わたしを離さないで

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

わたしを離さないでの評価:

4.11/5点 レビュー 714件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.11pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1,119件 921〜940 47/56ページ
No.199
(4pt)

寮暮らしを思い出す

高校時代、寮暮らしをしていた。この作品を読むと、そのころのことを思い出す。
平凡な始まりだが、読み進めるごとにどんどん話に引き込まれていく。
国籍を感じさせない不思議な空気感が好きだ。

ちなみに、この作品にかぎらず、カズオ・イシグロの作品は原文で読むことをお勧めする。
彼が描く世界や人物は、和訳で読むと何故か印象が全く変わってしまう。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.198
(4pt)

不思議な雰囲気が流れる奥の深い作品

衝撃的な作品ではある。主人公であるKathが、子供時代をすごした寄宿学校(?)のHailshamを回想する形で物語が進む。Hailshamがどんなところであるのか、彼女と友達の関係など、非常に緻密に描写されているんだけれど、「なんだか変」なことが、少しずつ少しずつわかってくる。この「不思議感」がなんとも言えない感じ。carereやdonorという言葉はしょっぱなから出てくるから、なんとなく背景が読めてくるんだけど、それが本当にいろいろなエピソードを通して、じわじわとなぞ解けてくる・・・という感じで、そのtold, but not toldという感じが、Hailshamのstudentsと同じ心理状態にされられているような既知感を覚えさせるような感じで・・・この辺り、著者の文章力なんだろうなぁと思わせられる。
物語は前半はゆっくりとした、むしろじれったい感じですすみ、後半に従ってペースがあがってきて、終盤では衝撃的な事実が待ち受けている。
暗い話で、テーマも重く、いつかこんなことがまかり通る世の中にならないともいえないってとこが、空恐ろしいかも・・・。
英語自体はそれほど難しくなく、美しいイギリス英語で、理解はし易かった。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.197
(4pt)

不思議な雰囲気が流れる奥の深い作品

衝撃的な作品ではある。主人公であるKathが、子供時代をすごした寄宿学校(?)のHailshamを回想する形で物語が進む。Hailshamがどんなところであるのか、彼女と友達の関係など、非常に緻密に描写されているんだけれど、「なんだか変」なことが、少しずつ少しずつわかってくる。この「不思議感」がなんとも言えない感じ。carereやdonorという言葉はしょっぱなから出てくるから、なんとなく背景が読めてくるんだけど、それが本当にいろいろなエピソードを通して、じわじわとなぞ解けてくる・・・という感じで、そのtold, but not toldという感じが、Hailshamのstudentsと同じ心理状態にされられているような既知感を覚えさせるような感じで・・・この辺り、著者の文章力なんだろうなぁと思わせられる。
物語は前半はゆっくりとした、むしろじれったい感じですすみ、後半に従ってペースがあがってきて、終盤では衝撃的な事実が待ち受けている。
暗い話で、テーマも重く、いつかこんなことがまかり通る世の中にならないともいえないってとこが、空恐ろしいかも・・・。
英語自体はそれほど難しくなく、美しいイギリス英語で、理解はし易かった。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.196
(4pt)

廃屋のクモの巣を振り払っていくような本

世界設定が廃屋のクモの巣を払うみたいに、少しずつあきらかになっていく。腕にからんだり、なかなか払われなくてもどかしいが、先が気になる。その世界観に合わせるように、主人公は周囲の人間の気持ちを察知したり、自分の気持ちを検討したり、人間らしいまどろっこしさを持っていて、それが文章に詳細に表現されている。後半にあきらかになる事実と人間らしさがなんともいえない気持ちにさせる。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.195
(4pt)

廃屋のクモの巣を振り払っていくような本

世界設定が廃屋のクモの巣を払うみたいに、少しずつあきらかになっていく。腕にからんだり、なかなか払われなくてもどかしいが、先が気になる。その世界観に合わせるように、主人公は周囲の人間の気持ちを察知したり、自分の気持ちを検討したり、人間らしいまどろっこしさを持っていて、それが文章に詳細に表現されている。後半にあきらかになる事実と人間らしさがなんともいえない気持ちにさせる。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.194
(4pt)

与えられた使命

どんな本?何の話?
前知識なく挑んだら、びっくりした。

ヘールシャムの子供達と同じように、
物語を読み出した時から、薄々と気付いていた。
彼らがもつ「使命」のこと、なんとなく予感はしていた。
その予感を少しずつ認識していく、既視感。

