わたしを離さないで

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評判

わたしを離さないでの評価:

4.11/5点 レビュー 714件。 B ランク

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平均点4.11pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1,119件 961〜980 49/56ページ
No.159
(5pt)

すばらしい「SF小説」のような作品

現実と異なった背景・道具を用意し、読者が作品と現実を重ね合わせるなかで、現実の中の普段気づかずにすごしていたり忘れようとしているものに直面させてくれます。背景・道具立ては「SF小説」的ですが、内容は現実的です。
主人公の置かれている境遇は一見特に悲惨ではあるけれども、では、今まさにわれわれの置かれている境遇とどう違う?
子供のときの幸せや漠然と感じた恐怖、大人への不信感やあこがれ、はなんだったのか?
自分のなれるもの、できることが限られているとわかったときに、どう対峙すべきか?
読んだあとにいろいろと考えさせられました。
ただ、主人公の視線で語られてはいても、主人公の生き方に感動させられはするものの、著者の考えている事は主人公のたどった道を全面的に肯定しているのだろうか、とも思います。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.158
(4pt)

ここ10年間で出版された本の中で稀にみる衝撃

読み進むにつれて、ふいに伝わってくる暗く嫌な予感。描かれる若者たちの真の姿が分かった時に襲ってくる、ガーンと鈍器で殴られたかのような衝撃。読み終わってしばらくしても、死体でも見てしまったような、嫌悪を伴う不思議な感覚が離れませんでした。
何となく予感していたけれど、よくもこんな場所に連れてきて、こんなものを見せてくれたな、と著者を呪いたくなったぐらいです。笑)

小説の特殊なプロットから言うと、なるほど様式には、SF、ミステリーの要素はありますが、その特殊なプロット=世の中を眺める窓枠、が覗かせてくれるのは、「わたし」や「あなた」も含めた、ごくごく普通の人間の生命そのものの意味ともいうべき、根源的、普遍的な主題です。なので、この小説をSFに限らず何かのジャンルに分類して語ることは、余りふさわしくないかもしれません。(もし、そのせいで読むチャンスを逃す人がいるならば。)

「日の名残り」も彼の傑作には違いありませんが、自分にとってはこの作品の方が衝撃であり、大切な作品になりました。\800円になって、しかも軽くなったのなら、お買い求めにならない理由はありません。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.157
(4pt)

ここ10年間で出版された本の中で稀にみる衝撃

読み進むにつれて、ふいに伝わってくる暗く嫌な予感。描かれる若者たちの真の姿が分かった時に襲ってくる、ガーンと鈍器で殴られたかのような衝撃。読み終わってしばらくしても、死体でも見てしまったような、嫌悪を伴う不思議な感覚が離れませんでした。
何となく予感していたけれど、よくもこんな場所に連れてきて、こんなものを見せてくれたな、と著者を呪いたくなったぐらいです。笑)

小説の特殊なプロットから言うと、なるほど様式には、SF、ミステリーの要素はありますが、その特殊なプロット=世の中を眺める窓枠、が覗かせてくれるのは、「わたし」や「あなた」も含めた、ごくごく普通の人間の生命そのものの意味ともいうべき、根源的、普遍的な主題です。なので、この小説をSFに限らず何かのジャンルに分類して語ることは、余りふさわしくないかもしれません。(もし、そのせいで読むチャンスを逃す人がいるならば。)

「日の名残り」も彼の傑作には違いありませんが、自分にとってはこの作品の方が衝撃であり、大切な作品になりました。\800円になって、しかも軽くなったのなら、お買い求めにならない理由はありません。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.156
(4pt)

内に見え隠れするもの。

まず、この小説が何について書かれているかとか、どんな展開かとか、どんなトーンの物語だとか、
とにかく、なにも言いたくない、読み終わってそう思える小説だ。
なぜなら、私自身が先の展開が気になって仕方がなくて、
そのため一晩を挟んで足かけ二日で一気に読んでしまったのだから。
この作家の本を読むのは初めてで、本当のところ原書で読みたかったのだけど、
原書で読むのは時間がかかるので、読みやすくて字の大きい訳本のハードカバーにした。
だから、どんな文体なのかしらないのだけれど、これだけははっきり言える。
あっと息をのむようなスリリングな話の展開では決してないし、そんなイベントもおこらない。
でも、確かにぞっとするものを内包したなにか大きなミラーボールのようなものが、
同一中心をもつ一回り大きな和紙かなんかでできた球体に覆われていて、
ちろりちろりと洩れ出てくる光にいざなわれての一気読み、という読書体験でした。
読後にもあれこれ読者に想像の余地を残して置いてくれる本という印象。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.155
(4pt)

