虚無の道標
- 飛び降り自殺 (53)
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若い頃森村誠一を知った作品 初期の頃は作品全体に虚無感というか 荒廃感があって名が売れてからの作品より上 初期の作品にこそ森村節があると思う | ||||
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1969年青樹社から出版されました。この年は森村誠一氏にとって忘れる事の出来ない年です。「高層の死角」で江戸川乱歩賞を受賞して、一躍、世間に森村氏の名を知れ渡らせた年でした。 本作は「高層の死角」の前に書かれていたものでしたが、原稿1600枚に及ぶ長編だったために、青樹社の編集長、那須英三氏が出版を躊躇ったものでしたが、乱歩賞受賞後に「乱歩賞受賞前の第1作」という奇妙なタイトルで出版される運びとなりました。 「大都会」「幻の墓」「分水嶺」と山頂を目指す若者たちが、固い友情を結ぶものの、下界に降り、社会の組織の一員になってしまうと、企業のエゴイズムによって価値観が変わってしまい、その友情が軋み、壊れ、更には、その友情さえ裏切ってしまうほどに変化させられ、悲劇となってしまう様が書かれていました。 本作は「企業編」と「山岳編」の二編に分けた処に特色が有ります。山から下りて、友情が壊れてゆくパターンを書いてきましたが、本作は全くに別の書き方をしています。初めに「企業編」が有ります。利益優先主義の企業争いの歯車として働かされ、個人の意思を捻じ曲げられ、挫折した有馬正一が、新たな生き甲斐を求め、山へ帰って活躍するパターンです。 有馬は、山で亡くした妻、静子の死に際の言葉に触発され、北アルプスの“雲の平”へ一日で通じる新道の開発に人生を掛けることになります。題材は「黒部の山賊」の著者で山荘オーナー“伊藤正一氏”です。伊藤氏が“雲の平”に向かう新道開発を題材にしたものです。 今まで「大都会」「分水嶺」で都会へ帰った若者たちが、惨たらしい結末を迎えるのに対して本作では、有馬が山へ帰り、活き活きと新道の開発にあたる姿が描かれています。時には、裏切りにあったり、行政からの嫌がらせがあったりと、三歩進んでは二歩後退させられる様も有りますが、読みながら、一生懸命に有馬正一を応援していました。 本作は原稿用紙1600枚の大作でしたが、長すぎるからと青樹社の那須編集長に言われ、1200枚まで減らしたそうです。それにも関わらず、文庫で700頁にも及ぶ文中の多くの部分を、森村氏は、この新道開発に情熱を注ぎ込む有馬の事が書かれています。おのずから減らされた原稿とは「企業編」に有ったのだと想像しました。 このテーマ(伊藤新道開発)は、よほど森村氏が尊崇の念を持っていたのではないかと思ってしまいます。新道開発に尽力する、有馬正一が実在する伊藤正一氏の名と同じものにしたところに、遊び心があって、嬉しく読んでしまいました。 高山の頂きに繋がるロープウェイも、それ以前に、そこまで人力で獣道を築き上げた人物のいたことを証明している本作でした。 | ||||
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1969年青樹社から出版されました。この年は森村誠一氏にとって忘れる事の出来ない年です。「高層の死角」で江戸川乱歩賞を受賞して、一躍、世間に森村氏の名を知れ渡らせた年でした。 本作は「高層の死角」の前に書かれていたものでしたが、原稿1600枚に及ぶ長編だったために、青樹社の編集長、那須英三氏が出版を躊躇ったものでしたが、乱歩賞受賞後に「乱歩賞受賞前の第1作」という奇妙なタイトルで出版される運びとなりました。 