繋がれた明日

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評判

繋がれた明日の評価:

3.63/5点 レビュー 40件。 B ランク

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平均点3.63pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全40件 21〜40 2/2ページ
No.20
(4pt)

自分にも襲いかかるかもしれない

犯罪を犯し、刑務所に入った本人と家族被害者などの葛藤を描いた作品では、映画にもなった(私が嫌いな)東野圭吾の「手紙」が有名だが、あれの数倍面白い。もう全然レベルが違います。自分の彼女にちょっかいを出すチンピラにひと言注意をしに言ったとき、相手からいきなり不意打ちでボコボコにされ、たまたま護身用に持っていたナイフで刺し殺してしまった主人公。裁判で5-7年の実刑を喰らい少年刑務所へ。実刑の理由が相手側の証人の偽証の証言。このような状況では、刺し殺した事に関して反省はしているが、すべて自分が悪いのか、相手にも非があるのではないのか…と心から納得せずに罪に服している。務所の中では普通におとなしく過ごしたため、1年を残して仮出所。そこから、主人公の母親、妹、昔の友人、被害者の家族、被害者の元彼女、妹の婚約者、一緒の時期に仮出所してきた刑務所仲間、保護司夫婦、勤務先の社長と社員たち、偽証の証言をした男たちとのどろどろのやり取りが描かれている。反省はしているが、相手にも悪いところはあると思っていたら、心からの謝罪は出来ない。しかし自分が引き起こした事件で、自分の家族が回りから白い目で見られ、近所に「この男は殺人犯です」というビラまでまかれ、何か事件が起こるとすぐに警察に疑われ連行されてしまう主人公。加害者と被害者が常に入れ替わるようなストーリーは、読み始めたら途中で本を置くことができない。罪を償ってもそれは法律上の償いであり、一生背負わなければならないとはわかりつつ、ここまで卑屈に生きなければならないのか?しかし実際に自分がそのような立場にならないとは断言できない。何かの弾みで交通事故で人を殺してしまうというような可能性は、皆が持ち合わせているからだ。殺そうという明確な殺意があったからではなく不注意で殺してしまった場合とか、ずっといじめられていたので、復讐で少し痛い目にあわせようとして殺してしまった場合、飲酒運転をしていたら相手が飛び出してきてひき殺してしまった場合とか「相手を殺した」という事実や結果は同じでも、やったほうは弁解したいが、残された遺族にとってはすべて殺人事件だ。いつこんな事が自分に起こってもおかしくない世の中で、自分ならどうするだろうか…と常に煩悶しながら読むという本は苦痛だが読み終わったらそれなりに感じるところが大きかった。
繋がれた明日 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (新潮文庫)より
4101270260
No.19
(4pt)

自分にも襲いかかるかもしれない

犯罪を犯し、刑務所に入った本人と家族被害者などの葛藤を描いた作品では、映画にもなった(私が嫌いな)東野圭吾の「手紙」が有名だが、あれの数倍面白い。もう全然レベルが違います。
自分の彼女にちょっかいを出すチンピラにひと言注意をしに言ったとき、相手からいきなり不意打ちでボコボコにされ、たまたま護身用に持っていたナイフで刺し殺してしまった主人公。裁判で5-7年の実刑を喰らい少年刑務所へ。
実刑の理由が相手側の証人の偽証の証言。
このような状況では、刺し殺した事に関して反省はしているが、すべて自分が悪いのか、相手にも非があるのではないのか…と心から納得せずに罪に服している。
務所の中では普通におとなしく過ごしたため、1年を残して仮出所。
そこから、主人公の母親、妹、昔の友人、被害者の家族、被害者の元彼女、妹の婚約者、一緒の時期に仮出所してきた刑務所仲間、保護司夫婦、勤務先の社長と社員たち、偽証の証言をした男たちとのどろどろのやり取りが描かれている。
反省はしているが、相手にも悪いところはあると思っていたら、心からの謝罪は出来ない。しかし自分が引き起こした事件で、自分の家族が回りから白い目で見られ、近所に「この男は殺人犯です」というビラまでまかれ、何か事件が起こるとすぐに警察に疑われ連行されてしまう主人公。
加害者と被害者が常に入れ替わるようなストーリーは、読み始めたら途中で本を置くことができない。
罪を償ってもそれは法律上の償いであり、一生背負わなければならないとはわかりつつ、ここまで卑屈に生きなければならないのか?
しかし実際に自分がそのような立場にならないとは断言できない。何かの弾みで交通事故で人を殺してしまうというような可能性は、皆が持ち合わせているからだ。
殺そうという明確な殺意があったからではなく不注意で殺してしまった場合とか、ずっといじめられていたので、復讐で少し痛い目にあわせようとして殺してしまった場合、飲酒運転をしていたら相手が飛び出してきてひき殺してしまった場合とか「相手を殺した」という事実や結果は同じでも、やったほうは弁解したいが、残された遺族にとってはすべて殺人事件だ。
いつこんな事が自分に起こってもおかしくない世の中で、自分ならどうするだろうか…と常に煩悶しながら読むという本は苦痛だが読み終わったらそれなりに感じるところが大きかった。
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.18
(4pt)

