世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドの評価:

4.24/5点 レビュー 267件。 B ランク

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平均点4.24pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全238件 141〜160 8/12ページ
No.98
(5pt)

うーむ、

正直言うと、大好きな小説にコメントは難しいものですね。この作品は村上春樹の小説の中で、特にその形式・構成の中のバランス計量感覚が十二分に発揮されている作品ではないでしょうか。もちろんいつもの表現描写も素晴らしいです。平易な読みやすさと複雑なプロット、静と動・カタカナと漢字ひらがなの二つの物語、など「一見相反するもの」を描いていきつつ、その構成とバランスが最後まで大きな破綻なく進行していく様子に驚きを禁じ得ません。こういう作品を長編として書くことは、著者自身にどれほどの緊張の維持を要求するものなのでしょう?そしてラストだけはいずれも「希望ある死(あるいは生まれ変わり)」という点で二つのストーリーが類似・対峙する、絶妙という他ない気がします。自分でもうまく説明できませんが、何故か夜中に読むのが好きな作品で、かつラストは明け方に読み終わりたいと思っています。夜明けに希望を託したい、本能がそうさせるのでしょうか。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.97
(5pt)

ファンタジーや冒険が好きな人に。

春樹さんの小説を何冊か読んでいますが、この本は中でもかなり読みやすいほうだと思います。
ファンタジーや冒険の世界をどっぷりと楽しむことができます。
何かのロールプレイングゲームをやっているかのようなワクワク感がありました。
混乱してしまったら、巻頭についている地図を見ることをオススメします。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.96
(5pt)

圧巻です!凄さを感じる作品

「世界の終わり」と「ハードボイルドワンダーランド」との2つのストーリーが最初は何で交互に出てくるのだろうと思い、その内に何か関係ありそうだと思い、最後に繋がるのだけれども、それが本当にどんな繋がりなのかを読後も考えされられてしまう物凄い作品です。読み終わってから、また上巻の最初に戻って読み始めてしまいました。
どうしてこんなストーリーを考え付くのか想像を絶するものがあり、ハルキストのみならず、文学好きの人にはたまらない作品だと思います。本質は真面目ながら、随所にユーモアがあって(机の上にたくさんクリップがある理由が分かったときは笑ってしまいました)、迫力満点で、読んでいて思考回路がフル回転する気分です。また、絶対映画化出来ないだろうなと思いますし、それぐらい文学のレベルの高さを感じさせてくれます。
それから、太った娘が何でいろんなことを知っているんだろうと不思議な感じでした。そうでないとストーリーが進まないからですかね。星5つでも足りないぐらいです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.95
(5pt)

夢中で読んでしまった。

実は村上春樹にはあまり関心がなかったのだが、
あるアニメの原作者が本書に影響を受けたらしいことを聞いたので読んでみた。
実際うかつなもので、広く読まれている村上春樹だから周囲に影響があっても不思議じゃない。
が、そうした興味本位を抜きにしてもこれは面白かった。
ただ、本書が日本人の創作活動に何らかの影響を与えているとすると、
初版が昭和63年だから、自分の年齢を考えれば読むのが遅すぎた感は否めない。
「やられた」と思ったのは、参考文献の1つ『動物たちの考古学』が全くの創作らしいこと。
実際ネット古書店などで探しても出てこない。
面白そうだと思ったのに泣きそうだよ(だまされたー)。
これはラヴクラフトの手法だが、実は村上春樹はラヴクラフトの信奉者らしい。
でもそう思うと『ハードボイルド・ワンダーランド』、なぜか納得。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.94
(5pt)

