黒い風
- オカルト (136)
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以前、図書館にあった本書を読み、「山河燃ゆ(二つの祖国)」みたいだなと印象に残ったことがありました。 ふと思い出し、再度借りにいったら既に、廃棄処分になっていました。 となるとどうしてもまた読みたくなり、現物を入手して読み返し、やっと満足できました。 | ||||
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F・P・ウィルソンの4作品目。 私は原作が出版された順に読んでいます。 ですので、まだ私は(最高傑作と言われている)ナイトワールドを 読んでいないことを先に申し上げておきます。 過去3作品と比べても、自分が日本人であるから、ということからも本作品は これまででベスト!です。テーマは太平洋戦争中の日米の物語。 アメリカ人である作者が、日本・米国の両方のそれぞれの観点から、 どちらかが一方的に悪い、といった偏った視点ではなく、 それぞれの立場で物語を紡いでいきます。 日本人でありアメリカで育った主人公の松男、日本で育った松男の兄の弘樹、 アメリカ人であり松男の友達のフランク、弘樹の許嫁であったが松男とフランクの妻となる明子、 この4人が物語の中心人物。この4人が複雑な運命に翻弄されながら、 歴史上の著名な人物も巻き込んで一気にエンディングまで突き進んでいく。 まさしく一度読み始めたら最後まで止められない、ページをめくるのももどかしい大作です。 外国人作家が日本のことを書く際によくありがちな「不思議な国ニッポン」といった描写もなく、 (翻訳者の努力で、翻訳時に作者了解の元でいくつか修正した点はあるようです。 原文には信長が江戸に行く、といった描写があるようです) 逆によくぞここまで当時の日本の情景を米国人作家が描写できたものだと感心してしまうくらい。 東京・京都・広島の描写が非常に緻密でリアルです。 F・P・ウィルソン流のオカルト要素としては、 日本の古いカルト教団がもつ秘法が、本のタイトルとなっています。 いかにも日本のカルト教団が考えそうな(効果がある・なしは別にして)秘法が、 物語に非常にいいスパイスとなり、神風が吹く日本と、 圧倒的な物資・科学技術により戦局を有利に進める米国の対比が非常に面白い。 絶版となり中古で入手するか、図書館などで探すしかありませんが、 F・P・ウィルソンのファンだけでなく、是非ともミステリー好き、オカルト好き、 戦争小説好きな方は読んでほしい。もっと評価されていい作品です。 | ||||
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ウィルスンの作品は、彼の看板である「始末屋ジャックシリーズ」をはじめ、饒舌な描写を抑えエンタテイメントに徹したものが多く、非常に読み易い点が特長です。 本書でも、太平洋戦争という史実をベースとした関係で多少文学的な趣きはあるものの、その作風はキッチリ活かされています。 また、アメリカ人の作品としては、良い意味で下記の点で異色作といえます。 1)日本が主要な舞台でかつ日本人を主人公としているが、おかしな描写がほぼない (どうしても気になる点は、訳者が作者に申し入れ、最低限の添削をしたとのこと) 2)大戦に対して、非常にリベラルな観点で日米両国の立場を描写している 鍵となるホラー要素は、欧米が舞台だと雰囲気的に馴染みそうにない題材ですが、ここらへんも日本を絡ませることで、神秘性や戦争への関与等、抜群にうまく処理が出来ています。 解説にある通り、相当な勉強と覚悟で執筆にあたったことが窺える力作です。 詳細は読まれてのお楽しみとして、『面白い伝奇小説』をお探しの方に全力でお奨めしたい作品です。 | ||||
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「隠れた貌」という架空の秘密宗団はあらわれるものの、かなり多くの部分で実在の将軍や重要人物が話しに登場し、さらに2・26事件、日本軍の真珠湾攻撃、そして原爆投下という史実がもとになっているため、ポール・ウィルスン定番のホラー小説というより、文学作品に近い感じで彼の作品の中ではかなりの異色作といえます。「隠れた貌」や黒い風の秘法というエピソードがなければ、日本文学としても通用するかもしれません。特にアメリカ人であるウィルスンが自国の考えや主張に固執することなく、日本とアメリカ両方の立場をバランスよく描いているのは驚きで、彼の作家としての懐の広さが伺えます。 | ||||
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