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ニコラス刑事 さんのレビュー一覧
ニコラス刑事さんのページへレビュー数50件
全50件 41~50 3/3ページ
※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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物語が始まって262ページに読者への挑戦状がある。そして、謎解き篇が終わるのが344ページ。つまり82ページを費やして謎解きをする複雑怪奇な事件と云える。とてもじゃないが見抜けなかった。緻密なプロットと伏線のさりげなさで真相に目が向かず迷いに迷った。依井貴弘 いい・きゅう とも読ませたいらしい。E・Qつまりエラリー・クイーンに通じるしゃれのようである。本格ファンにはおススメの一冊です。ぜひ貴方も挑戦してみてください。本の中の名探偵に勝てるかどうか・・・。
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初めて読む作家。とあるところでこの本の存在を知った。面白そうな予感がした。その感は確かだった。
純粋な謎解き小説だ。読み終えた今、これに類似したトリックのものを過去に読んだことがあるかどうか考えたが思い至らない。論証で犯人を指摘する、その論証で偽の犯人も真犯人も指摘できるとは驚いた。ただ、個人的には最後の最後でアノことが出てきたのには少し残念に思う。だけどそれも伏線はちゃんとあり納得させられる。それがこの作品を低くみせるとかそんなことは一切無い。パズルが好き。本格が好きと云う人はぜひ読んでみて欲しい。山荘で起きる連続殺人。手垢のついたシチュエーションもこんなやり方があったとは。 作者に拍手と脱帽です。そう、「星降り山荘の殺人」以来の感動です。 追記 私の好きな作家である泡坂 妻夫の弟子とか、これだけでも嬉しい。 |
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ホンのちょっとした心の歪み、わずかな隙間に浮かんだ邪な思い。そのために平凡な人間が、平凡な日常が少しずつ狂いだしていく。誰でも考えるであろう自己弁護的な都合の良い安直な考え。まるでそれがもっとも自然であるかのような錯覚。大丈夫うまくいくさと自分自身を納得させる根拠のない自信。こうしてハンク・ミッチェルは後戻りの出来ない深みにはまり込んでいく。静かで怖いストーリー。海外小説と意識しない訳の良さもあってスタートから物語の世界にスッポリと入り込んでいく。いったい誰がこの件の主役なのか?サラか?ジェイコブなのか?ルーなのか?ズルズルと事態が悪くなっていくのはいったい誰の所為なのか。人間の欲望が本性が周囲の関係を壊していく。誰も知らない440万ドル。悪人になろうと思って悪事を働くものはいない・・・。そう、ハンク・ミッチェルは善良で平凡な男だったのだ・・・その日まで。
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凄いですね。何かハリウッド映画的なストーリーと展開で、ほとんど一気読みのような感じで読み終えました。この作家はこんなものも書けるのかと云うのが素直な感想です。フィクションとこれまでの人類の歴史を上手く混ぜ合わせた独特の世界で、常に緊張を用意した傭兵と若い研究者のストーリーを交互に見せて、テンポ良く進む波乱に満ちた物語。新種の生物とは?死んだ父からの謎のメールの意味は?リアルな関係者の言動。世界のリーダーと思い上がった某大国の政治的陰謀。等など資料を駆使した圧倒的なスケールで読ませます。偏っているとも取れる内容ですが、間違ってはいません。人類はまだ完成型では無いってことです。淘汰されるのは自然の掟です。今日と云う日を最大限に生きようと思いました。
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父の親友の別荘がある六甲に遊びに来た少年のひと夏の想い出。文芸作品のような上質な文章で綴られた親友と一人の少女との交流。微笑ましく懐かしさも感じる二人の少年とひとりの少女との夏の日の物語。夏休みの中のゆっくりと過ぎていく時間を追って、父とその父の親友がまだ若く独身でいた頃の出来事やエピソードが抽入されていく。日本が戦争前の昭和10年、父とその親友がドイツにて出会った不可思議な女性。そして、日本の戦時下のころ起きたひとつの殺人事件。これらが三人の楽しく甘酸っぱい感情を育んだ夏休みが終わりを告げて、少年が六甲を去るときに全てが繫がって真相が読者に示される。ミスディレクションのさりげなさ。最後のページでの衝撃。初恋の女性を思い出しながら読むとぐっと心に沁みます。
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「館」シリーズ第9作目にあたる本作品だが、この「奇面館の殺人」もどこをどうとっても「推理小説」である。ひとつの事実が真実に至る道しるべであると同時に、ミスリードの役目をも併せ持つ非常に手の込んだ内容で、「吹雪の山荘」で起きた殺人事件の犯人を指摘する鹿谷門実の推理には圧倒される。いろいろなファクターがすべて合理的に示される彼の推理。ひとつひとつの事柄が全部意味のある仕掛けであり、真実の絵を完成させるピースであるわけで全く持って感心する以外に無い。ただ一点、読後の印象は少し軽いと云う事。それはオドロオドロした連続殺人ではない所為なのだろうか。ともあれ質を落とすことなく「館」シリーズをここまで書き続けられる綾辻行人氏に拍手を送りたい。読了2013年2月17日。