内に見え隠れするもの。

まず、この小説が何について書かれているかとか、どんな展開かとか、どんなトーンの物語だとか、
とにかく、なにも言いたくない、読み終わってそう思える小説だ。
なぜなら、私自身が先の展開が気になって仕方がなくて、
そのため一晩を挟んで足かけ二日で一気に読んでしまったのだから。
この作家の本を読むのは初めてで、本当のところ原書で読みたかったのだけど、
原書で読むのは時間がかかるので、読みやすくて字の大きい訳本のハードカバーにした。
だから、どんな文体なのかしらないのだけれど、これだけははっきり言える。
あっと息をのむようなスリリングな話の展開では決してないし、そんなイベントもおこらない。
でも、確かにぞっとするものを内包したなにか大きなミラーボールのようなものが、
同一中心をもつ一回り大きな和紙かなんかでできた球体に覆われていて、
ちろりちろりと洩れ出てくる光にいざなわれての一気読み、という読書体験でした。
読後にもあれこれ読者に想像の余地を残して置いてくれる本という印象。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.154
(5pt)

教わっているようで、教わっていない

そもそも「提供」とは?
 誰が、一体何を、どのようにして「提供」するのか?

 ロスト・コーナーとは? 忘れられた土地? 寮の4階にある遺失物保管所って一体?
 イギリス・ノ−フォークには何があるのか?

 "教わっているようで、教わっていないこと”とは何?
 「ポシブル」って?

 冒頭から、謎がなぞを生み、読者を変な世界に引き込むイシグロの領域。
 
 「ヘールシャム」には一体、何があったのか?
 単行本、この文庫本共通のカバーになっている"カセット・テープ”の秘密とは?

 種明かしはしたくてもできない、寧ろしないほうが絶対にいい、予備知識なく読んだほうが圧倒的に面白い。
 
 (実話をもとにしたのかどうか、イギリスってこんな国だったのかということ・・・・・)


わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.153
(5pt)

教わっているようで、教わっていない

そもそも「提供」とは?
 誰が、一体何を、どのようにして「提供」するのか?

 ロスト・コーナーとは? 忘れられた土地? 寮の4階にある遺失物保管所って一体?
 イギリス・ノ−フォークには何があるのか?

 "教わっているようで、教わっていないこと”とは何?
 「ポシブル」って?

 冒頭から、謎がなぞを生み、読者を変な世界に引き込むイシグロの領域。
 
 「ヘールシャム」には一体、何があったのか?
 単行本、この文庫本共通のカバーになっている"カセット・テープ”の秘密とは?

 種明かしはしたくてもできない、寧ろしないほうが絶対にいい、予備知識なく読んだほうが圧倒的に面白い。
 
 (実話をもとにしたのかどうか、イギリスってこんな国だったのかということ・・・・・)


わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.152
(4pt)

ゆっくり感じる恐怖感

読みながらぞわぞわと恐怖感を感じました。

キャシーが過去を懐古する形で物語が進みます。
「介護人っていったいなんなの?」という疑問は
キャシーの言葉から少しずつ想像できます。
想像すればするほど、「怖い」です。
不勉強なので実際に知りませんでしたし、
前提条件からして私には理解できない世界です。

そういう特殊な環境下でも、ごく普通に生活し、考え、育ったキャシーたち。
読み進むにつれ、切なくて悲しくなります。
何よりも、その「運命」を受け入れている彼らが怖いと思いました。
そんなの絶対におかしい、と思う私がいました。
迷信でも根拠が無くても、信じたくなるキャシーの気持ちが痛かった。

物語の終わりを知ってから読むとまた違うんでしょうか。
試してみたいと思っています。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.151
(4pt)

ゆっくり感じる恐怖感

読みながらぞわぞわと恐怖感を感じました。

キャシーが過去を懐古する形で物語が進みます。
「介護人っていったいなんなの?」という疑問は
キャシーの言葉から少しずつ想像できます。
想像すればするほど、「怖い」です。
不勉強なので実際に知りませんでしたし、
前提条件からして私には理解できない世界です。

そういう特殊な環境下でも、ごく普通に生活し、考え、育ったキャシーたち。
読み進むにつれ、切なくて悲しくなります。
何よりも、その「運命」を受け入れている彼らが怖いと思いました。
そんなの絶対におかしい、と思う私がいました。
迷信でも根拠が無くても、信じたくなるキャシーの気持ちが痛かった。

物語の終わりを知ってから読むとまた違うんでしょうか。
試してみたいと思っています。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.150
(4pt)

すぐれた青春小説を読んだあとのような余韻が残った

’06年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第9位、「このミステリーがすごい!」海外編第10位にランクイン。

『日の名残り』という’89年発表の作品で、英国最大の文学賞であるブッカー賞に輝いた現代文学の巨匠、カズオ・イシグロの第六長編である。ミステリー作家というより、純文学畑の作家だ。

