水に眠る

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種別
長編
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あらすじ

1997年09月30日 水に眠る (文春文庫)

見合い話に苛立ち、後輩の若さがふと眩しい美也子の淡々とした日々に鳴り響く謎の電話。そして一年が過ぎて…「恋愛小説」。同僚に連れていかれた店で飲んだ水割りの不思議な味。ある切ない夜、わたしはその水の秘密を知る…「水に眠る」。人の数だけ、愛がある―様々な愛の形を描く短篇集。(「BOOK」データベースより)

評判

水に眠るの評価:

0.00/10点 レビュー 0件。 B ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

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水に眠るの総合評価:

8.83/10点 レビュー 12件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.12
(5pt)

「はるか」良いですよ!

この短編集は10を超える回数、読んでます。
北村薫さんの著書には過去の文芸人、文芸論に傾くものが多いのですが、これにはそれが無いので、北村初心者にはとっかかりが良いかもしれません。

今回、読み直して響いたのは……
「水に眠る」ささやかなファンタジー。恋心のような満たないような淡い人間関係の奥を想像するのも楽し。
「かすかに痛い」散歩している時の海の描写がすてき。一緒に冬の海を歩いているようなムードに浸る。

そして今回一番響いたのが「はるか」です。
なんでもない個人書店のバイトさんと店長さんの一年の物語。ういういしくみずみずしいはるかと、それに振り回される新米店長のやり取りはほほえましいのですが、作中にあふれる「本ラブ」「本屋ラブ」と書店の何気ない日常の活写が、個人書店どころかチェーン書店も危うい、そういう消えていく日常へのささやかな抵抗と、祈りというか哀切というか、消えていくものへの愛しさが読んでいるこちらにあふれてきて、じわんとしました。
良い作品の日常のディティールというのは、時代を超えて、あの時の匂いまで蘇らせるのだなと改めて感心した人知れぬ短編傑作だと自分は思います。
水に眠る (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 水に眠る (文春文庫)より
4167586010
No.11
(5pt)

響きあう人々

帯の惹句によれば「様々な愛の形を描く短編集」

この言葉に、当初、連城三紀彦風のミステリーを想像、期待して読み進めていき、
見事肩透かしを食ってしまった。

いわゆるオチがないのである。なんだかふわふわと取り留めのない、
およそあり得ない、ファンタジーのような、時には近未来小説のような…
そして宙ぶらりんなラスト。

あー、がっかりだと思いながら読み進めていったラス2の9編目、
「ものがたり」

ラスト2頁からのおそろしいまでの緊迫感。そして最後の一行…。
まさに心が震える。個人的には、ここ1年間、いや数年間で読んだ短編の中で、
掛け値なしに最高の傑作であった。

この1編だけで本作を買ったかいがあるというものだが、そこで思い直して、
再度他の小編を読み返してみると、おかしくて切ない話、心にさみしさが響く話、
冷え冷えと孤独が身に染みる話等々、味わい深い話が並んでいることがわかってくる。

北村薫はあとがきで、「これらは、人と人の、『と』に重きを置いて
書かれた物語なのである」としているが、私なりに言葉を置き換えてみると、
これらは、通じあう(響きあう)、あるいは通じる(響く)ことのない人と人との
幸福な、あるいは孤独な関係を、ときにはファンタジー風に、ときにはコミカルに、
ときにはSFチックにと、様々な形を用いて描いているように思える。

巻末の11人の解説陣による解説も豪華。その中で若竹七海が、
「上質の短編小説には無限の広がりがある」と書いているが、まったく同感。

本作でも「ものがたり」や「かとりせんこうはなび」、「恋愛小説」などでは、
かすかな手がかりを元に、背後に広がる世界や歴史について、読み手の想像を
掻き立てずにはおかない何かがある。

そして、我が意を得たりと感じたのは、御大、山口雅也が「ものがたり」について
書き記していること。

「短編ミステリの傑作−と、あえて言っておきたい。現代ミステリの成果を示す
アンソロジーが編まれる時、常に指定席を用意されるべき作品、と。」
水に眠る (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 水に眠る (文春文庫)より
4167586010
No.10
(5pt)

