薔薇の名前

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評判

薔薇の名前の評価:

4.19/5点 レビュー 117件。 B ランク

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Amazonレビュー一覧

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未読の方はご注意ください

全124件 81〜100 5/7ページ
No.44
(2pt)

表面的にはペダンティックな装いだが、内実は子供向けの冒険小説の趣き

記号学の泰斗が書いたミステリとして著名な作品だが、読む前から単なる衒学的作品ではないかと言う懸念があった。初っ端からその不安が的中する。14世紀のイタリアを中心とする中世ヨーロッパ史、特に宗教史について造詣を持たない読者は門前払いと言う態度なのだ。また、探偵役の修道士ウィリアムの観察眼や推理法はホームズもののパロディで、この点でもガッカリさせられた。作者が本当にミステリを書こうとしたのか否か疑念が湧く内容で、作者自身の宗教史観・記号学の自省的考察を披瀝するために戯れに物語を捻り出した感が強い。

岩壁沿いの修道院で起きる事件の模様は殆ど語られず、代りに読者は当時のキリスト教諸派の対立や神学上の解釈の相違や院内の衆道関係等を延々と聞かされるハメになる。そして、修道院内の建物には秘密の通路が複数あったり、"魔法の薬草"や鏡で幻覚を起こす等、子供騙しの手法が堂々と使われる。表面的にはペダンティックな装いだが、内実は子供向けの冒険小説の趣きである。作者の専門を活かした筈の暗号も断片的過ぎる上にコケ脅しで、現代暗号理論からすれば幼稚極まりない。作中で強調される"迷宮"に陥っているのは読者や探偵役で無く、作者ではないかとの思いを強く覚えた。キリスト教における異端論争・教義対立などミステリ・ファンにとっては興味の埒外である事は自明だろう。

結末に到ってもミステリ的趣向が皆無で、徒労感・脱力感しか覚えない。ミステリを知らない碩学の書いた壮麗なる駄作と言えよう。
薔薇の名前〈上〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈上〉より
4488013511
No.43
(5pt)

ある全体

教皇とフランチェスコ会の教義をめぐる対立、会内部での暗闘。さらには皇帝を後ろ盾としたフランチェスコ会は、教皇側と、有数の文書庫で名高い修道院において、会談を持とうとする。フランチェスコ会の使節団の一人として、修道院に到着したパスカヴィルのウィリアムは、そこで一連の殺人事件に出会うことになる。
 通常のミステリーならば、読み始めればたちまちのうちに、以上の事情をたやすく察するだろう。だが本書の場合には、読者はその事実を把握するためには、溢れかえる当時の著名人士の名、ヨーロッパ史いや中世教会史上に著名な事件の連呼、列挙される異端の網の目等々、の間を泳ぎまわらなければならない。相当注意して読んでいても、改めて前のページを読み返さざるを得ないことが何度もあった。
 一言で言って、大変読みにくい。だが、幹から横に伸びた枝の形は美しい、鋭い。細い枝に咲いた花は香しい。
 懺悔とはどのようなものとして感じられるか。修道士にとって、女とは、どのようなものとしてありえたのか。そんなことに触れた個所がある。異端とはどのような形で生じるのか。庶民にとっては、どんな形で異端と出会うことになったのか。異端であるとは当時にあってどのようなことであったか。異端審問とはどんなものであったか。人は弱さにどのように対処したかが、恐怖に支配された時どうなるのかが述べられる。会派が、修道院がどのように相争うかが考察される。
 確かに殺人事件は解決される。だが読み終わって感じるのは、一つの修道院の殺人事件の記述が、キリスト教の諸相の複合的な記述に重なっているということである。キリスト教の諸相とは、ヨーロッパの精神そのものであり、目をとめた文章の端々から、(キリスト教的)人間の全体が立ち上がってくる。どのページを開いても、興趣が尽きない本である。
薔薇の名前〈下〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈下〉より
448801352X
No.42
(4pt)