主人公は、キャシー・Hと紹介される31才の女性である。彼女は<提供者>と呼ばれる人々に対する介護をしながら、ヘーシャルムという田舎の寄宿舎で、同じ時間を共有した仲間たちとの過去を回想する。
彼らがなぜそんな場所にいたのかがこの小説のひとつの大きな謎である。その謎が明らかにされてゆく過程が、「週刊文春」や「このミス」など、多くのミステリーファンに支持されたのだろうが、決してロジカルな推理があるわけでもないし、アクロバティックな叙述トリックがあるわけでもない。ただ、淡々と語られていくキャシー・Hの一人称があるだけである。しかし、そこには静謐ではあるが謎をはらんだ展開のなか、種明かしが少しずつ織り込まれてゆき、そして物語は「奇怪」、「異形」ともいうべきその恐るべき全体像を読者の前に現してゆくのだ。

本書はカズオ・イシグロの手によらなければ、果たして、すぐれた美しい一人称青春文学として評価されただろうか。私は、哀しみに満ちた物語を読んだという感想と共に、ホラー小説を読んだあとのような余韻が残って仕方がなかった。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.149
(4pt)

すぐれた青春小説を読んだあとのような余韻が残った

’06年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第9位、「このミステリーがすごい!」海外編第10位にランクイン。

『日の名残り』という’89年発表の作品で、英国最大の文学賞であるブッカー賞に輝いた現代文学の巨匠、カズオ・イシグロの第六長編である。ミステリー作家というより、純文学畑の作家だ。

主人公は、キャシー・Hと紹介される31才の女性である。彼女は<提供者>と呼ばれる人々に対する介護をしながら、ヘーシャルムという田舎の寄宿舎で、同じ時間を共有した仲間たちとの過去を回想する。
彼らがなぜそんな場所にいたのかがこの小説のひとつの大きな謎である。その謎が明らかにされてゆく過程が、「週刊文春」や「このミス」など、多くのミステリーファンに支持されたのだろうが、決してロジカルな推理があるわけでもないし、アクロバティックな叙述トリックがあるわけでもない。ただ、淡々と語られていくキャシー・Hの一人称があるだけである。しかし、そこには静謐ではあるが謎をはらんだ展開のなか、種明かしが少しずつ織り込まれてゆき、そして物語は「奇怪」、「異形」ともいうべきその恐るべき全体像を読者の前に現してゆくのだ。

本書はカズオ・イシグロの手によらなければ、果たして、すぐれた美しい一人称青春文学として評価されただろうか。私は、哀しみに満ちた物語を読んだという感想と共に、ホラー小説を読んだあとのような余韻が残って仕方がなかった。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.148
(5pt)

幸福な思い出のもつ力

過酷な運命から逃げようとせず、受け入れながら生きる主人公たちの生き方が、
なぜか不自然には感じられません。
自分では動かしようのない、既成の制度や、階級のなかでとらわれて生きている私たち自身、
本当の意味で自由な存在ではないからかもしれません。

とはいえ、最後に全てを受け入れるように見えるキャシーの生き方が、
決して受動的な消極的なものではないところにこの小説のすごさがあります。
あきらめるのではなく、限りある生を、動かしがたい条件の下であっても、
彼らが丁寧に愛しみながら自己を賭けて生きるさまが描かれているからでしょうか。
 そこにこの静謐で穏やかな小説のもつ、凄みのようなものがあるように思えます。
 
 最後の場面は、何度読み返しても、苦しいほどの感動を覚えます。
希望がなければ生きられないと思いがちですが、あらゆる希望を奪われたとしても、
ひょっとしたら幸福な記憶だけでも人は自分を支えつづけることができるのではないか、と考えさせられました。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.147
(5pt)

幸福な思い出のもつ力

過酷な運命から逃げようとせず、受け入れながら生きる主人公たちの生き方が、
なぜか不自然には感じられません。
自分では動かしようのない、既成の制度や、階級のなかでとらわれて生きている私たち自身、
本当の意味で自由な存在ではないからかもしれません。

とはいえ、最後に全てを受け入れるように見えるキャシーの生き方が、
決して受動的な消極的なものではないところにこの小説のすごさがあります。
あきらめるのではなく、限りある生を、動かしがたい条件の下であっても、
彼らが丁寧に愛しみながら自己を賭けて生きるさまが描かれているからでしょうか。
 そこにこの静謐で穏やかな小説のもつ、凄みのようなものがあるように思えます。
 
 最後の場面は、何度読み返しても、苦しいほどの感動を覚えます。
希望がなければ生きられないと思いがちですが、あらゆる希望を奪われたとしても、
ひょっとしたら幸福な記憶だけでも人は自分を支えつづけることができるのではないか、と考えさせられました。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.146
(5pt)

