わたしを離さないで

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評判

わたしを離さないでの評価:

4.11/5点 レビュー 714件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.11pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1,119件 861〜880 44/56ページ
No.259
(5pt)

静かに、静かに小説は進むが…

これまで読んだ小説の中でも、最も好きな小説の1つです。土屋政雄さんの翻訳も素晴らしい。現代文学の最高峰の1つと言ってもいいかもしれない。

1923年から2005年までの英語で書かれた小説を対象にした、タイム誌のオールタイムべスト100にも選ばれている作品です。(もとのタイトルは、Never Let Me Go)

http://www.time.com/time/2005/100books/the_complete_list.html

内容については書かずにおきます。多くの書評が言うように、最初は、事前に何も知らないままに読んでもらいたいです。ただ1つ言えるのは、静かに、ほんとうに静かに、少しずつ明かされていく事実が、そして事実を運命として受け入れる人間のあり方が、読者の胸を締め付けるということです。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.258
(5pt)

穏やかな感動が心をとらえて離さない作品

「おれはな、よく川の中の二人を考える。どこかにある川で、すごく流れが速いんだ。で、その中に二人がいる。互いに相手にしがみついている。必死でしがみついてるんだけど、結局、流れが強すぎて、かなわん。最後は手を離して、別々に流される。おれたちって、それと同じだろう?」。

キャシー、トミー、ルース。へールシャム出身の若者たち。
淡々と落ち着いた語り口で物語りは進む。

平静でいられるはずがないし、
あてにならない希望にすがるときもある。
でも、結局彼らはそれぞれのやり方でその感情を処理し、
成長し、運命を受け入れてゆく。
最初から、それしか選択肢がないことも本当はわかっている。

現実にはありえない設定の話だ。
日本と違い、米国サイトでは否定的な意見も結構多い。
ただ、この作品は、強引に読者をこの世界へ引きこもうとはしない。
本人たち以外にはそれほど意味の無い、ちょっとした出来事の重さや、
秘密や、わずかな心の乱れを、慎重に描き出す。
穏やかでとても繊細な文体だ。美しさすら感じる。

本の扉を閉じながら、言葉にするのが難しい静かな感動に包まれた。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.257
(5pt)

静かに、静かに小説は進むが…

これまで読んだ小説の中でも、最も好きな小説の1つです。土屋政雄さんの翻訳も素晴らしい。現代文学の最高峰の1つと言ってもいいかもしれない。

1923年から2005年までの英語で書かれた小説を対象にした、タイム誌のオールタイムべスト100にも選ばれている作品です。(もとのタイトルは、Never Let Me Go)

http://www.time.com/time/2005/100books/the_complete_list.html

内容については書かずにおきます。多くの書評が言うように、最初は、事前に何も知らないままに読んでもらいたいです。ただ1つ言えるのは、静かに、ほんとうに静かに、少しずつ明かされていく事実が、そして事実を運命として受け入れる人間のあり方が、読者の胸を締め付けるということです。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.256
(5pt)

切ない新境地

近未来SFともみなしうるからイシグロの新境地だろう。もっともこの作家は常に新しいものにチャレンジしているようなところがあって、その点はいつも感心するのだが、しかしこの作品はまた、ここまで来たか、と思わせるものがある。
 いわゆるネタばれにならずにこの小説について語るのは難しい。近未来の、いささか混乱し傷つき希望を持つことが難しくなっている世界の中で、先端科学がからむ話としておこうか。トーンは暗い。
 だがホラー小説にもなりうる設定でありながら、むしろここにあるのはひたすら哀しみである。この小説の映画版が間もなく公開されるのに際して、2月10日の毎日新聞夕刊にイシグロのインタビュー記事が載った。それによると、イシグロが考えたかったのは、前面にあるように見える生命科学の倫理よりも、限りある人生という普遍的な問題だったという。
 イシグロといえば、いわゆる「信頼できない語り手」の問題が定番である。つまり、語り手の嘘=不確かさ=生き方の希薄さが、別に浮かび上がる事実によって明らかになる、というパタン。だがここでは、それは使われていないのではないか。とすればそれは何を意味するのか。
 上述の夕刊では「記憶を武器に死と戦う」という見出しがあったが、興味深い点である。今までの作品では、語りの元となる記憶は不確かで、しばしば欺瞞につながるものだった。だがこの物語ではそれが転倒している。ほかの現実はすべてが失われてゆく中で、語り手の語る記憶だけが、確かな真実、生きる拠り所としてあるのである。それがとても切なく辛い。しかしそれゆえに深い感動を呼ぶ。
 今更のようにイシグロの重要テーマの一つとして、人間の絆の分断というものがあることに気付かされた。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.255
(5pt)

