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AliceinAbyss さんのレビュー一覧
AliceinAbyssさんのページへレビュー数3件
全3件 1~3 1/1ページ
※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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これはなかなかの問題作ですね。
ちゃんとミステリ作品ではあるんですけど、はたしてこれを「本格」ミステリと呼んでもいいものかどうか。 主人公の高校生優斗の持ち込む事件の謎を、便利屋を営む叔父さんが解き明かすという連作集なのですが・・・ もともと麻耶氏の作品の魅力は、非常に精緻な「ロジック」に軸足をのせることで本格ミステリの形を保ちつつ、本格ミステリの概念を破壊する挑戦的な「プロット」を見せるところにあると思います。 ところが本作では、謎の解明において表面上ロジックをほぼ放棄しているように見えるため、健在の挑戦的なプロットも不発気味に感じてしまいました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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通常のミステリが、例えば「樹木の傷跡」「風切り音」「靴跡の踏み込み」などを鑑みて「凶器は手投げ槍」と推理するという具合に“論理”を組み立てて真相を見出そうとするものであれば、本作は「背中に痣があり、そこに致命傷」「現場は川のほとり」「被害者は指輪を奪っていた」ことから『ニーベルングの歌』のジークフリートの伝承との合致に基づき「凶器は手投げ槍」と推理するという具合に“知識”を組み立てて真相に至ろうとする(犯人も同様の知識を有し、装飾過多の犯罪傾向があるとの前提で)のが一つの特徴である、と言えると思います。
また他にも連想式心理分析なる推理手法、例えば探偵の「スペイン喫茶(バル)に(ムンクの)叫びの絵が飾ってあったか?」との問いかけに、相手が「それはマクドナルドに飾ってありました」と答えようものなら、「この質問を否定するのは、暗殺者ハゲネがジークフリートから武器バルムンクを奪ったとの古典知識を無意識に連想する犯人特有のものだ。だから貴方が犯人だ」といった推理?も多用されています。 もちろんこれらは適当な例で、本作ではもっと高尚で複雑な知識の羅列と組み立てが氾濫しており、良く言えばその知識の奔流に圧倒され、悪く言えば煙に巻かれる形で特に違和感もなく、といっても理解度20~70%といった感じですが、本作を読み進みその作品世界にひたることができました。ところが数箇所まったく意味不明で理解度0%になる部分があり、そこでふと我に返ってしまい黒死館の夢と熱から醒めてしまったため、結局のところこの点数です。 余談ですが、このような知識の伽藍をメインに用いてなおミステリとして成立する作品を作ろうと試みたのが「夏と冬の奏鳴曲」をはじめとする麻耶雄嵩氏の初期作品群であり、一方で連想心理分析から背景知識(という煙幕)を除いたただのダジャレでもミステリが成立すると考えたのが某大説群なのかな、と本作品の影響力の大きさも感じました。 |
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ミステリーではないですね。
そう思って読めば言うほど壁本でもなく、まったく面白くないわけでもありませんでした。 ただ推理の言葉遊びはそんなにレベルが高いわけでもなく、アナグラムを考慮したとしてもただのダジャレ・なぞなぞ100選に毛が生えた程度かと。 言葉遊びを追求するなら単発ネタを乱発するんじゃなく、野田秀樹さんの戯曲のように言葉遊びのそれぞれが有機的につながりながら物語そのものを押し進めるようでないと・・・ 自分が面白いと感じたのは、事件のベースを昔の○○に置いた発想の妙とそこから展開させたマンガチックな真相の2点だけです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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