わたしを離さないで

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わたしを離さないでの評価:

4.11/5点 レビュー 714件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.11pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1,119件 881〜900 45/56ページ
No.239
(5pt)

透明感と静寂と

読みはじめの印象はなにやら大友克洋『アキラ』のラボの子供たちのような.特殊な施設であることは何となくわかるのですが孤児院?の様ではないし、ミステリアスな施設に集められ育てられている子供たちの物語り。孤児院ではないことはすぐにわかります。彼らについては乳幼児期、まして肉親について全く語られないし語らないのです。これはいったいどういうこと?子供たちの中で、成人したキャシーが一人語り始めます。ミステリアスなんだけど、ミステリーではない、SF的ではあるんですがSFではない。「使命」とは?「提供」とは?「介護人」とは?
短く特殊な人生を刈り取られていく子供たちの透明感あふれる切ない青春と、やがて彼らに明かされるその事実。
かれらは人なのか、一体何者なのか。
読後のカタルシスには大切な人を失った悲しみと不思議な透明感と景色がいつまでも心に残ります。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.238
(4pt)

青春小説ですね

青春小説ですね。光景がまざまざと感じられるように映像的な書き方なので
美しいイギリス寄宿学校の雰囲気を楽しめると思います。
SFや社会派小説と思って読むと冗長で読み切れないと思います。

基本的にライトな感じで、サクサクと読み進められますが、
主人公キャシーが心のままに思いだして語るという形式のためか、
時間が前後する場合が多いのが、少し分かりにくく感じました。

作者のインタビューがwebで見られたので読んでみたのですが、
なるほどと思う感じでした。人は意外と運命を選べませんし、
どんな環境でも、良くも悪くも人間的に生きているということでしょうか。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.237
(4pt)

青春小説ですね

青春小説ですね。光景がまざまざと感じられるように映像的な書き方なので
美しいイギリス寄宿学校の雰囲気を楽しめると思います。
SFや社会派小説と思って読むと冗長で読み切れないと思います。

基本的にライトな感じで、サクサクと読み進められますが、
主人公キャシーが心のままに思いだして語るという形式のためか、
時間が前後する場合が多いのが、少し分かりにくく感じました。

作者のインタビューがwebで見られたので読んでみたのですが、
なるほどと思う感じでした。人は意外と運命を選べませんし、
どんな環境でも、良くも悪くも人間的に生きているということでしょうか。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.236
(4pt)

自分は何者?を深く問う

私は初めてカズオ・イシグロの作品に触れました。翻訳ではありますがやさしい言葉づかいと一人称での語りは、読者を前にして静かに過去を初めて語る人のもつ真摯さを感じさせて新鮮です。私には全編を流れる白い背景と無機質な情景が印象になって残りました。その中に登場する人たちの姿形が現実味を帯びるのは卓抜な表現力のなせる技でしょうか。イシグロにとって読者は彼自身なのかもしれません。
 臓器移植のために生まれ育てられる子供の心身の成長を学校という世界と学校(施設)を出てからの生活の流れの中で描かれています。そのエピソードは友人間の嫉妬だったり憧れだったり強い性の欲求だったりするのですがその背景には臓器提供者という定められた運命を密かに感じているという漠とした足かせが横たわっています。著者は最後まで臓器という用語を使いません。提供者とだけ それが読者の私には涙がでるほどやさしく感じられました。提供するものとその介護にあたるものとの間の埋まらぬ溝も最終章の重要なテーマです。この作品はおそらく「私は私」というはっきりした気持ちを強くもつ人よりも「私はだれだろう。私はどこからきてどこへ向かうのだろう」と自問自答する読者に多くの共感を得ることができると思います。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.235
(4pt)

自分は何者?を深く問う

私は初めてカズオ・イシグロの作品に触れました。翻訳ではありますがやさしい言葉づかいと一人称での語りは、読者を前にして静かに過去を初めて語る人のもつ真摯さを感じさせて新鮮です。私には全編を流れる白い背景と無機質な情景が印象になって残りました。その中に登場する人たちの姿形が現実味を帯びるのは卓抜な表現力のなせる技でしょうか。イシグロにとって読者は彼自身なのかもしれません。
 臓器移植のために生まれ育てられる子供の心身の成長を学校という世界と学校(施設)を出てからの生活の流れの中で描かれています。そのエピソードは友人間の嫉妬だったり憧れだったり強い性の欲求だったりするのですがその背景には臓器提供者という定められた運命を密かに感じているという漠とした足かせが横たわっています。著者は最後まで臓器という用語を使いません。提供者とだけ それが読者の私には涙がでるほどやさしく感じられました。提供するものとその介護にあたるものとの間の埋まらぬ溝も最終章の重要なテーマです。この作品はおそらく「私は私」というはっきりした気持ちを強くもつ人よりも「私はだれだろう。私はどこからきてどこへ向かうのだろう」と自問自答する読者に多くの共感を得ることができると思います。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.234
(4pt)

短い通勤時間の読書には不向き?


