■スポンサードリンク


(短編集)

犯人のいない殺人の夜



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

犯人のいない殺人の夜の評価: 6.50/10点 レビュー 4件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.50pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

オムニバスの短編集

短い中にも要点・テーマが上手にまとめられていると感じた
その中でも「踊り子」はミステリアスなストーリーと純粋な男子の憧れが残酷な結果を呼ぶ内容で、この短さでも十分、感動をもらった秀作
「エンドレス・ナイト」は、途中からなんとなく気付いてきたが、よく練られた内容で面白かった(関西の刑事のキャラ作りも絶品)
1番目は、ちょっと、これはありえないなぁという偶然が重なり個人的にはダメ
2番目は、義母への憧れから・・・最初に説明した人格から結末はキャラが変わっていて、これは反則だな
3番目は上述の「踊り子」これは読んだ後の切ない哀しみに胸をえぐられ◎満点!
4番目も上述の「エンドレス・ナイト」主人公の内面からストーリーが始まる、、、これもある意味反則だとは思うが、非常に面白かったので〇
   登場人物は、ほとんど、主人公(東京の女性)と大阪の刑事の二人だけなのだが、会話や行動、ストーリー、トリックなどもよく練られていて感心した
5番目は、この動機で殺人?あり得ないねー まあ、読んでいて途中でやめるほどの駄作ではないが(東野は読み込ませるのが上手い!)読後感は「ふ~~ん」って感じ
6番目は、ヴィジュアルが想像できるような、テレビ向けの話で、またまた出たアーチェリー部だが、こういうのは作者に「こうなんだよ」と言われてしまえば読む側はそう受け取るしかないもんな
7番目は、殺人を犯した側(集団)の中の会話や行動でずっと進んでいく、途中から出てくる社長に恨みを持つ女性、入れ替わっていたとか、俺がルールだ!的な独りよがりなのは東野作品に多いが、短編だと「な~んだ」って感じ

最も魅力的な登場人物:水曜日の踊り子(作中に名前が出てこない)

mustang
PCGQIQ4X
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

読みやすさゆえの功罪

東野氏の短編集はこれまでにも『浪花少年探偵団』、『犯行現場は雲の上』、『探偵倶楽部』などが発表されていたが、それらは全て連作短編集で意外にもノンシリーズの短編集はこれが初である。

そんな短編集の幕を明けるのが高校を舞台にした「小さな故意の物語」だ。
東野氏得意の学園ミステリ。事件はシンプルでたった50ページの短編ながら図解を加えたトリックを入れ、更にどんでん返しをも含ませているのはこの作者ならではのサービス精神だ。
人の心の謎まで踏み込んだ真相はなかなか読ませる。この動機も昔の日本人女性ならば思いも付かなかったことだろう。現代女性の独立心ゆえに抱く一瞬の魔。単なる駄洒落のように見える題名も二重の意味―片思いの笠井の悪戯心と佐伯洋子が一瞬抱いた悪意―を持たせ、題名に無頓着だと思っていた偏見を覆すような見事さだ。

続く「闇の中の二人」も中学生とその担任教師が物語の中心。
この真相は解った。お昼のメロドラマが好んで採用したがるような内容だ。
物語に散りばめられたさり気ない伏線は実に作者らしいが、ちょっと単純だったか。それでもなお戦慄を抱くような冷たい肌触りを感じるのは巧い。

「踊り子」もまた中学生が主人公の作品。
なんともほろ苦い真相。「闇の中の二人」同様、思春期の衝動が運命に悪戯をしたかのような皮肉である。

「エンドレス・ナイト」からは学生から一般人に主要人物はシフトする。
真相も普通で、1時間の刑事ドラマを思わせるほどのベタな内容。ま、中にはこういうのもあるのは仕方ないか。

「さよならコーチ」はデビュー作『放課後』で扱われたアーチェリー部が舞台。しかし『放課後』が高校の部活であったの対し、こちらは社会人クラブである。
凄いシンプルな導入部でどこに謎が潜んでいるのか解らないほど自然な流れで進むうちに、隠された真相が見えるという技巧の冴えを感じる一編。
直美というアーチェリー一筋に若い時間を捧げた女性の絶望と愛情は同じようにスポーツの第一線で活躍した女性らには身に沁みるものがあるだろう。哀しい物語だ。

最後の表題作は凝った叙述が特徴的だ。
事件当夜と隠蔽工作を貫こうとする今の2つの時間軸で構成される作品。一人称叙述が非常に効果的に活きた作品。

冒頭にも述べたように、統一キャラクターで繰り広げられる連作短編集はキャラクター偏重の趣きが強いが、本作ではそれらを排し、トリックよりもロジック、さらに理論よりも理屈では割り切れない感情、人間の心が生み出す動機について焦点を当てているように感じた。

「小さな故意の物語」では嫉妬心から来る悪戯心と与えられる愛情に対する疲労感を、「闇の中の二人」では思春期にありがちな欲望と嫉妬心を、「踊り子」では淡い恋心を、「エンドレス・ナイト」はトラウマを、「白い凶器」は現実逃避から来る狂気を、「さよならコーチ」は人生を捧げたよすがを失った女性の絶望を描く。
唯一表題作が実にトリッキーな作品で動機も今までの東野ミステリにありがちな天才肌の犯罪者による、利己心だ。

ただ短編であるからか書込みが少なく、それ故それらの動機についてはちょっと踏み込みが足りないように感じた。「踊り子」、「エンドレス・ナイト」、「白い凶器」あたりは「小さな故意の物語」や「闇の中の二人」のような解決の後の真相をもたらすような二重構造が欲しかったところだ。

今回の作品集を読んで浮かんだ作家は連城三紀彦氏だ。特に表題作で明かされる真相には頭に描いていた既成概念を覆され、眩暈に似た感覚を覚えた。

以前にも書いたが、東野氏の最大の特徴は読みやすい文体にある。開巻して一行目からすっと違和感無く物語に入っていける透明感がある。従って読者はするりと物語の流れるままに身を委ね、登場人物と同化し、作中で起こる出来事をありのままに受け入れてしまい、気づいた時には思いもよらない展開の只中に晒されるような感覚を抱く。これはこの作家の最たる長所だろう。

個人的良作は「小さな故意の物語」と「さよならコーチ」。次点で表題作となるが、後日思い起こして話題に出るほどではない。技巧の冴えが目立つ故に軽く感じてしまう諸刃の剣のような短編集だ。


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

犯人のいない殺人の夜、感想&備忘録


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

ナタ
9AJ0TZ5W
No.1:
(5pt)

東野さんのにしては・・

収録作品はどれもクオリティは高いです。
でも短編だから仕方ないけど、『さよならコーチ』以外はあまり記憶に残りませんでした。
他の作品が良すぎるのでちょっと下げ目の点数で・・・
単純に私の好みに合わなかっただけです。

Sランド
8LZWGBLM

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!