蘆屋家の崩壊

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評判

蘆屋家の崩壊の評価:

4.32/5点 レビュー 38件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.32pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全56件 1〜20 1/3ページ
No.56
(4pt)

脳内恐怖物質がジワジワと溢れて来る短編集

奇妙な味の連作ホラー短編集。無類の豆腐好きと言う縁で結ばれた主人公の猿渡と怪奇作家の通称伯爵が体験する恐怖譚。各編は猿渡の一人称でフザけた調子で語られるのだが、怖さがジワジワと滲んで来る物語になっている。伯爵が事件の謎を颯爽と解く、と言った体裁ではなく、一見茫洋とした展開が持ち味。

まず、陰陽師、八百比丘尼、昔話、巨大赤蟹、ケルベロス、黄泉の国等の道具立てを現代に活かすと言う構成がシッカリしている。猿渡と言えば、猿蟹合戦、これが巨大赤蟹へと拡がると言ったイメージの繋がりも巧み。これを背景に、ガンモドキをワザと飛龍頭と言う妖怪名で記す等の洒落で、ユーモア味とホラー味のバランスを巧く取っている。猿渡の乗るハデな車が次々と変わるのも趣向の一つだろう。

その中でも、赤蟹、ヌートリアと言った具体的イメージが湧く「カルキノス」、「超鼠記」は生理的嫌悪感が読み手に纏わる様。「ケルベロス」は外国人宮司や特殊な地形を活かした雰囲気創りが巧み。「埋葬虫」は幻想感と圧倒的な"虫"の迫力が混淆した傑作。

最終作「水牛群」は本作の解題とも言うべき作品で、作者の苦衷の体験がそのまま読者に伝わって来る様である。脳内恐怖物質がジワジワと溢れて来る短編集。
蘆屋家の崩壊 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)より
4087474259
No.55
(5pt)

不思議な魅力

ホラーだと思って手にしたけれどそれだけでは無くて新鮮だった。

思わず笑わされる軽妙なユーモアと、気味の悪さやおぞましさが

しっかり同居している。可笑しいのに気持ち悪いという複雑な読後感。

作者のほかの作品も読んでみたくなりました。
蘆屋家の崩壊 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)より
4087474259
No.54
(5pt)

極上の酒のような味わい

著者は、すばらしい音楽をよく「極上の酒」と表現している。私にとって、この文体の心地よさこそが極上の酒である。ストーリーの巧みさや展開の小気味よさは精密な機械を思わせる。これらの作品を仕上げるのにどれだけの言葉を選び、推敲を重ねたのか、その苦労に思いを馳せてしまう。漢字の使われ方ひとつにも筆者の並々ならぬ美意識が窺える。わずか半日で読了してしまい申し訳ない。しかし、その時間で読めてしまうのも、創作段階でよく練られているからだと思う。至福のときをありがとう。
蘆屋家の崩壊 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)より
4087474259
No.53
(4pt)

脳内恐怖物質がジワジワと溢れて来る短編集

奇妙な味の連作ホラー短編集。無類の豆腐好きと言う縁で結ばれた主人公の猿渡と怪奇作家の通称伯爵が体験する恐怖譚。各編は猿渡の一人称でフザけた調子で語られるのだが、怖さがジワジワと滲んで来る物語になっている。伯爵が事件の謎を颯爽と解く、と言った体裁ではなく、一見茫洋とした展開が持ち味。

まず、陰陽師、八百比丘尼、昔話、巨大赤蟹、ケルベロス、黄泉の国等の道具立てを現代に活かすと言う構成がシッカリしている。猿渡と言えば、猿蟹合戦、これが巨大赤蟹へと拡がると言ったイメージの繋がりも巧み。これを背景に、ガンモドキをワザと飛龍頭と言う妖怪名で記す等の洒落で、ユーモア味とホラー味のバランスを巧く取っている。猿渡の乗るハデな車が次々と変わるのも趣向の一つだろう。

