■スポンサードリンク


冬雷



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
冬雷
冬雷 (創元推理文庫)

冬雷の評価: 8.50/10点 レビュー 2件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.50pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

冬雷の感想

著者初読み。物凄く惹き込まれた作品でした。
作品単体が凄いのか、著者の他の作品もこのクオリティなのか未知ですが、場や人物の情景が頭に浮かぶ素晴らしい地の文でした。あらすじから感じる内容は、苦手意識を感じる古めかしく難しそうな内容だったのですが、読んでみたらスルスル頭に入り、先が気になる一気読みの面白さでした。

物語は孤児の主人公が古くからの伝統風習を重んじる名家の養子になる所から始まります。読みやすいと感じるのが、主人公と読者の状況不明の感覚がシンクロした構成である事。名家に入り、そこで出会う人物、風習、仕来り、役目、といった情報と理解が、主人公を通して徐々に把握していく為、複雑な背景でも楽しむ事ができました。

ミステリというよりオリジナルの物語を楽しむ事に趣があります。ただ、あの時何が起きたのか、町で何が起きているのかが見えてくる終盤はミステリの解決編の様で楽しめました。一同が集まり一風変わった展開での解決編だったなという印象も得られました。

少し余談ですが、島田荘司・御手洗シリーズの龍臥亭事件ぐらいまでの初期の頃のワクワク感を思い出しました。ミステリより物語に夢中になっていたら最後何かが明かされる感覚。毛色は違うのですが、個人的にそんな感覚を思い出すほど惹き込まれた次第です。

扱う内容の雰囲気は地道で重苦しいものなのですが、読書中はそうは感じさせず綺麗に描かれている物語。素晴らしい作品でした。他の作品も手に取ってみようと思います。

▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

egut
T4OQ1KM0
No.1:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

読み応えのある物語

ミステリー度は低いです。それよりも完成された物語の面白さに引き込まれて読み耽りました。
時代背景、人間関係の背景がしっかりと描かれているので物語のデティールが際立っている。
それぞれの心情が上手く描かれ無理のない事態の流れ、時の流れが物語を紡ぐ。
刑事の来訪で捨てた故郷に帰る主人公の回顧を通して物語は展開する。
閉鎖社会の中での暮らし。時を経て継がれていく因習。逃げられない運命。こういった
一つ一つのピースは目新しさはないけれど、物語の中に引き込む筆力がそれらを忘れさせる。
主人公の必要とされない寂しさが良く分かる描き方は上手い。
最後の真琴の言葉が救われる思いだ。 一気読みに近い形で読み終えた。満足の一冊。

ニコラス刑事
25MT9OHA

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!