読みだしころは、Kathyの淡々とした語り口と、Hailshamでの出来事に、どんな物語性があるのかよくつかめず、なかなか入りこめませんでした。
短い通勤時間に読んでいたんですが、興味が持てなくなり、会社に置きっぱなしにしたくらい(笑)
けど、しばらくしてちょっと長い待ち時間のトモに読みだしたら、一気に中盤まで話が進み、そこからはドラマに引き込まれ、気づいたら予想が全くできない展開に辿り、最後はとってもショックでした。
予備知識がなかったので、この本ってラブストーリー?スリラー?なんて思いながら読んでいましたが、まさかSFでもあったとは。。。

個人的には、ちょこちょこ通勤時間などに読むより、わーーっと一気に読んだほうが、もやもやせず、一気に楽しめるタイプの本だと思います。
読み終わると、Hailshamでの章における、何かよくわからないなー、と思っていた箇所こそストーリーの重みを感じ、また、Kathyのどこか醒めた、第三者的な表現が切なくなってしまい、読み返してしまいました。





わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.233
(4pt)

短い通勤時間の読書には不向き?


読みだしころは、Kathyの淡々とした語り口と、Hailshamでの出来事に、どんな物語性があるのかよくつかめず、なかなか入りこめませんでした。
短い通勤時間に読んでいたんですが、興味が持てなくなり、会社に置きっぱなしにしたくらい(笑)
けど、しばらくしてちょっと長い待ち時間のトモに読みだしたら、一気に中盤まで話が進み、そこからはドラマに引き込まれ、気づいたら予想が全くできない展開に辿り、最後はとってもショックでした。
予備知識がなかったので、この本ってラブストーリー?スリラー?なんて思いながら読んでいましたが、まさかSFでもあったとは。。。

個人的には、ちょこちょこ通勤時間などに読むより、わーーっと一気に読んだほうが、もやもやせず、一気に楽しめるタイプの本だと思います。
読み終わると、Hailshamでの章における、何かよくわからないなー、と思っていた箇所こそストーリーの重みを感じ、また、Kathyのどこか醒めた、第三者的な表現が切なくなってしまい、読み返してしまいました。





わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.232
(5pt)

続けて2回読んだほど、素晴らしい。

私は何の予備知識も無く本書を手に取ったので、初めのうちは英国の孤児院を舞台にした話かと思っていたが、
読み進めるうちに段々と普通でないことに気付き、やがて子供達の驚くべき運命と様々な謎が明らかにされていく。
どこまでネタばれして良いのか悩んでしまうので、本書の素晴らしさを伝えるのは非常に難しい。
本書のテーマについては、大野和基氏のホームページの中のイシグロ氏へのインタビューにおいてかなり詳しく述べられている。
そこでも、本書はネタばれもからんでしまうので書評を書くのが難しいだろう、という様な事が著者自身によって述べられている。
その一方で、イシグロ氏は、「この小説は最初から読者が結末を知っているかどうかは重要ではない」とも語っている。
私は本書を続けて2回読んでしまったのだが、2回目の方がより深い感動を味わう事ができたので、確かに著者の言うとおりかもしれない。(一冊の本を続けて2度読むなんて事は今までなかった!)
本書の題名にもなっている「わたしを離さないで」という曲に合わせて少女時代の主人公が踊り、マダムが涙をうかべて見ている場面は非常に心を揺さぶられる。また、その時主人公とマダムがそれぞれどう思っていたのか、読者によって様々に解釈されるであろうという意味でも非常に奥の深い場面だと思う。
ちなみに「わたしを離さないで」という曲もジュディ・ブリッジウォーターという歌手も私は知らなかったのだが、ネットで調べてみたところ、ちょっとした驚きがあった事を一応付け加えておく。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.231
(5pt)