村上春樹の代表作

世界の終わりとハードボイルドワンダーランド。なんとも長ったらしいタイトルですが、村上春樹ファンにも彼の著作をまったく知らない人にもお勧めできる名作です。春樹さんらしい不思議な話で、一読しただけではすべてを把握することは困難だと思いますが、何度読んでも飽きないつくりになっています。この小説だけでも十分に楽しめますが、読後に村上春樹イエローページなどを読まれれば、この作品の持つ底知れなさに驚嘆させられること間違いなしと思います。彼は、多少の議論はありますが、現代日本文学の最高峰に位置づけられている大作家なのでもし興味をもたれた方はぜひ読むことをお勧めします。他に「ねじまき鳥クロニクル」や、「海辺のカフカ」という世界的に有名な小説もありますので、熱烈にお勧めします。もうノーベル賞受賞は決まったようなものなので、同じ日本人としてリアルタイムで彼の作品に触れることができて、本当に幸せに感じます。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.93
(5pt)

哀しくも美しい詩的パラレルワールド

何が何だか分からないままに事態に巻き込まれ、振り回されていく「私」の世界と
限りなく穏やかで淡々と過ぎていく「僕」の世界。
最初は全く関係なさそうな二つの世界が、物語が進むにつれて交差していく。
そして最後には。。。
最初から最後まで、息つく暇もないくらい圧倒的な迫力で物語が進み、
先の展開が読めないままにどんどん引き込まれていきます。
対照的な二つの世界が交互に語られるのですが、どちらの世界にも共通して、
なんとも言いようのない哀しさが漂っています。
それぞれの世界の最終章。
とても静かで、穏やかな、それでいて切ない余韻が残ります。
「私」は、そして、「僕」はこれからどうなっていくのだろう。
読み終わってしばらくは、どっぷり物語の世界に浸って現実に戻れないくらいです。
著者のメッセージは難解で、多分十分にはできていないと思うのですが、
それでもおもしろく、何度も読み返してみたくなります。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.92
(5pt)

村上春樹の力を知りました。

2005年の夏、
フランスのルルドへ行く道中で、読みました。
衝撃を受けました。
面白い、面白い、面白い。
それまで、『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル(途中で挫折)』を読みましたが、友人たちほどには感銘を受けることなく、ただ単に自分には合わないのだと思っていました。
しかし、これは面白かった!!
1988年、20年も前に書かれていたことを知ったときは、
本当にびっくりしました。ぜひ一読してみてください!!!!
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4101001340
No.91
(5pt)

現代の東京を舞台にしたSF長編

『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』といった三部作後の長編小説。
私見では、現代小説としての、この作品の価値は、極めて高い。
「世界の終り」という深層世界、「ハードボイルドワンダーランド」という現実世界の、交錯した繋がりを描き出し、ここまで上手く創れている小説は、なかなかに稀有なものである。
外国文学を模倣しすぎだとか言われているが、批判するのは簡単で、寧ろどのような作家であっても、多かれ少なかれ、先人の影響を受けているものである。そういった必然的な影響の下に、このような、現代の東京を舞台にした、エンターテイメント的でもあり、純文学的でもある、独自のパラレルワールドを創造出来てしまうところに、村上春樹の偉大さを感じる。「書くことが無くなった」或いは「小説は終わった」と言われて久しい現代において、まだ書くことはある、書けることはある、という逞しい暗示的宣言を、本作より私は感ずる。
三部作からの飛躍が高く、繰り返し読んでみたい気にさせられる、想い返すと懐かしく哀しい作品。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.90
(4pt)

村上春樹の中では、読みやすい作品

<世界の終り>と<ハードボイルド・ワンダーランド>
二つの異なるストーリーが交互に描かれて織りなす物語。
この作品のテーマはちょっとありきたりな表現だけど、
「自分探し」もしくは「アイデンティティ」でしょうか。
特に<世界の終り>パートではそれが「影」という形で
くっきりと表現されていると思います。
<ハードボイルド・ワンダーランド>の方でも、
意識に回路を埋め込まれるというのは、
「我思う、ゆえに我あり」に始まる近代的自我を
崩壊させることだといえるかもしれません
二つの物語は最後にリンクしていくわけですが、
それはメビウスの輪のようにどちらが表かわからない、
永遠に続くループのように感じました。
村上春樹は好きではないけれど、最後までちゃんと読みました。
力はある作品ですし、読んで損はない。
主人公が「ノルウェイ」や「羊」と少し違うので、
その点で肌にあったのかなと思います。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.89
(4pt)