その中でも、赤蟹、ヌートリアと言った具体的イメージが湧く「カルキノス」、「超鼠記」は生理的嫌悪感が読み手に纏わる様。「ケルベロス」は外国人宮司や特殊な地形を活かした雰囲気創りが巧み。「埋葬虫」は幻想感と圧倒的な"虫"の迫力が混淆した傑作。

最終作「水牛群」は本作の解題とも言うべき作品で、作者の苦衷の体験がそのまま読者に伝わって来る様である。脳内恐怖物質がジワジワと溢れて来る短編集。
蘆屋家の崩壊 Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊より
4087744124
No.52
(5pt)

不思議な魅力

ホラーだと思って手にしたけれどそれだけでは無くて新鮮だった。

思わず笑わされる軽妙なユーモアと、気味の悪さやおぞましさが

しっかり同居している。可笑しいのに気持ち悪いという複雑な読後感。

作者のほかの作品も読んでみたくなりました。
蘆屋家の崩壊 Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊より
4087744124
No.51
(5pt)

極上の酒のような味わい

著者は、すばらしい音楽をよく「極上の酒」と表現している。私にとって、この文体の心地よさこそが極上の酒である。ストーリーの巧みさや展開の小気味よさは精密な機械を思わせる。これらの作品を仕上げるのにどれだけの言葉を選び、推敲を重ねたのか、その苦労に思いを馳せてしまう。漢字の使われ方ひとつにも筆者の並々ならぬ美意識が窺える。わずか半日で読了してしまい申し訳ない。しかし、その時間で読めてしまうのも、創作段階でよく練られているからだと思う。至福のときをありがとう。
蘆屋家の崩壊 Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊より
4087744124
No.50
(5pt)

復刊を期待したい

独自のイメージと、それを読者の中で増幅させる文章。他の誰にも表現できないと思う。

短編各編に長編となりうるモチーフが詰め込まれている贅沢な短編集。亡くなったことが惜しまれてならない。
蘆屋家の崩壊 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)より
4087474259
No.49
(5pt)

復刊を期待したい

独自のイメージと、それを読者の中で増幅させる文章。他の誰にも表現できないと思う。

短編各編に長編となりうるモチーフが詰め込まれている贅沢な短編集。亡くなったことが惜しまれてならない。
蘆屋家の崩壊 Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊より
4087744124
No.48
(4pt)

怪奇×謎×豆腐

謎が解けていく、おぞけを纏い。
謎が深まる、くるめきを誘い。

本作の短編は、凡百の長編よりも広く、深く、妖しい。

「超鼠記」の、噎せ返る香り。
「埋葬虫」の、戦慄き蠢き。

豆腐を食べよう。
蘆屋家の崩壊 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)より
4087474259
No.47
(4pt)

怪奇×謎×豆腐

謎が解けていく、おぞけを纏い。
謎が深まる、くるめきを誘い。

本作の短編は、凡百の長編よりも広く、深く、妖しい。

「超鼠記」の、噎せ返る香り。
「埋葬虫」の、戦慄き蠢き。

豆腐を食べよう。
蘆屋家の崩壊 Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊より
4087744124
No.46
(5pt)

新品同様

古本を買ったのに新品が来たかと思うほどキレイでした。
ヤケも汚れもなく、開いた形跡もない。元々売った人は、買っただけで読まなかったのでしょうか?
おもしろいのに。
津原泰水さんの小説は、文体がイイですよね。
蘆屋家の崩壊 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)より
4087474259
No.45
(5pt)

新品同様

古本を買ったのに新品が来たかと思うほどキレイでした。
ヤケも汚れもなく、開いた形跡もない。元々売った人は、買っただけで読まなかったのでしょうか?
おもしろいのに。
津原泰水さんの小説は、文体がイイですよね。
蘆屋家の崩壊 Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊より
4087744124
No.44
(4pt)