いきなり事実をつきつけられるのではなく、
薄い色から少しずつ重ねていくように、
気がつけば1枚の現実ができあがっている感じ。

生まれた時から「使命」が決定している人たち。
どんなふうに、受け入れていったんだろう。
小さな頃から、その意味も理解できない頃から、
生活の至るところから染みこんでいった、
自分たちが生まれてきた理由。

来るべき「提供」の日を、待つだけの人生なのかな?
でも、そんなふうには思えなかった。
運命に抵抗することはなくても、生きている証を探して、
もがいているように思えた。

残酷な運命を題材にしても、その静かで平坦な語り口が
この物語の独特の雰囲気を印象づけていると思う。
凄味になっていると思う。
こうも人の心をかきみだすとは。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.193
(5pt)

衝撃的で繊細

Heilshamという外界から閉ざされた学校で、他の生徒たちとともに注意深く育てられたKathy、Tommy、Ruth。
彼ら三人の、友情と愛情にまつわる物語です。

衝撃的で、奇妙で、静かで、繊細な物語です。
彼らは根本的な部分で我々とは違う感覚を持っているという設定ですが、作者の細やかな描写は、ちょっとしたしぐさや動作で彼らの心の動きを丁寧に伝えてくれます。

前半は主人公Kathyが回想する、穏やかな学校での日々。
どこにでもありそうな青春物語のようで、そこに含まれる普通でない雰囲気。
やがて彼らが学校を終え、社会に出る段になって、我々は彼らを待ち受ける衝撃的な事実を知らされます。

しかし語り手である主人公Kathyはじめ、彼らは他人が決めた運命に対し、非常に冷静です。
この点が、読んでいて常に不思議な感じです。

ネタばれになるのでこれ以上は書きませんが、読み終わって、命の価値について考えざるを得ない感じです。

カズオ・イシグロの他作品に比べ、英語は非常に読みやすいです。
しかし、平易な英語で、心の動きを丹念に描写する手法はすごいの一言に尽きます。
読める人はぜひ原書でどうぞ。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.192
(4pt)

与えられた使命

どんな本?何の話?
前知識なく挑んだら、びっくりした。

ヘールシャムの子供達と同じように、
物語を読み出した時から、薄々と気付いていた。
彼らがもつ「使命」のこと、なんとなく予感はしていた。
その予感を少しずつ認識していく、既視感。

いきなり事実をつきつけられるのではなく、
薄い色から少しずつ重ねていくように、
気がつけば1枚の現実ができあがっている感じ。

生まれた時から「使命」が決定している人たち。
どんなふうに、受け入れていったんだろう。
小さな頃から、その意味も理解できない頃から、
生活の至るところから染みこんでいった、
自分たちが生まれてきた理由。

来るべき「提供」の日を、待つだけの人生なのかな?
でも、そんなふうには思えなかった。
運命に抵抗することはなくても、生きている証を探して、
もがいているように思えた。

残酷な運命を題材にしても、その静かで平坦な語り口が
この物語の独特の雰囲気を印象づけていると思う。
凄味になっていると思う。
こうも人の心をかきみだすとは。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.191
(5pt)

衝撃的で繊細

Heilshamという外界から閉ざされた学校で、他の生徒たちとともに注意深く育てられたKathy、Tommy、Ruth。
彼ら三人の、友情と愛情にまつわる物語です。

衝撃的で、奇妙で、静かで、繊細な物語です。
彼らは根本的な部分で我々とは違う感覚を持っているという設定ですが、作者の細やかな描写は、ちょっとしたしぐさや動作で彼らの心の動きを丁寧に伝えてくれます。

前半は主人公Kathyが回想する、穏やかな学校での日々。
どこにでもありそうな青春物語のようで、そこに含まれる普通でない雰囲気。
やがて彼らが学校を終え、社会に出る段になって、我々は彼らを待ち受ける衝撃的な事実を知らされます。

しかし語り手である主人公Kathyはじめ、彼らは他人が決めた運命に対し、非常に冷静です。
この点が、読んでいて常に不思議な感じです。

ネタばれになるのでこれ以上は書きませんが、読み終わって、命の価値について考えざるを得ない感じです。

カズオ・イシグロの他作品に比べ、英語は非常に読みやすいです。
しかし、平易な英語で、心の動きを丹念に描写する手法はすごいの一言に尽きます。
読める人はぜひ原書でどうぞ。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.190
(5pt)

生命倫理

ネタバレ必須!読んでない人は読まないで!


