(短編集)
流れ舟は帰らず (木枯し紋次郎ミステリ傑作選)
- 名探偵 (559)
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月影兵庫ミステリ選や本書を編集した末國善己は、新潮の周五郎少年文庫の編者でもある。埋もれた昔の作品を発掘したいという意図はわかるが、これまではオール外れだった。歴史の闇に沈んでいた方が作者も読者も幸福、と言っては言い過ぎか。 本書は初めての当たり。71年から78年にかけて書かれたシリーズから、十篇を選出している。 いずれもプロットがひと捻りしてあって、意外な着地点に感心する。 主人公が虚無感に捕らわれた無宿者で、他人との関りを嫌っているという設定もいい。 明朗キャラが事件に首を突っ込んでは人を斬りまくる、なんてのより納得できる。傑作は次の通り。 『女人購の闇を裂く』三十年前の庚申待ちの夜、村人を守るため酔いどれ侍と戦ったのに、村を追い出された男がいた。巡ってきた庚申の夜に、復讐のため戻ってくるというのだが。 緊張したプロットに意外な捻りが加わり、陰惨な結末を迎える。 『笛が流れた雁坂峠』関所を迂回して山越えを目論む紋次郎に、足抜けした女郎たちが同行させてくれと懇願する。否応なしに道連れになったが、女郎たちが次々と殺されていく。 サスペンスみなぎる連続殺人道中に惹きつけられる。伏線回収も鮮やかだ。 『桜が隠す嘘二つ』婚礼を控えた貸元の娘が殺された。 疑われた紋次郎は、居並ぶ親分たちの前で謎解きを披露する。最も本格風味の強い逸品である。 四十年も昔の作品なのに、新鮮さが失われていない。 当時はヒッピー文化と重ねる論評が主体だったが、それよりも時代劇の本格ハードボイルドと呼ぶべきだろう。 再評価したいシリーズである。 | ||||
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ドラマを見た限りでは、単なる股旅物の活劇といった印象があつた。 この作品集の基盤には、本格ミステリのしっかりした骨格がある。 | ||||
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かつて笹沢左保の股旅物を全く予備知識無しで読み、予想外の結末とそのミステリ的趣向に驚倒した憶えがある。 戦後の時代小説における代表的ヒーローの一人、木枯し紋次郎の傑作選である本書もまた斬れ味鋭いどんでん返しと精緻な謎が仕掛けられ、社会派ミステリの流行から泡坂妻夫、島田荘司登場以前の本格ミステリ退潮期に『招かれざる客』(1960年)や『暗い傾斜』(1962年)『求婚の密室』(1978年)など過剰なまでにトリッキーな作品を量産した著者らしい短編揃いだ。そして笹沢作品が持つ美質である陰翳深い叙情が融合し、長谷川伸以来の時代小説の一大ジャンルである股旅物に新機軸をもたらしている。 虚無的でありながら人生の機微と悲哀を感じさせる紋次郎の人物造形の魅力、鮮やかな謎解きと意外性あるプロット展開の妙、圧倒的なリーダビリティは著者が流行作家として一時代を築いた理由を改めて伝える。 江戸期を舞台にしたノワールとして、創意に満ちた短編ミステリ集として、新しい読者にも是非勧めたい。 収録作品 「赦免花は散った」 「流れ舟は帰らず」 「女人講の闇を裂く」 「大江戸の夜を走れ」 「笛が流れた雁坂峠」 「霧雨に二度哭いた」 「鬼が一匹関わった」 「旅立ちは三日後に」 「桜が隠す嘘二つ」 「明日も無宿の次男坊」 | ||||
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