続けて2回読んだほど、素晴らしい。

私は何の予備知識も無く本書を手に取ったので、初めのうちは英国の孤児院を舞台にした話かと思っていたが、
読み進めるうちに段々と普通でないことに気付き、やがて子供達の驚くべき運命と様々な謎が明らかにされていく。
どこまでネタばれして良いのか悩んでしまうので、本書の素晴らしさを伝えるのは非常に難しい。
本書のテーマについては、大野和基氏のホームページの中のイシグロ氏へのインタビューにおいてかなり詳しく述べられている。
そこでも、本書はネタばれもからんでしまうので書評を書くのが難しいだろう、という様な事が著者自身によって述べられている。
その一方で、イシグロ氏は、「この小説は最初から読者が結末を知っているかどうかは重要ではない」とも語っている。
私は本書を続けて2回読んでしまったのだが、2回目の方がより深い感動を味わう事ができたので、確かに著者の言うとおりかもしれない。(一冊の本を続けて2度読むなんて事は今までなかった!)
本書の題名にもなっている「わたしを離さないで」という曲に合わせて少女時代の主人公が踊り、マダムが涙をうかべて見ている場面は非常に心を揺さぶられる。また、その時主人公とマダムがそれぞれどう思っていたのか、読者によって様々に解釈されるであろうという意味でも非常に奥の深い場面だと思う。
ちなみに「わたしを離さないで」という曲もジュディ・ブリッジウォーターという歌手も私は知らなかったのだが、ネットで調べてみたところ、ちょっとした驚きがあった事を一応付け加えておく。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.230
(4pt)

よい作品だけど、最高傑作とは言いがたい

本の帯に柴田元幸氏が現時点で最高傑作と書かれていたのを見て、期待して読んだが、自分はそうは感じなかった。正直言って、「日の名残り」を超えてないし、「わたしたちが孤児だったころ」の方がよい作品に思えます。
ヤングアダルトに読ませたい成人図書、アレックス賞も受賞したと帯に書かれているのですが、なんかずれているように思えます。
所詮ありえないクローンの若者達に感情移入して、自分達がいかに自由で恵まれているとは思い込めない。
作品に主役のキャシーがルースという、わがままで自分勝手な女性といつまでも友人関係を続けているのも疑問です。散々振り回されているのに、どうしてもっと早い段階で距離を置かない?それには相当の理由があってもよさそうだと思ったのだが・・・。
マダムや展示館やその他の保護官の度重なる不可解な出来事が興味をそそられるが、
その割にはオチが平凡すぎた。
それと、彼らの生い立ちについてが疑問を残したまま。
もし途中に「親」を捜しに行くエピソードがなかったら、気にならなかったけど、
彼らはどうやって選ばれてクローンになったのか、ここは結構重要ではないかな?


わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.229
(4pt)

よい作品だけど、最高傑作とは言いがたい

本の帯に柴田元幸氏が現時点で最高傑作と書かれていたのを見て、期待して読んだが、自分はそうは感じなかった。正直言って、「日の名残り」を超えてないし、「わたしたちが孤児だったころ」の方がよい作品に思えます。
ヤングアダルトに読ませたい成人図書、アレックス賞も受賞したと帯に書かれているのですが、なんかずれているように思えます。
所詮ありえないクローンの若者達に感情移入して、自分達がいかに自由で恵まれているとは思い込めない。
作品に主役のキャシーがルースという、わがままで自分勝手な女性といつまでも友人関係を続けているのも疑問です。散々振り回されているのに、どうしてもっと早い段階で距離を置かない?それには相当の理由があってもよさそうだと思ったのだが・・・。
マダムや展示館やその他の保護官の度重なる不可解な出来事が興味をそそられるが、
その割にはオチが平凡すぎた。
それと、彼らの生い立ちについてが疑問を残したまま。
もし途中に「親」を捜しに行くエピソードがなかったら、気にならなかったけど、
彼らはどうやって選ばれてクローンになったのか、ここは結構重要ではないかな?


わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.228
(5pt)

現代のFrankenstein

Kazuo Ishiguro はスタイルやテーマを一作ごとに変化させ、一か所に自分のスタイルを決めこんでしまうことがないが、じんわりと心に響くことは共通である。この作品はMary ShelleyのFrankensteinの流れを継ぐクローン人間の話である。心を持ったクローン人間たちが、自分たちの知らないところで進んでいる科学の流れに押し流されながら、抵抗もできずに運命に従って行く過程が描かれている。生産されてから、臓器提供で完結する一生のなかでの生活が、寄宿舎での生活、友情、自分の出所や将来への疑問、運命を知っていながらも残る生への渇望そして従順などとして、描かれている。人間の延命のための必要悪として、どうしようもない悲しみを背負ったクローン達の生活が抑えられた表現,常に静かな雰囲気の中で進むので、それだけ恐怖がじわっと感じられると共に、人間はどこまで科学を推し進めることが許されるのかとも考えさせられてしまう作品である。ほんの一部の人間たちがクローンの状況に心を痛め、改善努力をしているのがでてくることは慰めであるが、彼らとても科学の発達の勢いに,なすすべをなくしていく。クローンがもう現実のことであるから、単なるSFであったFrankenstein よりも恐怖が募るとともに、現代の我られに、問題提起をしている作品である。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.227
(5pt)

現代のFrankenstein

Kazuo Ishiguro はスタイルやテーマを一作ごとに変化させ、一か所に自分のスタイルを決めこんでしまうことがないが、じんわりと心に響くことは共通である。この作品はMary ShelleyのFrankensteinの流れを継ぐクローン人間の話である。心を持ったクローン人間たちが、自分たちの知らないところで進んでいる科学の流れに押し流されながら、抵抗もできずに運命に従って行く過程が描かれている。生産されてから、臓器提供で完結する一生のなかでの生活が、寄宿舎での生活、友情、自分の出所や将来への疑問、運命を知っていながらも残る生への渇望そして従順などとして、描かれている。人間の延命のための必要悪として、どうしようもない悲しみを背負ったクローン達の生活が抑えられた表現,常に静かな雰囲気の中で進むので、それだけ恐怖がじわっと感じられると共に、人間はどこまで科学を推し進めることが許されるのかとも考えさせられてしまう作品である。ほんの一部の人間たちがクローンの状況に心を痛め、改善努力をしているのがでてくることは慰めであるが、彼らとても科学の発達の勢いに,なすすべをなくしていく。クローンがもう現実のことであるから、単なるSFであったFrankenstein よりも恐怖が募るとともに、現代の我られに、問題提起をしている作品である。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.226
(5pt)

今でも本棚においてある本の一つ

本は読んだら大抵処分してしまう(欲しくなったらまた買えばいい)性分ですが、
初版で購入して以来、この本は手放せない魅力があります。
「リアリティが」とか「倫理感」とかいうコメントもありますが、
私たち通常人のメタファーと読む方が自然で意味を感じると思います。

著者自身のインタビューでも
「人の一生は私たちが思っているよりずっと短く、
限られた短い時間の中で愛や友情について学ばなければならない。
いつ終わるかも知れない時間の中でいかに経験するか。
このテーマは、私の小説の根幹に一貫して流れています。」
と答えていますし。

もし、10年後に、1年後に、もしくは明日人生がおしまいになるとしたら、
私は何を考え、何をするんだろう?
私にとって、これ以上のリアリティを感じセる小説は無いくらいです。

絶対おすすめ。☆5つ。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.225
(5pt)

今でも本棚においてある本の一つ

本は読んだら大抵処分してしまう(欲しくなったらまた買えばいい)性分ですが、
初版で購入して以来、この本は手放せない魅力があります。
「リアリティが」とか「倫理感」とかいうコメントもありますが、
私たち通常人のメタファーと読む方が自然で意味を感じると思います。

著者自身のインタビューでも
「人の一生は私たちが思っているよりずっと短く、
限られた短い時間の中で愛や友情について学ばなければならない。
いつ終わるかも知れない時間の中でいかに経験するか。
このテーマは、私の小説の根幹に一貫して流れています。」
と答えていますし。

もし、10年後に、1年後に、もしくは明日人生がおしまいになるとしたら、
私は何を考え、何をするんだろう?
私にとって、これ以上のリアリティを感じセる小説は無いくらいです。

絶対おすすめ。☆5つ。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.224
(4pt)

消費される子供たちを描いて

寄宿舎のような閉ざされた空間で子供たちが成長して行く過程を、介護人という人物の追想で語られるストーリーです。
普通の子供たちのような学校生活が語られる中で、所々に挿入される不思議な出来事がやがて来る不幸な未来を暗示する伏線として張り巡らされています。
そして成人した彼らを待ちうける悪夢のような悲しい運命が実に淡々と描かれていました。
似たようなストーリーを他で読んだことがあるので、途中から何となく結末は予想できましたが、それでも最後まで緊張感を持って読み続けることができました。

