楽園: シドニー州都警察殺人捜査課
- オーストラリア推理作家協会賞受賞 (2)
- 失踪 (242)
- 潜入捜査 (106)
- 警察小説 (526)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.50pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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エデンの闇が深そうで、すぐファンになってしまいました! | ||||
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シドニー州都警察殺人捜査課シリーズの第2作。フランクとエデンの2人の刑事が主役の警察小説であり、エデンの養父・ハデスの過去が明かされるノワール小説でもある。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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経歴紹介を読むと幼時の里子と共に暮らした事や海軍入隊経験有りという特殊な経験が本シリーズの執筆に見事に生かされているのだなと思えるオーストラリアの若手女流作家フォックスの期待の第2作です。前作の原題「ハデス」は訳題「邂逅」に変更されましたが、今回の原題「エデン」を日本語に直訳した様な訳題「楽園」にもそれ程深い意味はなく何となくフィーリングで受け入れればいいのだろうと思いますね。それから単独で読んでも大丈夫ですが、やはり第一作「邂逅」を読み終えてから本書に取り掛かる事をお奨めしますね。その理由はヒロイン、エデンの複雑な生い立ちやフランクとの関係を知る上でも欠かせないのは勿論の事ですが、何より本シリーズの性格がラブ&ピース的な正統的な正義の物語ではなく、正反対のハードバイオレンス系の異端派の物語である事を前もってよく理解した上で、そういったストーリーが嫌いで読後に「騙された」という感想を持たれたりしない様にくれぐれも覚悟してお読み頂きたいと思うからなのですね。 恋人の死に思い悩んで仕事が手に着かない刑事フランクを立ち直らせようと相棒の女刑事エデンは彼に養父ハデスの調査依頼の仕事を引き受ける様にと持ちかける。エデンは行方不明の3人の女を巡る事件で被害者に共通するある農場へとおとり捜査官として潜入する事となり、フランクは彼女の監視チームの指揮を執る事となるのだったが・・・・。 本書もまた最近では珍しくない550頁を越える大分の小説ですが、全編に渡って充分に引き締まっているとは言い難いややダラダラしたエピソードが続く展開になっていますので、焦らず慌てずにのんびりと読み進めるのがいいでしょう。3つの大きなストーリーの流れで最も注目すべきは「ハデス」ことハインリッヒの若き日の既に只者ではない凄まじい存在感を示す不吉で危ない常に死と隣り合わせの物語で、ここには警察官は出て来ても全く意味を成してはおらず裏社会の無法のアウトロー小説の味わいが楽しめるでしょう。次にはヒロイン、エデンの趣味とも言える悪党成敗の小エピソードと潜入捜査での農場に出入りする野郎どもや女達との接触の様子が描かれますが、これが中々に曖昧な進行具合でさっぱり核心に迫らずにかなりの我慢を強いられます。最後に刑事フランクの行動ですがハデスにまつわる問題の核心が何なのかは首尾よく突き止めたものの、そこからは行き止まりで前に進めません。彼のプライベートでの明るい材料は女精神科医イモジェンと良い関係になりそうな気配が見える事で、やはり異端すぎる危険な相棒の女刑事エデンと恋仲になって結ばれる事はもう200%有り得ないと言ってよいのかも知れませんね。さて途中の展開は大きな変化に乏しく何時になったら謎の解明が進展するのかなと心配になりますが、残り数頁を残すのみとなった所で漸く二つの謎が決着の時を迎えます。著者の流儀は緻密な推理ではなく多分に直感と成行による事態の露見というフィーリング的な物ですが、でも中々に人間心理の盲点を突いていてそれぞれに驚かされ目を見開かされましたね。導かれた結末はどちらも理不尽で残酷その物の胸が悪くなる様な代物ですが、でも著者はクライマックスの衝撃のシーンを決してホラーの感覚で楽しんで書いている訳ではなく必要最低限に留めているのだと感じますし、悲惨ではあってもその差は大きいと思うのですね。私はその意味からもハードバイオレンス系の物語ながらも唯単に惨いだけの話でないと信じて読み続けようと考えています。最後に三人についてですが、まずドッグボーイこと「ハデス」は敵に回すと恐ろしい相手で決して関わりを持たないでいたいと思いますが、初恋の人に対する感情には人間らしさがあって憎めませんし、中々にしぶとく健在で獄中に入りそうにありませんね。答えの出ていない幼い日の火事の記憶が戻る時が来るのかは不明ですが、まあ所詮は昔の事ですから別段明かされなくてもいい気もしますね。次に一番まともなフランク刑事はその健全さが貴重な資質ですから今後も行き過ぎの暴走を防ぐ役割を果たして欲しいと願いますし、プライベートではやはり堅気の女性と幸福に結ばれるのが最善でしょうね。そして危険な女刑事エデンの最後の行動は殺るか殺られるかの状況では止むを得なかったのだと思いますし、うーん彼女の生き方は絶対に肯定は出来ませんがこの厳しい世の中で隠れた悪党どもが大勢のさばる現状では犯罪の再発防止という意味からも許容してしまいそうになるというのが正直な感想で、とにかく何とか命を取り留めて今後も険しい道程で幸福とは無縁でしょうけれど自分の信じるやり方で人生を彼女なりに精一杯生きて欲しいと思うのですね。 | ||||
