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梁山泊 さんのレビュー一覧

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レビュー数271

全271件 261~271 14/14ページ

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No.11: 7人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

天空の蜂の感想

某所のレビューを見ても、3・11以前と以後では評価がかなり違いますね。

この作品が書かれたのは今から10年以上前です。
作品中で、「軽水炉の建屋のプール内の使用済燃料が弱点だ」と指摘されています。
東野氏は理系出身とはいえ、専門分野という訳ではないでしょう。
大量の取材、調査に基づいての執筆だったと思いますが、だとしたら、有識者の間でその弱点は、10年以上も前から既知の事実として存在していた事になります。
福島はその弱点をモロに突かれた事になりますが、東野氏の先見の明というより、弱点を弱点のまま改善できていなかったという事に驚きました。
今後も「100%の安全」を期待するのは難しいのだろうと感じました。

また、あれ程の切迫した状況に陥っても、「原発を停止する」と判断できない政府の対応から、原発に頼らざるを得ない現状そして原発の必要性を思い知らされた感じです。
安全性を主張する(せざるを得ない?)政府、煽るマスコミ、反対するごく一部の国民、そして無関心な大多数の国民。
皆それぞれ無責任な部分はあるとは言え、この中に「悪人」はいないと思う。
今作のテロリストにしても悪人だとは思えない。
問題があるとしたら、他人事のように思っている「無関心な大多数の国民」だとは思う。
私もその中にカテゴライズされるが、じゃあどうすればいいのかが分からない。
「搭乗券を買った覚えはないかもしれないが、日本国民は原発という飛行機にもう乗ってしまっている」
全くその通りだと思うが、どの立場の人間の主張もある意味正しく1つの正解を見い出す事ができない。

色々考えさせられた作品です。

天空の蜂 (講談社文庫)
東野圭吾天空の蜂 についてのレビュー
No.10: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

そして二人だけになったの感想

Until Death Do Us Part
「死ぬまで自分の役割を全うする」と訳した時点で、私の負けは確定していたようです。
この作品は、叙述トリックの二重構造になっていると言えばよいのでしょうか。

「”傑作”と”トンデモ作品”は紙一重」

この作品のためにある言葉ではないかと思います。
絶賛する人、くさす人、評価が真っ二つに分かれそうな作品ですね。


▼以下、ネタバレ感想
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そして二人だけになった Until Death Do Us Part (講談社文庫)
森博嗣そして二人だけになった についてのレビュー
No.9: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

斜め屋敷の犯罪の感想

メイントリックは、豪腕・島田氏ならではで、もはや「奇天烈」といってもいいかも知れません。
ただ殺害動機やトリックにリアリティを求める読者の方には受け入れられない作品かもしれません。
これを「本格の極み」と言うのには抵抗がありますが、綾辻氏の館シリーズなどには多大な影響を与えた作品になるのでしょうね。


▼以下、ネタバレ感想
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改訂完全版 斜め屋敷の犯罪 (講談社文庫)
島田荘司斜め屋敷の犯罪 についてのレビュー
No.8: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

女王国の城の感想

学生アリスシリーズ4作目。
前作双頭の悪魔から何と15年も間が開いていたのですね。
シリーズ1番の長編ですが、前作と比べるとかなりスケール的に劣る印象です。
前置きが長いのはいつもの事ですのでいいとして、
最後江神が全員を集めて推理を披露するという流れもいつも通りで好きなのですが、何か盛り上がりに欠けたなと。
「犯人が小者」だったからと言ってしまえばそれまでなのですが、作品内での扱いも何かあっさりしていた気がしました。
正直印象に残らない犯人という感じです。
犯人の動機は協会に対する恨みでしたが、被害者も協会内においてどちらかと言えば小者といえる人物でしたね。

学生アリスシリーズの長編は後ひとつあるそうです。
今作では、前作までで明らかになった江神の問題がまだ回収されず終わりました。
何か今作は、次回作への布石の章だったような気がしてなりません。


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女王国の城 上 (創元推理文庫)
有栖川有栖女王国の城 についてのレビュー
No.7: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

