ベルカ、吠えないのか?

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ベルカ、吠えないのか?の評価:

4.06/5点 レビュー 68件。 C ランク

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平均点4.06pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全104件 21〜40 2/6ページ
No.84
(4pt)

文体が気に入ればのめり込む

こういうタイプのエンタメ小説もあるのかと、勉強になります。いろんな種類の本は読んでみるモノです。

作者が語り部となったり、出てくる犬が読者を誘導したり、ハードボイルド調の物語になったりと、3つのタイプの小説がひとつに纏まっています。

私は、様々な視点がシームレスに、作品の中で縦横無尽に移り変わるのが好きですから、この本が誘導するままに任せて読み始めたら、超ノリノリで読めましたね。
この作者の他の本も読んでみたくなりました。
ベルカ、吠えないのか? Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか?より
4163239103
No.83
(4pt)

文体が気に入ればのめり込む

こういうタイプのエンタメ小説もあるのかと、勉強になります。いろんな種類の本は読んでみるモノです。

作者が語り部となったり、出てくる犬が読者を誘導したり、ハードボイルド調の物語になったりと、3つのタイプの小説がひとつに纏まっています。

私は、様々な視点がシームレスに、作品の中で縦横無尽に移り変わるのが好きですから、この本が誘導するままに任せて読み始めたら、超ノリノリで読めましたね。
この作者の他の本も読んでみたくなりました。
ベルカ、吠えないのか? (文春文庫) Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)より
4167717727
No.82
(5pt)

犬神話小説

二十世紀の地球上を駆けめぐる犬たちの血統史。
 「お前」という二人称で語られる本作は、マジックリアリズムを思い起こさせる。時に宇宙にまで行く犬たち。それらはまるで神話のように壮大である。二人称で語られることの生み出す緊張感と力が、他にない小説世界を作り出している。
 全体的に、着眼点も取材も表現も構成も文句なしだと思う。多くの人におすすめしたい本だ。だが終盤で少々書き急いだ感があるのが惜しい。
ベルカ、吠えないのか? Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか?より
4163239103
No.81
(5pt)

犬神話小説

二十世紀の地球上を駆けめぐる犬たちの血統史。
 「お前」という二人称で語られる本作は、マジックリアリズムを思い起こさせる。時に宇宙にまで行く犬たち。それらはまるで神話のように壮大である。二人称で語られることの生み出す緊張感と力が、他にない小説世界を作り出している。
 全体的に、着眼点も取材も表現も構成も文句なしだと思う。多くの人におすすめしたい本だ。だが終盤で少々書き急いだ感があるのが惜しい。
ベルカ、吠えないのか? (文春文庫) Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)より
4167717727
No.80
(5pt)

軍用犬の血統を追いながら20世紀後半を駆け抜ける爆発小説

大東亜戦争のさなか、キスカ島に3頭の軍用犬が取り残された。そのへんまでは史実かもしれない。しかし、その後のそれぞれの犬の生涯、そして生き残るために血統を絶やさず強靭に生き抜く軍用犬魂。読んでいて、どこからフィクションに入ったのか分からない巧妙な手腕に舌を巻く。物語はそれぞれの血統が戦争、犬橇、麻薬等と関わりながら、旧ソ連のスプートニクの犬の血統に収斂していく様を描く。一方で、それらの血統と世代が巻き込まれた冷戦下の局地戦争、すなわち朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン侵攻、最後にはソ連崩壊の裏側を同時並行に描き、犬を交えた様々な人間模様も絡まっていく。犬に対して徹底的に「お前」という二人称を使い、対する犬語がカタカナで記述される様子は不思議でもあり、この本の魅力でもある。傑作と言っていいだろう。
ベルカ、吠えないのか? Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか?より
4163239103
No.79
(5pt)

