波羅蜜



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初公開日(参考)2010年03月
分類

長編小説

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波羅蜜

2010年03月20日 波羅蜜

明滅する生と死の狭間で、繰り広げられる危険なゲーム。人間の底知れない闇を描く、ノワール純文学巨篇。 (「BOOK」データベースより)




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波羅蜜の総合評価:6.00/10点レビュー 4件。-ランク


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No.4:
(3pt)

興味の中心は業界のアンダーグラウンドな一面

社会的にステータスのある自殺志願者たちと関わりを持った葬儀ディレクターの物語。

自殺者志願者たちがたむろする「ダビデの心臓」とは何か、が中心…とはならず、ご遺体の受け渡しに関して、葬儀屋と病院がどのように癒着しているのか、に興味を持っていかれた。様々な業界のアンダーグラウンドな一面を赤裸々に描くのが著者の持ち味だろうか。死が商品として扱われるのがリアルだとすると、かなりゲンナリしてしまう。

肝心の内容はというと、死と生の狭間が緊迫するほど、愉悦を感じるというのは分からなくもないが、全体的にもやっとした感じから抜けきれなかった。サスペンス?ホラー?不可思議系?と戸惑いがラストまで続く。
波羅蜜Amazon書評・レビュー:波羅蜜より
4620107522
No.3:
(3pt)

グロテスクなストーリー。

この死臭漂う400ページ余りの長編は、読後感が酷く後味悪かった。もともと、藤沢周の文章は、私が読むとごつごつしていて読みにくいのだが、それは作者と私の哲学の違いに基づくもののようにも思われ、そういう雑味を楽しむほど私は読書が上手くないのに、あまつさえこの死体臭いテーマのぐずついた煙りに逆らって読むのは、読書下手な私には大層骨が折れる。しかし、結局最後まで読めてしまったのは、私のやりかけのことを中途で投げ出せない潔癖性もあろうが、物語の面白さが牽引していったことも多分に預かるのである。つまり、不味さと美味さが共存して複雑な味わいのある、それでいてやはり決定的にわざと不味く作ってあるような、テクニックを凝らした下品な料理のような作品であろうか。
 さて、そのストーリーの筋だが、以下の通りである。
 葬儀ディレクターの倉木は、看護婦と寝たうえにお金を渡し、その見返りとして病院で出た死体を自分の葬儀社に廻して貰うという、裏取引をしていた。普通の葬儀社ならどこでもやっていることらしい。そこへ、自殺ビジネスといって、「私の本当の葬儀をやって欲しい」という紺野という男が現れる。紺野は、カルト集団「ダビデの心臓」のメンバーで、ダビデの心臓には、独身で社会的地位のある社長重役クラスの人物が集まり、順番に自殺を決行していく。紺野の前の順番の、マディソンブライアントホテルの総支配人の星野がダビデの心臓に来たときに、倉木はこの男は絶対自殺などしないと感じた。しかし、その翌日、星野は公園で首吊り自殺をした。遺言で、倉木のいる駿河メモリアルで葬式を行うことになるが、その葬式を廻した見返りとして、ダビデの心臓の中心人物滝沢に4千万円を請求される。また、星野の遺髪が必要と言うことで、葬儀で倉木は控え室の棺から、髪の毛を回収する。その遺髪代に5百万を請求し、倉木は星野の保険金から架空の請求書を上げて4千5百万円をだまし取ろうとする。そんなとき、倉木は過労で肺炎を起し病院に運び込まれる。そこに紺野が来て、倉木を殺そうとするが出来ないで終り、紺野は自分の命を長らえようとして、ダビデの心臓を停止させるべく工作をする。すなわち、ダビデの心臓の中核のタエマの繭のなかで遺髪や血痕で編まれている曼荼羅を盗み出そうとする。しかしそれが失敗に終り、その共犯にでっち上げられた倉木が、ダビデの心臓に呼び出される。倉木は、紺野の首を絞めて、次の犠牲者を殺そうとする迫真の演技をするが、滝崎を初めとするダビデの心臓のメンバーは、目の前で犠牲者が出ることを、なんとか避けようとする。そして、紺野を盾にしてダビデの心臓を後にして、一攫千金の自殺ビジネスから身を引いて、地道に病院からの御仏の葬儀でやっていこうとする倉木だったが、そんなとき、長野の青木湖で滝崎とタエマと思われる死体が上がるニュースを見る。しかも、着信が滝崎の携帯から執拗に一分ごとに掛かってきている。倉木が意を決して携帯に出ると、電話口には独り生き残った紺野が出る。マディソンブライアントホテルの不正葬儀の証拠を全て、ダビデの心臓から持ち出している紺野は、倉木の犯罪を摘発するような意味のことを言う。殺意に駆られた倉木は、ダビデの心臓にすぐ行くが、そこの扉を開けたら、倉木は棺桶の中に入っていた……。
 かなり、端折ったので意味が飛んでいるところもあるが、不気味な雰囲気は伝わったと思う。ダビデの心臓では、タエマという女が遺髪で曼荼羅を編んでいて、その曼荼羅の一部になることが、ダビデの心臓のメンバーの夢であり、また、死と生のはざまで、恐怖の甘美に打ち震えて性感を感じているのが、ここの変態狂人メンバーなのだった。そういう変態狂人に、倉木は立ち向かったのだったが、狂人の中で一番しぶとかった紺野に殺されてしまった、そのように取れる話である。ただ、ラストの描写には、殺されたとは一言も書いてない。ただ、ダビデの心臓の扉をあけて中に入ったら、そこが棺桶の中だったという、空恐ろしいエンディングであった。
 この小説を読んで思ったことは、藤沢周はあまり写実派ではないということである。描写も劇画的に誇張してあるところが多く、エンディングもおかしな落とし穴に読者を落として、非現実的な下手をするとホラー的な恐怖感を醸し出しているからである。
 そういう方法も、この大作家の文学ですらありなのか、と改めて勉強になった一作だった。
波羅蜜Amazon書評・レビュー:波羅蜜より
4620107522
No.2:
(1pt)