黒猫館の殺人の感想

館シリーズ6作目は、綾辻氏の遊び心満載の、ある意味凄い作品だと思います。
ただその遊び心が理解できるか否かで評価が変わってくるように思います。
遊び心を理解するために「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」を未読の方は先に読まれる事をお勧めします。
・・・まぁ冗談ですが半分本気だったりします。
またクイーンの某名作をモチーフとしているようです。

「人形館の殺人」が変化球ならこの作品も変化球です。
「人形館」は、えぐい変化球で、変化球打ちが苦手な打者にさっぱり・・・という感じ。
「黒猫館」は、視力が悪い上にメガネを忘れてきた打者には打ち返す事は難しい変化球です。
(視力が悪い=経験値が低い メガネ=前知識)
全くタイミングが合わず三振してバットを地面に叩きつけてベンチに帰る打者も多いのでは・・・
私は1打席目は、メガネを忘れて打席に入ってしまったので、明後日の方向を向いて豪快に三振しました。
2打席目は、ちゃんとメガネをかけて打席に入ったんで、楽しませて頂きましたよ。


▼以下、ネタバレ感想
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黒猫館の殺人〈新装改訂版〉 (講談社文庫)
綾辻行人黒猫館の殺人 についてのレビュー
No.6: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

99%の誘拐の感想

この作品には余談といえる箇所が殆ど無い。
誘拐犯に対する抵抗、妨害、そして犯人側の迷い、躊躇も殆ど無い。
シーケンシャルに一気に進む。 スピード感がある、テンポがいい。
倒叙モノ故推理の必要なし、読み手も犯人の完全犯罪をただただ見届けるだけでスラスラ読める。
400ページ超えの作品だが、通勤電車行き帰りで読めてしまった。(5時間ですが・・・)

慎吾の犯行に関して、技術的に実現可能か否かは野暮なので言いません。( 後書きで西澤先生も触れられてます )
コンピュータ好きの井上氏が、未来の犯行を予見して書かれたとか・・・
20年以上も前の作品ですが、風化感ゼロ、今読んでも違和感ないです。 これは凄い。
コンピュータ業界の著しい進化を目の当たりにしてきた我々ですから、
当時の最新技術を駆使しての犯行など、今読むと失笑モノでしょうからね。

「パソコンって、あの電器店に売ってるあれ? コンピュータとは違って?」
刑事のこの発言には正直笑えました。
最初から「勝負あり」じゃないですか。
・・・それでも絶対成功しないと思いますけどね。
慎吾のようなスーパーエンジニアは、世界中のどんな大企業であっても、社内に片手で数えられる程もいませんよ。
手口からリカード社社員もしくは関係者である事は明確です。
慎吾が最強の容疑者になるはずです。 アリバイなど無意味でしょう。
それにしても昭和63年という事なら「ラップトップパソコン」登場直後かと。
相当高価格だったはずで、入社数年の社員が何台も買える訳ないよな。 慎吾は会社のをくすねたのだろうか?

まぁ面白かったです。
個人的には、兼介の反撃があっても面白かったと思いましたけど・・・
お薦めできる作品です。
ただ「暇つぶしにいいよ」って余計な事まで言ってしまいそうですが・・・

99%の誘拐 (講談社文庫)
岡嶋二人99%の誘拐 についてのレビュー
No.5: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)
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迷路館の殺人の感想

「作中作」という凝った構成になっています。
綾辻行人作「迷路館の殺人」の中に鹿谷門実作「迷路館の殺人」が掲載されています。
まず鹿谷門実の正体がわかっていては面白みが半減しそうですから、
「人形館の殺人」以降の館シリーズは、この作品より先に読まない事をお薦めします。

凝った構成もさることながら、
部屋にはギリシャ神話に纏わる名前が付けられていたり、
4人の推理作家が「作中作中作」とも言える各人の作品通りに殺されていくという「見立て殺人」であったり、
殆どの登場人物に動機があっても不思議ないという絶妙なキャスティング、
そして「迷路館」という名前通りの有り得ないくらい奇妙な舞台。
ミステリー好きにはたまらない要素満載、綾辻先生詰め込むだけ詰め込みましたねという感じの力作だと思います。

最後の最後の結末に驚き、感動し、この作品を高く評価できる人って「通」なんだろうなと思うのですが、私は正直ダメでした。( 序盤は十分楽しめましたが・・・)