軍用犬の血統を追いながら20世紀後半を駆け抜ける爆発小説

大東亜戦争のさなか、キスカ島に3頭の軍用犬が取り残された。そのへんまでは史実かもしれない。しかし、その後のそれぞれの犬の生涯、そして生き残るために血統を絶やさず強靭に生き抜く軍用犬魂。読んでいて、どこからフィクションに入ったのか分からない巧妙な手腕に舌を巻く。物語はそれぞれの血統が戦争、犬橇、麻薬等と関わりながら、旧ソ連のスプートニクの犬の血統に収斂していく様を描く。一方で、それらの血統と世代が巻き込まれた冷戦下の局地戦争、すなわち朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン侵攻、最後にはソ連崩壊の裏側を同時並行に描き、犬を交えた様々な人間模様も絡まっていく。犬に対して徹底的に「お前」という二人称を使い、対する犬語がカタカナで記述される様子は不思議でもあり、この本の魅力でもある。傑作と言っていいだろう。
ベルカ、吠えないのか? (文春文庫) Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)より
4167717727
No.78
(5pt)

壮絶な犬の系譜の物語。

初めて古川日出男の本を読みましたがとても面白かったです。本書は歴史と物語の織り込み方がとてもよいと思います。また読みながら情景が目に浮かぶように感じた本でした。近現代史が好きな方にはお勧めです。
ベルカ、吠えないのか? Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか?より
4163239103
No.77
(5pt)

壮絶な犬の系譜の物語。

初めて古川日出男の本を読みましたがとても面白かったです。本書は歴史と物語の織り込み方がとてもよいと思います。また読みながら情景が目に浮かぶように感じた本でした。近現代史が好きな方にはお勧めです。
ベルカ、吠えないのか? (文春文庫) Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)より
4167717727
No.76
(5pt)

ひたすら犬

イヌの、何と分かちがたく人間の営みに寄り添っていることか。四頭のイヌの子孫たちは、時を経て何度も運命的な邂逅を繰り返すが、イヌたち自身はそれを知るはずもなく、読んでいる私らが「ああっ、今二つの血筋が重なり合った!」と勝手にわくわくするだけの話。そしてその血筋が、スプートニク5号で宇宙を旅して生還した初めてのイヌ、ベルカとストレルカの血筋と交わる…わくわく。このイヌたちの物語を縦糸とすると、横糸であるところの物語、人間側の主人公とも言えるかつてのソビエトの英雄(英雄、と書いてイヌ、と読んで下さい)である老人と、やがてストレルカを名乗ることになるわが日本のヤクザの娘、この二人の孤独な孤独な物語にも強烈に心惹かれる。
ベルカ、吠えないのか? Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか?より
4163239103
No.75
(5pt)

ひたすら犬

イヌの、何と分かちがたく人間の営みに寄り添っていることか。四頭のイヌの子孫たちは、時を経て何度も運命的な邂逅を繰り返すが、イヌたち自身はそれを知るはずもなく、読んでいる私らが「ああっ、今二つの血筋が重なり合った!」と勝手にわくわくするだけの話。そしてその血筋が、スプートニク5号で宇宙を旅して生還した初めてのイヌ、ベルカとストレルカの血筋と交わる…わくわく。このイヌたちの物語を縦糸とすると、横糸であるところの物語、人間側の主人公とも言えるかつてのソビエトの英雄(英雄、と書いてイヌ、と読んで下さい)である老人と、やがてストレルカを名乗ることになるわが日本のヤクザの娘、この二人の孤独な孤独な物語にも強烈に心惹かれる。
ベルカ、吠えないのか? (文春文庫) Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)より
4167717727
No.74
(5pt)

マジカルでリリカル

最近、お気に入りの作家。『13』、『アラビアの夜の種族』など、卓抜したストーリーテリングを発揮する。この小説も読ませる。第2次世界大戦から連なる現代史を、犬を軸として描く。 しかし、私が好きなのは、そのストーリーではない。マジカルでリリカルで、リズムのある文体。決して長さを感じさせないトールテラーである。 もっと長いものが読みたい。
ベルカ、吠えないのか? Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか?より
4163239103
No.73
(5pt)

マジカルでリリカル

最近、お気に入りの作家。『13』、『アラビアの夜の種族』など、卓抜したストーリーテリングを発揮する。この小説も読ませる。第2次世界大戦から連なる現代史を、犬を軸として描く。 しかし、私が好きなのは、そのストーリーではない。マジカルでリリカルで、リズムのある文体。決して長さを感じさせないトールテラーである。 もっと長いものが読みたい。
ベルカ、吠えないのか? (文春文庫) Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)より
4167717727
No.72
(4pt)

