わたしを離さないで

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わたしを離さないでの評価:

4.11/5点 レビュー 714件。 B ランク

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平均点4.11pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1,119件 981〜1,000 50/56ページ
No.139
(5pt)

漠然とした不安を先取りした内容。

キャシーという一人の女性。介護人、提供者といった言葉や、提供者となった友人たちを介護するキャシーの状況から、恐怖感を覚え、それが明らかになったときは戦慄が走った。
読み進むうち、クローンや臓器提供を実験的に行い、その結果生まれてきた者たちが疎まれ、プロジェクトは頓挫したところに、キャシーの現在があることが分かる。
彼女の疑問や仲間との違い(提供者でないこと)による苦悩があらわになる。

この小説は、クローン問題を物語という形で実験的に書き進めたものではないかと感じた。
ただ怖い怖いという小説とは異なり、派手さがなく、ゾクゾクするような知的興奮がページをめくるごとに加速され、最後まで読み進んでしまう。カズオ・イシグロの小説は中毒になる。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.138
(5pt)

読後感は最悪です

気持ちよくおわるありがちなお話ではけしてありませんでした。
この作品自体が何かの問題提起であったとしても何が問題なのかを
考えるのはほとんどすべて読者に委ねられているような気がします。

何がテーマの小説か知っていたからかもしれませんが
私の場合「感動」や「衝撃」はそれほどありませんでした。
それでも主人公や彼女と同じ世界に生きた人々の描かれ方は
とても丁寧で、緻密で、心に強く印象を残しました。

それらが長くて退屈だと思うときもありましたが
彼らの日常を読み知ることこそがこの作品の意義なのでしょう。

実話っぽくてちっとも笑えない。
たくさんの人に読んで欲しいです。
とくに高校生とか、若い人に。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.137
(5pt)

読後感は最悪です

気持ちよくおわるありがちなお話ではけしてありませんでした。
この作品自体が何かの問題提起であったとしても何が問題なのかを
考えるのはほとんどすべて読者に委ねられているような気がします。

何がテーマの小説か知っていたからかもしれませんが
私の場合「感動」や「衝撃」はそれほどありませんでした。
それでも主人公や彼女と同じ世界に生きた人々の描かれ方は
とても丁寧で、緻密で、心に強く印象を残しました。

それらが長くて退屈だと思うときもありましたが
彼らの日常を読み知ることこそがこの作品の意義なのでしょう。

実話っぽくてちっとも笑えない。
たくさんの人に読んで欲しいです。
とくに高校生とか、若い人に。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.136
(5pt)

作品に巡りあえた幸せ

『日の名残り』と同じような主人公の独白形式の作品です。徹底的に感情を押さえ込んだその語り口は、物語の背景の特異さに対する読者をぐいぐいと惹きつけていきます。"ヘールシャム"という施設はどういう施設なのか、そこで暮らしている“わたしたち”はどんな仲間達なのかを、あくまでもたんたんと語られていきます。題材が特異なだけに、今現在にこういう施設があっても不思議じゃない。そしてもしあるのなら、あるということの恐ろしさに絶望するでしょう。読み終えた時、カズオ・イシグロに巡りあえてわたしは幸せだと思いました。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.135
(5pt)

作品に巡りあえた幸せ

『日の名残り』と同じような主人公の独白形式の作品です。徹底的に感情を押さえ込んだその語り口は、物語の背景の特異さに対する読者をぐいぐいと惹きつけていきます。"ヘールシャム"という施設はどういう施設なのか、そこで暮らしている“わたしたち”はどんな仲間達なのかを、あくまでもたんたんと語られていきます。題材が特異なだけに、今現在にこういう施設があっても不思議じゃない。そしてもしあるのなら、あるということの恐ろしさに絶望するでしょう。読み終えた時、カズオ・イシグロに巡りあえてわたしは幸せだと思いました。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.134
(5pt)

クイーンの「リヴ・フォーエヴァー」の歌詞を思い出した。

閉じられた世界で、サッカー好きの彼が自分たちの運命を予感するかのように時に荒れ狂うのを鎮めてやれるのは彼女だけ。その彼女をキャスと愛称で呼ぶのも彼だけ。強い絆で結ばれていながら、その事に気づいた時は既に遅かったのでしょうか?

