キングとジョーカー
- SF (392)
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架空の英国王室が舞台で、王室内で悪質ないたずらを仕掛けるジョーカーが暗躍するというストーリー。 もちろんジョーカ-が巻き起こす事件の真相を暴いていくのですが、そうしたミステリ要素と同時に、王室内の人間模様にも多くが費やされています。 その結果ということなのか、ミステリとして特筆すべき点が見当たらないのは残念ですが、過酷な運命に健気に立ち向かうヒロインには好感が持てますし、濃密な人間ドラマは読み応えがありました。 | ||||
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個人的には文句なく五つ星だが、万人に奨められる作品でないのは確か。 ミステリとしての謎は他愛ないものなので、これを高く評価しない人もいるだろう。 本書の魅力は何よりもチャーミングな登場人物たち。そして精緻に構築された王室の日常生活。 スルメのような味わいと言うか、読み返したり他のジャンルの作品に触れたりするほど、評価したくなるだろう。 アントニイ・バークリー「最上階の殺人」(新樹社)に近いか。魅力的なキャラクターと文章を楽しむ作品である。 山口雅也氏の解説も的確に魅力を捉えたもので、一読の価値あり。 冒頭の家系図や訳文など、コレクターズアイテムとして名高かったサンリオ文庫版よりも配慮が成されている。 ただ、贅沢を言えば表紙デザインはもう少し頑張って欲しかった。 | ||||
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架空英国で1970年代に起きた王室での事件・生活ぶりを克明に描くという奇想天外な設定で読者を驚かせる作者の代表作。架空の系譜図まで作るという凝り様で、イギリスでよく発禁にならなかったと感心する。 王室一家はかなり卑近に描かれる。レッド・ツェッペリンのポスターを自室に貼る本書の狂言回し役王女ルイーズ。便秘と財政難に苦しむ王。そして何と言っても光るのは歴代王室11名のおしめの面倒を見た82歳の乳母ダーディ。圧倒的な存在感であり事件の鍵を鍵を握る重要人物だ。「日本の皇室がいたから第2次世界大戦が戦えた」というセリフも出て来て、ニヤリとさせられる。その王室でジョーカーによるイタズラが起こり、やがて殺人事件に発展する...。 大掛かりなトリックはないが、王室特有の人間模様の襞の中で事件が解かれる筋の運びも巧い。作者が児童作家でもあるせいか文体が甘い(ルイーズの視点で書いているせいもあるが)のが気になるが、「そこまで書いていいの」という大胆さと奇想で読者を楽しませてくれる傑作。 | ||||
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ディキンスンについてはサンリオ文庫版古本がやたら高い作家という知識しか無く、今回その小説をはじめて読んだのですが何とも不思議な読後感でした。いろいろな小説をいっぺんに読んだ感じというか。 イギリス王室を舞台とする架空歴史SFでかつ、誰がジョーカーなのかという謎で最後まで引っ張る上質のミステリーでかつ、王女ルイーズを主人公としたの青春小説で家族小説でかつ、それら全てが矛盾無く共存している万華鏡のような象徴的パズル、、、とにかく洗練された最高級の小説です。「内輪」と「よそゆき」のテーマが全てを貫き、「ジョーカー」は簡単に境界を越え、読んでるうちに何が「本物」で「現実」なのかが次第にわからなくなります、、、 清涼院流水がものすごく洗練されたら、もしくはボルヘスがものすごく真面目に「小説」を書いたらこんな感じになるのでは?決して万人受けはしないと思いますが、「薔薇の名前」とか好きな人にとてもお勧めです。 それにしても、、、マシスンといい、トンプスンといい、扶桑社ミステリーは売れ線とは微妙にズレた超B級小説の救世主です。ものすごい目利き。この勢いでディキンスンの他の作品も文庫化しちゃってくれれば嬉しいのですが。 | ||||
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舞台は、パラレルな英国のロイヤルファミリーがいるバッキンガム宮殿。王女ルイーズは、朝食の席で いたずらを目撃する。王が自分の皿の蓋をとると、大きながま蛙がのっていたのである。最初は他愛な いいたずらに思われたこの事件が、やがて宮中をゆるがす殺人事件まで引き起こすことになろうとは、 この時は誰も知るよしはなかった。宮中警備隊とロンドン特捜部の裏をかき暗躍するジョーカー。 目的はなんなのか?ジョーカーとは誰なのか?これは結構オフビートな作品だった。主人公は王女ルイーズなのだが、彼女が子どもながらにとても健気だった。様々な思惑と明かされてゆくロイヤルファミリーの秘密に押しつぶされそうになりながらも王女としての矜持を保ち、ひしゃげてしまいそうな自分を保とうとする姿が痛々しくもあり、とても惹かれてしまう。それに、明かされる秘密の酷なこと。ぼくだったら耐えられないかもしれない。ディキンスンが作りあげた架空のロイヤルファミリーは、人間味にあふれていて、みな魅力的。特に印象に残ったのは、乳母のダーディかな。三代にわたるファミリーの後見役だった彼女は、いまでは寝たきりとなっているのだが、彼女がすべての鍵を握る存在なのだ。一度も結婚せず、一族の世話をするだけで一生を終えてしまう彼女に、しかし悲哀はない。とても大きくて全能的な存在感がある。とても素敵なおばあさんだ。 とまあ、こんな感じでミステリのおもしろさもさることながら、王室をめぐる群像劇としても秀逸な本 書は数多いディキンスンの作品の中でも一、二を争う傑作であることは間違いない。 | ||||
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