自分にも襲いかかるかもしれない

犯罪を犯し、刑務所に入った本人と家族被害者などの葛藤を描いた作品では、映画にもなった(私が嫌いな)東野圭吾の「手紙」が有名だが、あれの数倍面白い。もう全然レベルが違います。
自分の彼女にちょっかいを出すチンピラにひと言注意をしに言ったとき、相手からいきなり不意打ちでボコボコにされ、たまたま護身用に持っていたナイフで刺し殺してしまった主人公。裁判で5-7年の実刑を喰らい少年刑務所へ。
実刑の理由が相手側の証人の偽証の証言。
このような状況では、刺し殺した事に関して反省はしているが、すべて自分が悪いのか、相手にも非があるのではないのか…と心から納得せずに罪に服している。
務所の中では普通におとなしく過ごしたため、1年を残して仮出所。
そこから、主人公の母親、妹、昔の友人、被害者の家族、被害者の元彼女、妹の婚約者、一緒の時期に仮出所してきた刑務所仲間、保護司夫婦、勤務先の社長と社員たち、偽証の証言をした男たちとのどろどろのやり取りが描かれている。
反省はしているが、相手にも悪いところはあると思っていたら、心からの謝罪は出来ない。しかし自分が引き起こした事件で、自分の家族が回りから白い目で見られ、近所に「この男は殺人犯です」というビラまでまかれ、何か事件が起こるとすぐに警察に疑われ連行されてしまう主人公。
加害者と被害者が常に入れ替わるようなストーリーは、読み始めたら途中で本を置くことができない。
罪を償ってもそれは法律上の償いであり、一生背負わなければならないとはわかりつつ、ここまで卑屈に生きなければならないのか?
しかし実際に自分がそのような立場にならないとは断言できない。何かの弾みで交通事故で人を殺してしまうというような可能性は、皆が持ち合わせているからだ。
殺そうという明確な殺意があったからではなく不注意で殺してしまった場合とか、ずっといじめられていたので、復讐で少し痛い目にあわせようとして殺してしまった場合、飲酒運転をしていたら相手が飛び出してきてひき殺してしまった場合とか「相手を殺した」という事実や結果は同じでも、やったほうは弁解したいが、残された遺族にとってはすべて殺人事件だ。
いつこんな事が自分に起こってもおかしくない世の中で、自分ならどうするだろうか…と常に煩悶しながら読むという本は苦痛だが読み終わったらそれなりに感じるところが大きかった。
繋がれた明日 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (新潮文庫)より
4101270260
No.17
(5pt)