切ない新境地

近未来SFともみなしうるからイシグロの新境地だろう。もっともこの作家は常に新しいものにチャレンジしているようなところがあって、その点はいつも感心するのだが、しかしこの作品はまた、ここまで来たか、と思わせるものがある。
 いわゆるネタばれにならずにこの小説について語るのは難しい。近未来の、いささか混乱し傷つき希望を持つことが難しくなっている世界の中で、先端科学がからむ話としておこうか。トーンは暗い。
 だがホラー小説にもなりうる設定でありながら、むしろここにあるのはひたすら哀しみである。この小説の映画版が間もなく公開されるのに際して、2月10日の毎日新聞夕刊にイシグロのインタビュー記事が載った。それによると、イシグロが考えたかったのは、前面にあるように見える生命科学の倫理よりも、限りある人生という普遍的な問題だったという。
 イシグロといえば、いわゆる「信頼できない語り手」の問題が定番である。つまり、語り手の嘘=不確かさ=生き方の希薄さが、別に浮かび上がる事実によって明らかになる、というパタン。だがここでは、それは使われていないのではないか。とすればそれは何を意味するのか。
 上述の夕刊では「記憶を武器に死と戦う」という見出しがあったが、興味深い点である。今までの作品では、語りの元となる記憶は不確かで、しばしば欺瞞につながるものだった。だがこの物語ではそれが転倒している。ほかの現実はすべてが失われてゆく中で、語り手の語る記憶だけが、確かな真実、生きる拠り所としてあるのである。それがとても切なく辛い。しかしそれゆえに深い感動を呼ぶ。
 今更のようにイシグロの重要テーマの一つとして、人間の絆の分断というものがあることに気付かされた。

わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.254
(5pt)

無限の謎解き

著者はインタビューでこの作品について「完全に幸せな子供時代を描きたかったのです」と語る。確かにヘールシャムにおいて養育されていた時期には主人公たちはそのように感じていた。子供の眼はすべてを見てすべてを見てはいないからだ。
15歳を過ぎてコテージに移ると自分たちをとりまく世界とどうかかわってゆくかが彼らの課題となってゆく。その際に主人公が語るように彼らにはモデルがいないため、住居(飼育場所)にあるTVや雑誌により
情報を得てそっくりコピーせざるえをえない。複製が人間のしぐさや言い草までも複製するという、苦い
ユーモアを著者はあちこちにちりばめるが、それは物語の中盤から始まる。5歳から英国人となり成人して
小説を書くイシグロは英文学特有のユーモアと諧謔を織り交ぜ、やさしく温かいのか冷たく突き放しているのか読書にとり認識しがたい状況をいくつも繰り出し、ヒロインに語らせる。(複製が小説家の複製をする)。たとえば性に関する彼らの悩みや行動は共感を喚起しつつ、読者にとってほとんど立ち直れないくらいの衝撃や絶望感や哀れみをもよびおこす。なぜ彼らは逃亡しないのか。なぜ自ら命を断ってむごい運命から逃れようとはしないのか。それは教育のなせる技なのか、それとも心すら操作できる科学技術を人間たちが獲得している近未来なのか。いくつもの謎を提供し、読者に沈思させる。涙や微笑がいつしか無限のおそろしさに変化し、魂が震え身動きすらできなくなる。たんなるSF小説と断じることを阻む傑作である。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.253
(5pt)

