悪夢の設計者
- ダイイング・メッセージ (52)
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主人公は大企業の御曹司と瓜二つの男。 その御曹司が新婚旅行先で何者かに襲われ、瀕死の状態で主人公の前に現れ、ダイイングメッセージを残して死ぬ。 御曹司の新婦は、夫に死なれては財産が自分の物にならないので、主人公を御曹司の身代わりに仕立てようとする。 だが一方で、財産分与目当てに御曹司を謀殺した誰かは、主人公がニセモノだと知っている。 誰が御曹司殺しの犯人なのか。ダイイングメッセージの意味は。 そして主人公の替え玉作戦は果たして成功するのか。 御曹司殺しの真犯人は誰かという謎解きと、財産乗っ取りを邪魔する者は殺してしまわねばならない主人公側の犯罪を描いた倒叙モノとが、同時進行する意欲作。 昔の森村誠一は一作一作力を入れて書いていたのだなあと再認識させられた。 | ||||
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商社の御曹司財川一郎が新婚旅行先で何者かに殺害される。 しかも死亡直前にある男を訪ねた直後であったが、訪ねた男と一郎はうり二つのそっくりであった。 新妻はうり二つの男と手を組み財川一郎になりすまし商社の重役に成り上がる。 巧妙に計画された遺産相続乗っ取り計画で殺人まで犯し最終目的直前で思わぬぼろが出てしまう。 見事なストーリーと入り組んだ人間関係を巧みに利用した傑作だった。 一般文学通算2017作品目の感想。2018/01/30 17:40 | ||||
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1974年3月に出版されました。これまで多くの社会派的な作風で大企業のエゴイズムを糾弾したり、官僚や政治家の巨悪も辛辣に批判したり、社会悪を見事に描いた作品が多くありました。しかし本作は、人が持つ財産目当ての欲望を醜く描いた人間ドラマに特化したものです。 100億円を超える資産を持つ、財川企業集団(グループ)の財川総一郎の長男で御曹司、財川一郎と多津子の各界から多数の参列者を招いた盛大な結婚披露宴が都内の高級ホテルで執り行われました。総一郎は、その後二人が新婚旅行に向かう東伊豆に行った時、「みずき」と言う男を訪ねろと伝えます。 その一方で、元はヤクザで今は伊豆東海岸の網塩温泉で客引きをしている水木時彦の住む借家の木戸に夜遅く一人の男が倒れて死んでしまった。水木はその男の風体から、町の最高旅館“芙蓉館”の客だと知り警察に届けるより、その変死した親族に先に知らせて礼金をせしめようと考えました。 水木は連絡した男の妻、多津子から死者は100億を超える資産を持つ財川企業集団の御曹司で有る事を知らされます。その時、水木は多津子から財川一郎と自分が瓜二つと言っても良いくらいに似ていると言われる。多津子と一郎は盛大な結婚式を挙げたばかりで新婚旅行先での初夜の晩でありました。 多津子はもともと一郎の莫大な財産が目的で一郎に近づき、まんまと妻の座を得たのでしたが、入籍は旅行から帰ってからのつもりでまだ済んではいなかったのでした。今、一郎に死なれたら、その財産分与に預かれないのでした。 そこで多津子は水木が一郎とそっくりなことに目をつけ、水木に一郎のふりをさせるように考えるのでした。多津子は、ここから水木に財川一郎になるための特訓を行う。細かい仕草から、食べ物の好き嫌いまで、夜は多津子とどういった交渉をもっていたかまで。多津子は一郎の好んだ性交の体位まで水木に体を張って伝える。ここまで徹底してくると、もはや滑稽でありユニーク過ぎる。 しかし、なんとなく結論が見えてしまう。よくあるパターンで本当の財川グループの跡継ぎは、実は水木時彦だったというパターンが。しかし森村氏は、そんな簡単な結末は用意していなかったのです。読んでみて下さい、いやぁ~面白い! 財川一郎に成りすました水木は、思わぬところで危うい目にあってしまう。軽く紹介すれば、一郎の叔母の恵子が水木の食べるトマトを見て「いつから、あなたはトマトを食べるようになったの?」と聞かれて狼狽えてしまう。水木のヤクザ時代の弟分が「水木の兄貴でしょ~上手くやってますね?」