読後感はすっきり、余韻は少なめ

短編というとあえて結末をあやふやにしてハッキリさせないものが多いが、本作はどれも書き切っているので文章の軽快さも相まって読後感はすっきりしている。

しかし面白かったがどうも違和感を覚える。主人公の猿渡にしろ、相棒の伯爵にしろ、いまいち人物像がつかめない。特に猿渡は短編ごとに受ける印象が違う。地の文が一人称ゆえ他人から「猿渡」との呼びかけがなければ本当に猿渡なのか甚だ不安に感じる。一番の怪奇は彼のような気がする。
蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫)より
4480429484
No.43
(4pt)

これは、癖になるかも

「11」で初めて著者を知りました。これが2冊目で、最初の一篇を読んでがっかりしましたが、最後の一篇を読むころには続編を買う気が満々でした。豆腐でいうなら臭豆腐。私は著者より年上ですが、耽美調ではないものの、なんだか懐かしい匂いがする文体です。泉鏡花や谷崎潤一郎のような雰囲気がある今時珍しい作家さんですね。しばらく追いかけてみたいと思いました。
蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫)より
4480429484
No.42
(5pt)

こんな突拍子もない話を思いつく作家の脳の中はどうなっているのか??素晴らしい(笑)

まずはタイトルに惹かれました。レビューを書きながら気がついたのですが、宮野叢子「鯉沼家の悲劇」と桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」が頭のどこかにあったのではないかと思います。そしてタイトルの蘆屋家から「蘆屋道満に何か関係ある?」と。つまり自分の中では悲劇的なミステリと伝奇的怪奇小説のイメージがごっちゃになっていました。そして到着した本を手に取ってみれば、カバーに書いてある要約は、「”豆腐好きで意気投合した俺、猿渡と小説家の「伯爵」に襲いかかる奇怪な現象”??なんじゃこれは・・・」と(笑)。そこへ至って初めて気がついたのもうかつでしたが、「ん~?津原泰水?どこかで聞いたような・・」と本棚を探してみたら、ありました。あの「爛漫たる爛漫―クロニクル・アラウンド・ザ・クロック」の作者ではありませんか。とあるロックバンドと絶対音感を持つ不登校の少女の物語。てっきり音楽ジャンルが得意な作家さんだと思っていたのに、なんで??と、前置きが長くなってしまいましたが、こんな気持ちで読み始めました。

結論からいうとまさに星5つでした。ジャンル分けできない奇怪な物語集。この作家さんの個性でしか書けない、ストーリー、文章、雰囲気、視点。おもしろくて読むのが止まらなくなってしまいました。導入部分の「反曲廃道」ではニートの俺、猿渡と、長身色白黒衣のために「伯爵」と呼ばれている怪奇小説作家の出会いから始まります。無類の豆腐好きという2人のふざけた(本人たちはいたってまじめ)共通項と手に入れたばかりの中古車シトロエンに起きた怪異で話の先が読めなくなり(笑)そのままお目当ての「蘆屋家の崩壊」に突入。これが一番好みの話でした。やはり蘆屋道満が関係していましたが、強いて言えば怪奇小説なのに、どこかひょうひょうとしたユーモアが漂い(これはこの作品集全般に言えることですが)絶世の美女なのに”どこか所帯崩れしたような”だらっとした女が登場。彼女の実家がある福井の小村は蘆屋道満や八百比丘尼ゆかりの地。各地豆腐めぐりの旅の中でひょんなことからそこを訪ねて行くことになり、到着してみれば文化財級の旧家で、裏山には妖しい稲荷の祠が鎮座ましましていた・・。刑事ドラマのような逃走劇とラストのオチが効いています。
また、「カルキノス」に登場する高足蟹の存在感は圧倒的で、しばらくはカニが食べられなくなってしまうかも(汗)。「埋葬蟲」もそうですが、気持ち悪さと奇っ怪さはこの上もなく、なのにユニークで読むのをやめられない、またこの「カルキノス」、文章のリズム感が素晴らしく、読んでいて笑いが出て仕方ありませんでした。
「ケルベロス」も大変お気に入りです。ギリシャ神話に登場する地獄の番犬ケルベロスと神社の狛犬、水の神、息長帯比売命=インドの水神ナーガ、川から現れる悪しきものが渾然一体となったお話で、これらが作家さんの頭の中でどんどん繋がってお話になっていく様子が目に見えるようです。