 絆が本物であれば、猶予が与えられる、という希望。当然のように二人でそれを叶えようとすることで、少なくともお互いの気持ちは確かめ合えたのですね。
 無駄かもしれないと予感しつつそれでも必死にトミーが書き続けた精巧なスケッチは、彼の魂の静かな叫びのようです。切ない。
 ルースも最後の最後に人間としての真価を発揮しました。

 人間のあくなき欲望が生命倫理を踏み外させる事への怖れ・・・を感じもしました。そして、至高の愛を或る舞台装置で描いた物語でもありました。彼らは特殊な立場でありますが、多くの読者がレヴューに書かれているように、実は私たちも彼らと似ていますよね、本当に。
 私たちそれぞれにも、乗り越えなければならぬ「提供(怪我や病気、苦難)」があり、「死」も逃れられぬ運命なのだから。

 実は読み終えて、最後のノーフォークのシーンを何度も思い出しては胸がえぐられるように切なくて涙が止まらんかったです。実に三日間、夜になると思い出しては泣きました。キャシーの気持ちが乗り移ったかのように。キャシーが感情を抑えている分、こっちが爆発を・・。
 死ぬ時は一人なんだ、誰だって。その事に耐えられないから天国や輪廻を信じたくなるのでしょうね。愛するものが帰ってくる時や場所があると、信じたいのです。
 「リヴ・フォーエヴァー」を歌ったクイーンの一人は偶然にもノーフォークの出身でした!
今ともに生きている人を、大事に愛したい。辛い読後感だからこそ、その決意が長続きするのだと思います。イシグロさんと、美しい翻訳をしてくださった訳者の方に限りない感謝を。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.133
(5pt)

クイーンの「リヴ・フォーエヴァー」の歌詞を思い出した。

閉じられた世界で、サッカー好きの彼が自分たちの運命を予感するかのように時に荒れ狂うのを鎮めてやれるのは彼女だけ。その彼女をキャスと愛称で呼ぶのも彼だけ。強い絆で結ばれていながら、その事に気づいた時は既に遅かったのでしょうか?

 絆が本物であれば、猶予が与えられる、という希望。当然のように二人でそれを叶えようとすることで、少なくともお互いの気持ちは確かめ合えたのですね。
 無駄かもしれないと予感しつつそれでも必死にトミーが書き続けた精巧なスケッチは、彼の魂の静かな叫びのようです。切ない。
 ルースも最後の最後に人間としての真価を発揮しました。

 人間のあくなき欲望が生命倫理を踏み外させる事への怖れ・・・を感じもしました。そして、至高の愛を或る舞台装置で描いた物語でもありました。彼らは特殊な立場でありますが、多くの読者がレヴューに書かれているように、実は私たちも彼らと似ていますよね、本当に。
 私たちそれぞれにも、乗り越えなければならぬ「提供(怪我や病気、苦難)」があり、「死」も逃れられぬ運命なのだから。

 実は読み終えて、最後のノーフォークのシーンを何度も思い出しては胸がえぐられるように切なくて涙が止まらんかったです。実に三日間、夜になると思い出しては泣きました。キャシーの気持ちが乗り移ったかのように。キャシーが感情を抑えている分、こっちが爆発を・・。
 死ぬ時は一人なんだ、誰だって。その事に耐えられないから天国や輪廻を信じたくなるのでしょうね。愛するものが帰ってくる時や場所があると、信じたいのです。
 「リヴ・フォーエヴァー」を歌ったクイーンの一人は偶然にもノーフォークの出身でした!
今ともに生きている人を、大事に愛したい。辛い読後感だからこそ、その決意が長続きするのだと思います。イシグロさんと、美しい翻訳をしてくださった訳者の方に限りない感謝を。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.132
(5pt)