この小説内の「提供者」というのは、健常者に臓器を提供するためだけに生まれてきたクローン人間たちのことである。つまり、我々「本当」の人間のために臓器提供を目的として生まれてきたクローンの人々の物語。この小説が恐ろしいのは、設定はSF的内容であるにもかかわらず、今我々が生きる現実は、それ自体を凌駕しようとしていることである。カズオ・イシグロは、ディテイルを書き込まず、淡々とした文体を駆使し、読者の想像力にある程度任せることで、その恐怖を増幅させる。たとえば セックスしても子供を妊娠しないという「提供者」の設定のように所々に覗く、「提供者」の不可解さが怖い。「本当」の人間が「提供者」を操作しているんじゃないか?と…。

「提供者」たちの置かれる状況は、言ってみれば映画「ブレードランナー」のレプリカントたちと同じ状況なのだけど、こちらの「提供者」たちは、「反乱」を起こそうとはしない。むしろ、その境遇を受け入れている。にもかかわらず生きる証を探そうともがく「提供者」たちは、我々となにも変わらない心を持っている。ゆえに切ない。

中身はまったく違うけど、村上龍の「半島を出よ」と同じ、今、読まなければいけない小説。現在読むことによってその衝撃を味わうことが出来ると思う。土屋政雄氏の翻訳は、非常にこなれていて翻訳調の文体と言う感じがない。とにかく考えさせられる小説。この小説が突きつける問題は非常に重い。必読。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.189
(5pt)

生命倫理

ネタバレ必須!読んでない人は読まないで!


この小説内の「提供者」というのは、健常者に臓器を提供するためだけに生まれてきたクローン人間たちのことである。つまり、我々「本当」の人間のために臓器提供を目的として生まれてきたクローンの人々の物語。この小説が恐ろしいのは、設定はSF的内容であるにもかかわらず、今我々が生きる現実は、それ自体を凌駕しようとしていることである。カズオ・イシグロは、ディテイルを書き込まず、淡々とした文体を駆使し、読者の想像力にある程度任せることで、その恐怖を増幅させる。たとえば セックスしても子供を妊娠しないという「提供者」の設定のように所々に覗く、「提供者」の不可解さが怖い。「本当」の人間が「提供者」を操作しているんじゃないか?と…。

「提供者」たちの置かれる状況は、言ってみれば映画「ブレードランナー」のレプリカントたちと同じ状況なのだけど、こちらの「提供者」たちは、「反乱」を起こそうとはしない。むしろ、その境遇を受け入れている。にもかかわらず生きる証を探そうともがく「提供者」たちは、我々となにも変わらない心を持っている。ゆえに切ない。

中身はまったく違うけど、村上龍の「半島を出よ」と同じ、今、読まなければいけない小説。現在読むことによってその衝撃を味わうことが出来ると思う。土屋政雄氏の翻訳は、非常にこなれていて翻訳調の文体と言う感じがない。とにかく考えさせられる小説。この小説が突きつける問題は非常に重い。必読。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.188
(5pt)

悲しみがしみてきた

悲しいお話だった。

イギリスの施設ヘールシャムで育ったキャシーが主人公。
現在キャシーは31歳で「介護人」として働いている。

物語はヘールシャムでの日々と、同じ施設で育った仲間トミーとルースを中心に語られる。
特殊な世界なのだけど、その特殊さがこの本のポイントかというとそうではない。
特殊な世界を描きながら、心を動かされるのはキャシーたちが過酷な運命に抗うことなく、嘆くことなく、ただ淡々と受け入れていくその姿勢だ。

キャシーの静かで抑制の効いた語りは、決して感情的になることなく進められる。

ああっその特殊な世界がどんなふうに特殊なのか書きたい!
書きたいけどこれから読む人に申し訳ないから書かないっ。

強いられた運命をただあるがままに受け入れるしかない彼らの悲しさ。
運命は動かしがたいのだけれど、夢を見ずにはいられない、探さずにはいられない。
そこには喜びや怒り、悲しみがたしかにあって、静かに進められるお話の中で、淡々と語られるからこそ、それがとてもとても悲しいのだ。

号泣するようなタイプの本ではないけれど、とても悲しいお話。
でも、きれいに心に残るものがある。
読み終わってしばらくはボーっとして、お話が胸にしみ込んでくるのを感じていた。

とても悲しいお話、でもぜひぜひ一読を。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.187
(5pt)