無限の謎解き

著者はインタビューでこの作品について「完全に幸せな子供時代を描きたかったのです」と語る。確かにヘールシャムにおいて養育されていた時期には主人公たちはそのように感じていた。子供の眼はすべてを見てすべてを見てはいないからだ。
15歳を過ぎてコテージに移ると自分たちをとりまく世界とどうかかわってゆくかが彼らの課題となってゆく。その際に主人公が語るように彼らにはモデルがいないため、住居(飼育場所)にあるTVや雑誌により
情報を得てそっくりコピーせざるえをえない。複製が人間のしぐさや言い草までも複製するという、苦い
ユーモアを著者はあちこちにちりばめるが、それは物語の中盤から始まる。5歳から英国人となり成人して
小説を書くイシグロは英文学特有のユーモアと諧謔を織り交ぜ、やさしく温かいのか冷たく突き放しているのか読書にとり認識しがたい状況をいくつも繰り出し、ヒロインに語らせる。(複製が小説家の複製をする)。たとえば性に関する彼らの悩みや行動は共感を喚起しつつ、読者にとってほとんど立ち直れないくらいの衝撃や絶望感や哀れみをもよびおこす。なぜ彼らは逃亡しないのか。なぜ自ら命を断ってむごい運命から逃れようとはしないのか。それは教育のなせる技なのか、それとも心すら操作できる科学技術を人間たちが獲得している近未来なのか。いくつもの謎を提供し、読者に沈思させる。涙や微笑がいつしか無限のおそろしさに変化し、魂が震え身動きすらできなくなる。たんなるSF小説と断じることを阻む傑作である。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.252
(5pt)

命の操作と魂の操作と

2011年春の映画公開の前に再読。
展開が分かっていても、淡々とした独白によって、少しずつ物語の核に近づいていく感覚を改めて味わうことができた。なぜ彼らはこんなに文化的な生活を送る必要があったのか、そもそも彼らは生きているといえるのか。そして、静かな残酷さに包まれながら読了後に思う、果たして私は彼ら以上に人生を生きることができているかと。
日本語はほとんど話すことができないという著者の、日本人としての死生観が垣間見れる部分も非常に興味深い。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.251
(5pt)

命の操作と魂の操作と

2011年春の映画公開の前に再読。
展開が分かっていても、淡々とした独白によって、少しずつ物語の核に近づいていく感覚を改めて味わうことができた。なぜ彼らはこんなに文化的な生活を送る必要があったのか、そもそも彼らは生きているといえるのか。そして、静かな残酷さに包まれながら読了後に思う、果たして私は彼ら以上に人生を生きることができているかと。
日本語はほとんど話すことができないという著者の、日本人としての死生観が垣間見れる部分も非常に興味深い。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.250
(5pt)

美しく哀しい絶品

カズオ・イシグロ氏の名前はかなり前から知っていたのだが、氏の作品に接するのはこれが初めてとなった。
まず、これほど哀切で美しい小説はそう存在しない。余分な虚飾をそぎ落とした文体は怜悧で見事にシーンを構成し、そのストーリーテリングも卓越している。〜設定そのものに余り触れるとネタばれになってしまうが、ある施設で育てられている子供達の『役割』は非常にシュールでありながら、極めてリアルに創られている。下手をすれば二級のSF小説のようになってしいそうなモチーフを、イシグロ氏の緻密な設定と文体はその存在をおおげさな誇張なく、けれんのない文章で、いやだからこそ、私達の胸に痛みをもって突き刺さる。
人生とはなにものなのだろうか。
彼ら彼女らのような存在に生まれた事は、人として存在する事の意義を哀しくあぶりだす。ラストのある種の「逃げ道」がふさがれてしまった時の絶望感は舌筆に尽くせない・・・。
イシグロ氏は本作で作風が変わったと側聞する。しかし、これだけ『魂』を感じさせる小説を書く作家なのだから、作風が変わったとしても期待に胸が膨らむ。ハヤカワからでている文庫は本書以外すべて未読なので、これからが楽しみだ。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.249
(5pt)

