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虚擬街頭漂流記
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虚擬街頭漂流記の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.44pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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台湾のミステリだ。ロウブツはペットのこと。「ペットさん」というペンネームだ。 地震で滅んだ西門町をバーチャル空間で復活させる計画が進んでいる。その仮想空間で殺人が起こった。あまりに精巧に出来たシステムなので、参加者が現実に死んでしまう。 この手の話は読みなれているので、だいたい展開が読めてしまった。でも、ちょっと予想を上回る部分があって、そこそこ楽しめた。が、余計なネタを盛り過ぎな気もする。このテーマなら、話をバーチャル技術だけに絞った方がいい。変なメロドラマ要素は不要だった。 | ||||
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SFミステリとでも言えばいいか、理系ミステリとでも言えばいいか。正直、僕の好みのミステリではなかったが、巻末で島田荘司先生もおっしゃっているように、新しさを認めることにはやぶさかではない。何もより大好きな台湾が舞台だし。 といってもそれはリアルな現代台湾ではなく、かつて存在した台北の西門町を再現した仮想都市(ヴァーチャストリート)である。ちなみに、その描写の中に『青春神話』という映画のことが出てきて、かつて台湾ニューシネマを愛好した者としては懐かしかった。 というのは、まあどうでもいい感想かな。それにしても邦題というか、日本語タイトルはもうちょっと取っ付きやすいものに変えてもよかったのではないかと思う。『虚擬街頭漂流記』だと、なんだか七言絶句みたいだものね。 | ||||
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たいへん気に入りました。またお世話になります。よろしくお願いいたします | ||||
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バーチャル・リアリティが用いられているという点で、「クラインの壺」や「ヴィーナス・シティ」を思い出した。 しかし、その使い方はミステリ的である。 けっしてSF風味を狙ったのでも、奇をてらったのでもない。 つまり、バーチャルな設定を導入することで、仮想現実とリアルを混乱させる、というのが本作のミソである。 ただし、これは読むとすぐに分かる。 実はもっと別の錯誤があり、多分、こちらが著者が本作で最も意図したネタだろう。 そして、読者を騙すこと、つまり意外性ということに、本作は徹している。 それが、本作が島荘に評価されたポイントだろう。 いかにも21世紀本格、といった雰囲気もまた、好印象ポイントかもしれない。 そして、解決に至るロジックは、実に精緻であり、本格ミステリとしての好感度大である。 バーチャル世界の描写の中に手がかりがあるはず、という意識で読んだせいで、最初の方は少々もたついた。 しかし、殺人が起こってからは、一気呵成に進行するストーリーに合わせるように、読むスピードも上がった。 途中に挿入される少女のエピソードも、大抵は途中で気づくだろう。 しかし、ラストで展開されるある意外性は、けっこう面白い。 良くも悪くも、今の日本ではこういったテイストのミステリは、刊行されないか、刊行されても黙殺されるだろう。 つまり、新本格ビッグバン当時の雰囲気がぷんぷんしている作品なのだ。 そして、私はこういうテイストの作品、つまり非常に人工的な、遊び心満点の作品が、好きなのである。 難点をいえば、名前や地名が憶えにくい、ということだろう。 ただし、登場人物が多いわけではないし、地名もそう多くはないのだが、どうしても地図と首っ引きで読まないと、理解しづらい。 その点は、同じ地図が頻繁に挿入されているので、許容はできるのだが。 そして一箇所、本来パパと表現されるべきところが、お父さんとなっている。 これは翻訳および校正のミスである。 文庫化の際には訂正しておいてもらいたい。 | ||||
