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権力と栄光



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権力と栄光の評価: 4.50/5点 レビュー 6件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全6件 1~6 1/1ページ
No.6:
(5pt)

カトリック信仰の本質

主人公の神父は酒好きで、私生児までもうけている破戒僧です。
 そんな神父が革命下の極限状況の中で、洗礼をしたり、告解を聴いたり、ミサをするといった神父として行うべき行為を命がけで果たします。
 罪を犯している破戒僧が行うカトリックの秘蹟によって人は救われるのか。それは、いわゆるカトリックの人効論と事効論の対立にかかわる神学上の問題を含んでいます。そのようなこととは別に、罪の意識を感じながらなすべきことを果たす主人公の姿は感動的です。
権力と栄光 グレアムグリーンセレクション  ハヤカワepi文庫Amazon書評・レビュー:権力と栄光 グレアムグリーンセレクション ハヤカワepi文庫より
4151200290
No.5:
(5pt)

罪と救いの相剋は我々の姿

政治的に暗い影の差していた1930年代後半のメキシコ。
作者は観光地から遠く離れた場所に滞在し宗教迫害についての調査を行ったと序文にある。

カトリック迫害の追手から逃れる為、暑熱の中を這いずり回り惨めな逃亡を続けるウイスキー坊主。
破戒僧であっても自問自答を続ける彼の葛藤は天国と地獄、救いと罪の狭間を行き交う事で一つの存在意義となる。
彼の逮捕に執念を燃やす警察署長や逃亡の最中出合う様々な人達にも不完全な弱者の眼差しが向けられているのは
カトリック作家であるグリーンの他作品に於いても窺える一貫した母胎である。
国外脱出せず追跡の恐怖と戦いながら最後には寝返らず殉教した神父は神の恩寵に与れたのか?
信仰が廃れていない事実は警察署長に唾を吐いた少年の場面で結実している。

遠藤周作がこの作品を特に読み解いた事は有名な話だが、巻末に記載されているグリーンとの邂逅~交信。
「沈黙」とこの作品の比較対照は興味深く読ませて貰った。
権力と栄光 グレアムグリーンセレクション  ハヤカワepi文庫Amazon書評・レビュー:権力と栄光 グレアムグリーンセレクション ハヤカワepi文庫より
4151200290
No.4:
(4pt)

ヘミングウェーの作風を感じさせます。アメリカ文学の持つ匂いを持つ。

イギリスの文学者ですがこの作品はアメリカそのものです。 舞台はメキシコ。 南米の持つ暑さは東南アジアを舞台とするアンドレ・マルローの「王道」の中の「暑さ」を感じさせる。 矢張り風土はヨーロッパとは違い「風土からの熱気」を描いています。  ヨーロッパの風土と南米の風土はヨーロッパの作家が描くとヘミングウェー風になってしまうのかとも思うのでした。  カトリック作家としてのグリーンの作風は旧教の世界観とともに宗教性を感じさせます。 退廃した人間のデラシネを強く感じました。 是非読んでみてください。
グレアム・グリーン全集〈8〉権力と栄光Amazon書評・レビュー:グレアム・グリーン全集〈8〉権力と栄光より
4152003081
No.3:
(5pt)

最後に光が射した希望の小説

翻訳の素晴らしさもあったと思うが、重い内容の中に登場人物の気持ちと葛藤がよく伝わって来た。
最後に新しい神父が訪ねて来たことは、著者自身の希望の表われと思われ、深い信仰が感じられた。
権力と栄光 グレアムグリーンセレクション  ハヤカワepi文庫Amazon書評・レビュー:権力と栄光 グレアムグリーンセレクション ハヤカワepi文庫より
4151200290
No.2:
(4pt)

書籍の状態は最優良

もっとひどい状態のものを古書店でもっと高く買うこともよくあるので、送られた書籍は非常に安価なわりに未読ではないかと思うほどきれいだった。 難を言えば、活字が小さすぎた。 もし実物を見ていれば購入しなかったと思う。 それ以外は問題なし。 送付も早かった。
権力と栄光 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:権力と栄光 (新潮文庫)より
410211002X
No.1:
(4pt)

信仰と棄教のはざまで。(遠藤周作の「沈黙」の元ねた)

英国を代表する作家、グレアム・グリーンの代表作の一つ。遠藤周作の「沈黙」の元ねたともいえる。1930~40年代にメキシコで実際に起きた共産革命を背景に、カトリックとしての信仰を捨て切れなかった不良神父と信仰を憎む現実主義者の警部との葛藤を描いている。前半は訳文が読みにくいところがあるが後半はグイグイと引き込まれる。 信仰と不信仰の間で揺れ動く主人公の心の動きは、我々のような日々、肉の世界で生きる平凡なクリスチャンにも十分共感できる。信仰を捨てるか否かの瀬戸際で、酒を飲み愛人に子供を生ませるという堕ちるところまで落ちた神父が銃殺される間際に悟ったこととは・・・。「神が自分を見放す」という恐怖だった。これはクリスチャンじゃないとわからない心理かもしれないが、それはある意味、キリスト教を信仰するものにとっては、現実の「死」よりも恐ろしいことなのだ。
権力と栄光 グレアムグリーンセレクション  ハヤカワepi文庫Amazon書評・レビュー:権力と栄光 グレアムグリーンセレクション ハヤカワepi文庫より
4151200290

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