興味のあるなしで分かれる

かなり量のある文章、上巻のみで挫折する人も多いようです。
中世のヨーロッパ、僧院、それを取り巻く景色をイメージできないと
読み進めることは難しいでしょう。

しかし読み終えた後には、中世の世界をのぞいた満足感が得られると思います。
薔薇の名前〈下〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈下〉より
448801352X
No.41
(5pt)

おまえは悪魔だ

いま 考えてみると 本書は インターネットの現代にひきつけて読むと 違った味わいがある。

 本書の主人公は言うまでもなく「図書館」である。中世の「図書館」とは 「時代の知性」そのものであり その「知性」をどのように管理すべきなのかが 本書のテーマだと読める。実際 本書で展開される殺人事件の動機は 「情報をどのように管理するか」という極めて現代的な問題と 同じレベルである。

 これを現代に置き換えると 「図書館」は「ネット空間」であり「ネット空間における情報」であると読める。ネット時代の情報管理は 巨大な課題であり 現代でも 十分 殺人事件の動機になりえる。僕らには見えないが そんな事件も起こっているに違いない。

 殺人事件の犯人は 神の為、神に代わって 情報を管理することに命を賭けた。そんな犯人を 探偵は「おまえは悪魔だ」と喝破する。この場面が 本書の白眉だが その「悪魔」は いま この瞬間 21世紀の現代にも生きている。そう読むと 本書も なかなか恐ろしい。
薔薇の名前〈下〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈下〉より
448801352X
No.40
(5pt)

唯名論(nominalism)

「それを決める明確な基準はない」
「なしうる最大のことは、もっとよく見つめることだ」

「わたしたちの精神が想像する秩序・・・手に入れたあとでは、梯子は投げ棄てなければいけない。
なぜなら、役には立ったものの、それが無意味であったことを発見するからだ。
・・・昇りきった梯子は、すぐに棄てなければいけない」

「見せかけの秩序を追いながら、
本来ならばこの宇宙に秩序など存在しないと思い知るべきであった」

「可能性を全面的に織りこんだ必然的存在・・・
神の絶対的全能とその選択の絶対的自由とを肯定するのは、神が存在しないことを証明するのに等しい」
「過ギニシ薔薇(=神)ハタダ名前ノミ、虚シキソノ名ガ今ニ残レリ」
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448801352X
No.39
(5pt)

唯名論(nominalism)

「それを決める明確な基準はない」
「なしうる最大のことは、もっとよく見つめることだ」

「わたしたちの精神が想像する秩序・・・手に入れたあとでは、梯子は投げ棄てなければいけない。
なぜなら、役には立ったものの、それが無意味であったことを発見するからだ。
・・・昇りきった梯子は、すぐに棄てなければいけない」

「見せかけの秩序を追いながら、
本来ならばこの宇宙に秩序など存在しないと思い知るべきであった」

「可能性を全面的に織りこんだ必然的存在・・・
神の絶対的全能とその選択の絶対的自由とを肯定するのは、神が存在しないことを証明するのに等しい」
「過ギニシ薔薇(=神)ハタダ名前ノミ、虚シキソノ名ガ今ニ残レリ」
薔薇の名前〈下〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈下〉より
448801352X
No.38
(4pt)

ギリシャ人と盛り上がれる推理小説!

英訳は省略(削除箇所)が多いので日本語訳より良いとは言い切れません。
ギリシャ人とラテン語について盛り上がれる本です。
宗教部分と人名部分を端折って読むとサクサク進んで面白いです。
ヨーロッパのお城めぐりをしたからでしょうか、情景は目に浮かびました。
薔薇の名前〈上〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈上〉より
4488013511
No.37
(5pt)