個人的に印象に残ったのは幼少期、小学校低学年時代の主人公たちの日常です。
こうした話は、通常「大人の想像する」子供時代というフィルターを通して描かれることがほとんどなのですが、本書ではとても生々しく子供の目線で描かれてました。
そのせいか、読んでいて私自身の遠い子供時代の忘れ去ったはずの出来事がいくつも思い出されてちょっと気味が悪いくらいでした。
そう、すっかり忘れていました、子供は狭い世界の中とはいえ、大人と同じくらい色々なことを考えている生き物だということを。

訳も優れているという点もあるのかもしれませんが、不思議な雰囲気や味がありおもしろい小説だと思います。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.223
(4pt)

消費される子供たちを描いて

寄宿舎のような閉ざされた空間で子供たちが成長して行く過程を、介護人という人物の追想で語られるストーリーです。
普通の子供たちのような学校生活が語られる中で、所々に挿入される不思議な出来事がやがて来る不幸な未来を暗示する伏線として張り巡らされています。
そして成人した彼らを待ちうける悪夢のような悲しい運命が実に淡々と描かれていました。
似たようなストーリーを他で読んだことがあるので、途中から何となく結末は予想できましたが、それでも最後まで緊張感を持って読み続けることができました。

個人的に印象に残ったのは幼少期、小学校低学年時代の主人公たちの日常です。
こうした話は、通常「大人の想像する」子供時代というフィルターを通して描かれることがほとんどなのですが、本書ではとても生々しく子供の目線で描かれてました。
そのせいか、読んでいて私自身の遠い子供時代の忘れ去ったはずの出来事がいくつも思い出されてちょっと気味が悪いくらいでした。
そう、すっかり忘れていました、子供は狭い世界の中とはいえ、大人と同じくらい色々なことを考えている生き物だということを。

訳も優れているという点もあるのかもしれませんが、不思議な雰囲気や味がありおもしろい小説だと思います。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.222
(5pt)

ネタバレできない

31歳の「介護人」キャシー・Hが「ヘールシャム」を回顧する形で展開する異質な小説。
「何」を語ろうとしているのか分からないまま、ヘールシャムでの生活や友人との交流が語られていき、この世界の中の現実に気がついた途端、心が凍り付く。

キャシー・Hの視点で、最後の最後まで「何か」をギリギリまで抑えた描き方にもかかわらず、その描いた物は強烈。
行間を読むというのではなく、小説後を読みたくなる希有な作品でした。

……ネタバレでは書きたくないので、是非ご一読を。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.221
(5pt)

ネタバレできない

31歳の「介護人」キャシー・Hが「ヘールシャム」を回顧する形で展開する異質な小説。
「何」を語ろうとしているのか分からないまま、ヘールシャムでの生活や友人との交流が語られていき、この世界の中の現実に気がついた途端、心が凍り付く。

キャシー・Hの視点で、最後の最後まで「何か」をギリギリまで抑えた描き方にもかかわらず、その描いた物は強烈。
行間を読むというのではなく、小説後を読みたくなる希有な作品でした。

……ネタバレでは書きたくないので、是非ご一読を。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.220
(5pt)

わたしから離れない

カセットテープの表紙に魅かれて、単行本を選びました。
裏表紙の巻き終わったカセットテープは悲しくて耐え難く、
しかしにくい演出だと思いました。

トミーとキャシーと共に、マダムをたずねた際、同じ屋敷にいたエミリ先生の
「私達の保護下にある間は、あなた方を素晴らしい環境で育てること
―何もできなくても、それだけはしてきたつもりですよ。」
という言葉がまず、私の奥深いところをくすぐりました。

そして物語の終焉、キャシーと共に、
子どもの頃から失い続けてきたすべてのものの打ち上げられる場所、
ノーフォークを再び訪れた後、
私の中では様々な思いが湧き上がってきました。

読み手の個人史があぶりだされる一冊なのかもしれません。

読後、もう一度、第一部に戻ると、
物語の伏線に気づき、改めて作者の構成力に感嘆します。
疎ましいと感じていたトミーの癇癪が、実は“人間”性を端的に表現しており、
さらにいとおしくなります。

多感な10代の子ども達にも薦めたい。
読後に彼らが何を発するのか心に留めておきたい。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517