美しく哀しい絶品

カズオ・イシグロ氏の名前はかなり前から知っていたのだが、氏の作品に接するのはこれが初めてとなった。
まず、これほど哀切で美しい小説はそう存在しない。余分な虚飾をそぎ落とした文体は怜悧で見事にシーンを構成し、そのストーリーテリングも卓越している。〜設定そのものに余り触れるとネタばれになってしまうが、ある施設で育てられている子供達の『役割』は非常にシュールでありながら、極めてリアルに創られている。下手をすれば二級のSF小説のようになってしいそうなモチーフを、イシグロ氏の緻密な設定と文体はその存在をおおげさな誇張なく、けれんのない文章で、いやだからこそ、私達の胸に痛みをもって突き刺さる。
人生とはなにものなのだろうか。
彼ら彼女らのような存在に生まれた事は、人として存在する事の意義を哀しくあぶりだす。ラストのある種の「逃げ道」がふさがれてしまった時の絶望感は舌筆に尽くせない・・・。
イシグロ氏は本作で作風が変わったと側聞する。しかし、これだけ『魂』を感じさせる小説を書く作家なのだから、作風が変わったとしても期待に胸が膨らむ。ハヤカワからでている文庫は本書以外すべて未読なので、これからが楽しみだ。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.248
(5pt)

たゆたう

穏やかながら、全体的に悲壮感がうっすらとにじみ出ている。
大きな波はなく、うつりゆくように話が展開していく様が芸術的。
人の成長、時間の移り変わりなど
誰とでも隣り合わせになっているはずの普遍のテーマを
ひっそりと書き上げている。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.247
(5pt)

たゆたう

穏やかながら、全体的に悲壮感がうっすらとにじみ出ている。
大きな波はなく、うつりゆくように話が展開していく様が芸術的。
人の成長、時間の移り変わりなど
誰とでも隣り合わせになっているはずの普遍のテーマを
ひっそりと書き上げている。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.246
(5pt)

先入観なく読んで欲しい(できればレビューも読まないで)

(まだこの作品を読んでいない方へ)
ここに投稿されているレビューの中にも、ネタばれに近いことを書いてあるものがいくつかあります。
先入観なく読んでいただくためにも、あまり読まないことをお勧めします。純文学でありながら『このミステリがすごい!2007年』の第10位にランクインした魅力が薄れてしまいます。
もっとも、たとえ先に知ってしまったとしても、それでもなお余りある魅力に溢れた作品なのですが。純文学やミステリという特定の分野に収まる作品でもありません。

鮮やかな衝撃とともに、感情を奥底から揺さぶられるような、鮮烈な読書体験をさせていただきました。
文庫では、イラストレーターの松尾たいこ氏の手によるカバーのついた〈プレミアム・カバー・エディション〉があります。個人的にはこのカバーもとても気に入っています。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.245
(5pt)

先入観なく読んで欲しい(できればレビューも読まないで)

(まだこの作品を読んでいない方へ)
ここに投稿されているレビューの中にも、ネタばれに近いことを書いてあるものがいくつかあります。
先入観なく読んでいただくためにも、あまり読まないことをお勧めします。純文学でありながら『このミステリがすごい!2007年』の第10位にランクインした魅力が薄れてしまいます。
もっとも、たとえ先に知ってしまったとしても、それでもなお余りある魅力に溢れた作品なのですが。純文学やミステリという特定の分野に収まる作品でもありません。

鮮やかな衝撃とともに、感情を奥底から揺さぶられるような、鮮烈な読書体験をさせていただきました。
文庫では、イラストレーターの松尾たいこ氏の手によるカバーのついた〈プレミアム・カバー・エディション〉があります。個人的にはこのカバーもとても気に入っています。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.244
(4pt)

ラブストーリーに社会的メッセージも込める

映画をキッカケに読みました。

原作の素晴らしさはもとより、
思った以上に忠実に描かれていた
映画にも驚かされました。

映画でも涙が止まらなかったラストは、
原作でも眼が潤んでしまいました。

ファンタジックな世界ですが、
近未来に本当にありそうと想像すると、
背筋がゾクッとしてしまいます。

ラブストーリーでありながらも、
そんな社会的なものも含んでいる今作。

映画も、もう一度、見に行こうかな♪
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.243
(4pt)