うおおお 下巻が楽しみだぁぁ

交互に話が展開される《世界の終わり》パートと《ハードボイルドワンダーランド》パート。
両者は、一見まるで別の世界の話のようですが、だんだんと読み進めるうちに微妙にどこかがリンクしてきます。
おそらく下巻では、2つの世界がぴったりと重なるようにリンクすることになるでしょう。
一体、この小説がどのようなオチを迎えるになるのかっ!
ぐいぐいと引き付けるストーリーは、この先どうなることかとワクワクさせられ、すいすいと読み進められます。
おもしろいっ!エクセレンッ!
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4101001340
No.88
(5pt)

村上さんらしい作品

かなりの長編ですが、一度読み始めたら途中ではやめられないくらいひき込まれる作品です。
全く違う世界の二つの物語がどうこでどう交わるのか。村上作品の中では『海辺のカフカ』に近いものがあります。
大人向けの童話・・・とでも言いましょうか。こういう作品を書かせたら村上さんの右に出るものはいないと思います。
老科学者、一角獣、思考回路に隠された秘密・・・レビューを読んだだけでもうワクワクしてきませんか?!期待通りの内容でした!!
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4101001340
No.87
(5pt)

クオリィティー隆士

 2つの物語が展開していき最後につながっていくという異種な
小説です。ですから最初は読むのに戸惑うでしょうが、物語がつ
ながっていくうちにだんだん引き込まれていきます。
 確立された独特の世界観とSFっぽいストーリー。村上さんの
長編では一番印象が強いです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.86
(4pt)

ワールド・オブ・ワンダーを軽く楽しみたい人に

さらりと入ってでてこれる、くねくねと気持ちの良い不思議の文体の国。著名なのと、装丁が目を引いたので読んでみた「ノルウェイの森」は、何が言いたいのかさっぱり分からないうっとうしい自己陶酔本にしか思えなかったが、これは面白かった。特に心に残るストーリー内容や人物描写といったものはないが、独特の文体を追っていく過程で、むにゅむにゅくねくねとした材質のストレス解消系トイをいじくっているのに似た、妙な快感が得られる。分量もちょうど良いくらいだし、ゆきとどいたテーマパークのような質の高い娯楽作品であると思う。子供時代に不思議世界を描いたファンタジー絵本が好きだったが、それは今更、かといって重厚な本格ファンタジーを紐解くほどでもないという方向けでは?ただ、「ねじまき鳥」の分厚さとタイトルの<第一部>を見せつけられてからは、げんなりしてしまい、以降村上作品は手にとっていない。いくらむにゅむにゅのオモチャが気持ちいいからといって、何時間もずっといじっていられるわけではない。
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4101001340
No.85
(5pt)

言わずと知れた最高傑作

「あたたかく親密に自足していながら、
何かが途方もなく狂っていて不吉な、負の桃源郷的小世界」
村上春樹の文学世界の核心にあるイメージを、
そんなふうに言い表すことができると思う。
『羊』の北海道の農場や、『ノルウェイ』の「阿美寮」、
『カフカ』の四国山中の村などは、その好例だろう。
この作品に限って言えば、
隔章形式で繰り返される「世界の終り」と
「ハードボイルド・ワンダーランド」のうち、
前者が丸々この根源的なイメージの絵解きに充てられている。
となれば、多くの読者によって最高傑作と見做されていることも、
ある意味当然と言えるかもしれない。
作者自身、「その時点での自分の力よりも、
二、三段高いところにハードルを設定して書いた」
という意味のことを、どこかで書いていたはずだ。
あえて言うなら、「世界の終り」のパートの結末近く、
図書館の女の子の「心」を見つけるために
手風琴を弾く場面の描写は、やや甘過ぎるように思う。
「ダニー・ボーイ」という曲に特別な思い入れでもない限り、
いささか白けた気分になってしまうのは、仕方のないところだろう。
最後に一つだけ。
最近気付いたのだが、この作品の着想の少なくとも一部分が、
手塚治虫の『ばるぼら』にインスパイアされていることは、
ほぼ確実だと思う。
文庫版なら下巻の後半あたりで、主人公の作家が、
「ばるぼら」という名の女と一緒に、
東京の地下をさまよい歩く羽目になり、
ようやく地上に脱出したかと思うと、
「センセ、あと○時間だね……」
と言われる場面があるのだが、
こう書いただけでも状況が酷似していることは、
すでに読まれた方はお分かりだろう。
興味を持たれた方は、チェックしてみることをお勧めする。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.84
(5pt)

