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AliceinAbyss さんのレビュー一覧

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レビュー数7

全7件 1~7 1/1ページ

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No.7: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

medium 霊媒探偵城塚翡翠の感想

これはすごい。本当は☆10レベルの傑作と思いますが、ヲタクの自分的に可愛い翡翠ちゃんの非常にツボを心得た数々の発言にやられてしまったことが悔しくて☆9です(←器の小ささ
読者のミステリ観をすごく試される気がするので、合う合わないは置いといて多くのミステリー好きに読んでもらいたい作品かも。

▼以下、ネタバレ感想
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medium 霊媒探偵城塚翡翠
相沢沙呼medium 霊媒探偵城塚翡翠 についてのレビュー
No.6: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

虚構推理 鋼人七瀬の感想

はたして本作はミステリなのか?

広義のミステリを「謎が提示され、それが解明される物語」とするならば、本作は鋼人七瀬の正体という謎があるもののその解明をメインとする物語ではなく、広い意味でもミステリとは言い難いと思えます。
一方で本格と呼称される狭義のミステリにおいて「ロジックによる謎の解明」を至上とする流れがあります。そして本作は、謎の解明こそありませんが、不可思議への対抗手段として非常に精緻で巧妙な「ロジックの積み重ね」を用いる物語です。だから自分は、本作を見事な本格あるいは変格ミステリであると考えます(言葉のニュアンスの話で、詭弁的論法っぽいですが)。

なのでミステリの魅力を謎の解明によるカタルシスにあると考える向きには薦められませんが、ミステリにおける精緻なロジックの組み立てやその応酬の妙に魅力を感じる向きであれば、かなりお薦めできる作品です。

▼以下、ネタバレ感想
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虚構推理 (講談社タイガ)
城平京虚構推理 鋼人七瀬 についてのレビュー
No.5:
(9pt)

クラインの壷の感想

ゲームブックのシナリオコンテストに応募した、という導入から時代を感じさせます。
「14(パラグラフ:ゲームブックのシーン番号)へ行け」
閑話休題。
そんな昔の作品でありながら、描かれるのは仮想現実という現在の科学技術とその技術が生み出す幻惑的なプロットで、
「クラインの壷」というタイトルが非常に秀逸です。
大オチも、この展開ならこれ以外ないだろうというもので好みです。

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クラインの壺 (講談社文庫)
岡嶋二人クラインの壷 についてのレビュー
No.4: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)
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匣の中の感想

タイトルや目次の構成を見れば明らかなように、本作は四大奇書の一にして孤高の傑作「匣の中の失楽」へのオマージュとして描かれた作品です。
一方で原典が推理合戦や衒学趣味、暗号に密室トリックとミステリのさまざまな要素を濃厚に横断しつつ、その構造的な特性から幻想小説としての側面を強くしそれが大きな魅力となっているのに対し、本作もそれを踏襲しながら、とある仕掛けによって幻想小説ではなく本格ミステリとして成立させている点が非常に素晴らしいと思います。

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匣の中 (講談社文庫)
乾くるみ匣の中 についてのレビュー
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(10pt)

夏と冬の奏鳴曲の感想

間違いなくマイベスト3に入る一冊。
美術手法の「キュビズム」と音楽手法の「無調性」を物語のベースに、過去に真宮和音という女優の魅力にとりつかれ孤島で共同生活を送っていた人々が20年後に再び孤島に集うことで起こる崩壊(と、おそらく再生)を描いた物語で、ラストの大崩壊からのメルカトルの一言によるカタルシス(謎が一つ明かされただけなのに!)は、唯一無二の得がたい読書体験です。

また事件の大枠はなんとなく、フワっとモヤっと分かった気にはなるものの、いまだに細かい点、例えば黒猫や鈴の意味、同一人物に対するゴルゴンの印象の相違、あるいは作中で詳述されるキュビズムと異なり説明がほぼない無調音楽の作中での役割(音楽用語の和音(わおん)に関連するものだと思うのですが)など不明な点も多く、何度も読み返してしまう魅力があります。

ついに新装改訂版が刊行。
といっても今回の改訂で「無調音楽」の説明の追加等を期待していたのですが、そういう大幅改訂は別の一箇所くらいしかなく謎の解明に直接的に繋がるようなものはない印象です。気になる細かい改訂はちょこちょこありましたけどね。その代わりになのか、法月綸太郎氏が新たな解説で「無調音楽」の説明をざっくりして下さってますが、やっぱり自分に音楽的な基礎知識がないせいか本作品に落とし込める形でそれを理解する事はできませんでした。

▼以下、ネタバレ感想
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夏と冬の奏鳴曲 新装改訂版 (講談社文庫)
麻耶雄嵩夏と冬の奏鳴曲 についてのレビュー
No.2: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

アルバトロスは羽ばたかないの感想

前作と同じ児童養護施設「七海学園」を舞台に、保育士の春菜先生や児童福祉司の海王さんらが子供たちの様々な悩みや謎を解き明かしていく連作短編集。
こう書くと「日常の謎」系の本格ミステリと思われるかも知れませんが、人間大量消失事件やコメディチックな監禁事件など日常の謎を超えた様々な事件を扱うため、日常の謎系ミステリが苦手な自分も十分楽しめました。
また作中で児童福祉に関する諸制度や諸問題が上手に事件と関連付けて説明されており、社会派ミステリの側面も魅力的です。
そして最後に明かされる、作中冒頭で提示された墜落事件の真相は驚愕の一言。そのプロットの巧みさに唸らされました。

なお、これから本作を読まれる方は前作からの通読を強くオススメします。
アルバトロスは羽ばたかない (創元推理文庫)
七河迦南アルバトロスは羽ばたかない についてのレビュー
No.1:
(10pt)

キッド・ピストルズの妄想の感想

タイトルにある通り「妄想」、キッドの言を借りれば狂人なりの論理の解明、つまりホワイダニットに焦点をあてた中篇作品集で、それぞれ反重力、ノアの箱舟神話、西洋庭園に対する妄執に取り付かれた被害者たちの狂った論理はすこぶる興味深く面白いです。
またホワイダニットといえば蓋然性の問題となり論理性とは無縁になるものですが、本作はフーダニットをきわめて論理的に突き詰めてあり、本格ミステリのパズル的面白さも十分に楽しめます。
さらにさらに、被害者の「妄想」を補強する手段として各主題に対する衒学趣味が横溢しており、衒学趣味が大好物の自分にとってたまらない作品集となっているため個人的に満点の作品です。
キッド・ピストルズの妄想: パンク=マザーグースの事件簿 (光文社文庫)
山口雅也キッド・ピストルズの妄想 についてのレビュー