アウト&アウト

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アウト&アウトの評価:

4.22/5点 レビュー 32件。 B ランク

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平均点4.22pt

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全43件 41〜43 3/3ページ
No.3
(4pt)

「あんたのお父さんはものすごく優しい人で、ものすごく好い男だよって……」

不良漫画の金字塔『ビー・バップ・ハイスクール』の著者である作家・木内一裕氏によるハードボイルド小説第3弾!

 前作『水の中の犬』で登場した元ヤクザ・矢能が探偵業を引き継ぎ、活躍する今回は、知人の紹介で依頼人に呼び出された事から殺人事件に巻き込まれる物語である。
 前作は救いのない悲劇的な物語であったが、今回は打って変わって(主役が代わったせいか)ポップな内容となっており、もちろん前作同様血生臭い事件に遭遇するのであるが、前作の主役であった探偵と違い、元ヤクザ・矢能の大雑把な性格から悲観的な要素は和らいだ展開となっている。

 矢能同様、前作からの関係で探偵事務所に同居する事となった小学2年生の女の子・黒木栞(しおり)や何かと事務所に顔を出す情報屋(注:『鉄と鉛』の関係上、矢能=成瀬正孝、情報屋=佐藤蛾次郎、をイメージして読んでいる)、矢能の甥分にあたる菱口組傘下の組長・工藤ちゃん、その舎弟で口答えした事から矢能に睨まれる篠木、矢能を何かといい人と思い込んでいる婆さん、矢能に負い目のあるロクデナシの刑事・次三郎……など個性豊かな面々が脇を支えている事も物語を和ましている大きな要素だ(余談だが、矢能と栞の関係がなんとなく手塚治虫著『ブラック・ジャック』におけるブラックジャックとピノコを連想させるが、性格的なしっかり者の立場が真逆だ)。

 さらに前作では道徳心を持たぬ極悪非道もしくは人の命を何とも思わぬ冷酷非情な脇役が主だったが、今回は事件の発端となる安田義行や事件のキーマンとなる池上数馬、事件の黒幕の側近である堂島哲士、といったそれぞれ倫理や正義感を持ち合わせた謹厳実直な漢(おとこ)たちが物語の中軸となっている事も大きな要因だろう(むしろ主役である矢能たちの方がいい加減に思える)。

 本来、難なく片のつく案件(犯行)が想定外の闖入者が関わった事で事態が悪化していく展開を読んでいて何かしら『相棒』を思わせる(本作の矢能も杉下右京とは形が違うものの当事者から見たら厄介な事この上ない)。
 ラストも読む人によっては纏め方が強引に思われるかもしれないが、矢能という男の性格からこうした展開は全然アリだと思うし、改めて読み直すとそれに向けてきちんと伏線も張ってあるのでこれはこれで面白かったし、前作の殺伐とした展開と比べても今回のポップな展開は個人的には好きである。

 できればまた、矢能探偵や周囲の個性的な面々が登場し活躍する第二弾を読んでみたい。
アウトアンドアウト (100周年書き下ろし) Amazon書評・レビュー: アウトアンドアウト (100周年書き下ろし)より
4062156660
No.2
(4pt)

「あんたのお父さんはものすごく優しい人で、ものすごく好い男だよって……」

不良漫画の金字塔『ビー・バップ・ハイスクール』の著者である作家・木内一裕氏によるハードボイルド小説第3弾!

 前作『水の中の犬』で登場した元ヤクザ・矢能が探偵業を引き継ぎ、活躍する今回は、知人の紹介で依頼人に呼び出された事から殺人事件に巻き込まれる物語である。
 前作は救いのない悲劇的な物語であったが、今回は打って変わって(主役が代わったせいか)ポップな内容となっており、もちろん前作同様血生臭い事件に遭遇するのであるが、前作の主役であった探偵と違い、元ヤクザ・矢能の大雑把な性格から悲観的な要素は和らいだ展開となっている。

 矢能同様、前作からの関係で探偵事務所に同居する事となった小学2年生の女の子・黒木栞(しおり)や何かと事務所に顔を出す情報屋(注:『鉄と鉛』の関係上、矢能=成瀬正孝、情報屋=佐藤蛾次郎、をイメージして読んでいる)、矢能の甥分にあたる菱口組傘下の組長・工藤ちゃん、その舎弟で口答えした事から矢能に睨まれる篠木、矢能を何かといい人と思い込んでいる婆さん、矢能に負い目のあるロクデナシの刑事・次三郎……など個性豊かな面々が脇を支えている事も物語を和ましている大きな要素だ(余談だが、矢能と栞の関係がなんとなく手塚治虫著『ブラック・ジャック』におけるブラックジャックとピノコを連想させるが、性格的なしっかり者の立場が真逆だ)。

 さらに前作では道徳心を持たぬ極悪非道もしくは人の命を何とも思わぬ冷酷非情な脇役が主だったが、今回は事件の発端となる安田義行や事件のキーマンとなる池上数馬、事件の黒幕の側近である堂島哲士、といったそれぞれ倫理や正義感を持ち合わせた謹厳実直な漢(おとこ)たちが物語の中軸となっている事も大きな要因だろう(むしろ主役である矢能たちの方がいい加減に思える)。

 本来、難なく片のつく案件(犯行)が想定外の闖入者が関わった事で事態が悪化していく展開を読んでいて何かしら『相棒』を思わせる(本作の矢能も杉下右京とは形が違うものの当事者から見たら厄介な事この上ない)。
 ラストも読む人によっては纏め方が強引に思われるかもしれないが、矢能という男の性格からこうした展開は全然アリだと思うし、改めて読み直すとそれに向けてきちんと伏線も張ってあるのでこれはこれで面白かったし、前作の殺伐とした展開と比べても今回のポップな展開は個人的には好きである。

 できればまた、矢能探偵や周囲の個性的な面々が登場し活躍する第二弾を読んでみたい。
アウトアンドアウト (100周年書き下ろし) Amazon書評・レビュー: アウトアンドアウト (100周年書き下ろし)より
4062156660
No.1
(5pt)

木内作品の中で一番好き

前作『水の中の犬』に登場したヤクザ・矢能が本作の主人公。肩書は探偵だが、
そこは元ヤクザだけあって、調査の過程で幾度も血生臭い場面に遭遇する。
矢能自身、暴力や汚い手を使うことを厭わない。そんな“ロクデナシ”にも弱点がある。
同居する(養っている)女の子の栞だ。この栞、まだ小学二年生なのに
やたらと大人っぽい。話し言葉がまたバカ丁寧で、正直、リアリティに欠ける。
だが、それだからこそ健気さ、かわいらしさが引き立ってもいる。
とくに、ふたりで鍋をつつくシーンには思わずホロリとさせられてしまった。
アウトロー&かよわき(守るべき)存在、という設定はハードボイルドの常道だが、
本作『OUT-AND-OUT』はハートフルな味つけが秀逸。好き嫌いが分かれる作風だけれど、
個人的にはとても満足できました。よって評価は納得の★五つ。
アウトアンドアウト (100周年書き下ろし) Amazon書評・レビュー: アウトアンドアウト (100周年書き下ろし)より
4062156660