引き込まれる

 エレベータの中で左右のポケットの小銭を数える私。 うーん、冒頭から引き込まれる。 美しい情景の中で、引き剥がされた影を思い、図書館の女の子に恋をする。 この話は初期の三部作と繋がっている。影はすなわち鼠であって、その影に対しての僕の選択は極めて重要な意味と真実を持つ。 さて、その世界の中で僕は何を選択をするのか。歴史に残すべき傑作。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.83
(5pt)

希薄な現実感覚

 他の人はどのように思っているか分からないですけど、僕自身は「私」という感覚に対してとても不確定性を感じています。おそらく、その感覚は身体の外にあるのではなく、しかし意識の中にあるのでもないと思います。「私」を「私」として実感させられる物事というのはそういったものではなく、人との関係であると思います。 美味しいコーヒーを飲んで、気に入った服を着たり、または優れた本とか音楽とか映画に自己を没入させても、そこには活動をする自分という与件しか感じることはできない。僕たちの存在を肯定してくれるものは、他人との交歓ではないでしょうか。それは数少ない「友人」とか好きな異性とか「小さき者」との語らいだと思います。 村上の作品を多くは読んでいないので確かなことは言えませんが、彼の作品の主人公は独りである場合が多いように見受けられます。周りの人間に馴染むことができないという状況で物語が始まり、何かの出会いがあって話が進む。その間、主人公は分析的な独白を続けます。主人公には好きな異性も出てくるがそこにも内省がある。他人との関係に酔えないような、自己を絶え間なく対象化する透き通った(?)感覚のようなものがある。 その一方で、個人を道具として見なす管理社会化が進み、僕たちの意識はますます希薄になる。社会が人間を使役させるのは当然のことだとしても、その結果が希薄な現実感覚であるというのはあまりにも哀しいことだと思います。村上さんは現実態としての自分を受け入れろと言っているんじゃないでしょうか。 この作品は読むのが疲れますね。マンガの『MONSTER』にしてもそうですけど、途中で中だるみしている感が否めない。特に物語の中盤とか。そこにも何らかの意味があると思うし、そもそも文学というのは中だるみとかそういうものではないと思いますが、僕には退屈に感じられました。それ以外の部分は読ませる内容です。
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4101001340
No.82
(5pt)

最高傑作

著者の最高傑作だと思います。
稀有の物語る人、村上春樹。
小銭稼ぎのような本も何冊か出ていますが、彼をサポートしていると思うと分かっていて買ってしまいます。それもこれも、本書や初期三部作、短編の数々の素晴らしさのなせる業です。
2重構造の鮮やかさ。ハードボイルドワンダーランドと世界の終わりを別に読んでも楽しめます。
我々誰もが持っているであろう、現実と非現実、意識と無意識。こうした、人間の多重構造をも示唆しています。
そしてなにより、次はどうなるんだろうとわくわく楽しみながら読めます。
この作品でというのではないですが、ノーベル賞を取るかもしれませんね。
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4101001340
No.81
(5pt)