「ムツゴロウの動物王国」ばりのフィクションな小説である。

戦争の世紀/軍用犬の世紀/20世紀。実は20世紀は犬の世紀でもあった。1957年(イヌ紀元元年)、人間よりも4年も早く宇宙に行った動物こそ犬であり、太平洋戦争、朝鮮戦争、冷戦、ベトナム戦争、アフガン侵攻、そこにはかならず犬がいた。本作は犬を中心に描かれた歴史エンタテインメント小説である。 読んでいて、「カムイ伝」を思い出した。あんまりよく覚えていないのだが、確か「カムイ伝」は、カムイとか正助とかの本筋のストーリーの間に急に、狼だとか、熊だとか、自然の営みの話が挿入される。それと、どことなく似ている。本作は、本筋がイヌのストーリーであり、イヌの周りの人間の話が挿入される、といったイメージである。あと、実際にあった戦争を違った視点(イヌの視点)でみる、というのもなんとなく「砂のクロニクル」の様相である。もう、これらの作品を思い出すってことは、相当面白いってことですよ、これは。 始まりは、太平洋戦争時のキスカ島。取り残された4頭の軍用犬の血筋の系譜がどのように巡り、「ベルカ」と呼ばれるイヌにいきつくのか。ソビエト連邦を取り戻そうと画策する(うそかも。ちょっとこのキャラクターの目的が読み取れない。。)「大主教」と日本のヤクザの娘はその系譜にどう絡むのか、といったところも見どころ。歴史もちょっと知れて、エンタテインメントも楽しめて、さらにボリス・エリツィンの秘密も知れるという、「ムツゴロウの動物王国」ばりのフィクションな小説である。 でも、最後ちと尻切れトンボ??文章から意味が読み取れなかった。新たなる時代の始まり、ってことでいいのかしら??
ベルカ、吠えないのか? Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか?より
4163239103
No.71
(4pt)

「ムツゴロウの動物王国」ばりのフィクションな小説である。

戦争の世紀/軍用犬の世紀/20世紀。実は20世紀は犬の世紀でもあった。1957年(イヌ紀元元年)、人間よりも4年も早く宇宙に行った動物こそ犬であり、太平洋戦争、朝鮮戦争、冷戦、ベトナム戦争、アフガン侵攻、そこにはかならず犬がいた。本作は犬を中心に描かれた歴史エンタテインメント小説である。 読んでいて、「カムイ伝」を思い出した。あんまりよく覚えていないのだが、確か「カムイ伝」は、カムイとか正助とかの本筋のストーリーの間に急に、狼だとか、熊だとか、自然の営みの話が挿入される。それと、どことなく似ている。本作は、本筋がイヌのストーリーであり、イヌの周りの人間の話が挿入される、といったイメージである。あと、実際にあった戦争を違った視点(イヌの視点)でみる、というのもなんとなく「砂のクロニクル」の様相である。もう、これらの作品を思い出すってことは、相当面白いってことですよ、これは。 始まりは、太平洋戦争時のキスカ島。取り残された4頭の軍用犬の血筋の系譜がどのように巡り、「ベルカ」と呼ばれるイヌにいきつくのか。ソビエト連邦を取り戻そうと画策する(うそかも。ちょっとこのキャラクターの目的が読み取れない。。)「大主教」と日本のヤクザの娘はその系譜にどう絡むのか、といったところも見どころ。歴史もちょっと知れて、エンタテインメントも楽しめて、さらにボリス・エリツィンの秘密も知れるという、「ムツゴロウの動物王国」ばりのフィクションな小説である。 でも、最後ちと尻切れトンボ??文章から意味が読み取れなかった。新たなる時代の始まり、ってことでいいのかしら??
ベルカ、吠えないのか? (文春文庫) Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)より
4167717727
No.70
(5pt)