ニュースでは知ることのない服役後の生活

未成年で殺人を犯した者が、その後の人生をどう歩んでいくのか・・・
ニュースでは事件の報道は大々的に行われ、判決までは世に知らされますが、
罪を犯した者のその後が、世間に知らされることはまずありません。
この本では、殺人を犯した当人だけでなく、
加害者・被害者の家族・友人のその後の生活や心情、
犯罪者の社会復帰を支える人たちの仕事ぶりにまでスポットを当てており、
様々な角度から関係者の「その後」の生活を見ることができます。
相変わらず真保さんらしい緻密な取材あっての、といった感じの内容でした。
不覚にも何度か涙を流しつつ、さらに最後のページでひとしきり泣いた後に、
次の解説のページをめくった時に、泣きながらも心の中で「アタックチャンス!」と
呟いてしまったのは私だけでしょうかw
繋がれた明日 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (朝日文庫)より
4022643595
No.16
(4pt)

社会で生きるとは。

これまでの真保作品のイメージとは違った。
私の中では、エンターテイメント性の高いものというイメージが強かったが、
今回は社会の中で生きることに真っ向からぶつかった作品。
殺人を犯した人が、刑務所から出てきてどういう生活をするのか、
想像以上のつらい現実と、その当事者の葛藤をうまく表現している。
真保作品らしく、かなりの取材からえただろう、現実がたっぷりつまった作品。
繋がれた明日 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (新潮文庫)より
4101270260
No.15
(4pt)

注目すべきは

心理描写!
登場人物の心理がこれでもかというほど丁寧に書かれていて、読み手を引き込む力がそんじょそこらの小説の比ではありません。本を読むのが遅い私でも、あっという間に最後まで読んでしまいました。
内容については、他に多くのレビューがあるのであえて記しません。もっとも、すでに挙げたように読ませる力がすごいので、思い切って手にとってみたほうが良いかもしれません。
繋がれた明日 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (新潮文庫)より
4101270260
No.14
(5pt)

保護司が印象的だった

加害者の立場で見れば、加害者だけが悪いわけではないにも関わらず懲役7年の判決がでたこと、罪を償って出所したあともちょっとした騒ぎですぐに警察に厄介になること、仕事先でも打ち解けられないこと等、同情する気持ちにもなる。ただ、被害者の立場で見ると、なぜ被害者が殺されねばならないのかという理不尽な気持ち、殺人犯がたった6年で仮釈放されたこと、すぐに謝罪にこないこと等、加害者を許せない気持ちになるのも分かる。結局のところ、第3者ではどちらが正しいとは決められず加害者、被害者それぞれの問題だというのが物語の結論なのだが、この小説では保護司の大室が印象的だった。被害者の恋人を諭す場面はどうやって説得するのか興味深かった。
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.13
(4pt)

誰が何のために読むか

 作品のレベルそのものは悪くない。水準以上に達している。しかし、満足感を得られるかどうかというと、疑問を感じる。
 この作品の主人公は、「頭がいいのに、不良づきあいをして、あとで後悔しながら、いじいじとする」というタイプだ。
 こういう主人公に共感できる人がどれだけいるだろうか? 不良でなければ、不良には共感できない。不良ならば、読書をしない。だから本書の読者は、とうてい共感できないだろう。たいていは。
 最後のカタルシスはともかく、それ以前があまりにも重苦しい。主人公が根暗に過ぎる。これは作者が根暗だからだろう。作者はディックフランシスの主人公の明るさを真似た方がいい。前作の「ホワイトアウト」のように。いくら真似しても、作者の根暗はどうしようもないので、主人公はどうしても根暗さをいくらか帯びる。そこがホワイトアウトでは成功していた。(強いくせに陰のある男。)
 一方、本作のように、徹底的に根暗だと、読んでもちっとも楽しくない。何のために読まされるのか。読むのが苦痛である。金を払って読まされる身になってほしい。それでも、純文学のような濃密な味わいがあるならともかく、あくまで軽いタッチの文章にすぎない。エンターテインメントの文章なのに、重い主題と軽い文章とがミスマッチ。ホワイトアウトの方向に回帰することを期待する。
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.12
(5pt)