警告のような告発のような

さほど劇的なシーンや感動があるわけではありません。ある目的をもって生まれてきた子供たちが青年になっていく過程を、寄宿舎のようなところでの生活を通して描いています。そこで描かれるエピソードや登場人物らの感情は、一見あまりに普通です。子供同士のからかい、悪ふざけ、友人との喧嘩、仲直り、恋愛、性への興味……。おそらく世界中の子供が経験することです。その普通さが、本書の状況設定ゆえに、哀しい。

本書を読みながら、“実存は本質に先立つ”というフレーズを思い出していました。“何のためにあなたがここに在るかという目的”(本質)よりも先に、“とにかくあなたがここに在るという事実”(実存)の方がまず先んじている。それこそが、人間が道具と異なる最大の点だ、というわけです。

効率重視の価値観が先鋭化し過ぎたり、科学技術が進歩し過ぎたりすると、道具を見るような機能的な視点で人間を見るようになります。しかし、“生きる理由などなくても、そこにいるだけでいい”、それが生きることの大前提ではなかったか。その前提が脅かされてはいまいか。そんなことを考えさせられました。

未来のことに触れているようでもあるし、現代のことに触れているようでもある。警告しているでもあるし、告発しているようでもある。私たちが生きる世界のいろいろなことに結びついていくような小説です。そんな小説がお好きな方に、おすすめです。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.131
(5pt)

警告のような告発のような

さほど劇的なシーンや感動があるわけではありません。ある目的をもって生まれてきた子供たちが青年になっていく過程を、寄宿舎のようなところでの生活を通して描いています。そこで描かれるエピソードや登場人物らの感情は、一見あまりに普通です。子供同士のからかい、悪ふざけ、友人との喧嘩、仲直り、恋愛、性への興味……。おそらく世界中の子供が経験することです。その普通さが、本書の状況設定ゆえに、哀しい。

本書を読みながら、“実存は本質に先立つ”というフレーズを思い出していました。“何のためにあなたがここに在るかという目的”(本質)よりも先に、“とにかくあなたがここに在るという事実”(実存)の方がまず先んじている。それこそが、人間が道具と異なる最大の点だ、というわけです。

効率重視の価値観が先鋭化し過ぎたり、科学技術が進歩し過ぎたりすると、道具を見るような機能的な視点で人間を見るようになります。しかし、“生きる理由などなくても、そこにいるだけでいい”、それが生きることの大前提ではなかったか。その前提が脅かされてはいまいか。そんなことを考えさせられました。

未来のことに触れているようでもあるし、現代のことに触れているようでもある。警告しているでもあるし、告発しているようでもある。私たちが生きる世界のいろいろなことに結びついていくような小説です。そんな小説がお好きな方に、おすすめです。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.130
(5pt)

人生について考えたとき読んでほしい本です

何の予備知識も持たずに読み始め、どこにでもあるような青春時代の思い出や、友人関係を細かく描写しているな・・・と、はじめは思っていました。
読み進めるうちに、「えっ?ちょっと待って・・・」みたいなところが何度かあって、物語の全貌が分かってくる頃には、登場人物にあまりにも共感しすぎていて、心が痛いほどになります。本当にかけがえのない人生なのに、「自分の運命を受け止める」みたいな簡単な言葉で片付けないで!って、言いたいよねって。
読んだ後、心はものすごく波打ち、その後、じっと静かになり、自分の生き方を見つめなおしました。
 そのときの自分の状況によって、捕らえ方が違うと思うけれど、人生に一度は絶対読んでほしい。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.129
(5pt)

人生について考えたとき読んでほしい本です

何の予備知識も持たずに読み始め、どこにでもあるような青春時代の思い出や、友人関係を細かく描写しているな・・・と、はじめは思っていました。
読み進めるうちに、「えっ?ちょっと待って・・・」みたいなところが何度かあって、物語の全貌が分かってくる頃には、登場人物にあまりにも共感しすぎていて、心が痛いほどになります。本当にかけがえのない人生なのに、「自分の運命を受け止める」みたいな簡単な言葉で片付けないで!って、言いたいよねって。
読んだ後、心はものすごく波打ち、その後、じっと静かになり、自分の生き方を見つめなおしました。
 そのときの自分の状況によって、捕らえ方が違うと思うけれど、人生に一度は絶対読んでほしい。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.128
(5pt)

