ノルウェイの森

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評判

ノルウェイの森の評価:

3.82/5点 レビュー 818件。 C ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.82pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1,323件 281〜300 15/67ページ
No.1043
(5pt)

主人公の暮らした学生寮は

村上春樹、川上未映子著『みみずくは黄昏に飛びたつ』(書評済)を読んで、本書をまた読もうと思った。

まず最初の儀式は、ビートルズの「ノルウェーの森」を聞くこと。これで30年前にワープする。

ところで、第2章に不思議な学生寮がでてくる。本書の表現では、「教育の根幹を窮め国家にとって有為な人材の育成につとめる」を創設の精神とするが、うさん臭いとある。

この寮のモデルは和敬寮と思われ、明日、国会に参考人招致される、前川喜平文科省前事務次官の祖父が作ったという。

それにしても、
嘘しか放送しない放送局、
嘘しか書かない新聞、
嘘しか言わない政府、
いわば嘘の国のなかで読むと、
本書は30年前の本だがとても興味深い。

登場人物には永沢さんのような変な人もいるが、なんかみんな正直なのが不思議な気がする。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.1042
(4pt)

上下二冊セットで受領しました

ネット上の表示は上巻だけとなっていますが、出品者に確認したとおり上下巻を受領しました。金銀の華やかな帯も附属しており、状態も比較的キレイで、結構でした。一千万部以上うれたという超ベストセラーですが、やはり、文庫などの再刊本よりも初版版の丸背本は雰囲気もよく、あとがきもついており、いいものだと思います。
この作品のプロトタイプである「蛍」を合わせて読むと、いわゆる〝村上ワールド〟の小説作法、つまりワールドの膨らませ方がよくわかります。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.1041
(5pt)

ミッシングリンクと言うと大げさかもしれないが

『ダンス ダンス ダンス』が好きでときどき読む。ところで、たまに『羊をめぐる冒険』を読むと、主人公が同じ続き物のはずがあまりに感じが違うので少し気になっていた。

最近『みみずくは黄昏に飛びたつ』の著者の告白を読んでなるほどと思った。

いわく、当時(羊のとき)できないことがいくつかあったー
登場人物にうまく名前がつけられない
三人称で書けない
三人で話すシーンが書けない
アクションやセックスシーンが書けない

それで本書で実験し、なんとか書けるようになった、という。

本書には性的なシーンが多いけれど、そう言われて読めば、なんだか初々しい感じがする。
ノルウェイの森(下) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森(下)より
4062035162
No.1040
(5pt)

何回読んだか

私は"そこそこ熱心な"村上春樹のファンです。
風の歌を聴けから騎士団長迄の短編長編恐らく全て読破していますし、彼の翻訳作品も大体は読んでいます。
そんな中でもこのノルウェイの森は突出していると感じます。
言葉にはうまくできないけれど、私は暇を見つけては無意識に本棚から本書を引っ張り出してあてもなくページを開き夢中で読んでいることが多々あります。それは著者である村上春樹が、又はワタナベ君がフィッツジェラルドのグレードギャッツビーを繰り返し愛読するのと非常に似ていると思う。無論フィッツジェラルドもカポーティもカーヴァーもオブライエンも彼が訳した著名な作家の本は大体読んだがそのいずれに於いても私にとってノルウェイの森を越える作品はありません。
ノルウェイの森(上) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森(上)より
4062035154
No.1039
(5pt)

平凡な大人になった自分に送る 100%恋愛小説

主人公のワタナベは、直子と緑の二人の女性を通じて、美しきものに対する深い憧れに向き合います。
人を愛することの不思議、それはまるで人生の意味を解き明かすような特別な出来事でもあります。
「ノルウェーの森(下)」は、一途な恋心を抱いていたはずの主人公が、答えのない迷宮へと導かれる姿を描きます。

