心のナイフ
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ボスの下から逃げ出し、追手からも逃げのびて、やっとたどり着いた目的地でまさかのどんでん返し。 これでは、夢も希望も無くなってしまう。 | ||||
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上巻を読みおわった時点での感想です。 読む前の期待値が高すぎたのかもしれませんが、最初のうちはまったく入り込めず、少々期待はずれかなと思いました。 主人公トッドの一人称で語られるわけですが、このトッドという少年はこれといった長所がなく、環境のせいで学もなく、意地っぱりで適応能力が低い。 危機に追い込まれたときの対応など、見ていてイライラさせられっぱなしです。 ほかの登場人物がいい人だけに、主人公のダメさ加減が目立って、まったく共感できません。 そういう無力で性格も素直じゃないところが、少年時代のリアルなのかもしれませんが……。 それでも設定が良く、ストーリーも謎をしかけながらどんどん展開していくので、続きが気になって読み進めてしまいます。 で、気がつくとけっこうハマっています。 町の暗い秘密とは何なのか、この星は一体どんな場所なのか、ノイズウイルスとはいったい何なのか。そして女の子はーー。 というわけで、下巻が届くのが楽しみです。 | ||||
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SF仕立ての未来ディストピアYA小説と言えるかと思います。しかも三部作の第一部です。 これは上下巻あわせてのレビューとなります。 宇宙に出て行った人類ですが、ある星(〈新世界〉)の大気圏にはノイズ菌が漂っていました。入植者はそれに次々感染します。菌を持ったものは、すべて「ノイズ」を発し、それが他人に聞こえるようになってしまいます。自分の思念が、言葉でも、映像のかたちでも、ダダ洩れ状態になってしまうのです。動物の思念もそこにまじってきます。(いわば〈サトラレ〉状態、人の思念も個別的に聞こえてきますし、人の多いところでは空間は妄想に満ちあふれています)。 そんな騒音に満ちた町プレンティスタウンでは、ノイズ菌に感染した男は半分が死に、女は全員が死んで(とされている)、これ以上子どもは増えず、最後の最年少の少年トッド(十三才手前)が主人公です。 各個人のノイズを統制して、まとめあげて、支配者になろうとする〈教会〉の指導者アーロンらは、少年たちが大人になる儀式としてあることを要請し・・・最後の少年であるトッドは、町から逃げ出し、逃避行を続けます。とちゅうで知り合ったのは、宇宙船からじかに下りてきたという少女ヴァイオラ。彼女にはノイズがないので、その静けさとともに、相手が何を考えているのかわからない心もとなさと、自分の考えが全部流出してしまうことの居心地の悪さに悩むトッド。 単純なノイズしか発しない愛犬マンチー、そしてこのヴァイオラとともに、トッドは、ノイズ菌を治療できるというヘイヴンなる町を目指して旅を始めます。 とちゅう、ノイズ菌を持ちながら、平和に暮らしている老夫婦(妻は感染しないらしい)に出会ったり、別の町ファーブランチにひととき憩いを求めるものの、そこにはプレンティスタウンの軍勢がせまってきたり・・・息苦しい逃避行の中で、トッドは自分が守るべき、子どもの特質を見いだし、ヴァイオラをノイズなしで理解するようになってゆきます。そして・・・? これは、少年が大人になることについての、P・プルマンの『ライラの冒険』を思わせる「成長」の物語でもあります。「大人の堕落」「教会の圧制(言論思想統制)」「殺戮や戦いは大人のしるしなのか」などなど、かなり似通ったテーマを持っています。 しかしプルマンの「ダスト」よりも、ここでの「ノイズ」はわかりやすく、強いイメージ喚起力を持ち、説得力があります。男性ばかりになってしまったプレンティスタウンのノイズは、たとえば裸の女性やエロティックな妄想にあふれていて、トッドを圧迫します。恨み、欲望、罪悪感、病的な不安。トッドはそれを大人の世界と同一視しますが、それが現実ではなく、「願望・妄想」であることも知っています。 この「ノイズ」は、サイバー空間にたくさんの人の声があふれている現代を象徴しているようでもあります。 自分の思念がまき散らされてしまって、みんなに感知されるという世界で、どうやって人はお互い折り合いをつけていくのか。そして他者を洗脳・統制しようとするのか。