とお零れを預かろうと近寄って来る。しかし、そういった危機をどの様に解決、排除したかは本書を読んで楽しんで貰いたいです。 森村誠一氏は、自己のテーマのモチーフとして「描きたいのは人間ドラマだ」と述べています。本作は、人間が人間として持つ欲望を表しています。また、それに男と女の愛欲を糊塗することなく横糸として話のなかに絡め、物語の面白さを増しているように感じます。 森村氏はこれまで山岳の高峰を舞台に繋がれた若者たちの友情が下界へ下り社会に入り込むと、その利益優先主義の歯車として働かされ友情をも裏切ってしまう残酷な話や、莫大な財産を持つ大企業のエゴイスティックな裏側を批判したり、高級官僚や政治家たちの巨悪を糾弾したりと本格社会派的な作風を数多く書いてきました。 本作は、天一坊的な、なり替わりものの話です。大企業グループの財産分与を目的とはしているものの、これまでの硬派作家のイメージを払拭して人間ドラマに特化した、サスペンス・エンターテインメントの素晴らしい良作だと思います。 | ||||
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1974年3月に出版されました。これまで多くの社会派的な作風で大企業のエゴイズムを糾弾したり、官僚や政治家の巨悪も辛辣に批判したり、社会悪を見事に描いた作品が多くありました。しかし本作は、人が持つ財産目当ての欲望を醜く描いた人間ドラマに特化したものです。 100億円を超える資産を持つ、財川企業集団(グループ)の財川総一郎の長男で御曹司、財川一郎と多津子の各界から多数の参列者を招いた盛大な結婚披露宴が都内の高級ホテルで執り行われました。総一郎は、その後二人が新婚旅行に向かう東伊豆に行った時、「みずき」と言う男を訪ねろと伝えます。 その一方で、元はヤクザで今は伊豆東海岸の網塩温泉で客引きをしている水木時彦の住む借家の木戸に夜遅く一人の男が倒れて死んでしまった。水木はその男の風体から、町の最高旅館“芙蓉館”の客だと知り警察に届けるより、その変死した親族に先に知らせて礼金をせしめようと考えました。 水木は連絡した男の妻、多津子から死者は100億を超える資産を持つ財川企業集団の御曹司で有る事を知らされます。その時、水木は多津子から財川一郎と自分が瓜二つと言っても良いくらいに似ていると言われる。多津子と一郎は盛大な結婚式を挙げたばかりで新婚旅行先での初夜の晩でありました。 多津子はもともと一郎の莫大な財産が目的で一郎に近づき、まんまと妻の座を得たのでしたが、入籍は旅行から帰ってからのつもりでまだ済んではいなかったのでした。今、一郎に死なれたら、その財産分与に預かれないのでした。 そこで多津子は水木が一郎とそっくりなことに目をつけ、水木に一郎のふりをさせるように考えるのでした。多津子は、ここから水木に財川一郎になるための特訓を行う。細かい仕草から、食べ物の好き嫌いまで、夜は多津子とどういった交渉をもっていたかまで。多津子は一郎の好んだ性交の体位まで水木に体を張って伝える。ここまで徹底してくると、もはや滑稽でありユニーク過ぎる。 しかし、なんとなく結論が見えてしまう。よくあるパターンで本当の財川グループの跡継ぎは、実は水木時彦だったというパターンが。しかし森村氏は、そんな簡単な結末は用意していなかったのです。読んでみて下さい、いやぁ~面白い! 財川一郎に成りすました水木は、思わぬところで危うい目にあってしまう。軽く紹介すれば、一郎の叔母の恵子が水木の食べるトマトを見て「いつから、あなたはトマトを食べるようになったの?」と聞かれて狼狽えてしまう。水木のヤクザ時代の弟分が「水木の兄貴でしょ~上手くやってますね?」とお零れを預かろうと近寄って来る。しかし、そういった危機をどの様に解決、排除したかは本書を読んで楽しんで貰いたいです。 森村誠一氏は、自己のテーマのモチーフとして「描きたいのは人間ドラマだ」と述べています。本作は、人間が人間として持つ欲望を表しています。また、それに男と女の愛欲を糊塗することなく横糸として話のなかに絡め、物語の面白さを増しているように感じます。 森村氏はこれまで山岳の高峰を舞台に繋がれた若者たちの友情が下界へ下り社会に入り込むと、その利益優先主義の歯車として働かされ友情をも裏切ってしまう残酷な話や、莫大な財産を持つ大企業のエゴイスティックな裏側を批判したり、高級官僚や政治家たちの巨悪を糾弾したりと本格社会派的な作風を数多く書いてきました。 本作は、天一坊的な、なり替わりものの話です。大企業グループの財産分与を目的とはしているものの、これまでの硬派作家のイメージを払拭して人間ドラマに特化した、サスペンス・エンターテインメントの素晴らしい良作だと思います。 | ||||