【日常と恋愛の空間】
直子のもとを離れて、激しい生命力を放つ緑の視点に立った時、この日常はゆがんだ奇妙な世界に映る。

「ここがなんだか本当の世界じゃないような気がするんだよ」

私たちの日常における生活感情は、恋愛の陶酔感や性的なイメージを無意識に遠ざけようとする。
平穏な社会生活を送るには、恋愛感情は時に社会からの逸脱を伴う危険なものでもあるからです。

【理想と現実の世界】
キスギと直子は現実の世界に出ていくことを恐れ、愛し合いつつも不幸な運命を辿ってきた。

「私たちはあなたを仲介として外の世界にうまく同化しようと私たちなりに努力していたのよ」

直子が恐れる外の世界、そして私たちがリアルな現実と呼んでいるものの正体とは、
理想を打ち砕かれながらも、世間の承認なくては生きていけないという、妥協とあきらめです。

【人を愛することの意味】
「どうしてこんな迷宮のようなところに放り込まれてしまったのか、僕にはさっぱりわけがわからないのです」

人を愛することを通して、その向こうに自分のほんとうの姿を発見した。
僕は死を求めた直子と、生を求めた緑の両方を同時に愛してしまった。
それは現実の世界では、そのままの形では存在できない複雑な恋愛感情だった。

暗い森の奥で、直子は自ら命を絶った。
もはや日常空間も恋愛空間も見失った。何処でもない場所に、僕は放り込まれてしまった。

「僕は今どこにいるのだ?」

この物語を読み終えて、忘れかけていた遠いかすかな記憶の恋心が蘇りました。
いつしか平凡でまともな大人になってしまった全ての人々に、この作品の感動が伝わりますように。
ノルウェイの森〈下〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈下〉 (講談社文庫)より
4061848933
No.1038
(5pt)

久しぶりに読み返しました。

既に他でも指摘されていますが、レイコ=「虚言癖のある極度の精神異常者」とも読めることが面白いです。破綻なく二通りの読み方ができるように作られている。
レイコ=「善人」説と、レイコ=「虚言癖のある極度の精神異常者」説で。

直子に、ワタナベが緑に惹かれていることを伝えたのがレイコであると仮定して読むと恐ろしいですね。吐き気がします。直子を自殺に追い込んだのはレイコだとも読める。サイコパス・レイコ。

死の淵にあった緑の父が、「切符・緑・頼む・上野駅」とワタナベに言い残して死んでいきますね。

最後の「上野駅」のシーン、レイコが陸路で旭川へいくと言いますが本当ですかね。茗荷谷へ行くんじゃないですかね。小林緑のアパートのある茗荷谷へ。
ノルウェイの森〈下〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈下〉 (講談社文庫)より
4061848933
No.1037
(4pt)

生と性と死の感情

生々しく私自身の感情に真っ直ぐにぶつかってくる感じがしました。最近の作品を読んでからこの作品を読ませて頂いたのですが、私はこちらの作風の方が好きだと思いました。雨の状景と梅雨の時期に読んでいたことと重なり物語が尚、身近に感じられ辛く哀しくなってしまいなかなか読み進めることが出来ませんでした。生と死が絡み合う作品で感情がかき乱されますが死ぬ前に出逢えて良かったと思える作品でした。
ノルウェイの森〈下〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈下〉 (講談社文庫)より
4061848933
No.1036
(5pt)

主人公の暮らした学生寮は

村上春樹、川上未映子著『みみずくは黄昏に飛び立つ』(書評済)を読んで、本書をまた読もうと思った。

まず最初の儀式は、ビートルズの「ノルウェーの森」を聞くこと。これで30年前にワープする。

ところで、第2章に不思議な学生寮がでてくる。本書の表現では、「教育の根幹を窮め国家にとって有為な人材の育成につとめる」を創設の精神とするが、うさん臭いとある。

この寮のモデルは和敬寮と思われ、明日、国会に参考人招致される、前川喜平文科省前事務次官の祖父が作ったという。本書は30年前の本だがとても興味深い。
ノルウェイの森(上) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森(上)より
4062035154
No.1035
(4pt)