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虚擬街頭―仮想空間に再現された街区。映画「マトリックス」のように人がそこに出入りしますが、神経信号を直接ジャックインするのではなく、ログインする際には視覚のためのインターフェイスとしてゴーグル、運動感覚のためのそれとしてフォース・フィードバック・スーツを装着し、それによって擬似感覚を得ます。 その街並みは、かつて繁盛していた場所を再現したものだという。したがって当時の街を実際に歩いたことがある人たちもいる。 一般公開を間近に控えたそのプロジェクトに関わる主人公の女性は、12年前の交通事故のため18歳より前の記憶を失っている。 彼女と上司が虚擬街頭で死体を発見する。殺人事件だ。被害者がどこからログインしたかが突きとめられ、身元も判明する。 この特殊な環境で誰がどのように殺人を行なったのかが解明されていく。 仮想現実、人工知能と濃厚なSF的ガジェットを用いる一方、クリスティの衣鉢を継ぐ本格推理小説として成立しています。 読者は心地よいまやかしが差し出されたことを知り驚喜するはず。 また、日本人読者は「鉄腕アトム」の先進性を改めて実感するでしょう。 そして、手塚治虫は幼少時に浄瑠璃が好きだったとどこかで回想していたような気がしますが(うろ覚えです。すいません)、読後に感じるのは意外にも浄瑠璃の涙に近いものではないかと想像します。 | ||||
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物語の主な舞台はバーチャルリアリティが実用段階に入った2020年の台湾。 機械を通じて五感もリアルに再現されているが、安全性を考慮して力は80%に制限されてしまう仮想世界で起こる殺人。 仮想空間と言う巨大な"密室"での殺人の真相は……というストーリーです。 コンピュータ技術を使った設定は森博嗣の作品を想像させますが、テーマはクイーンのライツヴィルものを彷彿とさせます。 ライツヴィルでは戦争後遺症が何度か登場しましたが、この作品でも現代の"社会問題"や"風潮"と言ったものを違和感なく取り込んでいます。 各章のタイトルは「フーダニット」「ハウダニット」「ホワイダニット」となっており、それに準じて物語は展開していきます。 謎が解けるごとに新たな謎が生まれてくる展開のため、最後まで飽きることなく読み進めることが出来ます。 派手さはありませんが、ミステリとして非常に良くできた"魅せる"構成の作品と言えるでしょう。 感動的な要素もストーリー上のスパイスに留まらず、本格ミステリとして非常に重要な要素にも関わっている点も素晴らしい。 ヒントはあちらこちらに散りばめられており、ミステリとしても非常にフェアな作品です。 「あれっ?」と違和感を持った描写が最終的にはトリックの一部に昇華される様は見ていて気持がいいくらいです。 そして、数々のトリックが見事な輪を描いて着地するクライマックスには脱帽……。 台湾のミステリは珍しいですが、翻訳も自然で違和感なく読めます。 覚えるのが難しい台湾の人名や地名にはルビが頻繁に振られているので混乱することなく読める点も評価が高いです。 アジア物と言って躊躇せずに、ミステリ好きにもそうじゃない人にも是非手にとって欲しい一冊。 | ||||
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舞台は近未来の台湾。 2008年の西門町の街並みを再現した仮想都市の中で、殺人事件が起きる。 現場の状況から、仮想都市の開発を担当した男が容疑者となるのだが……。 本作は、「第一部 フーダニット」・「第二部 ハウダニット」・「第三部 ホワイダニット」という三部構成が採られており、さらにその三部全て に、「漂流」、「娘」と銘打たれた章が設けられています。 二種類の章それぞれに、いわゆる××が仕掛けられていますが、本作の場合、 それらを単体で見ても、あまり意味がありません。あくまでそのギミックは全体の 詭計に奉仕する一要素に過ぎず、他要素(仮想都市という特殊な〈場〉であること から可能となる容疑者のアリバイ工作とそのホワイダニット、そして、そこにしか 存在しない「凶器」等々)と有機的に結びつくことによってはじめて、意外な真相 と感動的な結末が描き出されるものなのです。 仮想現実を前提に、過去と現在、二つの事件を通じて形成され、受け継がれていく 〈親子の絆〉を主題とした本作。一つひとつのトリックは小粒ながらも、それらを重ね、 合わせ技にすることにより、インパクトと余韻を演出した、SFミステリの秀作です。 | ||||
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台湾の作家の書いた本格ミステリー小説です。 地震により構築されたネット上の仮想都市。 これは実在する、古くからの歴史もありながらも現在の世界では若者で賑わう西門町が舞台。 仮想都市内で殺人事件が発生したが・・・。 ただ謎を解くだけでなく、人間とバーチャルの関係を深く掘り下げながら、可能性を模索していく。 映画やドラマ、音楽の世界ではアジアの垣根がなくなってきているので、 これからは小説、文学の世界もそうなっていく期待が持てました。 西門町に行ったことがあるので、かなり楽しめました。 | ||||
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台湾で昨年、第1回島田荘司推理小説賞を受賞した作品。SF風味のミステリーとしてよくできているだけでなく、読後は感動!のひとこと。台湾ではほかにも質の高いミステリー小説が出版されているので、ぜひ引き続き翻訳版が出ることを期待したいです。 | ||||
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