夏草のフーガ



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    初公開日(参考)2011年07月
    分類

    長編小説

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    夏草のフーガ

    2011年07月07日 夏草のフーガ

    おばあちゃん、どうして13歳に戻っちゃったの? 家族のなかの見知らぬ闇――。注目作家の感動長編ミステリ! 「人は、いつまで選ばなかった人生に縛られるのだろう?」母親とふたりで暮らす少女・夏草は、中学受験を間近に控えた12歳。志望校は桜望学園という中高一貫のミッション系の女子高で、大好きな祖母の出身校だ。小さいころからよく桜望の話を聞いて、ずっと憧れだった。その願いは叶い合格したものの、喜んでくれるはずの祖母が突然倒れてしまう。一命をとりとめた祖母だったが、目を覚ますと、彼女は自分を中学1年生だと言い張るようになっていた。そして、入学したクラスで起こった事件をきっかけに学校を休みがちになった夏草は、中学生になりきった祖母と過ごす時間が増えるようになる。そこで、ふと、祖母が以前口にした「わたしは罪を犯した」という言葉を思い出す。いつもやさしかった祖母の罪とは一体何だったのか?家族も、友達も、神さまも、何も信じられず、この世界に絶望した後に見えたささやかな希望とは――。感動の長編ミステリ! (「BOOK」データベースより)




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    No.1:
    (5pt)

    3.11以後の社会を考える秀作

    お婆ちゃんの意識が、ある日突然、中学一年生に戻ってしまう。
    そんな荒唐無稽なファンタジック小説なのですが、読み始めると、
    文章がわかりやすく明瞭完結で、するすると読めていきます。
    いったいどんな人が書いているのかと思えば、すでに中堅作家で、
    主人公が中学生であることを、違和感なく表現して見せている。

    作者の、ほしおさなえさんの作品を読むのは、初めてなのですが、
    最初から最後までストレスなく読み終えたのは、作者の技量でしょう。
    荒唐無稽さを投げやりにせず、しっかり辻褄が合っているから、
    読んでいる方は、ついつい物語の世界に嵌められてしまう。
    こんなことが現実に起きるかどうかではなく、内容が前面に出て、
    人間の何か、大切なものを考えさせる力量が確かにあるのです。

    長い人生の中で、男ではなく女が感じ取る連帯感のようなもの。
    女性の体内で女の子が宿り成長するときに、その胎内の女の子が、
    すでに将来宿るべき女の子の卵子を用意している、なんて話は、
    正直言って、信用していいのかどうかもよくわからないことですが。
    それを一蹴するには、あまりにもこの小説の現実は重いのです。

    この小説では、男の考えはどちらかと言えば外側にあって、
    全体として、女にしかわからないものがあることを、物語っている。
    それはちゃんと説明されているわけではないまま、だけど外郭はあり、
    読んでいる内に、少なくとも女にしかわからない何かがあることを、
    どうしても意識させられてしまうのが、作品のうまいところです。
    お婆ちゃんから娘、そして孫にいたるまでの三代の実感においても、
    絶えず繋がっている不思議な意識が、うまく伝わってくる。

    いかに長い人生を生き終えるとも、その核となる部分は同じ、
    中学一年生から三年生に至る、三年間に凝縮されているのも興味深く、
    それが三代続く中で、代を重ねる毎に可能性が増えていく様子も見える。
    男と女は別世界と思っていた僕に、単なる理解放棄ではなく、
    理解可能な別世界として、さらけ出して見せてくれたものは大きくて、
    周辺に出てくる男性の世界まで、しっかりと根が張っているのが嬉しい。

    さらに言えば、僕はこの小説を愛さずにはいられないわけで、
    どうしてかと言えば、人間に対する深い洞察と共感が満ちている。
    男の理論ではなく、合理的でさえない女の感覚を正面から取り上げて、
    だけど観念に陥らないために、お婆ちゃんの13歳への変身がある。

    この本は、先月書き下ろしで発売されたばかりである以上に、
    舞台設定が3.11以降の日本の東京であることや、主人公の設定、
    あるいは現代人が抱えている不寛容について、考えさせてくれるのです。
    家族とは何か? そして人生とは何か? そんな大きな課題を、
    三代の女性に降りかかる難題と共に、描いてみせるのですが、
    決して悲観的になることなく、興味本位に落ちることもなく興味深い。

    夏草のフーガAmazon書評・レビュー:夏草のフーガより
    4344020138



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