上下二冊セットで受領しました

ネット上の表示は上巻だけとなっていますが、出品者に確認したとおり上下巻を受領しました。金銀の華やかな帯も附属しており、状態も比較的キレイで、結構でした。一千万部以上うれたという超ベストセラーですが、やはり、文庫などの再刊本よりも初版版の丸背本は雰囲気もよく、あとがきもついており、いいものだと思います。
この作品のプロトタイプである「蛍」を合わせて読むと、いわゆる〝村上ワールド〟の小説作法、つまりワールドの膨らませ方がよくわかります。
ノルウェイの森(上) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森(上)より
4062035154
No.1034
(5pt)

平凡な大人になった自分に送る 100%恋愛小説

主人公のワタナベは、直子と緑の二人の女性を通じて、美しきものに対する深い憧れに向き合います。
人を愛することの不思議、それはまるで人生の意味を解き明かすような特別な出来事でもあります。
「ノルウェーの森(下)」は、一途な恋心を抱いていたはずの主人公が、答えのない迷宮へと導かれる姿を描きます。

【日常と恋愛の空間】
直子のもとを離れて、激しい生命力を放つ緑の視点に立った時、この日常はゆがんだ奇妙な世界に映る。

「ここがなんだか本当の世界じゃないような気がするんだよ」

私たちの日常における生活感情は、恋愛の陶酔感や性的なイメージを無意識に遠ざけようとする。
平穏な社会生活を送るには、恋愛感情は時に社会からの逸脱を伴う危険なものでもあるからです。

【理想と現実の世界】
キスギと直子は現実の世界に出ていくことを恐れ、愛し合いつつも不幸な運命を辿ってきた。

「私たちはあなたを仲介として外の世界にうまく同化しようと私たちなりに努力していたのよ」

直子が恐れる外の世界、そして私たちがリアルな現実と呼んでいるものの正体とは、
理想を打ち砕かれながらも、世間の承認なくては生きていけないという、妥協とあきらめです。

【人を愛することの意味】
「どうしてこんな迷宮のようなところに放り込まれてしまったのか、僕にはさっぱりわけがわからないのです」

人を愛することを通して、その向こうに自分のほんとうの姿を発見した。
僕は死を求めた直子と、生を求めた緑の両方を同時に愛してしまった。
それは現実の世界では、そのままの形では存在できない複雑な恋愛感情だった。

暗い森の奥で、直子は自ら命を絶った。
もはや日常空間も恋愛空間も見失った。何処でもない場所に、僕は放り込まれてしまった。

「僕は今どこにいるのだ?」

この物語を読み終えて、忘れかけていた遠いかすかな記憶の恋心が蘇りました。
いつしか平凡でまともな大人になってしまった全ての人々に、この作品の感動が伝わりますように。
ノルウェイの森 下 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森 下 (講談社文庫)より
406274869X
No.1033
(5pt)

久しぶりに読み返しました。

既に他でも指摘されていますが、レイコ=「虚言癖のある極度の精神異常者」とも読めることが面白いです。破綻なく二通りの読み方ができるように作られている。
レイコ=「善人」説と、レイコ=「虚言癖のある極度の精神異常者」説で。

直子に、ワタナベが緑に惹かれていることを伝えたのがレイコであると仮定して読むと恐ろしいですね。吐き気がします。直子を自殺に追い込んだのはレイコだとも読める。サイコパス・レイコ。

死の淵にあった緑の父が、「切符・緑・頼む・上野駅」とワタナベに言い残して死んでいきますね。

最後の「上野駅」のシーン、レイコが陸路で旭川へいくと言いますが本当ですかね。茗荷谷へ行くんじゃないですかね。小林緑のアパートのある茗荷谷へ。
ノルウェイの森 下 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森 下 (講談社文庫)より
406274869X
No.1032
(4pt)