これはたいそうリアルな問題提起です。 ヴァイオラのもっている「静寂」にトッドは癒され、初めてノイズぬきで他者を理解し、また自分が守るべき「無垢」を意識します。 これはまだ三部作の一部だけなので、どんな希望がこのさき見えてくるのかは、まだわかりません。 しかもYA小説なので、すべてがトッドの視点からのみ語られ、世界の全貌は見えてきにくいです。しかしそれだけに「大人になること」についての少年のなまなましい不安とおののきが伝わってきます。 「大人になること」はYA小説の大きなテーマですが、この小説の設定は現代社会を鋭くえぐっており、ページを開いたら、何度もがつんという衝撃を与えられながら、下巻の終わりまでノンストップで読まされます。ナイーブな少年トッドと果断なヴァイオラは、どんな未来を見つけるのか。 続編の翻訳が待ち遠しいです。 | ||||
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SF仕立ての未来ディストピアYA小説と言えるかと思います。しかも三部作の第一部です。 これは上下巻あわせてのレビューとなります。 宇宙に出て行った人類ですが、ある星(〈新世界〉)の大気圏にはノイズ菌が漂っていました。入植者はそれに次々感染します。菌を持ったものは、すべて「ノイズ」を発し、それが他人に聞こえるようになってしまいます。自分の思念が、言葉でも、映像のかたちでも、ダダ洩れ状態になってしまうのです。動物の思念もそこにまじってきます。(いわば〈サトラレ〉状態、人の思念も個別的に聞こえてきますし、人の多いところでは空間は妄想に満ちあふれています)。 そんな騒音に満ちた町プレンティスタウンでは、ノイズ菌に感染した男は半分が死に、女は全員が死んで(とされている)、これ以上子どもは増えず、最後の最年少の少年トッド(十三才手前)が主人公です。 各個人のノイズを統制して、まとめあげて、支配者になろうとする〈教会〉の指導者アーロンらは、少年たちが大人になる儀式としてあることを要請し・・・最後の少年であるトッドは、町から逃げ出し、逃避行を続けます。とちゅうで知り合ったのは、宇宙船からじかに下りてきたという少女ヴァイオラ。彼女にはノイズがないので、その静けさとともに、相手が何を考えているのかわからない心もとなさと、自分の考えが全部流出してしまうことの居心地の悪さに悩むトッド。 単純なノイズしか発しない愛犬マンチー、そしてこのヴァイオラとともに、トッドは、ノイズ菌を治療できるというヘイヴンなる町を目指して旅を始めますが・・・ これは、少年が大人になることについての、P・プルマンの『ライラの冒険』を思わせる「成長」の物語でもあります。「大人の堕落」「教会の圧制(言論思想統制)」「殺戮や戦いは大人のしるしなのか」などなど、かなり似通ったテーマを持っています。 しかしプルマンの「ダスト」よりも、ここでの「ノイズ」はわかりやすく、強いイメージ喚起力を持ち、説得力があります。男性ばかりになってしまったプレンティスタウンのノイズは、たとえば裸の女性やエロティックな妄想にあふれていて、トッドを圧迫します。恨み、欲望、罪悪感、病的な不安。トッドはそれを大人の世界と同一視しますが、それが現実ではなく、「願望・妄想」であることも知っています。 この「ノイズ」は、サイバー空間にたくさんの人の声があふれている現代を象徴しているようでもあります。 自分の思念がまき散らされてしまって、みんなに感知されるという世界で、どうやって人はお互い折り合いをつけていくのか。そして他者を洗脳・統制しようとするのか。これはたいそうリアルな問題提起です。 ヴァイオラのもっている「静寂」にトッドは癒され、初めてノイズぬきで他者を理解し、また自分が守るべき「無垢」を意識します。 これはまだ三部作の一部だけなので、どんな希望がこのさき見えてくるのかは、まだわかりません。 しかもYA小説なので、すべてがトッドの視点からのみ語られ、世界の全貌は見えてきにくいです。しかしそれだけに「大人になること」についての少年のなまなましい不安とおののきが伝わってきます。 「大人になること」はYA小説の大きなテーマですが、この小説の設定は現代社会を鋭くえぐっており、ページを開いたら、何度もがつんという衝撃を与えられながら、下巻の終わりまでノンストップで読まされます。ナイーブな少年トッドと果断なヴァイオラは、どんな未来を見つけるのか、続編の翻訳が待ち遠しいです。 | ||||
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