「大都会」「幻の墓」「分水嶺」と山頂を目指す若者たちが、固い友情を結ぶものの、下界に降り、社会の組織の一員になってしまうと、企業のエゴイズムによって価値観が変わってしまい、その友情が軋み、壊れ、更には、その友情さえ裏切ってしまうほどに変化させられ、悲劇となってしまう様が書かれていました。 本作は「企業編」と「山岳編」の二編に分けた処に特色が有ります。山から下りて、友情が壊れてゆくパターンを書いてきましたが、本作は全くに別の書き方をしています。初めに「企業編」が有ります。利益優先主義の企業争いの歯車として働かされ、個人の意思を捻じ曲げられ、挫折した有馬正一が、新たな生き甲斐を求め、山へ帰って活躍するパターンです。 有馬は、山で亡くした妻、静子の死に際の言葉に触発され、北アルプスの“雲の平”へ一日で通じる新道の開発に人生を掛けることになります。題材は「黒部の山賊」の著者で山荘オーナー“伊藤正一氏”です。伊藤氏が“雲の平”に向かう新道開発を題材にしたものです。 今まで「大都会」「分水嶺」で都会へ帰った若者たちが、惨たらしい結末を迎えるのに対して本作では、有馬が山へ帰り、活き活きと新道の開発にあたる姿が描かれています。時には、裏切りにあったり、行政からの嫌がらせがあったりと、三歩進んでは二歩後退させられる様も有りますが、読みながら、一生懸命に有馬正一を応援していました。 本作は原稿用紙1600枚の大作でしたが、長すぎるからと青樹社の那須編集長に言われ、1200枚まで減らしたそうです。それにも関わらず、文庫で700頁にも及ぶ文中の多くの部分を、森村氏は、この新道開発に情熱を注ぎ込む有馬の事が書かれています。おのずから減らされた原稿とは「企業編」に有ったのだと想像しました。 このテーマ(伊藤新道開発)は、よほど森村氏が尊崇の念を持っていたのではないかと思ってしまいます。新道開発に尽力する、有馬正一が実在する伊藤正一氏の名と同じものにしたところに、遊び心があって、嬉しく読んでしまいました。 高山の頂きに繋がるロープウェイも、それ以前に、そこまで人力で獣道を築き上げた人物のいたことを証明している本作でした。 | ||||
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1969年青樹社から出版されました。この年は森村誠一氏にとって忘れる事の出来ない年です。「高層の死角」で江戸川乱歩賞を受賞して、一躍、世間に森村氏の名を知れ渡らせた年でした。 本作は「高層の死角」の前に書かれていたものでしたが、原稿1600枚に及ぶ長編だったために、青樹社の編集長、那須英三氏が出版を躊躇ったものでしたが、乱歩賞受賞後に「乱歩賞受賞前の第1作」という奇妙なタイトルで出版される運びとなりました。 「大都会」「幻の墓」「分水嶺」と山頂を目指す若者たちが、固い友情を結ぶものの、下界に降り、社会の組織の一員になってしまうと、企業のエゴイズムによって価値観が変わってしまい、その友情が軋み、壊れ、更には、その友情さえ裏切ってしまうほどに変化させられ、悲劇となってしまう様が書かれていました。 本作は「企業編」と「山岳編」の二編に分けた処に特色が有ります。山から下りて、友情が壊れてゆくパターンを書いてきましたが、本作は全くに別の書き方をしています。初めに「企業編」が有ります。利益優先主義の企業争いの歯車として働かされ、個人の意思を捻じ曲げられ、挫折した有馬正一が、新たな生き甲斐を求め、山へ帰って活躍するパターンです。 有馬は、山で亡くした妻、静子の死に際の言葉に触発され、北アルプスの“雲の平”へ一日で通じる新道の開発に人生を掛けることになります。題材は「黒部の山賊」の著者で山荘オーナー“伊藤正一氏”です。伊藤氏が“雲の平”に向かう新道開発を題材にしたものです。 今まで「大都会」「分水嶺」で都会へ帰った若者たちが、惨たらしい結末を迎えるのに対して本作では、有馬が山へ帰り、活き活きと新道の開発にあたる姿が描かれています。