生と性と死の感情

生々しく私自身の感情に真っ直ぐにぶつかってくる感じがしました。最近の作品を読んでからこの作品を読ませて頂いたのですが、私はこちらの作風の方が好きだと思いました。雨の状景と梅雨の時期に読んでいたことと重なり物語が尚、身近に感じられ辛く哀しくなってしまいなかなか読み進めることが出来ませんでした。生と死が絡み合う作品で感情がかき乱されますが死ぬ前に出逢えて良かったと思える作品でした。
ノルウェイの森 下 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森 下 (講談社文庫)より
406274869X
No.1031
(5pt)

一番好きな作品

30年前の大学生時代に初めて読んだ村上春樹氏の作品であり、その後いろいろと読んだが、
この作品が一番好きである。先日も久しぶりに読んだが、改めて、大学生のころの青臭い気持ちを
思い出した。この作品の良いところは、ストレートなまでに現実の世界と人間の持つ純粋な気持ち
の葛藤をそれぞれの登場人物が意味を持って活き活きと語ってくれるところにあると思う。
余計な暗喩や意味深で意味のない表現などがなく、本当にうっすらとした霧のかかる森で
ストーリーを聞いているような気分になる。どの小説も感性が合う、合わないは、その人の経験や
考え方に依るものであり、このレビューで
読んでみようかと思って、感性が合う人がいれば良いなと思う。
ノルウェイの森 下 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森 下 (講談社文庫)より
406274869X
No.1030
(5pt)

人を愛することの意味

前作「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」の結末で、主人公は閉鎖的な内部世界に留まり、
愛する女性の記憶を取り戻し、彼女の心を再生することを誓いました。
その誓いは本作品に託されたように思われます。
主人公は直子に導かれるようにして、外の世界から閉ざされた地へと足を踏み入れました。
そこから魂の救済に奔走する僕の物語が再び始まります。

【第1章】
直子との約束を守るために、僕は不完全な記憶と不完全な想いを自覚しつつも語り始める。

「既に薄らいでしまい、そして今も刻一刻と薄らいでいくその不完全な記憶をしっかり胸に抱きかかえ、
骨でもしゃぶるような気持ちで僕はこの文章を書き続けている。」

【第2章】
17歳の五月の夜にキズキを捉えた死は、同時に僕と直子の心も捉えてしまった。

「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」

直子と僕は東京で運命的な出会いを果たした。

【第3章】
「その夜、僕は直子と寝た。そうすることが正しかったのかどうか、僕にはわかならない。」

直子の異変を感じた僕は、彼女の為に献身的に尽くそうと思うが、
二十歳の誕生日の直後に、何も言わないまま彼女は僕の前から去っていった。

【第4章】
終夜営業の喫茶店で、見ず知らずの女性二人に出会った。
成り行きで小柄な方の女の子とホテルへ入り、翌日目を覚ますと彼女の姿は消えていた。
凡庸な学生生活を続けていた僕は、その時突然、自分の周りから現実感が失われていることに気づく。

「奇妙によそよそしく非現実的に感じられたが、間違いなく僕の身に実際に起こった出来事だった」

淡々とした記述を重ねながら、いつのまにか不思議な空間を作り出す展開の巧みさ。
言葉にするのは難しいのですが、村上作品ではこのような場面展開の妙が物語に躍動感を与えます。

【第5章】
直子からの手紙が届いた。
そこに書かれていたのは、自己を客観的に分析し、事実を受け入れる透徹した言葉だった。

「私はあなたに対して、もっときちんとした人間として公正に振舞うべきではなかったかと思うのです」

僕はすぐさま彼女のいる山奥の療養所へと向かう。

【第6章】
社会復帰を目指す直子に、僕の想いは受け入れられなかった。

「私を理解して、それでどうなるの?」
「私とかかわりあうことであなたは自分の人生を無駄にしてるわよ」

そもそも人を愛するということがどういうことなのか、僕にはまだわからない。

人を愛するということはどういうことなのでしょうか?
それはきっと、生の本質を揺さぶるような何かではないでしょうか。
「ノルウェーの森(下)」では、その「何か」を求めて、主人公のさらなる奮闘が続きます。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.1029
(5pt)