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経歴紹介を読むと幼時の里子と共に暮らした事や海軍入隊経験有りという特殊な経験が本シリーズの執筆に見事に生かされているのだなと思えるオーストラリアの若手女流作家フォックスの期待の第2作です。前作の原題「ハデス」は訳題「邂逅」に変更されましたが、今回の原題「エデン」を日本語に直訳した様な訳題「楽園」にもそれ程深い意味はなく何となくフィーリングで受け入れればいいのだろうと思いますね。それから単独で読んでも大丈夫ですが、やはり第一作「邂逅」を読み終えてから本書に取り掛かる事をお奨めしますね。その理由はヒロイン、エデンの複雑な生い立ちやフランクとの関係を知る上でも欠かせないのは勿論の事ですが、何より本シリーズの性格がラブ&ピース的な正統的な正義の物語ではなく、正反対のハードバイオレンス系の異端派の物語である事を前もってよく理解した上で、そういったストーリーが嫌いで読後に「騙された」という感想を持たれたりしない様にくれぐれも覚悟してお読み頂きたいと思うからなのですね。 恋人の死に思い悩んで仕事が手に着かない刑事フランクを立ち直らせようと相棒の女刑事エデンは彼に養父ハデスの調査依頼の仕事を引き受ける様にと持ちかける。エデンは行方不明の3人の女を巡る事件で被害者に共通するある農場へとおとり捜査官として潜入する事となり、フランクは彼女の監視チームの指揮を執る事となるのだったが・・・・。 本書もまた最近では珍しくない550頁を越える大分の小説ですが、全編に渡って充分に引き締まっているとは言い難いややダラダラしたエピソードが続く展開になっていますので、焦らず慌てずにのんびりと読み進めるのがいいでしょう。3つの大きなストーリーの流れで最も注目すべきは「ハデス」ことハインリッヒの若き日の既に只者ではない凄まじい存在感を示す不吉で危ない常に死と隣り合わせの物語で、ここには警察官は出て来ても全く意味を成してはおらず裏社会の無法のアウトロー小説の味わいが楽しめるでしょう。次にはヒロイン、エデンの趣味とも言える悪党成敗の小エピソードと潜入捜査での農場に出入りする野郎どもや女達との接触の様子が描かれますが、これが中々に曖昧な進行具合でさっぱり核心に迫らずにかなりの我慢を強いられます。最後に刑事フランクの行動ですがハデスにまつわる問題の核心が何なのかは首尾よく突き止めたものの、そこからは行き止まりで前に進めません。彼のプライベートでの明るい材料は女精神科医イモジェンと良い関係になりそうな気配が見える事で、やはり異端すぎる危険な相棒の女刑事エデンと恋仲になって結ばれる事はもう200%有り得ないと言ってよいのかも知れませんね。さて途中の展開は大きな変化に乏しく何時になったら謎の解明が進展するのかなと心配になりますが、残り数頁を残すのみとなった所で漸く二つの謎が決着の時を迎えます。著者の流儀は緻密な推理ではなく多分に直感と成行による事態の露見というフィーリング的な物ですが、でも中々に人間心理の盲点を突いていてそれぞれに驚かされ目を見開かされましたね。導かれた結末はどちらも理不尽で残酷その物の胸が悪くなる様な代物ですが、でも著者はクライマックスの衝撃のシーンを決してホラーの感覚で楽しんで書いている訳ではなく必要最低限に留めているのだと感じますし、悲惨ではあってもその差は大きいと思うのですね。私はその意味からもハードバイオレンス系の物語ながらも唯単に惨いだけの話でないと信じて読み続けようと考えています。最後に三人についてですが、まずドッグボーイこと「ハデス」は敵に回すと恐ろしい相手で決して関わりを持たないでいたいと思いますが、初恋の人に対する感情には人間らしさがあって憎めませんし、中々にしぶとく健在で獄中に入りそうにありませんね。答えの出ていない幼い日の火事の記憶が戻る時が来るのかは不明ですが、まあ所詮は昔の事ですから別段明かされなくてもいい気もしますね。次に一番まともなフランク刑事はその健全さが貴重な資質ですから今後も行き過ぎの暴走を防ぐ役割を果たして欲しいと願いますし、プライベートではやはり堅気の女性と幸福に結ばれるのが最善でしょうね。そして危険な女刑事エデンの最後の行動は殺るか殺られるかの状況では止むを得なかったのだと思いますし、うーん彼女の生き方は絶対に肯定は出来ませんがこの厳しい世の中で隠れた悪党どもが大勢のさばる現状では犯罪の再発防止という意味からも許容してしまいそうになるというのが正直な感想で、とにかく何とか命を取り留めて今後も険しい道程で幸福とは無縁でしょうけれど自分の信じるやり方で人生を彼女なりに精一杯生きて欲しいと思うのですね。 | ||||
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