悲しみがしみてきた

悲しいお話だった。

イギリスの施設ヘールシャムで育ったキャシーが主人公。
現在キャシーは31歳で「介護人」として働いている。

物語はヘールシャムでの日々と、同じ施設で育った仲間トミーとルースを中心に語られる。
特殊な世界なのだけど、その特殊さがこの本のポイントかというとそうではない。
特殊な世界を描きながら、心を動かされるのはキャシーたちが過酷な運命に抗うことなく、嘆くことなく、ただ淡々と受け入れていくその姿勢だ。

キャシーの静かで抑制の効いた語りは、決して感情的になることなく進められる。

ああっその特殊な世界がどんなふうに特殊なのか書きたい!
書きたいけどこれから読む人に申し訳ないから書かないっ。

強いられた運命をただあるがままに受け入れるしかない彼らの悲しさ。
運命は動かしがたいのだけれど、夢を見ずにはいられない、探さずにはいられない。
そこには喜びや怒り、悲しみがたしかにあって、静かに進められるお話の中で、淡々と語られるからこそ、それがとてもとても悲しいのだ。

号泣するようなタイプの本ではないけれど、とても悲しいお話。
でも、きれいに心に残るものがある。
読み終わってしばらくはボーっとして、お話が胸にしみ込んでくるのを感じていた。

とても悲しいお話、でもぜひぜひ一読を。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.186
(4pt)

物語の終わりに余韻が残る

カズオ・イシグロ著の「私を離さないで」は、物語の根底に「生命」を取り巻く問題を据えている。ところが、後半に入るまで、そのテーマに気づかされずに読まされてしまう。

主人公が子ども(生徒)であり、子どもの視点で語られる思い出話のため、懐かしさや郷愁を感じているうちに、すっかり騙されてしまうのだろう。

主人公のキャシーは、「ヘールシャム」という場所にある施設にいる生徒。
友人たちのこと、先生のこと、施設でのルールなどなどを語っていく。
「何か特別なことが隠されている」ということは滲ませるが、「謎」は、なかなか明らかにされない。正直なところ、私自身は「少し前置きが長いな」とさえ感じてしまった。

しかし、ある章が始まると、意外なほどあっさりと「謎」が明らかにされる。
目の前に掛かっていたベールが上がり、登場人物たちの世界がはっきりするのだが、そこが結末ではない。登場人物たちも知らないもう1つの「謎」が、最後の最後まで隠されているからだ。

すべてが明らかにされたとき、読者は、改めて、「生命とは?」「生きることとは?」「運命とは?」など、重いテーマと向き合わなくてはならない。
読者自身が、人生の過程で少しは考えたことがあるかもしれない哲学的なテーマだ。

物語は終わっても、主人公のキャシーの「その後」を想像させ、読者に考えさせる。
その余韻の残し方は、かなり渋い。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.185
(4pt)

物語の終わりに余韻が残る

カズオ・イシグロ著の「私を離さないで」は、物語の根底に「生命」を取り巻く問題を据えている。ところが、後半に入るまで、そのテーマに気づかされずに読まされてしまう。

主人公が子ども(生徒)であり、子どもの視点で語られる思い出話のため、懐かしさや郷愁を感じているうちに、すっかり騙されてしまうのだろう。

主人公のキャシーは、「ヘールシャム」という場所にある施設にいる生徒。
友人たちのこと、先生のこと、施設でのルールなどなどを語っていく。
「何か特別なことが隠されている」ということは滲ませるが、「謎」は、なかなか明らかにされない。正直なところ、私自身は「少し前置きが長いな」とさえ感じてしまった。

しかし、ある章が始まると、意外なほどあっさりと「謎」が明らかにされる。
目の前に掛かっていたベールが上がり、登場人物たちの世界がはっきりするのだが、そこが結末ではない。登場人物たちも知らないもう1つの「謎」が、最後の最後まで隠されているからだ。

すべてが明らかにされたとき、読者は、改めて、「生命とは?」「生きることとは?」「運命とは?」など、重いテーマと向き合わなくてはならない。
読者自身が、人生の過程で少しは考えたことがあるかもしれない哲学的なテーマだ。

物語は終わっても、主人公のキャシーの「その後」を想像させ、読者に考えさせる。
その余韻の残し方は、かなり渋い。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.184
(5pt)

ひたすらに抑制された文章、読み手のみが感情の起伏を許される

淡々と、ただひたすらに淡々とエピソードが積み重ねられていく。実際、ただそれだけの構成といってもいい。にもかかわらず、これほどまでに読み手の感情を揺さぶる物語は、ちょっと他に思いつかない。ここまで書き手の抑制が感じられる文章も珍しい。だけど、たぶん本当に凄い文章って、こんなふうだとも思う。読み終わった時、しばらく言葉もなかった。それほどまでの静かな衝撃!!! 文句なしに星5つです!!!
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.183
(5pt)