上下巻合わせての感想

村上春樹は有名すぎて少なからず敬遠していたのだが、読んでみると好きになれた。
ミステリー小説や恋愛小説といったいわゆるエンタメ小説とは確かに違っていて、特に大きな盛り上がりもなく、盛り下がりもなく、一貫してドライな物語展開。確かに「こんな小説の何が面白いの?」という人が結構多くても不思議でない。

自分も読み始めはかなりそっけない印象を受けたし、途中ハラハラドキドキするようなこともあまりなかった。
どこかのブログで「自分は高校生の時に読んだから、ただのエロ小説としか感じなかった」という感想があったが、自分も高校生の時に読んでいたらそう思っただろう。実際主人公は次から次へとやりまくっている。
そういう意味では自分はこの小説をそれなりに良いタイミングで読めたのではないかと思う。つまり、セックスやら愛撫やらを比較的淡々と捉えられる年齢で読めたこと。それらの行為は読み手にドキドキ感を与えるわけでもなく、物語にスパイスを加えるわけでもなく、むしろ主人公のセックスは(少なくとも最初の頃は)喪失感の象徴のようなものでもあったように思える。

小説の触れ込みに、100%恋愛小説、というものがあったが、自分はこの物語にいわゆる「恋愛」と呼べるようなものは微塵も感じられなかった。自分はこれを喪失と、苦悩と、再生への糸口を掴むまでの物語である、と捉えている。
20代の頃に読んでいたら、今ほど感じられなかっただろう感覚の一つに物語への「共感」がある。
この物語の中には、ある程度の年齢であれば、多かれ少なかれ経験してきただろう(喪失感やら、虚無感やら、純粋な悲しみやらの)感覚を呼び起こす場面が結構ある(それらは人によって異なるのだろうが)。その度に主人公たちの経験に自分の昔の体験が映し出されているような気がして、そういう時は、物語の登場人物の心情よりも自分の昔の気持ちを思い起こさせる。

何にしても物語は淡々としていたが、決してつまらないということはなく、読んでいる時の心地よい感覚 (おそらく所々での共感とか村上春樹特有の言葉の編み方みたいなものによるのだろう)もあって、良い読書体験だったと思う。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.1028
(5pt)

ハルキ最襲撃

困ったときは死とエロ、つまらない小説、性描写が気持ち悪くて見るに耐えない、恥ずかしい、、、その他の批判がレビューにあげられていて、あるレビューでは、「こんな文章を書く作者はどんな人かと思ったら、やはりナルシストだったか」というような手厳しい批判もあった。
反対に、作品を前向きに評価するレビューもある。読めば読むほど面白い、精巧な表現、哲学的な要素に富んでいる、私にとってかけがえのない一冊、読者を惹き付ける文章、など。

作者は、1979年に『風の歌を聴け』で第22回群像新人文学賞を受賞し作家デビューした。
なんでも、野球観戦の最中、ふと小説を書くことを思い付き、処女作である『風の歌を聴け』を書き始めたらしい。
その後、1982年に『羊を巡る冒険』で第4回野間文芸新人奨励賞、1985年には『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』で第21回谷崎潤一郎賞を受賞した。

そのあと、短編小説、エッセイ、海外作品の翻訳などを経て、1987年9月に問題作となった『ノルウェイの森』が出版され、上下430万部を売るベストセラーとなった。

村上春樹作品に対する注目度が増し、読者層の分母数が着実に増えたことで、作品の解釈について、より多様な意見が交わされるようになったのだろうと思う。

本作品『ノルウェイの森』について、作者は以下のように語った。

「この作品(ノルウェイの森)を世に出してから、僕はみんなから恨まれているような気持ちがした」

個人的な意見を正直にいうと、作中の余剰な性描写や、登場人物の唐突な死(納得のいく説明が書かれていない)について、作者の意図が読めない。物事を理解するために、人物像と人物の関係を図式化してみるが、人物の全体像(特にその思想の範囲)を掴みきれず、私の解釈は見当違いなものだと感じてしまう。