どう読んでも面白い、貴重な作品

もう語り尽くされているので、簡潔に。
 何度読んでも面白い本、というのは実に貴重だ。そうそうめぐり合えるものではない。読む年齢によって、知識が増える分、また感想も違ってくるが、面白いことには変わりがない。最初に読んだとき、横文字に弱い者として、ミステリーとして読むには日本人は不利だと思ったが、意外とそうでもないのかも。
 思いっきりミーハーなことを書けば、探偵役のウイリアム修道士がとってもに魅力的。修道士らしからぬ発言の数々及び行動は、ちょっとエリス・ピーターズの「カドフェル」と重なるかな。
 映画ではショーン・コネリーが演じていて、これもなかなか良い出来だ。原作の最後の場面、大人になったアドソが現地を訪れるシーンがあれば完璧だったのだが。
薔薇の名前〈上〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈上〉より
4488013511
No.36
(5pt)

真理に対する不健全な情熱

本作品の舞台は中世イタリア。欧州最大規模の蔵書を誇る辺境の修道院。宗教会議の会場となるその修道院で修道士が変死体で発見される。
修道院院長は元異端審問官のウィリアムにその調査を依頼、ウィリアムが弟子のアドソを連れてこの修道院に姿を現すところから話は始まる。
第2、第3の事件が起こり、修道院は混乱。開催された宗教会議も決裂となるなか、ウィリアムは調査をすすめ真相に迫る・・。というのが大筋。
 
 迷信渦巻く中世において、理性的に科学に基づいて捜査をすすめるウィリアムの知性と師に質問を重ねる弟子アドソの姿が印象的。
 ミステリーや歴史ものというよりも、私は著者のエーコが現代社会に対する警句を発している評論のような印象を受けた。

 作品のなかでは信仰や学問をテーマに印象的な師弟間のやりとりが交わされる。
「唯一の過ちを考え出すのではなく、たくさんの過ちを想像するのだよ。どの過ちの奴隷にもならないために」

「純粋というものはいつでもわたしに恐怖を覚えさせる」
「純粋さのなかでも何が、とりわけ、あなたに恐怖を抱かせるのですか?」
「性急な点だ」

「恐れたほうがよいぞ、アドソよ、預言者たちや真実のために死のうとする者たちを。なぜなら彼らこそは、往々にして、多くの人びとを自分たちの死の道連れにし、ときには自分たちよりも先に死なせ、場合によっては自分たちの身代わりにして、破滅へ至らしめるからだ。」

「真理に対する不健全な情熱からわたしたちを自由にさせる方法を学ぶこと、それこそが唯一の真理だからだ。」

 ウィリアムのこれらのセリフこそエーコのメッセージそのものであると思える。

 思いが純粋で、切実であるほどに、生じる「性急さ」や「不寛容さ」こそ、エーコ(=ウィリアム)が警告する「不健全な情熱」であり、この事件の真犯人であると思えた。
 善意や正義の持つ両面性、自由に生き、考えることの難しさについて深く考えさせられる作品です。

薔薇の名前〈上〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈上〉より
4488013511
No.35
(5pt)