話が脱線して申し訳ありません。

読み応えも歯応えもある一冊だった。エンタメ小説に分類されるのだろうが、ハードボイルド的な文体は独特。作品紹介にもあるがここまで文体に特徴(作者にとってはこだわり)がある作品は純文学といってもいいのかもしれない。好き嫌いのはっきりしそうな文体だ。作者は、この作品において犬を擬人化してしゃべらせることはせず、自分自身が犬に語りかける(犬の気持ちを代弁する)形をとっているが、これがこの作品を硬質で魅力的なものにしているのだと思う。小説ではないが、軍用犬を出自とする犬を主人公とした作品に谷口ジローというマンガ家が描いた「ブランカ」とその続編「神の犬」という傑作マンガがある。この「ベルカ、吠えないのか?」を読んで谷口ジローのことが頭をよぎった。彼のことは「孤独のグルメ」というマンガのことで知っている方もいるかもしれないが、80年代中盤までの谷口ジローはいわゆる劇画をフィールドとするマンガ家であり、その描線も現在よりも太く劇画的なものであり、現在の彼の繊細な描線とは異なるものだが、この劇画時代の描線や世界観(多くが関口夏央原作の作品)が、この小説の文体や世界観にピッタリだと思う。しかも、彼は原作なしのオリジナル作品では多くの野性動物を主人公に据えたマンガを描いておりその描写力は圧倒的だ。わたしは、小説をマンガ化することについては否定的な部分もあるのだが、この「ベルカ、吠えないのか?」を読み終わった後、谷口ジローにマンガ化して欲しいと切実に思った。この気持ちは、谷口ジローのファンならわかってもらえるような気がするし、谷口ジローを知らない方でも、彼の描く“絵”だけでも見てもらえればわかってもらえるような気がする。
ベルカ、吠えないのか? Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか?より
4163239103
No.69
(5pt)

話が脱線して申し訳ありません。

読み応えも歯応えもある一冊だった。エンタメ小説に分類されるのだろうが、ハードボイルド的な文体は独特。作品紹介にもあるがここまで文体に特徴(作者にとってはこだわり)がある作品は純文学といってもいいのかもしれない。好き嫌いのはっきりしそうな文体だ。作者は、この作品において犬を擬人化してしゃべらせることはせず、自分自身が犬に語りかける(犬の気持ちを代弁する)形をとっているが、これがこの作品を硬質で魅力的なものにしているのだと思う。小説ではないが、軍用犬を出自とする犬を主人公とした作品に谷口ジローというマンガ家が描いた「ブランカ」とその続編「神の犬」という傑作マンガがある。この「ベルカ、吠えないのか?」を読んで谷口ジローのことが頭をよぎった。彼のことは「孤独のグルメ」というマンガのことで知っている方もいるかもしれないが、80年代中盤までの谷口ジローはいわゆる劇画をフィールドとするマンガ家であり、その描線も現在よりも太く劇画的なものであり、現在の彼の繊細な描線とは異なるものだが、この劇画時代の描線や世界観(多くが関口夏央原作の作品)が、この小説の文体や世界観にピッタリだと思う。しかも、彼は原作なしのオリジナル作品では多くの野性動物を主人公に据えたマンガを描いておりその描写力は圧倒的だ。わたしは、小説をマンガ化することについては否定的な部分もあるのだが、この「ベルカ、吠えないのか?」を読み終わった後、谷口ジローにマンガ化して欲しいと切実に思った。この気持ちは、谷口ジローのファンならわかってもらえるような気がするし、谷口ジローを知らない方でも、彼の描く“絵”だけでも見てもらえればわかってもらえるような気がする。
ベルカ、吠えないのか? (文春文庫) Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)より
4167717727
No.68
(5pt)