作者が語るところによると、
「だいたいの批評が的を得ていない、見当違いなものである」と、いうことらしい。

作家の意図、もしくは意図の不在を見抜くには、その作家自身より高次元で物事を考える必要があると自分は考える。なぜなら、作家の巧妙な仕掛けや深い思想を理解するには、それ相応の理解力と分析力、思考力が求められるからだ。
そういった意味では、私は作者の本作品を理解できていないと感じる。
出版するたび、表舞台に立つたびに批評を巻き起こす作者はまれであろう。作品は日本だけでなく、世界中で批評にさらされながらも、読者数を増やし続けている。それにとどまらず、村上春樹作品がグローバルな教養になる、との意見もあるようだ。
当然ながら、多様な意見があるということは、それだけ多くの読者が手に取っているということだ。そして村上春樹作品を通しての読書体験は読者に「感じる」ことを強制させるほどの引力を持つ。低俗なセックス小説だ、意味不明、惹き付けられた、心を揺さぶられる文章だ、とそれぞれ何かしらを感じるだろう。いや、感じざるをえないし、読者を「考えさせる」ような筆運びともいえるのではないだろうか。それゆえ批評は尽きない。

私は、これからも村上春樹さんの作品の「理解できない」文脈を理解しようと頭を凝らし続けたい。
そして、私と他人の意見の違いに驚き、ときには納得したり批判したりと、村上春樹さんの作品を、周りの目を気にせず熱中するこどもみたいに純粋に楽しみたいと思っている。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.1027
(5pt)

人を愛することの意味

前作「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」の結末で、主人公は閉鎖的な内部世界に留まり、
愛する女性の記憶を取り戻し、彼女の心を再生することを誓いました。
その誓いは本作品に託されたように思われます。
主人公は直子に導かれるようにして、外の世界から閉ざされた地へと足を踏み入れました。
そこから魂の救済に奔走する僕の物語が再び始まります。

【第1章】
直子との約束を守るために、僕は不完全な記憶と不完全な想いを自覚しつつも語り始める。

「既に薄らいでしまい、そして今も刻一刻と薄らいでいくその不完全な記憶をしっかり胸に抱きかかえ、
骨でもしゃぶるような気持ちで僕はこの文章を書き続けている。」

【第2章】
17歳の五月の夜にキズキを捉えた死は、同時に僕と直子の心も捉えてしまった。

「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」

直子と僕は東京で運命的な出会いを果たした。

【第3章】
「その夜、僕は直子と寝た。そうすることが正しかったのかどうか、僕にはわかならない。」

直子の異変を感じた僕は、彼女の為に献身的に尽くそうと思うが、
二十歳の誕生日の直後に、何も言わないまま彼女は僕の前から去っていった。

【第4章】
終夜営業の喫茶店で、見ず知らずの女性二人に出会った。
成り行きで小柄な方の女の子とホテルへ入り、翌日目を覚ますと彼女の姿は消えていた。
凡庸な学生生活を続けていた僕は、その時突然、自分の周りから現実感が失われていることに気づく。

「奇妙によそよそしく非現実的に感じられたが、間違いなく僕の身に実際に起こった出来事だった」

淡々とした記述を重ねながら、いつのまにか不思議な空間を作り出す展開の巧みさ。
言葉にするのは難しいのですが、村上作品ではこのような場面展開の妙が物語に躍動感を与えます。

【第5章】
直子からの手紙が届いた。
そこに書かれていたのは、自己を客観的に分析し、事実を受け入れる透徹した言葉だった。

「私はあなたに対して、もっときちんとした人間として公正に振舞うべきではなかったかと思うのです」

僕はすぐさま彼女のいる山奥の療養所へと向かう。

【第6章】
社会復帰を目指す直子に、僕の想いは受け入れられなかった。

「私を理解して、それでどうなるの?」
「私とかかわりあうことであなたは自分の人生を無駄にしてるわよ」

そもそも人を愛するということがどういうことなのか、僕にはまだわからない。

人を愛するということはどういうことなのでしょうか?
それはきっと、生の本質を揺さぶるような何かではないでしょうか。
「ノルウェーの森(下)」では、その「何か」を求めて、主人公のさらなる奮闘が続きます。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.1026
(5pt)