ラブストーリーに社会的メッセージも込める

映画をキッカケに読みました。

原作の素晴らしさはもとより、
思った以上に忠実に描かれていた
映画にも驚かされました。

映画でも涙が止まらなかったラストは、
原作でも眼が潤んでしまいました。

ファンタジックな世界ですが、
近未来に本当にありそうと想像すると、
背筋がゾクッとしてしまいます。

ラブストーリーでありながらも、
そんな社会的なものも含んでいる今作。

映画も、もう一度、見に行こうかな♪
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.242
(5pt)

大きなうねりの中の、静かで些細な日常の積み重ねを描く

小説を読み進めて、一体誰がこの世界を思いつくだろうか…?と驚かされた。

物語は劇的な状況に中に進むが、最初、読者は
主人公の子どもたちがどんな状況におかれているのか、
よくわからないまま読まなくてはいけない。
イギリスの片田舎にある寄宿学校に生活する生徒たちの生活ぶり、日常の小さなこたごた、
さまざまな性格の監督者たち…そしてその日常の中に、小さな謎が、目を凝らして見ると
数多くちりばめられている。
その小さな謎が明らかにされていくのは、物語が半分ほどに近づいてから。
読者は、子どもたちの本当の存在意義に、驚愕することだろう。
それでも物語は進んでく…

物語の異質性そのものにも驚くが、
同時に、些細な日常の出来事、表面的には何でもないやりとりに、
主人公たちの関係や心の趣が微妙に変化していくのだが、その心の
繊細な動きの描写が、筆者は絶妙にうまいのだ。素晴らしいくらいに。

そして何よりも素晴らしいのは、筆者が、子どもの側から物語を
書いていること。きっとほかの人だったら、子どもを見る人の側から書くと思う。
子どもの側から書くことに、よりオリジナリティを感じた。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.241
(5pt)

大きなうねりの中の、静かで些細な日常の積み重ねを描く

小説を読み進めて、一体誰がこの世界を思いつくだろうか…?と驚かされた。

物語は劇的な状況に中に進むが、最初、読者は
主人公の子どもたちがどんな状況におかれているのか、
よくわからないまま読まなくてはいけない。
イギリスの片田舎にある寄宿学校に生活する生徒たちの生活ぶり、日常の小さなこたごた、
さまざまな性格の監督者たち…そしてその日常の中に、小さな謎が、目を凝らして見ると
数多くちりばめられている。
その小さな謎が明らかにされていくのは、物語が半分ほどに近づいてから。
読者は、子どもたちの本当の存在意義に、驚愕することだろう。
それでも物語は進んでく…

物語の異質性そのものにも驚くが、
同時に、些細な日常の出来事、表面的には何でもないやりとりに、
主人公たちの関係や心の趣が微妙に変化していくのだが、その心の
繊細な動きの描写が、筆者は絶妙にうまいのだ。素晴らしいくらいに。

そして何よりも素晴らしいのは、筆者が、子どもの側から物語を
書いていること。きっとほかの人だったら、子どもを見る人の側から書くと思う。
子どもの側から書くことに、よりオリジナリティを感じた。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.240
(5pt)

透明感と静寂と

読みはじめの印象はなにやら大友克洋『アキラ』のラボの子供たちのような.特殊な施設であることは何となくわかるのですが孤児院?の様ではないし、ミステリアスな施設に集められ育てられている子供たちの物語り。孤児院ではないことはすぐにわかります。彼らについては乳幼児期、まして肉親について全く語られないし語らないのです。これはいったいどういうこと?子供たちの中で、成人したキャシーが一人語り始めます。ミステリアスなんだけど、ミステリーではない、SF的ではあるんですがSFではない。「使命」とは?「提供」とは?「介護人」とは?
短く特殊な人生を刈り取られていく子供たちの透明感あふれる切ない青春と、やがて彼らに明かされるその事実。
かれらは人なのか、一体何者なのか。
読後のカタルシスには大切な人を失った悲しみと不思議な透明感と景色がいつまでも心に残ります。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517