真保氏、会心の一作

 デビュー作からいくつか読んだが、これは桐野夏生女史の「OUT」同様作家として脱皮というか、
一つ上のステージに上がった記念すべき作品。
 真保氏は卓越した能力は持っていたが、蛇足的なオチを付けや過剰などんでん返しの多用で
いまひとつ乗り切れなかったり、ゲップが出てしまうところがあった。
 しかしこの作品は取り上げたテーマの重厚さ(少年犯罪の更正)のためか、彼の悪い癖に良い
意味でブレーキがかかり、結果として非常に完成度の高いものになっている。
 強いて言えば保護司の爺さんのキャラが薄く謎めいているが、それとてこの作品の前では
重箱の隅をつつくような批判でしかない。 とにかくオススメ!!!
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.11
(5pt)

手紙とは似て非なるもの

殺人を犯したものの社会的制裁を巡るストーリーという点では東野圭吾の「手紙」とよく似ています。しかし、「手紙」では犯罪者の弟が主人公であるのに対し、この物語では犯罪者自身が主人公になっています。その分だけ「手紙」よりも社会的描写が薄く、ミステリー色が濃く仕上がっています。どちらにせよ、「手紙」同様に犯罪者の更正のプロセスについて深く描いているという意味で感動を呼びます。お薦めです。
繋がれた明日 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (朝日文庫)より
4022643595
No.10
(4pt)

ハラハラします

ドラマを見逃してしまったので、
本を読んでみました。
主人公、その周りの人たちの気持ちやセリフが
とても現実的で、
どうやって取材したのかな・・・、さすが、と感心しました。
少年犯罪や被害者の救済や加害者の更生や保護司のことや懲役制度や、
なんとなく、当事者にならないと真剣に考えていなかった問題について、
思い知らせてくれる、
でも、興味を持って読み進んでいける内容になっています。
繋がれた明日 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (朝日文庫)より
4022643595
No.9
(4pt)

重荷

NHKのドラマを見て、購入しました。
犯罪(殺人)を犯してしまった少年・中道隆太。自分の彼女に手を出したチンピラを持っていたナイフで刺した。相手が先に手を出したからだ。自分も悪いが相手も悪いと言う気持ち。でも実際、人一人殺してしまい、被害者の家族だけでなく自分の家族をも傷つけ一生の重荷を背負わせてしまったという事実。彼の心中では葛藤が渦巻いていた。
そして、仮釈放が決まり6年ぶりに世の中に出た彼を待ち受けたものは、“人殺し…”という写真入のビラ等の心無い仕打ちだった。殺人を犯したのだから当然だという気持ちもありました。こんなに家族を巻き込んで苦しむのなら、やっぱり自分の行動を良く考えてからするべきなんだろうな、取り返しが付かないことをして自分や周りの人の人生を狂わせたらいけないと強く思いました。
ただ、物語は、彼だけでなく彼を取り巻く人々もよく描かれていると思う。冷たい仕打ちだけでなく大きな目で彼を見てくれる大人たちの存在は彼の閉じられた心を次第に開いたことは救いです。少年犯罪の増える現代、犯罪を犯すまでだけでなく、犯してしまった彼らのその後が書かれた秀作です。
繋がれた明日 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (朝日文庫)より
4022643595
No.8
(4pt)