上下巻合わせての感想

村上春樹は有名すぎて少なからず敬遠していたのだが、読んでみると好きになれた。
ミステリー小説や恋愛小説といったいわゆるエンタメ小説とは確かに違っていて、特に大きな盛り上がりもなく、盛り下がりもなく、一貫してドライな物語展開。確かに「こんな小説の何が面白いの?」という人が結構多くても不思議でない。

自分も読み始めはかなりそっけない印象を受けたし、途中ハラハラドキドキするようなこともあまりなかった。
どこかのブログで「自分は高校生の時に読んだから、ただのエロ小説としか感じなかった」という感想があったが、自分も高校生の時に読んでいたらそう思っただろう。実際主人公は次から次へとやりまくっている。
そういう意味では自分はこの小説をそれなりに良いタイミングで読めたのではないかと思う。つまり、セックスやら愛撫やらを比較的淡々と捉えられる年齢で読めたこと。それらの行為は読み手にドキドキ感を与えるわけでもなく、物語にスパイスを加えるわけでもなく、むしろ主人公のセックスは(少なくとも最初の頃は)喪失感の象徴のようなものでもあったように思える。

小説の触れ込みに、100%恋愛小説、というものがあったが、自分はこの物語にいわゆる「恋愛」と呼べるようなものは微塵も感じられなかった。自分はこれを喪失と、苦悩と、再生への糸口を掴むまでの物語である、と捉えている。
20代の頃に読んでいたら、今ほど感じられなかっただろう感覚の一つに物語への「共感」がある。
この物語の中には、ある程度の年齢であれば、多かれ少なかれ経験してきただろう(喪失感やら、虚無感やら、純粋な悲しみやらの)感覚を呼び起こす場面が結構ある(それらは人によって異なるのだろうが)。その度に主人公たちの経験に自分の昔の体験が映し出されているような気がして、そういう時は、物語の登場人物の心情よりも自分の昔の気持ちを思い起こさせる。

何にしても物語は淡々としていたが、決してつまらないということはなく、読んでいる時の心地よい感覚 (おそらく所々での共感とか村上春樹特有の言葉の編み方みたいなものによるのだろう)もあって、良い読書体験だったと思う。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.1025
(5pt)

ハルキ最襲撃

困ったときは死とエロ、つまらない小説、性描写が気持ち悪くて見るに耐えない、恥ずかしい、、、その他の批判がレビューにあげられていて、あるレビューでは、「こんな文章を書く作者はどんな人かと思ったら、やはりナルシストだったか」というような手厳しい批判もあった。
反対に、作品を前向きに評価するレビューもある。読めば読むほど面白い、精巧な表現、哲学的な要素に富んでいる、私にとってかけがえのない一冊、読者を惹き付ける文章、など。

作者は、1979年に『風の歌を聴け』で第22回群像新人文学賞を受賞し作家デビューした。
なんでも、野球観戦の最中、ふと小説を書くことを思い付き、処女作である『風の歌を聴け』を書き始めたらしい。
その後、1982年に『羊を巡る冒険』で第4回野間文芸新人奨励賞、1985年には『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』で第21回谷崎潤一郎賞を受賞した。

そのあと、短編小説、エッセイ、海外作品の翻訳などを経て、1987年9月に問題作となった『ノルウェイの森』が出版され、上下430万部を売るベストセラーとなった。

村上春樹作品に対する注目度が増し、読者層の分母数が着実に増えたことで、作品の解釈について、より多様な意見が交わされるようになったのだろうと思う。

本作品『ノルウェイの森』について、作者は以下のように語った。

「この作品(ノルウェイの森)を世に出してから、僕はみんなから恨まれているような気持ちがした」

個人的な意見を正直にいうと、作中の余剰な性描写や、登場人物の唐突な死(納得のいく説明が書かれていない)について、作者の意図が読めない。物事を理解するために、人物像と人物の関係を図式化してみるが、人物の全体像(特にその思想の範囲)を掴みきれず、私の解釈は見当違いなものだと感じてしまう。