薔薇の名前とは

エーコが見事に展開するこの作品で言いたい事は世界というのはとある規則と法則によって成立しておりその鍵が分かれば解けない物は無い。しかし世界という物を既に出来上がった物として認識する多くの人間はいつの時代も無知で愚かである。人間にはいまだ分からない事も「事項と事項を比較」する事は学問の始まりであり、いつかは法則が分かる日が来るかもしれない。世界や他人は衆人には謎に満ちている。比較探求の旅は人間の命題である。しかし、比較する事とは差別する事では無いし区別する事でもない、そこに上下、左右などは無い。善悪の基準を決める物でも無い。無限とも見える有限の空間の中で観念という漠然とした意味と意味を手繰りよせ恣意を介さず真意を紡ぎだす。恣意は傲慢と混沌をもたらす。ウィリアムを動かす衝動と過ちがこれに含まれよう。中世キリスト教世界の異端だ、正統だと時に私利私欲が混じり互いに争う者や知識の独占を望む愚か者達の愚昧さと事物を推論し見極めるという推理小説の形態で作り上げられた本作は実に巧みだ。ウィリアムは言う「問題はキリストが清貧であったかどうかでは無い。教会が清貧であるかどうかであり、清貧とは俗世の事物に法を定める権利を保持するか放棄するかを意味する」。ウィリアムに対する妄信者ホルヘの考え方にも一理ある。両者とも善行を望むという意味では同じだ。しかしウィリアムは「真の愛とは愛される者の喜びを願うものだ」と言い、こういう、知の為の知の追及で無い、欲望無き知の探求を進めるベーコンを尊敬し、ただの迷える子羊から羽ばたこうとする様な人間個人の尊厳を秘かに謳う様な先進的な人物であり、ホルヘの妄執とは対照的である。しかし知識の探求は間違った記号を紡ぎ合わせても偶然にも同じ結果をもたらす事もある。必然的結果を求める事自体が傲慢なのである。「人を愛する者の務めは真理を笑わせる事によって真理が笑う様にさせる事であろう。真理に対する不健全な情熱から私達を自由にさせる方法を学ぶ事こそ唯一の真理である」とウィリアムは自嘲する。そしてアドソはその象徴たる神の全能とは?という所に至るのである。最終的に偶然と必然の論議から神の存在の有無まで考察し人間と世界の在り方を問いかける本作は実に多くの物を含んでいる。7日間で両極を体験したアドソは晩年に至り何を思うのだろう。薔薇の名前とは何であろう?人によって全く違う答えであり、かつ同じ答えとなる物であろう。両極の間で揺れ動く記号という名の意味を糧に人それぞれの真理を花開いた愛憎の象徴である薔薇の美しさである。私の言う意味はそれが何かは本作を読み終えた人には分かるだろう。
薔薇の名前〈下〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈下〉より
448801352X
No.34
(5pt)

叡智の復興

1980年のウンベルト・エーコの作品。14世紀のイタリアのベネディクト派僧院が舞台。主人公はドイツ人の見習いの修道士アドソと師匠のイギリスから来たバスカヴィルのフランチェスコ会修道士ウィリアム。ウィリアムはある使命を持ってこの僧院を訪れる。その重要な任務は物語を追う毎に明かされていく。14世紀の西洋のキリスト教世界の権力争いと腐敗。異端審問による迫害とヨハネス教皇派とルードヴィッヒ皇帝派の争い、各会派入り乱れての混沌とした状況が背景にある。そういう背景がありミステリー部分がまた非常に魅力的。主人公達は僧院内で起こった事件の捜査を僧院長に依頼されるのだが、僧院長を始め何か彼らは大きな物を隠そうとしている。そんな中、次々とヨハネの黙示録の記述に擬えて殺人事件が起こるという展開。事件の根源である僧院の主人公達には入る事を許されていない文書館、キリスト教世界で最大の蔵書を誇り、しかも数学的に計算された迷宮の様な造りになっており、各種言語のあらゆる書物が初めて入る人間にはどういう基準で配置されているか分からない、また侵入者を惑わす物質的仕掛けもあるという、館物ミステリーや暗号解きや本好きには堪らなく魅力的になっている。また主人公アドソの肉欲の罪と本能の間で揺れ動く、悩める見習い修道士の恋の心情の描写や彼の夢の描写は驚嘆する程上手い。そしてアドソの実にせつなくも儚い青春と成長の物語でもある。そして彼は師匠とは違う愛の形を求める。最後の所、大勢は始めは一致団結する様にも見えたが結局は惨めにもうろたえ、かの人は満ち足りて笑い、ウィリアムは失われる物に涙し、アドソは師匠の安否を気遣った。この三者三様の行動に人間の全てが語られているといっても過言では無いと思います。あと、私はキリスト教が古代ギリシアで既に全盛にあった人類の叡智を退化させたと思っているし、この考えは一般的かもしれないがエーコもそういう考えが基盤にあり本作を書いているとも思う。だが私はかと言って宗教が必ずしも悪いとは思わないし、叡智の前進が必ずしも人々の幸せに繋がるとは思わない。叡智とは人間が人間たる思考するという事が始まりであり、自分が世界の中心であると思う事を証明している。つまりは思考するとは人間が自己中心である事の証なのだ。人間の本質がその様な物であるから、様は均衡の問題であり、観念や意味になる前の個々の事象を記号として数式化しても人間は自分の卑小さを自覚するに過ぎないし精神の拡がりを潰えさす事であると思う。(下巻に続く)
薔薇の名前〈上〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈上〉より
4488013511
No.33
(5pt)