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迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫)
綾辻行人迷路館の殺人 についてのレビュー
No.4:
(7pt)
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ユージニアの感想

各章、事件関係者の証言という形になっており、断片的ではあるが徐々に部品が集まってきて事件の真相に近づいていく・・・
と思いきや、この作品はどうやらそんな簡単なものではなかったようです。

関係者の証言といっても、実際何十年も前の話で、当時まだ子供であったりしてその信憑性は定かではないし、あくまでその証言者の主観である訳で・・・
誰の発言が正しく、誰がミスディレクションを誘発しているのか。
正解は記述されていません。

また多数の証言者がいるのですが、フルネームが明確になっているのは青澤緋紗子、雑賀満喜子の2名だけですね。
従って証言の中では、「彼女が」「彼は」などの記述が多くなってしまうのも仕方ないのですが、
( 特に物語後半 )誰の事を言っているのか、時には誰が語っているのかすら混乱してしまった。
まぎらわしい事この上ないのですが、完全に作者の術中にハマっている気がしましたね。

結局犯人は誰だったんでしょうか?
どう解釈するかは読者次第って事なんでしょうね。
他の読者の方がどう解釈されたのか非常に聞きたいです。


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ユージニア (角川文庫)
恩田陸ユージニア についてのレビュー
No.3: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

水車館の殺人の感想

仮面の主人、顔が判別不能な焼死体、指だけポロリ、そして登場人物の一人が死体発見後から行方不明。
トリックに関しては、所謂「王道」という感じで、今読むとイージーさは否めないと思います。
多分半分近い読者の方が半ばで( 犯行の全貌までは無理としても )犯人の目星はついたのではないかと思います。

館シリーズの中では、作品が醸し出す雰囲気という意味では一番好みです。
登場人物の不気味さ、動機を持つ人物の多さ、そして不気味な館・・・これぞミステリーだと感じました。( 初心者っぽい意見でスミマセン )
「金田一少年の事件簿」が好きだった人は絶対この作品好きでしょうね。
館シリーズでは、「十角館」「水車館」までが「入門編」かなと思います。
以降は、構成という面でも嗜好を凝らしていたり、トリックが大掛かりだったりと、好き嫌いが分かれそうです。

唯一の不満は、幽閉された少女を最後まで同情できる対象として描き切って欲しかったなぁと。
ちょっと最後印象が変わってしまったもんで・・・

水車館の殺人 (講談社文庫)
綾辻行人水車館の殺人 についてのレビュー
No.2: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

OUTの感想

凄い作品。
「巻き込まれる」「裏切られる」「利用される」「狙われる」
軌道を外しどんどん深みに嵌っていく主婦たち。
テンポもよくスリリングな展開の連続。
読後「読み終えたぁ」という充足感はこれまで読んできた作品の中でも5指に入ります。
次の展開が気になりドキドキしながらの読書タイムでしたが、純粋に「楽しめながら」読めた訳ではありませんでした。
「気色悪い」
常に頭の中の三分の一くらいはそう感じながら読んでいました。
描写がグロくて「気色悪かった」という訳ではなく、
主婦4人を含む主要登場人物の誰一人にも共感できるものがなかった事が原因かなと。
確かに主婦4人がかかえている問題は暗くて重いものなんですが、自分自身の境遇と余りにかけ離れているため、その思考、発言、態度、もうその存在全てに「怖さ」「気味の悪さ」を感じずにおれませんでした。
クライマックスシーンは、表現は悪いですが、
「熟女モノのAV」を無理矢理見せられているような、それでも目を背けられない自分がいる。
みたいな何とも表現しづらい気分でした。

私は1つの作品を、少し間をおいて2回読む事が多いのですが、
この作品は2回目読む気にはなりませんね。
文句なしの高評価作品で、おすすめもしますけどね。

OUT(アウト)
桐野夏生OUT についてのレビュー
No.1: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

孤島パズルの感想

学生アリスシリーズ第2弾。
「双頭の悪魔」「月光ゲーム」は既読。
個人的には1番好きかも。
「フェア」な作品という印象。

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孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
有栖川有栖孤島パズル についてのレビュー