葛野盛衰記
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大河ドラマの関連本がたくさん並んでいる中、ふと思い出して、この本を再読した。プロローグ、忠盛ら平氏の一門が、赤い旗をなびかせて凱旋してくるシーンから、物語は一気に遡る。この本の主役は「平安京」である。京都は「碁盤の目」によく例えられるが、そこが都になる前がどんな場所であったか、皆さんは思いを馳せたことはあるだろうか。「土地」にどれだけ人が思いを重ねてきたか。平安京が築かれていく背景を史実と物語を巧みに絡ませつつ描き、平安京そのものが、魔物のように思えてくる作品だ。 | ||||
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「万代宮」と定められた魔都・平安京を舞台に、桓武平氏の、文字通り「盛衰」を描く物語。 本書は2部構成になっており、前半は平氏の祖先である多治比の一族と、 葛野に住まう謎の一族が「帝の御座する都」という牌を巡って争う。 後半は、武士として上京してきた平氏の台頭と末路を、平忠盛の妻とその息子の視点で追ってゆく。 この物語では、平氏に対峙する者として、秦氏を暗躍させており、 平氏最大の敵である源氏がほとんど姿を見せないところが、従来の平家物と一線を画する。 ジャンルとしては歴史小説だが、雰囲気は『千年の黙』よりも『七姫幻想』に近い。 ただし、森谷氏が得意とする女の思惑やら駆け引きやらも垣間見えるが、内容はかなり骨太。 長岡京遷都から平家滅亡までの流れをある程度頭に叩き込んでから読んだほうがいいかも知れない。 平安京だけでなく、広隆寺や賀茂神社の糺の森など、あまたの名所旧跡も頻出するので、 読み終わると思わず京都・奈良に出かけたくなってしまう。 実際、機会があったので、つい先日下賀茂神社と糺の森を参詣してきたのだが、 なるほど、確かに得体の知れない「何か」が棲みついていそうな雰囲気である。 | ||||
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この作品は例の如く綿密な考証の上に成立しているので,年代を細心の注意で追う必要がある.桓武帝の平安京は山背国葛野郡と愛宕郡にまたがって建設され,遷都の際に国名が山城に改められた.西を流れる桂川は古く葛野川と呼ばれ,桓武帝はまだ皇子の頃から葛野の地霊に愛された.嵯峨帝の時,平城上皇と争うに際して,愛宕の賀茂神社を京の鎮守と定め,皇女を斎宮として奉仕させたが,葛野の地霊は糺の森も気に入った.ところが時代が下り,京が焼き討ちされる状況になると,地霊たちは帝を快く思わず,桓武の皇子葛野親王の子孫たる平氏に期待をかける.それも空しく平氏は忠盛の子頼盛だけを残して壇ノ浦の藻屑と消える.そうして頼盛にわけを伝えて地霊は京を見捨てる,と言うあらすじ.構成は2部5章で,第一部は西海追捕使たる平忠盛の入京の点景から桓武帝の若い頃に飛び,初代賀茂斎宮有智子内親王(女性漢詩家,印象的)までが扱われる.その後は第二部の直前に貴族に成りおおせた忠盛の都取り宣言があって,第二部は平氏の慌しい盛衰が語られる.全編を通じて異界は現世を見ているが,異界そのものの描写は第一部だけ.ミステリアスではあるがミステリー風味はない.時代の重さを強く感じさせる重厚な物語. | ||||
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