時には、裏切りにあったり、行政からの嫌がらせがあったりと、三歩進んでは二歩後退させられる様も有りますが、読みながら、一生懸命に有馬正一を応援していました。 本作は原稿用紙1600枚の大作でしたが、長すぎるからと青樹社の那須編集長に言われ、1200枚まで減らしたそうです。それにも関わらず、文庫で700頁にも及ぶ文中の多くの部分を、森村氏は、この新道開発に情熱を注ぎ込む有馬の事が書かれています。おのずから減らされた原稿とは「企業編」に有ったのだと想像しました。 このテーマ(伊藤新道開発)は、よほど森村氏が尊崇の念を持っていたのではないかと思ってしまいます。新道開発に尽力する、有馬正一が実在する伊藤正一氏の名と同じものにしたところに、遊び心があって、嬉しく読んでしまいました。 高山の頂きに繋がるロープウェイも、それ以前に、そこまで人力で獣道を築き上げた人物のいたことを証明している本作でした。 | ||||
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1969年青樹社から出版されました。この年は森村誠一氏にとって忘れる事の出来ない年です。「高層の死角」で江戸川乱歩賞を受賞して、一躍、世間に森村氏の名を知れ渡らせた年でした。 本作は「高層の死角」の前に書かれていたものでしたが、原稿1600枚に及ぶ長編だったために、青樹社の編集長、那須英三氏が出版を躊躇ったものでしたが、乱歩賞受賞後に「乱歩賞受賞前の第1作」という奇妙なタイトルで出版される運びとなりました。 「大都会」「幻の墓」「分水嶺」と山頂を目指す若者たちが、固い友情を結ぶものの、下界に降り、社会の組織の一員になってしまうと、企業のエゴイズムによって価値観が変わってしまい、その友情が軋み、壊れ、更には、その友情さえ裏切ってしまうほどに変化させられ、悲劇となってしまう様が書かれていました。 本作は「企業編」と「山岳編」の二編に分けた処に特色が有ります。山から下りて、友情が壊れてゆくパターンを書いてきましたが、本作は全くに別の書き方をしています。初めに「企業編」が有ります。利益優先主義の企業争いの歯車として働かされ、個人の意思を捻じ曲げられ、挫折した有馬正一が、新たな生き甲斐を求め、山へ帰って活躍するパターンです。 有馬は、山で亡くした妻、静子の死に際の言葉に触発され、北アルプスの“雲の平”へ一日で通じる新道の開発に人生を掛けることになります。題材は「黒部の山賊」の著者で山荘オーナー“伊藤正一氏”です。伊藤氏が“雲の平”に向かう新道開発を題材にしたものです。 今まで「大都会」「分水嶺」で都会へ帰った若者たちが、惨たらしい結末を迎えるのに対して本作では、有馬が山へ帰り、活き活きと新道の開発にあたる姿が描かれています。時には、裏切りにあったり、行政からの嫌がらせがあったりと、三歩進んでは二歩後退させられる様も有りますが、読みながら、一生懸命に有馬正一を応援していました。 本作は原稿用紙1600枚の大作でしたが、長すぎるからと青樹社の那須編集長に言われ、1200枚まで減らしたそうです。それにも関わらず、文庫で700頁にも及ぶ文中の多くの部分を、森村氏は、この新道開発に情熱を注ぎ込む有馬の事が書かれています。おのずから減らされた原稿とは「企業編」に有ったのだと想像しました。 このテーマ(伊藤新道開発)は、よほど森村氏が尊崇の念を持っていたのではないかと思ってしまいます。新道開発に尽力する、有馬正一が実在する伊藤正一氏の名と同じものにしたところに、遊び心があって、嬉しく読んでしまいました。 高山の頂きに繋がるロープウェイも、それ以前に、そこまで人力で獣道を築き上げた人物のいたことを証明している本作でした。 | ||||
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