スタートラインに立つまでの物語

真保裕一の著作には、『ホワイトアウト』に代表されるような、過去に何らかの負い目をもった男が自己復権をかけて闘うというタイプの作品がある。本書もおそらくそうだろうと思いつつ読み始めたが、少し違うようだ。隆太は喧嘩の相手を殺してしまい、5年から7年の懲役刑を言い渡された。先に手を出したのは被害者であったにもかかわらず、目撃者(被害者の友人)の嘘の証言、隆太がナイフを持っていたことがあだとなり、殺意があったと認定されての判決だった。その隆太に仮釈放の日が訪れる。いまだに隆太は思っている。自分一人が悪かったのか。自分だけが加害者なのか・・・・
殺人は大罪だ。しかし自分のみが一生罪を背負うことに理不尽さを感じ、被害者を恨む気持ちを抑えられない隆太をただ非難することができるだろうか。本書は、殺人者になってしまった人間のきれいごとだけではすまない心情に踏み込んでいる。
理不尽さを引きずった隆太の足取りは不安定だ。そこへ数々の障害が現れる。殺人を暴露する中傷ビラ。ビラは妹の恋をも打ち砕く。昔の悪友達や仮釈放仲間からの接触。隆太につきまとい糾弾する女性の出現。親身になってくれる保護司や理解ある雇用主にしても本当に隆太の味方なのか。何もかもが不安要因に思えてきてハラハラさせられる。そんな中で隆太は仮釈放の日々をどう生き抜くのか。
最後まで読んで思った。本書が『ホワイトアウト』等と異なるのは、煩悶の果てに自分の過去を受け止め、そこから第一歩を踏み出そうとする物語、言うなればスタートラインに立つまでの物語だからなのだと。物語が閉じられてから本当の闘いが始まるのだ。きっと様々な困難が待ち受けているに違いない。けれどスタートラインに至るまでの隆太の変化を振り返れば、未来の彼の姿が自ずと浮かび上がってくる。
繋がれた明日 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (朝日文庫)より
4022643595
No.7
(4pt)

著者の問いかけは重く、すぐに答えが見つけ出せそうにない・・

殺人を犯した犯罪者の罪は刑期を終えると許されたことになるのか? 大事な人を失った被害者の思いは・・。
社会面の記事にはなりこそすれ、小説といったスタイルでは扱われることは少ないと思われるこの難しい問題を、著者は真正面から取上げた。大上段に振りかぶるのではない、一人の仮出所中の青年を主人公に、彼が出所後に出会い、経験する細かいエピソードを重ね描いて行く。著者の小説らしいスタイルだ。採り上げるテーマは重いが、巧みにストーリーに展開されている。
単なるケンカのはずが、はずみで相手を殺してしまった隆太。6年超の服役後、仮出所となった彼は社会復帰のサポートをする保護司に迎えられる。事件とともに家も仕事も財産も何もかも失い萎縮したままの母親、実妹は兄を恨み続ける。隆太自身もいまだに被害者や、裁判で事実とは異なる証言をした証人に複雑な思いを抱える。自分の元を去った元恋人への未練。元遊び仲間たちに比べ、自分は貧乏クジを引いてしまったのではないかという思い・・・。
理解のある雇用主の元で働きはじめた直後、彼の周辺に彼の過去を暴いた文書がばら撒かれた・・・。
主人公隆太の立場に立てば、彼の思いは理解できる。一方で、犯罪被害者になった立場を想定すると、どうだろう? 
著者もうまくそこは回答を用意しているわけではない。作中、被害者サイドの人物が、隆太とその保護司に向かって言った「刑が終わったことで罪を償ったことになるのか?」という問いかけはとても重い。
「保護司」や「協力雇用主」といった更正のための受け入れ制度が丁寧に紹介されていたのが印象的。
繋がれた明日 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (朝日文庫)より
4022643595
No.6
(4pt)

犯罪による悲劇

人の罪は、懲役刑に服したからといって簡単に許されるものではないのか?まじめに働こうとしても、罪を犯した過去は執拗にまとわりついてくる。被害者の家族も、そして加害者の家族も、言葉には言い表せないほどの苦しみを背負って生きていかなければならない。「殺される側にも非があった。」最初そう考えていた隆太だったが、「殺される」ということを身をもって知ったとき、初めて罪の重さに気づく。人はどんな場合でも、やってはいけないことがある。それを知った彼を、はたして周りは温かく迎え入れてくれるのだろうか?また、自分なら迎え入れることができるのか?読んだあと、様々な思いが胸の中に渦巻いていた。
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4022578386
No.5
(4pt)