名作中の名作

ページをひらいて初めのほう、静かな語り口で淡々と事実を述べているのに、なにかが欠落しているような気がする。
その欠落が「なに」かを丁寧に丁寧に描写していくのに、結局明確な答えはない。
そう、人生には明確な答えなんてひとつとしてない。
子供のころわからなかったこと、わからないことが多くて、なにもかもがうまくいくような気がしていたあの居心地のいい守られた世界。
そんな世界に身を置きつつ、世の中ではなにかどうしようもないことが起きているらしいという漠然とした不安。
そんな感覚が、この小説を読んでいると蘇ってくる。
決して押し付けない、刺激もない。淡々と飄々と物語は進んでいく。
これほど完成度の高い小説に出会ったのは、初めてかもしれない。

久々に著者のこともよく知らずに買った小説だが、よくよく調べてみるとブッカー賞受賞作家とのこと。
残念ながら、著者は長崎出身の日本人ではあるが幼い頃からのイギリス暮らしで日本語はほとんどしゃべれないよう。できれば、翻訳なしで読んでみたい。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.127
(5pt)

名作中の名作

ページをひらいて初めのほう、静かな語り口で淡々と事実を述べているのに、なにかが欠落しているような気がする。
その欠落が「なに」かを丁寧に丁寧に描写していくのに、結局明確な答えはない。
そう、人生には明確な答えなんてひとつとしてない。
子供のころわからなかったこと、わからないことが多くて、なにもかもがうまくいくような気がしていたあの居心地のいい守られた世界。
そんな世界に身を置きつつ、世の中ではなにかどうしようもないことが起きているらしいという漠然とした不安。
そんな感覚が、この小説を読んでいると蘇ってくる。
決して押し付けない、刺激もない。淡々と飄々と物語は進んでいく。
これほど完成度の高い小説に出会ったのは、初めてかもしれない。

久々に著者のこともよく知らずに買った小説だが、よくよく調べてみるとブッカー賞受賞作家とのこと。
残念ながら、著者は長崎出身の日本人ではあるが幼い頃からのイギリス暮らしで日本語はほとんどしゃべれないよう。できれば、翻訳なしで読んでみたい。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.126
(5pt)

人間の生き方

テーマは人間そのものについてだと思った。
SF的な、でもまったくないとは言い切れないような生々しい設定。
主人公たちの境遇が特異であるからこそ
より一層、人間らしさとか、人の生き方について、
当たり前のように思っていたことの尊さが浮き彫りになって伝わってくる。共感できる物語。
ミステリー風の展開もあって、先が気になりどんどん読むことができた。
淡々としたラストの1ページには、胸がいっぱいになった。
最後まで読んで良かったと心から思える、そういう本だった。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.125
(5pt)

人間の生き方

テーマは人間そのものについてだと思った。
SF的な、でもまったくないとは言い切れないような生々しい設定。
主人公たちの境遇が特異であるからこそ
より一層、人間らしさとか、人の生き方について、
当たり前のように思っていたことの尊さが浮き彫りになって伝わってくる。共感できる物語。
ミステリー風の展開もあって、先が気になりどんどん読むことができた。
淡々としたラストの1ページには、胸がいっぱいになった。
最後まで読んで良かったと心から思える、そういう本だった。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.124
(4pt)

すぐれた青春小説を読んだあとのような余韻が残った

’06年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第9位、「このミステリーがすごい!」海外編第10位にランクイン。

『日の名残り』という’89年発表の作品で、英国最大の文学賞であるブッカー賞に輝いた現代文学の巨匠、カズオ・イシグロの第六長編である。ミステリー作家というより、純文学畑の作家だ。

主人公は、キャシー・Hと紹介される31才の女性である。彼女は<提供者>と呼ばれる人々に対する介護をしながら、ヘーシャルムという田舎の寄宿舎で、同じ時間を共有した仲間たちとの過去を回想する。
彼らがなぜそんな場所にいたのかがこの小説のひとつの大きな謎である。その謎が明らかにされてゆく過程が、「週刊文春」や「このミス」など、多くのミステリーファンに支持されたのだろうが、決してロジカルな推理があるわけでもないし、アクロバティックな叙述トリックがあるわけでもない。ただ、淡々と語られていくキャシー・Hの一人称があるだけである。しかし、そこには静謐ではあるが謎をはらんだ展開のなか、種明かしが少しずつ織り込まれてゆき、そして物語は「奇怪」、「異形」ともいうべきその恐るべき全体像を読者の前に現してゆくのだ。

