白の十字架
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あらすじ
東京都内の空地で大学生が殺された。犯行時被害者と情交中だった女性は、警視庁の一柳刑事の妻だった。彼女は突然襲ってきた犯人に暴行され、“遺留品”を胎内に宿した。捜査線上にはヒマラヤ・ネパルチュリ登山隊のアルピニスト・津雲の名が浮かぶ。津雲は頂上アタックに失敗し、朋友を死なせていた。心の中に十字架を背負った男女が交錯する、傑作推理小説。(「BOOK」データベースより)
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評判
白の十字架の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 B ランク
白の十字架の総合評価:
10.00/10点 レビュー 5件。
感想一覧
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この物語は二つのシーンから始まります。第一章ではヒマラヤ・ネパチュヌリの登攀シーンから始まります。エベレストを最高峰に8000mを超える山峰が聳える山々が次々と登頂されるなか、ネパチュヌリは8000mに達しないが未踏峰という事で各国の登山隊がターゲットにしている高峰でした。
津雲明広と高浜正一は、頂上アタックを目の前にして少し度を過ぎた事を感じた。この遠征に関して各所からできる限り借金して遠征費用を集めた二人は、なんとしても登頂して名声を高めたかった。その欲がミスの元でした。森村氏による、登攀シーンの描写は秀逸です。
高浜が動けなくなった、頂上まであと200m。高浜は「下山してくれ」と懇願するが津雲は目の前に見える名誉の為に高浜を置き去りにしてしまう。結局、登頂は失敗して帰国してみれば当然、隊員を置き去りにして見殺しにしたと世間から大きく非難を浴びる。
それと並行して、東京都杉並区の一角、雑木林の中で大学生の殺人と思われる死体が近所の小学生によって発見される。大学生は情交中に殺害された可能性があり、近くにスーパーマーケットのレシートが落ちていた。それには大学生の指紋は採取されず、情交相手の女のものだと推測される。その購入品目から、すき焼きの食材を購入した事が分かる。その日付にすき焼きの食材を購入した人物を特定して身元を割り出すと言う筋書きなのは実に面白い。
捜査を担当していた一柳敏郎は、その食材の品目を見てその日自分が食べたすき焼きの品目と同じだった事を知る。そこで一柳は妻が大学生と不倫中に何者かによって殺人事件に巻き込まれたのではないかと疑いを持つ。
エベレスト・ネパチュヌリの壮絶な登山シーンから始まった物語は、刑事の妻が不倫していた大学生が殺されるという全く異次元の話が並行するが、森村氏の筆によって巧妙にリンクさせられ最終的には大長編小説に仕立てあげられている。
今まで勤勉スマートな刑事の姿を多く書いてきた森村氏ですが、刑事の妻が不倫したうえ身ごもってしまい悩みに悩みながらも捜査を止めることの出来ない苦しい心の中が読み取れてとても悲しくなる。