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波羅蜜
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波羅蜜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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藤沢流超ノワールな世界が、何と葬儀業界にて炸裂。葬儀に参列するたびに「葬儀って不思議……」と思いつつ、悲しみや忙しさに紛れてじっくり観察できずにいたので、「サイゴン・ピックアップ」で僧侶たちを描いた藤沢周がこの業界を描くと知って、不謹慎ながらわくわくしてしまった。 期待は裏切られることがなかった。霊安室や葬祭場の独特の雰囲気、遺族の悲しみと対照的に、そこで交わされる葬儀業者どうしの渇ききった、唯物的な会話、裏取引をしている大病院の看護婦との淫靡な関係、疲れ果てて帰る部屋の、暗闇に青い光を放つクラゲの水槽、そして自死を望む高名な男たちの謎の組織「ダビデの心臓」の妖しい隠れ家や、そこに隷属(君臨?)する謎の女タエマ、自殺者の遺髪の編み込まれた不吉な曼荼羅絵……まさに藤沢ワールド全開。大満足です! いつもながら主人公の感じる日常のべったりと貼り付くような疲労感、徒労感、俗なものごとや俗なふるまいに対する執拗な苛立ち、かと思うとふいにすべてを投げ出してしまうような乾いた自棄的な孤独感、そして時に暴力的で攻撃的かつ通俗的な言動……これら全てが藤沢作品の魅力で、作者自身が主人公の目線で現実を緻密に観察しているし、読者はその目線を(あるいは聴覚・嗅覚・触覚・味覚も)共有する、いや、させられる。そしてその根底には、聖なるものへの憧憬と、俗なるものへの憤怒、あるいは聖なるものへの嫌悪と俗なるものへの渇望がないまぜになっている、気がする。 ……と言うか、とにかくおもしろい。いつもはあまりしないけど「波羅蜜」は脳内ドラマ化してしまった。主演・大森南朋、小池栄子、田中要次・麿赤児で……って、ここ親子じゃん! | ||||
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