本書はカズオ・イシグロの手によらなければ、果たして、すぐれた美しい一人称青春文学として評価されただろうか。私は、哀しみに満ちた物語を読んだという感想と共に、ホラー小説を読んだあとのような余韻が残って仕方がなかった。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.123
(4pt)

すぐれた青春小説を読んだあとのような余韻が残った

’06年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第9位、「このミステリーがすごい!」海外編第10位にランクイン。

『日の名残り』という’89年発表の作品で、英国最大の文学賞であるブッカー賞に輝いた現代文学の巨匠、カズオ・イシグロの第六長編である。ミステリー作家というより、純文学畑の作家だ。

主人公は、キャシー・Hと紹介される31才の女性である。彼女は<提供者>と呼ばれる人々に対する介護をしながら、ヘーシャルムという田舎の寄宿舎で、同じ時間を共有した仲間たちとの過去を回想する。
彼らがなぜそんな場所にいたのかがこの小説のひとつの大きな謎である。その謎が明らかにされてゆく過程が、「週刊文春」や「このミス」など、多くのミステリーファンに支持されたのだろうが、決してロジカルな推理があるわけでもないし、アクロバティックな叙述トリックがあるわけでもない。ただ、淡々と語られていくキャシー・Hの一人称があるだけである。しかし、そこには静謐ではあるが謎をはらんだ展開のなか、種明かしが少しずつ織り込まれてゆき、そして物語は「奇怪」、「異形」ともいうべきその恐るべき全体像を読者の前に現してゆくのだ。

本書はカズオ・イシグロの手によらなければ、果たして、すぐれた美しい一人称青春文学として評価されただろうか。私は、哀しみに満ちた物語を読んだという感想と共に、ホラー小説を読んだあとのような余韻が残って仕方がなかった。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.122
(5pt)

傑作です

人の心の中を、ここまで繊細に表現できる作家が他にいるのだろうかと
思わせるほどの表現力です。

この作品を読んで以降も、国内で評価の高いといわれている作品をいく
つか読みましたがレベルが違うと感じさせるほどのデキだと思います。

個人的には、これから先この作品以上の本に出会えるか不安になりました。
原文を読める能力がないので勝手な感想になりますが、翻訳も満点だと思います。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.121
(5pt)

傑作です

人の心の中を、ここまで繊細に表現できる作家が他にいるのだろうかと
思わせるほどの表現力です。

この作品を読んで以降も、国内で評価の高いといわれている作品をいく
つか読みましたがレベルが違うと感じさせるほどのデキだと思います。

個人的には、これから先この作品以上の本に出会えるか不安になりました。
原文を読める能力がないので勝手な感想になりますが、翻訳も満点だと思います。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.120
(4pt)

愛の悲しみの余韻に・・・

冒頭から謎に満ちている。語り手でもある主人公キャシーはcaretaker看護人であるが、普通の看護師とは違うらしい。また、育った施設ヘイシャムが単なる孤児施設ではないことを感じつつ、果たしてどういうものかはっきり見えてこないまま、80ページほど読み進んだところでcloning と言う言葉にぶつかる。ぼんやり感じていたここの住人たちの特別な存在意義と任務、献体の謎が解けたのであるが、それは同時になぜ彼らに親、兄弟、家族が話題にならないのか明らかになり、彼らが将来誰かを愛しても子供を持つことは許されないのか分かったのである。仲間も友人も愛した人も次第にdonationのため亡くなる世界。未来小説とはいえ、キャシーやルースなど登場人物を待つ残酷な宿命の悲しみが胸を打つ。 それにしてもThe Remains of the DayからKazuo Ishiguro の作品を少しづつ読んでいるが、様々なテーマを扱う彼の多才さに感服している。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517