何度も読み返してしまう、不思議な魅力をもった本です

この本を読んだのはこれで3度目です。機会があってまた手に取ってみました。丹念に読んでいるつもりでも、読み始めるとスピードがついてしまう不思議な物語ですね。「本が好き」という方でも、『同じ本を2度手に取る』という機会は少ないのではないでしょうか?(実は私がそうなのですが・・・)確かこの本を初めて手に取ったのは学生の頃だったので足掛け10年になると思いますが、その間になぜかこの本は複数回「ああ、あれが読みたいな」と思わせられることがありました。とても不思議な感覚です。そんな気持ちになる本は私はあと2つしかありません。内容は「世界の終り」と「ハードボイルドワンダーランド」の重層構成になっていて、それぞれの物語が短編形式で“繰り返し登場”します。そこにリンクを読み取るも、2つの物語として読むも、それは読者の自由。好きに読んでいいのではないかと思います。とっても想像力をかきたてる物語(その割には淡々とした描きぶりで読者に押し付けるようなところがないのが好きです)で、私の中のイチオシです。
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4101001340
No.80
(5pt)

この世の理不尽さを嘆く人へ

面白くて、しかも深い文学。その意味で、村上春樹の最高傑作と言われる小説です。奇数章と偶数章で別個の物語が交互に描かれます。ひとつは、ハリウッド映画を思わせるハードな展開、近未来的舞台装置、小憎らしいユーモアに満ちた「ハードボイルド・ワンダーランド」での物語。もうひとつは、宮崎アニメを思わせるファンタジー世界での内省的で静かな生活、草原と古い建造物に囲まれた「世界の終わり」での物語。「ハードボイルド・ワンダーランド」の主人公は暗号の解読を依頼されます。次から次へとハードなアクションや冒険が巻き起こる。ダイハードか007か、と。「世界の終わり」の主人公は影を失い、光を失い、壁に囲まれた幻想的な世界での生活を始めます。ドラゴンクエストやファイナルファンタジーみたいに町の中を冒険する。どちらの物語も謎で引っ張ってくれるので、夜更かししてでも先を読みたくなります。独立した作品なので、村上春樹作品を読んだことのない人でもすぐに理解できる、読みやすい小説です。その上、文学的には「ノルウェイの森」と「海辺のカフカ」を含み込み、「ねじまき鳥クロニクル」と肩を並べる小説と言えるでしょう。村上春樹ってどんなもんかな?という人はこの作品から読んで間違いはありません。大長編ですが、あっという間に、楽に、読み終わってしまいます。しかも、村上春樹にとって、最も重要なテーマが表現してあります。社会に対する不満を強く感じている人には、治療薬ともいえる小説ですね。
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4101001340
No.79
(5pt)

雪だるま式運命

計算士の≪組織システム)≫と記号士の≪工場ファクトリー≫が世の中の情報を独占し、二分化している世界で、「私」は計算士として特殊な思考回路を使い働いていた。ある時「私」は意識の核に何かをほどこした張本人の老科学者に依頼され知らないままに、情報の『洗いだし』と『シャフリング』を行う。その依頼を受けてから、「私」の意識の核が特別であることがわかり老科学者の孫と共にその秘密を探る。これが「ハードボイルド・ワンダーランド」。「僕」は気づくと門の中から壁の中の街に入っていた。そこは一度入ると出られないし入るときに影と別れなくてはいけない街だった。街には一角獣たちが暮らし冬になると死んでいく。そして「僕」はその一角獣の古い頭蓋骨から古い夢をみる『夢読み』になった。そこは≪世界の終わり≫だという。これが「世界の終わり」。(注:意味不明な言葉は作中でだいたい説明されています)この二つの話が交互に展開していくのが本書の一番の特徴である。いっけん何の関わりもなさそうな話が少しずつシンクロしていく。読み始めたら、すぐに引き込まれた。他の村上作品に比べて現実感という面ではいっそう薄いかもしれないが、一番好きな作品。主人公の運命は、はじめのちょっとしたトラブルから、世界を背負った逃れられないものに発展してしまう。読んでいると、そういうどうしようもないやるせないもどかしい気持ちを感じる。”「信じるのよ。さっきも言ったでしょ?信じていれば怖いことなんて何もないのよ。楽しい思い出や、人を愛したことや、泣いたことや、子供の頃のことや、将来の計画や、好きな音楽や、そんな何でもいいわ。そういうことを考え続けていれば、怖がることはないのよ。」”本当はそういう時のために、素敵な思い出って蓄えているのかもしれないと思った。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340