作者が語るところによると、
「だいたいの批評が的を得ていない、見当違いなものである」と、いうことらしい。

作家の意図、もしくは意図の不在を見抜くには、その作家自身より高次元で物事を考える必要があると自分は考える。なぜなら、作家の巧妙な仕掛けや深い思想を理解するには、それ相応の理解力と分析力、思考力が求められるからだ。
そういった意味では、私は作者の本作品を理解できていないと感じる。
出版するたび、表舞台に立つたびに批評を巻き起こす作者はまれであろう。作品は日本だけでなく、世界中で批評にさらされながらも、読者数を増やし続けている。それにとどまらず、村上春樹作品がグローバルな教養になる、との意見もあるようだ。
当然ながら、多様な意見があるということは、それだけ多くの読者が手に取っているということだ。そして村上春樹作品を通しての読書体験は読者に「感じる」ことを強制させるほどの引力を持つ。低俗なセックス小説だ、意味不明、惹き付けられた、心を揺さぶられる文章だ、とそれぞれ何かしらを感じるだろう。いや、感じざるをえないし、読者を「考えさせる」ような筆運びともいえるのではないだろうか。それゆえ批評は尽きない。

私は、これからも村上春樹さんの作品の「理解できない」文脈を理解しようと頭を凝らし続けたい。
そして、私と他人の意見の違いに驚き、ときには納得したり批判したりと、村上春樹さんの作品を、周りの目を気にせず熱中するこどもみたいに純粋に楽しみたいと思っている。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
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No.1024
(5pt)

平凡な大人になった自分に送る 100%恋愛小説

主人公のワタナベは、直子と緑の二人の女性を通じて、美しきものに対する深い憧れに向き合います。
人を愛することの不思議、それはまるで人生の意味を解き明かすような特別な出来事でもあります。
「ノルウェーの森(下)」は、一途な恋心を抱いていたはずの主人公が、答えのない迷宮へと導かれる姿を描きます。

【日常と恋愛の空間】
直子のもとを離れて、激しい生命力を放つ緑の視点に立った時、この日常はゆがんだ奇妙な世界に映る。

「ここがなんだか本当の世界じゃないような気がするんだよ」

私たちの日常における生活感情は、恋愛の陶酔感や性的なイメージを無意識に遠ざけようとする。
平穏な社会生活を送るには、恋愛感情は時に社会からの逸脱を伴う危険なものでもあるからです。

【理想と現実の世界】
キスギと直子は現実の世界に出ていくことを恐れ、愛し合いつつも不幸な運命を辿ってきた。

「私たちはあなたを仲介として外の世界にうまく同化しようと私たちなりに努力していたのよ」

直子が恐れる外の世界、そして私たちがリアルな現実と呼んでいるものの正体とは、
理想を打ち砕かれながらも、世間の承認なくては生きていけないという、妥協とあきらめです。

【人を愛することの意味】
「どうしてこんな迷宮のようなところに放り込まれてしまったのか、僕にはさっぱりわけがわからないのです」

人を愛することを通して、その向こうに自分のほんとうの姿を発見した。
僕は死を求めた直子と、生を求めた緑の両方を同時に愛してしまった。
それは現実の世界では、そのままの形では存在できない複雑な恋愛感情だった。

暗い森の奥で、直子は自ら命を絶った。
もはや日常空間も恋愛空間も見失った。何処でもない場所に、僕は放り込まれてしまった。

「僕は今どこにいるのだ?」

この物語を読み終えて、忘れかけていた遠いかすかな記憶の恋心が蘇りました。
いつしか平凡でまともな大人になってしまった全ての人々に、この作品の感動が伝わりますように。
ノルウェイの森(下) Amazon書評・レビュー: ノルウェイの森(下)より
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