絶望を受け入れること

設定が特殊ですが、この本に表現されているものはなぜか普遍的なものとして感じられました。
少年時代の思い出は大人になってその輝きが脆いものの上にあったと知ったときでも、それゆえにさらに輝かしく思えるものです。
思春期に夢中になっていたものや、悩んでいた人間関係を思い出し。何でこんなものに?とくすぐったくなる感じ。
現実を知っていたはずなのに、理解していなかったと気づく瞬間。
たとえば戦争や災害、病に直面したときの人間のある種のあっけらかんとした強さ。
彼らは我々の人生のある側面の象徴なのかもしれません。

死、生、倫理、こうしたテーマを宗教的色彩なく描くことは、死後に何も残らないことを知っている現代の我々にとっての生の価値を描くことなのでしょう。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.145
(5pt)

絶望を受け入れること

設定が特殊ですが、この本に表現されているものはなぜか普遍的なものとして感じられました。
少年時代の思い出は大人になってその輝きが脆いものの上にあったと知ったときでも、それゆえにさらに輝かしく思えるものです。
思春期に夢中になっていたものや、悩んでいた人間関係を思い出し。何でこんなものに?とくすぐったくなる感じ。
現実を知っていたはずなのに、理解していなかったと気づく瞬間。
たとえば戦争や災害、病に直面したときの人間のある種のあっけらかんとした強さ。
彼らは我々の人生のある側面の象徴なのかもしれません。

死、生、倫理、こうしたテーマを宗教的色彩なく描くことは、死後に何も残らないことを知っている現代の我々にとっての生の価値を描くことなのでしょう。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.144
(5pt)

生きていることへのまなざし

とても特異な道具立てで書かれている作品です。その特異さがある種の警告と受け止められるかもしれません。しかし、根底にあるのは生きることの切なさに対する作者の暖かい理解であると思います。きめ細かい愛情に満ちた良書。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.143
(5pt)

生きていることへのまなざし

とても特異な道具立てで書かれている作品です。その特異さがある種の警告と受け止められるかもしれません。しかし、根底にあるのは生きることの切なさに対する作者の暖かい理解であると思います。きめ細かい愛情に満ちた良書。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.142
(5pt)

静かで、圧倒的

お話の語り手は、キャシー・H。
31歳で、11年以上を「介護人」として勤めたという。
読者に語りかけるように彼女が示す言葉は、
穏やかで知性的、あたたかみがある。

彼女は静かに、閉鎖的で守られた場所で過ごした幼いころから
そこを出て介護人として過ごした日々を語り続ける。
親友たちとのエピソードは、彼女の成長のお話でもあり
友情や愛情、独善、嫉妬など親近感のあるいきいきした内容ですが、
すこしずつ彼女の住む世界と、私たちのいる世界が異なること、
そこにはらんだ不穏の影に気づかされます。

終始一貫して静かなトーンで進められるお話ですが
圧倒的な支配感がありました。
謎、人物たちのかかわり、文章の書き方、構成。
すべてにひきつけられました。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.141
(5pt)

静かで、圧倒的

お話の語り手は、キャシー・H。
31歳で、11年以上を「介護人」として勤めたという。
読者に語りかけるように彼女が示す言葉は、
穏やかで知性的、あたたかみがある。

彼女は静かに、閉鎖的で守られた場所で過ごした幼いころから
そこを出て介護人として過ごした日々を語り続ける。
親友たちとのエピソードは、彼女の成長のお話でもあり
友情や愛情、独善、嫉妬など親近感のあるいきいきした内容ですが、
すこしずつ彼女の住む世界と、私たちのいる世界が異なること、
そこにはらんだ不穏の影に気づかされます。

終始一貫して静かなトーンで進められるお話ですが
圧倒的な支配感がありました。
謎、人物たちのかかわり、文章の書き方、構成。
すべてにひきつけられました。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.140
(5pt)

漠然とした不安を先取りした内容。

キャシーという一人の女性。介護人、提供者といった言葉や、提供者となった友人たちを介護するキャシーの状況から、恐怖感を覚え、それが明らかになったときは戦慄が走った。
読み進むうち、クローンや臓器提供を実験的に行い、その結果生まれてきた者たちが疎まれ、プロジェクトは頓挫したところに、キャシーの現在があることが分かる。
彼女の疑問や仲間との違い(提供者でないこと)による苦悩があらわになる。

この小説は、クローン問題を物語という形で実験的に書き進めたものではないかと感じた。
ただ怖い怖いという小説とは異なり、派手さがなく、ゾクゾクするような知的興奮がページをめくるごとに加速され、最後まで読み進んでしまう。カズオ・イシグロの小説は中毒になる。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517