■スポンサードリンク
AliceinAbyss さんのレビュー一覧
AliceinAbyssさんのページへレビュー数5件
全5件 1~5 1/1ページ
※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
コテコテのいわゆる「館もの」から、館がストーリー上のガジェットに過ぎないもの、果ては館関係なくない?というものまで、かなりバラエティに富んだアンソロジー作品集です。そのなかでミステリーとして「ん?」と思うところはあるもののトリックの面白さを感じたのは、青崎有吾氏の「噤ヶ森の硝子屋敷」と周木律氏の「煙突館の実験的殺人」、純粋に予想を超えていて楽しめたのが澤村伊智氏の「わたしのミステリーパレス」でした。
ただ古野まほろ氏と青崎氏の両方のファンなら、古野氏の「臨床真実士」シリーズである「文化会館の殺人」も興味深いかもしれません。というのも、その主人公・本多結花には相手の話を“聞く”とその真偽虚実が分かる能力があり、当然このシリーズ作品では、その能力を活かしてロジックを組み上げていくことを特徴とします。ところが「文化会館~」では、特に理由もなく(作中の説明無く)3人の重要関係者の手記を“読んで”真相を推理するという形を取っているため、結花は彼女らの記述内容の真偽虚実を能力で判断できません。しかし、そのことが逆に解決編の述懐やラストの指摘を成立させることになり、それによって強調される本作のテーマが、作品タイトル等を鑑みると特に青崎氏(の某作品)に関するものだ、と個人的に思えるからです。 にしても「臨床真実士」シリーズで手記の記述をメインに(=口話を聞かずに)推理するという『異常性』は、シリーズ読者で無ければ決して分からないことなのに、そんな試みを、シリーズ読者以外も多く読むであろうアンソロジー作品集で何故したしw ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
扉に長編本格推理と銘打たれていますが、自分のものさしでは本作はサスペンスだと思います。
なのでミステリ的な感想を書くことが難しく、それ以外の本作の感想、ただし完全にファンダム目線の感想を書きたいと思います。 竹本氏は文字の選択(意味内容だけでなく文字のビジュアルも考慮した選択)や文節間のリズム、文章の展開のしかたなどがとにかく巧みで、特に情景描写ではその光景がまるで眼前に広がるかのような錯覚を覚えます。そして竹本作品では曇天や雨、夜の闇、本作では濃い霧を舞台のシチュエーションとし読者の前にリアルに幻出させることで、作中の謎すらその眼前の濃霧などに吸い込まれまったく見通せないかのような幻惑感を生み出し、それにより登場人物たちの切迫感や焦燥感をも読者に共有させる効果を生み出しています。 また本作の特筆点として、パソコン通信の時代に電子ネットワーク上を伝播する悪意を予見している点が挙げられます。そしてそのネット上を伝播する悪意と、作中現実世界の深い霧の中で拡散していく悪意をシンメトリーに描き、さらに知っている人にとっては疫病を広める悪魔である「パズズ」のイメージを重ね合わせることで、得体の知れない悪意の広がりを多層的かつ幻惑的に描き出しています。 このように本作(というか竹本作品全般)の魅力は、巧みな文章や設定、構成の妙によって肌感覚すら錯覚させる幻惑の体験にあると思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
本作は、とあるクラブの閉店パーティに集まった7人の男女の描写から幕を開けます。ところが次の章では事件の終盤と警察の事情聴取に場面が飛び、そこで二人の人物による別々の犯人指摘が行われます。そして続く章では、探偵の依頼で当事者である客の一人が事件の経緯をまとめた手記と、事件後の当日夜に探偵に起こった出来事が交互に描かれていきます。
この特異なストーリー構成を見ても分かるように、本作は発生した事件の謎を解明する単なるミステリではなく、メタミステリあるいはアンチミステリ的な企みに満ちた作品に仕上げられています。そしてその企み自体は非常に面白く、その作り方も上手いと思えるのですが・・・土台となるべき事件の謎があまりにも突拍子もなく、結果土台(ミステリ)の上に立つべきそのアンチまたはメタ的企みも微妙に感じられてしまうのが残念です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
春夏秋冬4つの倒叙ミステリ短編を収録した連作集。
犯人たちはネット上の「完全犯罪完全指南」という裏マニュアル本を参考に完全犯罪を目論み、探偵役と熱い攻防を繰り広げます。 深水氏は作中で持論を登場人物に語らせる傾向がありますが、本作でも「物証も無いのに論理的追求だけで犯人が自白するミステリ」への苦言があり、したがって読者は特に犯人の偽装工作の中にどのような物証が残され、犯人を追い詰めるのかに注目しながら読むことになると思います。 その観点で春と夏の事件は非常に面白く読めたのですが、個人的には、正直秋と冬の事件は疑問符のつく内容でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|