悲惨な小説

かなり分厚い単行本で期待して読み始めた。ぐんぐん高度が上がっていく感じがして好ましかったが、途中から迷走しはじめた。で、制御不能になって墜落。これは悲惨な小説ではないか。とにかく、「ダビデの心臓」関係者の言っていることが分からない。「狂人集団」だから、では話にならない。1これまでの作品に比べ印象的な描写がとてもすくない。2人の死に対する洞察が浅い。3登場人物の行動が唐突でマンガチック。また、意味不明な台詞が多い。4これまでの作品にも見られたが登場人物の類型化。5終結が唐突&わけが分からない。以上のような理由から、これは星一つという残念な評価となった。
波羅蜜Amazon書評・レビュー:波羅蜜より
4620107522
No.1:
(5pt)

聖と俗

 藤沢流超ノワールな世界が、何と葬儀業界にて炸裂。葬儀に参列するたびに「葬儀って不思議……」と思いつつ、悲しみや忙しさに紛れてじっくり観察できずにいたので、「サイゴン・ピックアップ」で僧侶たちを描いた藤沢周がこの業界を描くと知って、不謹慎ながらわくわくしてしまった。
 期待は裏切られることがなかった。霊安室や葬祭場の独特の雰囲気、遺族の悲しみと対照的に、そこで交わされる葬儀業者どうしの渇ききった、唯物的な会話、裏取引をしている大病院の看護婦との淫靡な関係、疲れ果てて帰る部屋の、暗闇に青い光を放つクラゲの水槽、そして自死を望む高名な男たちの謎の組織「ダビデの心臓」の妖しい隠れ家や、そこに隷属(君臨?)する謎の女タエマ、自殺者の遺髪の編み込まれた不吉な曼荼羅絵……まさに藤沢ワールド全開。大満足です!
 いつもながら主人公の感じる日常のべったりと貼り付くような疲労感、徒労感、俗なものごとや俗なふるまいに対する執拗な苛立ち、かと思うとふいにすべてを投げ出してしまうような乾いた自棄的な孤独感、そして時に暴力的で攻撃的かつ通俗的な言動……これら全てが藤沢作品の魅力で、作者自身が主人公の目線で現実を緻密に観察しているし、読者はその目線を(あるいは聴覚・嗅覚・触覚・味覚も)共有する、いや、させられる。そしてその根底には、聖なるものへの憧憬と、俗なるものへの憤怒、あるいは聖なるものへの嫌悪と俗なるものへの渇望がないまぜになっている、気がする。
 ……と言うか、とにかくおもしろい。いつもはあまりしないけど「波羅蜜」は脳内ドラマ化してしまった。主演・大森南朋、小池栄子、田中要次・麿赤児で……って、ここ親子じゃん!
波羅蜜Amazon書評・レビュー:波羅蜜より
4620107522



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