人の争いとともに盛衰する犬の血脈を味わう

通常の小説で、一定期間のある断面を切り取って、そこにドラマを作りこむ構成は見慣れていますが本作で切り取られた時間軸はまったく違います。時代背景は1943年から1990年約50年間での人間の現代史が舞台になっています。通常この期間であればその50年間を生きた誰かが主人公になるのが普通ですが、本作ではその時代と歩みを共にする特定の主人公は存在しません。つまり本作は50年間の時間軸を主人公なしで一遍の作品をなしているというやや実験的な作品となっています。では、おもしろくないのかと言えばこれがめっぽうおもしろく、一気読みしてしてしまいました。 本作で時代と歩みを共にするのは犬の血脈といえましょう。三匹の日本軍軍用犬が太平洋の北側、アリューシャン列島に置き去りにされてから、それぞれの子孫が戦争とともに世界に拡散し、人間の戦いとともに世代を超えて命を繋げていく営み自体がドラマとなっています。作中何匹もの兄弟姉妹、親子が出てきますが、家系図は大きな問題ではないでしょう。彼らの生命力は人間の争いや善悪、敵味方とは関係なく生きることを目的に環境に順応していきます。彼らの生命力を見せつけられると、現在地球に君臨している人間の営みがなんとも小さく見えてしまいます。そんな犬たちの生命力を感じることが本作の楽しみ方だと思いました。
ベルカ、吠えないのか? Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか?より
4163239103
No.67
(5pt)

人の争いとともに盛衰する犬の血脈を味わう

通常の小説で、一定期間のある断面を切り取って、そこにドラマを作りこむ構成は見慣れていますが本作で切り取られた時間軸はまったく違います。時代背景は1943年から1990年約50年間での人間の現代史が舞台になっています。通常この期間であればその50年間を生きた誰かが主人公になるのが普通ですが、本作ではその時代と歩みを共にする特定の主人公は存在しません。つまり本作は50年間の時間軸を主人公なしで一遍の作品をなしているというやや実験的な作品となっています。では、おもしろくないのかと言えばこれがめっぽうおもしろく、一気読みしてしてしまいました。 本作で時代と歩みを共にするのは犬の血脈といえましょう。三匹の日本軍軍用犬が太平洋の北側、アリューシャン列島に置き去りにされてから、それぞれの子孫が戦争とともに世界に拡散し、人間の戦いとともに世代を超えて命を繋げていく営み自体がドラマとなっています。作中何匹もの兄弟姉妹、親子が出てきますが、家系図は大きな問題ではないでしょう。彼らの生命力は人間の争いや善悪、敵味方とは関係なく生きることを目的に環境に順応していきます。彼らの生命力を見せつけられると、現在地球に君臨している人間の営みがなんとも小さく見えてしまいます。そんな犬たちの生命力を感じることが本作の楽しみ方だと思いました。
ベルカ、吠えないのか? (文春文庫) Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)より
4167717727
No.66
(5pt)

犬達によるもう一つの戦争史

犬達を中心に繰り広げられる戦争の歴史と犬達の視点による壮大な叙情詩。軍用犬の存在というものをこの本を通して初めて知りました。戦争の歴史の中にも人間以外にも運命を狂わされ、時代に奔走された多くの犠牲者(犬)がいたんだと・・・。そういった意味でも非常におもしろく読めました。昨今の小説にはめずらしい重厚な読み応えの小説でそれが新鮮でした。軽いポップスやボサノバが流行の中、ひさしぶりにフルオーケストラのクラシックを聞いたような感がありました。作中、数少ない犬側の人間として描かれている少女をありがちなパターンで美少女にしないあたりも独特の重みをだすのに役立っていて他のアバンギャルド系小説世界と一線を画しているように思えました。日本人が書いたと思えない全編を通してロシア的な美意識と世界感にあふれています。
ベルカ、吠えないのか? Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか?より
4163239103
No.65
(5pt)

犬達によるもう一つの戦争史

犬達を中心に繰り広げられる戦争の歴史と犬達の視点による壮大な叙情詩。軍用犬の存在というものをこの本を通して初めて知りました。戦争の歴史の中にも人間以外にも運命を狂わされ、時代に奔走された多くの犠牲者(犬)がいたんだと・・・。そういった意味でも非常におもしろく読めました。昨今の小説にはめずらしい重厚な読み応えの小説でそれが新鮮でした。軽いポップスやボサノバが流行の中、ひさしぶりにフルオーケストラのクラシックを聞いたような感がありました。作中、数少ない犬側の人間として描かれている少女をありがちなパターンで美少女にしないあたりも独特の重みをだすのに役立っていて他のアバンギャルド系小説世界と一線を画しているように思えました。日本人が書いたと思えない全編を通してロシア的な美意識と世界感にあふれています。
ベルカ、吠えないのか? (文春文庫) Amazon書評・レビュー: ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)より
4167717727