本の迷宮へ

「一場の夢は、一巻の書物なのだ、そして書物の多くは夢にほかならない」(本文より)

一流の学者が描く、一流のエンターテイメント。

舞台は中世、修道院。
シャーロック・ホームズとワトソンのような関係の師弟修道士が、文書館をめぐる殺人事件に挑む。

大筋はこんなところだが、もちろんこれだけではない。
エンターテイメントでもあり、学術的でもあり、ミステリーと記号論と歴史と宗教学を同時に含んでいる。
本の迷宮をめぐる物語は、その本自体もまた迷宮のようで、人によって、見方によって、さまざまな読み方ができる。

個人的に、おもしろいと思ったのは、この本の構成。
遠い昔に書かれた書物を、現代の著者が見つけて、訳出していくという作りになっている。
語り継がれて、失われて、そうしたことがめぐりめぐって、今この手元に本がある。
ふだんはうっかり忘れているけれど、多くの伝承や物語に、わたしたちはそうやって出会っているのである。

本の本の本、とでもいうべき多重構造が、なんともさすがというべきか。
学術でもいいし、娯楽でもいい。
そんな本はめったいにないので、たとえぶ厚くてびっくりしても、物語の迷宮に迷いこむ価値はあると思う。
薔薇の名前〈上〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈上〉より
4488013511
No.32
(5pt)

とっつきやすいが

神学に関する議論は難しいですが、ストーリーを追うだけなら、とっつきやすく
思ったよりもさくさく読み進めることが出来ました。
表面的なところだけ見れば、何かを手元に留めておきたいという執着が招く
破滅というキーワードで登場人物やそれぞれのエピソードを括ることが出切る
のでしょう。
でも、それだけの物語かというと?

薔薇の名前〈上〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈上〉より
4488013511
No.31
(5pt)

作中の「第五日目」の最後の一文,その重み,悲しみを,是非味わって頂きたい

記号学者エーコの処女小説であり,おそらく最高のミステリー.週間文春は,20世紀のミステリーの第2位にこの作品を選んだ.

中世の修道院を舞台に,連続殺人の犯人を修道僧ウィリアムが追うというサスペンスであるが,中世のキリスト教社会,異端思想,反キリスト,神学論争,文書館と書物,迷宮と暗号,そして記号と事物を巡る考察…まさに記号学者らしい衒学の書でもある.
とにかく,ラストでウィリアムが語ることの内容が秀逸である.非常に巧くまとめていて,思わず唸ってしまった.

そして,作中の「第五日目」の最後の一文,その重み,悲しみを,是非味わって頂きたい.
薔薇の名前〈上〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈上〉より
4488013511
No.30
(5pt)

人生最高の1冊!

ボリュームもあり、簡単に読める本ではないが、面白さは超一級。間違いなく、今までの人生で読んだ本の中で、最高の1冊(上下で2冊)である。ただし、中世ヨーロッパ文化に対するある程度の関心は必要である。それがないと、最後まで読み続けられないかもしれない。
舞台は中世、イタリア北部の陰鬱な修道院、季節は晩秋、登場人物はほぼ僧侶ばかりと、ひたすら「重厚」ムードだが、スリルありサスペンスありホラーありユーモアもあり、読み始めたら止まらない。難解な神学論争などは、まずは飛ばして先に進んでも問題はない。作者の創造した世界に浸って、「小説」というものの楽しさをじっくりと味わうことのできる作品である。
薔薇の名前〈上〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈上〉より
4488013511
No.29
(5pt)