どれもこれも、まあどうしてこんな突拍子もない話を思いつけるのだ?というような話ばかりで、それでいて読後のこの爽快感はいったいなんなのでしょうか(笑)。津原泰水氏は、ちょっと調べてみれば、書かれる作品ごとに雰囲気がまったく違いとても同じ人物が書いたとは思えないという作家さんだそうです。が、それだけ多才な方なのだと思います。こちらの作品には2冊、続編があるそうですし、ほかの作品もぜひ読んでみたくなりました。またお気に入りの作家さんが増えました。
蘆屋家の崩壊 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)より
4087474259
No.41
(5pt)

こんな突拍子もない話を思いつく作家の脳の中はどうなっているのか??素晴らしい(笑)

まずはタイトルに惹かれました。レビューを書きながら気がついたのですが、宮野叢子「鯉沼家の悲劇」と桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」が頭のどこかにあったのではないかと思います。そしてタイトルの蘆屋家から「蘆屋道満に何か関係ある?」と。つまり自分の中では悲劇的なミステリと伝奇的怪奇小説のイメージがごっちゃになっていました。そして到着した本を手に取ってみれば、カバーに書いてある要約は、「”豆腐好きで意気投合した俺、猿渡と小説家の「伯爵」に襲いかかる奇怪な現象”??なんじゃこれは・・・」と(笑)。そこへ至って初めて気がついたのもうかつでしたが、「ん~?津原泰水?どこかで聞いたような・・」と本棚を探してみたら、ありました。あの「爛漫たる爛漫―クロニクル・アラウンド・ザ・クロック」の作者ではありませんか。とあるロックバンドと絶対音感を持つ不登校の少女の物語。てっきり音楽ジャンルが得意な作家さんだと思っていたのに、なんで??と、前置きが長くなってしまいましたが、こんな気持ちで読み始めました。

結論からいうとまさに星5つでした。ジャンル分けできない奇怪な物語集。この作家さんの個性でしか書けない、ストーリー、文章、雰囲気、視点。おもしろくて読むのが止まらなくなってしまいました。導入部分の「反曲廃道」ではニートの俺、猿渡と、長身色白黒衣のために「伯爵」と呼ばれている怪奇小説作家の出会いから始まります。無類の豆腐好きという2人のふざけた(本人たちはいたってまじめ)共通項と手に入れたばかりの中古車シトロエンに起きた怪異で話の先が読めなくなり(笑)そのままお目当ての「蘆屋家の崩壊」に突入。これが一番好みの話でした。やはり蘆屋道満が関係していましたが、強いて言えば怪奇小説なのに、どこかひょうひょうとしたユーモアが漂い(これはこの作品集全般に言えることですが)絶世の美女なのに”どこか所帯崩れしたような”だらっとした女が登場。彼女の実家がある福井の小村は蘆屋道満や八百比丘尼ゆかりの地。各地豆腐めぐりの旅の中でひょんなことからそこを訪ねて行くことになり、到着してみれば文化財級の旧家で、裏山には妖しい稲荷の祠が鎮座ましましていた・・。刑事ドラマのような逃走劇とラストのオチが効いています。
また、「カルキノス」に登場する高足蟹の存在感は圧倒的で、しばらくはカニが食べられなくなってしまうかも(汗)。「埋葬蟲」もそうですが、気持ち悪さと奇っ怪さはこの上もなく、なのにユニークで読むのをやめられない、またこの「カルキノス」、文章のリズム感が素晴らしく、読んでいて笑いが出て仕方ありませんでした。
「ケルベロス」も大変お気に入りです。ギリシャ神話に登場する地獄の番犬ケルベロスと神社の狛犬、水の神、息長帯比売命=インドの水神ナーガ、川から現れる悪しきものが渾然一体となったお話で、これらが作家さんの頭の中でどんどん繋がってお話になっていく様子が目に見えるようです。

