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天の前庭
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天の前庭の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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作者の探偵小説デビュー作『ヘビイチゴ・サナトリウム』はメタミステリ的興味と学園ミステリを接合した「新人」らしい意欲作だったが、それよりも気になったのは、そのミステリ的プロットの変則性についてだった。即ち、物語の総分量からみて、起承転結の「結」にあたるであろう部分、通常「謎」に対する「解決」が始まるであろうところで、「謎」が立ち上がってくる――これは、新しく「謎」が発生するというのでなく、物語全体を貫く(はずだった)、メインとなる(べきだった)「謎」、という意味である。これには正直、関節を微妙に外されたようで、少し戸惑った。いかにも「新人」らしい、若干の計算違いかなとも思ったのだ。 ところが。第二作目である本作を読んで、プロット展開を前作と明らかに同じくしているのを見て、これは確信犯でやっているなと感じたわけだ。本作は記憶喪失の少女と彼女が過去に書いた手記、そして物語に挿入される謎のモノローグと、読者を散々翻弄したあと、起承転結の「結」にあたる第四章でとんでもない「謎」が立ち上がってくるのである。いってみれば、物語に張り巡らされた伏線が回収・接合されたとき、事態の「真相」ではなく「謎」が浮かびあがってくる――あるいは、「真相」が「謎」だった――しかし、この「手法」を今後も踏襲するなら、「謎」の設定・内容ともども、かなりシュールで、かつかなり企んだ物語操作が必要になるのではないか。本作が最終的にこのようなかたちになったのは、まだ試行錯誤の途上にあるからだと感じるが、作者のまさに詩人的感性に期待したい。幻想ミステリの秀作。 | ||||
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