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怖いです。あらゆる意味で怖いです。しかし、最後のページを読み終えて涙がジワッとなってこぼれ落ちそうになりました。美紗子と父の旅に出る別れのシーンにはそれまでの様々な事柄がすべて消え去るような、そんな気になる良いラストでした。まるでホラー小説のような内容と展開にページをめくる手が止まりませんでしたが、母の意外な正体というオチも相まってきわどい話しから一転して家族の愛を綴る内容に変化する魔法のような物語とは・・・。主婦、僧侶、会社経営から2004年、50代になってから作家デビューとは沼田まほかる氏とはどの様な人物なのか・・・。しかし、この「ユリゴコロ」にはやられた。まったく脱帽です。私自身はこういった作品にはガツンとくるんです。好みの問題でしょうけど・・・。
偶然見つけた謎めいた手記。その恐ろしい内容。異常な心と行ない。誰が書いたものなのか・・・。母かそれとも父か・・・。亮介の心は乱れ疑心暗鬼に陥り記憶の一部とも合致する部分があり手記を読む手が止まらなくなる・・・。未読の方にはここまでの前知識にとどめて読んでいただきたい。おススメです。 |
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映画で云えばクライム・アクションと云ったところか。悲惨な棄民の様子が説得力ある描写で語られる、第一章のアマゾンでの暮らしと放浪の様子はページを捲る手が止まらない。「星の流れに」と云う歌があるが、まさに国家によって人生を狂わされた男たち。捨て犬のような生活から身を起こし、勝手の移民仲間の息子たちと日本政府に復讐を企てるストーリー。しかし、あくまでも政府と外務省に過去の過ちを認めさせる言質を取る事が目的であり、誰も傷つけず殺しもしない。綿密な作戦の実行と警察、マスコミとの攻防やニュース・キャスターとの絡みなどが波乱を呼ぶ展開で面白い。それぞれのキャラクターも魅力的に描かれていて入り込みやすい。首都高の疾走シーンなど中々読み応えがある。エピローグも物語の最後を締めくくるにはとても良いと思う。力のこもった作品で初めて読んだ作家だが、このサイトのレビューが読む後押しをしてくれた。その批評は的確だったと思う。読んで損のない一冊だ。
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多彩な登場人物。誰が死に誰が生き残るのか先の読めない展開。重厚なそしてリアルに機知に富み視点の確かさを示す美しい文章。一人のモンスターと云える恐ろしい男。その陰の男を追い詰めていく特命チームのわずか六人の刑事。銃撃戦の描写や各人の思惑をリアルに生きた言葉で語り展開していくストーリー。面白かった。純粋に面白かった。こんな確かな文章で語られる物語は最近では久しぶりだった。それぞれの視点で語られるストーリーと動きがリンクしていきクライマックスに至る。男も女もそれぞれの人生を生きた。最後の静かな余韻のような出来事にも心惹かれる。汚れた英雄と執念の男。壮大なロマンさえ感じる物語だった。
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これまでに読んだことのない未知の作家さんだが、この作品には拍手を送りたい。意識して書かれているのだろうが翻訳本を読んでいるような文章で、18世紀のロンドンを舞台にしたミステリーとして雰囲気を作り出すことにとても効果のある書き方だ。当事の世相や社会環境と政治面のことなども物語りに上手く取り入れてストーリーに厚みを持たせている。と云うかむしろ当時の社会の仕組みそのものがこの事件の下地となっている。盲目の治安判事ジョン・フィールディング。彼の眼となり相手の表情、動作、周りの様子などを的確に伝える姪であり助手であるアン=シャーリー・モア。そして手足となって動き回り判事の助けとなるデニス・アボット。魅力的な人物たちと解剖学教室で見つかったふたつの遺体。金で正義は売らない盲目の治安判事ジョン・フィールディング。さて謎めいた事件を彼はどのようにして解決に導くのか。彼の調べていく様子と重要な役割の少年の行動を時間軸をずらして示し物語は進む。
始のころに何気なく描写された状況がラストになって重要な伏線であることに気付かず、ドンデン返しをまともに食らって後ろにひっくり返ってしまった。二転三転する真相。このままではちょっと辛いなと思いながら読み進めていたが、この鮮やかな逆転劇には正直ホッとした。ツボを得た演出と多くの伏線を回収していく巧みさ。薄暗いロンドンの街並みが眼に浮かぶ上質のミステリー。何時間か読み終えるまで世の中の煩わしさを忘れることができた。偉大な先人たちが書き記された古典的名作のエッセンスが散りばめられたこの作品。ぜひ一読を。 |
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