どれもこれも、まあどうしてこんな突拍子もない話を思いつけるのだ?というような話ばかりで、それでいて読後のこの爽快感はいったいなんなのでしょうか(笑)。津原泰水氏は、ちょっと調べてみれば、書かれる作品ごとに雰囲気がまったく違いとても同じ人物が書いたとは思えないという作家さんだそうです。が、それだけ多才な方なのだと思います。こちらの作品には2冊、続編があるそうですし、ほかの作品もぜひ読んでみたくなりました。またお気に入りの作家さんが増えました。
蘆屋家の崩壊 Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊より
4087744124
No.40
(5pt)

読み始めはつまらないと思っていたが

なんとなく勢いで買ってしまったものの、読み始めると、面倒臭い、詰まらない小説だと思った。
それが、篇を進むうちに、段々と気持ちを掴まれていき、しまいには、久振りに本をよんだなぁ、という気持ちになった。
じっくり読むと、とても面白いのです。
猿渡&伯爵譚の一巻目だけを買ったのですが、次もその次も読みたくなりました。シリーズ以外も。
構成もよいが、文体と醸状がよい。
蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫)より
4480429484
No.39
(5pt)

某所で勧められて読んだのだが、これほど文章を読む至福はなかなかない!

反曲隧道
蘆屋家の崩壊
猫背の女
カルキノス
ケルベロス
埋葬蟹
奈々村女史の犯罪
水牛群

の短編が入っている。どれも幻想小説であり、猿渡と伯爵の珍道中の際に起こる物語となっている。
その中でも水牛群は、猿渡のひとつの結末を迎えるものであり、小説家としての伯爵のお供だった男が全てをひっくり返し、小説家として生まれることになる短編である。
そして次点が、蘆屋家の崩壊と、ケルベロスか。悪ふざけ的な豆腐への偏愛と、斜に構えた猿渡のキャラクター、飄々とした伯爵に、作品ごとにマドンナがいるというのが大きな流れとなっているが、この2作はそのマドンナとの関係が、センチメンタルな物語となっており、津原 泰水の真骨頂ではないかと思う。
話の内容など、どうでもいいのだ、ということもないが、津原 泰水の文章には魔力がある。文章を読んでいるだけで心地よく、何が底に書いてあるかを読み進めるというよりも、とりあえず文章を追ってしまう。それがこの猿渡シリーズには、センチメンタルなシーンや感情に訴えかけるものが散りばめられていて、時代の流れに流されることの無い内容が描かれている。
作家は嘘が上手いとも言えるが、それが彼の魔法の文章で、幻想譚を語られると、たちまち引き込まれてしまう。この作品の後、続巻を一気に読み終えてしまったのは、嬉しくもあり、続編がもうでないことの悲しみでもある。



蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫)より
4480429484
No.38
(4pt)

あっちゃ~ ほ~かい?

店頭で見かけて、購入。
なかなか、独特の感じが漂っていて、面白く読めた。
読者を現実から異界へといざなう感覚が楽しいのだ。
蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫)より
4480429484
No.37
(5pt)

津原さんはポーの一族なんですね。

E.A.ポーの代表作をもじるに恥じない、超高品質な、怪奇調サスペンス短編集です。 最初の方のお話は、ちょっと作者の先走り感が目立ち、やや戸惑い気味に読み進めましたが、「猫背の女」くらいから、読了するごとに「怖い‼ 面白い‼」の連呼に。 個人的には、「ケルベロス」の葉子ちゃんの最後が、異形かつ面妖かつ切なくて、猿渡と一緒に慟哭しました。 いやあ面白い。 面白いお話ばかりでした。 津原さんホント凄いです。
蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫)より
4480429484