中世イタリアへと誘われる貴重な読書体験

本書は暗黒時代とも呼ばれる中世イタリアの修道院で起きる連続殺人事件の謎を
修道士ウィリアムと若い修練士アドソが解き明かしていく歴史ミステリー。
ホームズとワトソンを連想させる師弟コンビが徐々に事件の謎を解明していくという、
探偵小説の王道ともいえる形式をとっており、
特に冒頭で修道士ウィリアムが脱走した馬について推理する場面は、
ホームズのパロディーの様でもあり、思わず苦笑してしまう。
しかし本書は単なる推理小説ではなく、
キリスト教における清貧論争や異端などについてのペダンティックな議論や記述が延々と繰り返され、
全てを十分に理解するには、かなりの教養が必要とされる。
本書は歴史ミステリーの傑作として名高い反面、
読解困難かつ読了困難な難攻不落小説としても有名であるが、
暗黒時代の迷宮の謎を解明させる苦難を実感するのには丁度良いのかも・・・
(上巻を頑張って読めば、下巻は比較的容易に読めます)
中世イタリアの神秘なる世界へ入り込んだかの様な貴重な読書体験を味わえるだけでも十分に読む価値あり。
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4488013511
No.28
(5pt)

人里離れた修道院で起こる連続殺人事件の謎に迫る

読了後いろんなことを差し押さえて脳裏に浮かんだのは「ついにあの「薔薇の名前」を読み終えてやった」であった。エベレスト単独無酸素登頂に成功したかのようなすごい達成感を味わえるので一読をおすすめしたい。キリスト教にまつわる宗教的知識、中世ヨーロッパの歴史的背景に精通していればさらに無上の読書体験が得られるのかも知れないが、まっさらな状態でもなんとかなった。「これは歴史ミステリなんだ」と強く念頭に置いて、複数挿入される事件解明停滞部分を怒涛の勢いに任せて読み切ってしまう。「フーコーの振り子」や「前日島」(共に文春文庫)よりは難易度が低い印象があった。さらに物語性が強い。13世紀のイタリアが舞台なのだけれど、オカルト的な興味が手伝ってか、現代の物語を読んでいるかのようにスムースに読み進めることができた。「ちょっとかしこくなったかも」と思えるオマケつき。
薔薇の名前〈上〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈上〉より
4488013511
No.27
(3pt)

中世謎解きの面白さ

宗教を題材にした名作といえばダビンチ・コードがあるが
本書はそれ以前に書かれたミステリー。
ウンベルト・エーコの小説は難解さで理解しがたい書もあるが、
とにかく、一気に読まないと登場人物と宗派の関係が分かりにくくなる。
宗教においてのもう一つのタブーって、
こういうこともあったのかということが描かれている。
いろんな解釈はあるが、最後のどんでん返しは面白いとは思う。

薔薇の名前〈上〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈上〉より
4488013511
No.26
(5pt)

忘れられない本になる

中世ヨーロッパ、険しい山の上にある不気味な僧院、断崖と一続きに聳え立つ異形の建物。情景に冒頭からそそられ、僧院の見取り図と文書館の迷路が一気にその世界に引き込む。踏み込んだらもう逃げられない。…この臨場感。想像力の逞しい方には特にお薦め。
欲望の渦巻く僧院で起こる数々の不可解な事件。複雑なパズルを一つずつ解いていくような手応えがある。さすが記号学者。
それにしても、人間の愚かさを見せつけられた気がして、宗教界って…というより、人間社会って進歩がないなあ、と悲しい思いがしたのは私だけだろうか。

薔薇の名前〈上〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈上〉より
4488013511
No.25
(5pt)

薔薇の名前

べすとせらーというので英語版を早速買って二回も読んだが、さっぱりわからんという無知蒙昧をさらけ出す結果となった。日本語版も買ったがやっぱりよくわからん。まあ、猫にはちょっと難しいわな。
よくわからんがこれだけ面白いという小説も稀有だろねえ。
当然、pendulumも買った。こっちはますますよくわからん。良くわからんばっかしいってるが、このままよくわからん状況で人生終わるんだろうなあ、悔い改めることも無く。

薔薇の名前〈上〉 Amazon書評・レビュー: 薔薇の名前〈上〉より
4488013511