後を思い出し、その迫力に五臓を貫かれました。

<付記> 著者の最新作『淡雪記』を読みました。やっぱ
りハードボイルドの筆致には純愛は向かないかなと。横
道に入らず王道を進んでもらいたいと改めて思いました。
(2011/06)
弥勒世 上 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 弥勒世 上 (角川文庫)より
4043442092