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1974年3月に出版されました。これまで多くの社会派的な作風で大企業のエゴイズムを糾弾したり、官僚や政治家の巨悪も辛辣に批判したり、社会悪を見事に描いた作品が多くありました。しかし本作は、人が持つ財産目当ての欲望を醜く描いた人間ドラマに特化したものです。 100億円を超える資産を持つ、財川企業集団(グループ)の財川総一郎の長男で御曹司、財川一郎と多津子の各界から多数の参列者を招いた盛大な結婚披露宴が都内の高級ホテルで執り行われました。総一郎は、その後二人が新婚旅行に向かう東伊豆に行った時、「みずき」と言う男を訪ねろと伝えます。 その一方で、元はヤクザで今は伊豆東海岸の網塩温泉で客引きをしている水木時彦の住む借家の木戸に夜遅く一人の男が倒れて死んでしまった。水木はその男の風体から、町の最高旅館“芙蓉館”の客だと知り警察に届けるより、その変死した親族に先に知らせて礼金をせしめようと考えました。 水木は連絡した男の妻、多津子から死者は100億を超える資産を持つ財川企業集団の御曹司で有る事を知らされます。その時、水木は多津子から財川一郎と自分が瓜二つと言っても良いくらいに似ていると言われる。多津子と一郎は盛大な結婚式を挙げたばかりで新婚旅行先での初夜の晩でありました。 多津子はもともと一郎の莫大な財産が目的で一郎に近づき、まんまと妻の座を得たのでしたが、入籍は旅行から帰ってからのつもりでまだ済んではいなかったのでした。今、一郎に死なれたら、その財産分与に預かれないのでした。 そこで多津子は水木が一郎とそっくりなことに目をつけ、水木に一郎のふりをさせるように考えるのでした。多津子は、ここから水木に財川一郎になるための特訓を行う。細かい仕草から、食べ物の好き嫌いまで、夜は多津子とどういった交渉をもっていたかまで。多津子は一郎の好んだ性交の体位まで水木に体を張って伝える。ここまで徹底してくると、もはや滑稽でありユニーク過ぎる。 しかし、なんとなく結論が見えてしまう。よくあるパターンで本当の財川グループの跡継ぎは、実は水木時彦だったというパターンが。しかし森村氏は、そんな簡単な結末は用意していなかったのです。読んでみて下さい、いやぁ~面白い! 財川一郎に成りすました水木は、思わぬところで危うい目にあってしまう。軽く紹介すれば、一郎の叔母の恵子が水木の食べるトマトを見て「いつから、あなたはトマトを食べるようになったの?」と聞かれて狼狽えてしまう。水木のヤクザ時代の弟分が「水木の兄貴でしょ~上手くやってますね?」とお零れを預かろうと近寄って来る。しかし、そういった危機をどの様に解決、排除したかは本書を読んで楽しんで貰いたいです。 森村誠一氏は、自己のテーマのモチーフとして「描きたいのは人間ドラマだ」と述べています。本作は、人間が人間として持つ欲望を表しています。また、それに男と女の愛欲を糊塗することなく横糸として話のなかに絡め、物語の面白さを増しているように感じます。 森村氏はこれまで山岳の高峰を舞台に繋がれた若者たちの友情が下界へ下り社会に入り込むと、その利益優先主義の歯車として働かされ友情をも裏切ってしまう残酷な話や、莫大な財産を持つ大企業のエゴイスティックな裏側を批判したり、高級官僚や政治家たちの巨悪を糾弾したりと本格社会派的な作風を数多く書いてきました。 本作は、天一坊的な、なり替わりものの話です。大企業グループの財産分与を目的とはしているものの、これまでの硬派作家のイメージを払拭して人間ドラマに特化した、サスペンス・エンターテインメントの素晴らしい良作だと思います。 | ||||
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