充実できる短編集

今まで北村薫の作品を7冊ほど読んできましたが、この本に収まっている短編はどの文体も内容も色も違います。山本文緒風味から星新一風味まで。北村薫ってこんなのも書けるんだとますます憧れてしまいました。

もちろん、その中にも北村薫の哀愁とかほのかに香る優しさ、感覚的だけど確かに分かる表現という色合いもちゃんと流れており、短編といえども充実した時間をくれます。

個人的に一番好きなのは北村薫らしい(と思う)、「かとりせんこうはなび」。最後に一組のカップルが交わす一言、二言の会話がこの話の全体を包み込み、二人の絆をピックアップしています。
水に眠る (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 水に眠る (文春文庫)より
4167586010
No.9
(5pt)

幅広い才能を見せてくれる本

単行本の初版は1994年、北村薫ファンの僕が何故か見逃してきた作品集だが、読んでよかった。北村薫の小説には時として「君達は人間として最低これだけの教養がなけれなばね」風のところがあって、正直読む気を失せさせることがある。しかし、この作品は文句のつけようが無い。全体に香りがあって均質なレベルの高さがある。
本には10の短編が収められ、それらを11名の人々が解説をする豪華な企画の文庫。解説陣では山口雅也、加納朋子、若竹七海の三人が特にいい。収録作品に推理小説はないが、恋愛小説から艶笑談風なもの、幻想小説、近未来の家族ものまでありバラエティに富んでいる。文に湿り気と品があって、何度でも読み直したくなる一冊だ。
「恋愛小説」の甘さ、「水に眠る」の思わずナイフを手にしたくなるような幻想味、「植物採集」の男と女の微妙な心理の綾、「はるか」の少女の心の美しさ、「ものがたり」の隠された情熱、「矢が三つ」の艶笑談ぎりぎりの、でも決してそうならない未来の家族と性のありようを描いたものなどどれをとっても見事。人間への洞察も含めて文句のつけるところが無い。
読んでいて連想したのが泡坂妻夫だ。二人とも年齢が高いというのも共通しているが、作品が圧倒的な教養に裏打ちされていて、駄作が少ないと言う点でも似ている。しかも、決して寡作ではない。もし違いがあるとすれば、今のところ北村には時代小説がないと言う点だけだろうか。もし、あの古典などの知識を駆使して、王朝談や室町、江戸ものを書いてもらえたら、そういう期待を抱かせる幅広い才能を見せてくれる本。それにしても表題作の世界はしゃれた深みがあって、フランス音楽を思わせる。
水に眠る (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 水に眠る (文春文庫)より
4167586010
No.8
(5pt)

「はるか」良いですよ!

この短編集は10を超える回数、読んでます。
北村薫さんの著書には過去の文芸人、文芸論に傾くものが多いのですが、これにはそれが無いので、北村初心者にはとっかかりが良いかもしれません。

今回、読み直して響いたのは……
「水に眠る」ささやかなファンタジー。恋心のような満たないような淡い人間関係の奥を想像するのも楽し。
「かすかに痛い」散歩している時の海の描写がすてき。一緒に冬の海を歩いているようなムードに浸る。

そして今回一番響いたのが「はるか」です。
なんでもない個人書店のバイトさんと店長さんの一年の物語。ういういしくみずみずしいはるかと、それに振り回される新米店長のやり取りはほほえましいのですが、作中にあふれる「本ラブ」「本屋ラブ」と書店の何気ない日常の活写が、個人書店どころかチェーン書店も危うい、そういう消えていく日常へのささやかな抵抗と、祈りというか哀切というか、消えていくものへの愛しさが読んでいるこちらにあふれてきて、じわんとしました。
良い作品の日常のディティールというのは、時代を超えて、あの時の匂いまで蘇らせるのだなと改めて感心した人知れぬ短編傑作だと自分は思います。
水に眠る Amazon書評・レビュー: 水に眠るより
4163151400

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