ひたすらに抑制された文章、読み手のみが感情の起伏を許される

淡々と、ただひたすらに淡々とエピソードが積み重ねられていく。実際、ただそれだけの構成といってもいい。にもかかわらず、これほどまでに読み手の感情を揺さぶる物語は、ちょっと他に思いつかない。ここまで書き手の抑制が感じられる文章も珍しい。だけど、たぶん本当に凄い文章って、こんなふうだとも思う。読み終わった時、しばらく言葉もなかった。それほどまでの静かな衝撃!!! 文句なしに星5つです!!!
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.182
(5pt)

文学のよろこび

この本の前に日本のかなり有名なベストセラー作家のものを読んでました。が、<わたしを離さないで>を読み始めたトタン(トタンですよ)あまりの違いにグラグラしてしまった。圧倒的な創造、構成、描写。 ヘールシャムそして施設を取り巻く風景が<よみがえった>感を抱いてしまった。 SFちっくな設定はまったく気にならないどころか何故か当たり前のように頭にはいってくるから不思議だ。 読み始めてから閉じることができず終盤を前に致し方なく倒れるように寝てしまい翌日通勤の電車で読み終えた。落涙しそうになったが懸命にこらえた。胸の中央に集まってくる感情、感動。 素晴らしい翻訳をされた翻訳者に感謝。 久しぶりに文学の喜びを享受した。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.181
(5pt)

文学のよろこび

この本の前に日本のかなり有名なベストセラー作家のものを読んでました。が、<わたしを離さないで>を読み始めたトタン(トタンですよ)あまりの違いにグラグラしてしまった。圧倒的な創造、構成、描写。 ヘールシャムそして施設を取り巻く風景が<よみがえった>感を抱いてしまった。 SFちっくな設定はまったく気にならないどころか何故か当たり前のように頭にはいってくるから不思議だ。 読み始めてから閉じることができず終盤を前に致し方なく倒れるように寝てしまい翌日通勤の電車で読み終えた。落涙しそうになったが懸命にこらえた。胸の中央に集まってくる感情、感動。 素晴らしい翻訳をされた翻訳者に感謝。 久しぶりに文学の喜びを享受した。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.180
(5pt)

完全な虚構のなかのリアリティ

通常小説とはフィクションとは言うものの、その一つ一つの部分はリアルに基づいて構成される。
登場人物の職業(ステータス)もその一つだ。たとえば作家やフリーター、学生など現実に存在する職種、かつ作者自らの経験や
取材に基づいているため、そこにはかなりのリアリティがあり、読者は場面を思い浮かべ、登場人物に感情移入しやすくなる。
しかしこのフィクションはそのような類の読者の共感を拒んでいる。
というのも、「介護人」という職業は現実には存在しないからだ。
では「介護人」とは何か?

この物語は言ってみれば簡単だ。
臓器提供のために作られたクローン人間が、自分たちなりに己の運命を考え、
それを受け入れながら我々と変わらない青春を謳歌していた。という話。
そして介護人とは、どうやら自分より先に提供者になった者の世話をするという仕事のようだ。
もちろん存在しない介護人経験者に取材するわけにもいかず、このような完全なるフィクションが
一人の人間の頭の中で生まれたということは、まさに奇跡としか言いようがないだろう。

いきなり「クローン人間」など出てきて、しかも出版社も早川書房だから一体どこのSFだ?
と驚かれたかもしれないが、英国きっての作家だけあってテーマは非常に「文学的」になっている。
この小説のキーワードは「運命」と「奉仕」だと思う。
どうせ抗っても抗いきれずどうしようもない運命なのだから、受け入れた上で他人のために生きようじゃないか、
という現代の都会人に欠けたものをこのようなカタチで提示しているようでもある。
そういう意味で、共感しにくいはずの登場人物のはずがごく自然に共感でき、繰り広げられるリアリティに圧倒される。


カズオ・イシグロ独特の静かで抑制の効いた文体でどこかミステリアスな雰囲気をかもしながら、
物語は現代から過去の出来事を想起し、自然に現代に戻りまた昔を思い出すという、これも作者が得意とする構成により進んでいく。
文庫版には訳者あとがきも付いており、いかに丁寧に訳し上げられたかが分かる。

こころの表面的な共感や感動ではなくて、たましいの奥深いところを掴まれて震わされる傑作です。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517