重い問題を真摯に捉えた力作

殺人を犯した犯罪者は服役を終えるとその罪は許されるのか? 一方、大事な人を失った被害者の思いは・・。社会面の記事にはなりこそすれ、小説といったスタイルでは扱われることは少ないと思われるこの難しい問題を、著者は真正面から取上げた。大上段に振りかぶるのではない、一人の仮出所中の青年を主人公に、彼が出所後に出会い、経験する細かいエピソードを重ねながら、描いて行く。いかにも著者らしいスタイルだ。採り上げるテーマは重いが、巧みにストーリーに展開されている。単なるケンカのはずが、はずみで相手を殺してしまった隆太、6年超の服役後、仮出所となった彼を待っていたのは社会復帰のサポートをする保護司と事件とともに家も仕事も財産も何もかも失い萎縮したままの母親・・・。実の妹は兄を恨み、隆太自身もいまだに被害者や裁判で事実とは異なる証言をした証人への複雑な思いを抱える。自分の元を去った元恋人への思い、元遊び仲間、悪友たちと比べ貧乏クジを引いてしまったのではないかという思い・・・。理解のある雇用主の元、働きはじめたその直後、彼の周辺に彼の過去を書いた文書がばら撒かれた・・・。主人公隆太の立場に立てば、彼の思いは理解できる。一方で、犯罪被害者になった立場を想定すると、どうだろう? 著者もうまくそこは回答を用意しているわけではない。作中、被害者サイドの人物が、隆太とその保護司に向かって言った「刑が終わったことで罪を償ったことになるのか?」という問いかけはとても重く、すぐには答えが出せそうにない。また本書の中で「保護司」や「協力雇用主」といった更正のための受け入れ制度が丁寧に紹介されていたのが印象的。
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4022578386
No.4
(4pt)

少年犯罪とは?

 殺人を犯して服役し仮釈放となった若者を描いた作品で、「ホワイトアウト」や「黄金の島」といったスピード感で読み手をグイグイ引きこむエンターテインメント小説ではなく、少年犯罪をテーマにじっくりと読ませる作品です。 殺人を犯したことへの罪の意識を持ちながらも、その状況をつくったのは相手だった、という思いから被害者を憎み、遺族に謝罪することをためらう主人公の隆太。社会復帰を果たそうと努力する隆太と隆太を支える保護司の苦労。しかし、努力すればするほど殺人者であった己の姿と向き合う結果となり、その辛さと孤独から挫折しそうになる悪循環・・・。 実社会でも半数の仮釈放者が再び塀の中へ戻っていくということからも、この小説と似たような過酷な現実があるのだろうと推測できます。私自身、以前は少年犯罪に対して過激な考えを持っていたのですが、この小説を読んで改めて考えさせられました。 社会的にもとても重いテーマですが、読み手に問題提起をするという意味でも興味深い作品だと思います。
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.3
(4pt)

とっても難しい・・・

未成年の若者が人を殺す。最近よく聞くニュースです。怒りを自分でどう制御していいのかわからない。何も考えられずに人を殺す人が多いのだろうかと思ってしまう。主人公の人を殺してから刑務所に入り、仮出獄してからの気持ちの変化がとてもうまく表現されている。日本の刑法は被害者のためにあるのではなく、国の治安を守るためにある。というセンテンスは心に響いた。では被害者の遺族はある日、突然目の前にいた人が消えた苦しみをどう乗り越えていけばいいのか、加害者も決してはずせることのない呪縛をどう克服するのか。思いテーマだけど、一気に読ませる。
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.2
(4pt)

「手紙」とは似て非なるもの

殺人を犯したものの社会的制裁を巡るストーリーという点では東野圭吾の「手紙」とよく似ています。しかし、「手紙」では犯罪者の弟が主人公であるのに対し、この物語では犯罪者自身が主人公になっています。その分だけ「手紙」よりも社会的描写が薄く、ミステリー色が濃く仕上がっています。どちらにせよ、「手紙」同様に犯罪者の更正のプロセスについて深く描いているという意味で感動を呼びます。お薦めです。
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.1
(5pt)

やっぱいい

真保裕一は、ホワイトアウトをよんでそのすごさが分かっていたので、かいました。ラストシーンは泣けます。ホワイトアウトもおすすめです。
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386