世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

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評判

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドの評価:

4.24/5点 レビュー 267件。 B ランク

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平均点4.24pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全238件 121〜140 7/12ページ
No.118
(5pt)

パラレル。「ハードボイルド・ワンダーランド」より。

「テーマが明確だと融通性が不足するんだ。」
「もう一度読むといいよ。あの本にはいろんなことが書いてある。小説の終りの方でアリョーシャがコーリャ・クラソートキンという若い学生にこう言うんだ。ねえ、コーリャ、君は将来とても不幸な人間になるよ。しかしぜんたいとしては人生を祝福しなさい。」
「人間はだれでも何かひとつくらいは一流になれる素質があるの。それをうまく引き出すことができないだけの話。引き出し方のわからない人間が寄ってたかってそれをつぶしてしまうから、多くの人々は一流になれないのよ。そして、そのまま擦り減ってしまうの。
あなたはちがうわ。あなたには何が特別なものがあるような気がするの。あなたの場合は感情の殻がとても固いから、その中でいろんなものが無傷のまま残っているのよ。」
「つまり、ブラックボックスとは人間の深層心理であるわけですね。」
「そう、そのとおり。こういうことです。人間一人ひとりはそれぞれの原理に基づいて行動しておるです。誰一人として同じ人間はおらん。何というか、要するにアイデンティティーの問題ですな。アイデンティティーとは何か?一人ひとりの人間の過去の体験の記憶の集積によってもたらされた思考システムの独自性のことです。もっと簡単に心と呼んでもよろしい。人それぞれ同じ心というもはひとつとしてない。しかし、人間はその自分の思考システムのほとんどを把握してはおらんです。我々がそれらについてきちんと把握している、あるいは把握していると推察される部分は、全体の15分の1から20分の1というあたりにすぎんのです。」
「私の人生の輝きの93%が前半のの35年間で使い果たされてしまっていたとしても、それでも構わない。
私はその7%を大事に抱えたままこの世界の成り立ち方をどこまでも眺めて行きたいのだ。なぜかはわからないけれど、そうすることが私に与えられた1つの責任であるように私には思えた。私は確かにある時点から私自身の人生や行き方をねじまげるようにして生きてきた。そうするにはそうするなりの理由があったのだ。他の誰にも理解してもらえないにせよ、私はそうしないわけにはいかなかったのだ。しかし、私はこのねじまがったままの人生を置いて消滅してしまいたくはなかった。私にはそれを最後まで見届ける義務があるのだ。そうしなければ私は私自身に対する公正さを見失ってしまうことになる。私はこのまま私の人生を置き去りにしていくわけにはいかないのだ。私の消滅が誰をも悲しませないにせよ、誰の心にも空白をもたらさないにせよ、あるいは、ほとんど誰にも気づかれないにせよ、それは私自身の問題なのだ。
たしかに私はあまりにも多くのものを失ってきた。そしてこれ以上失うべきものは私自身のほかにはもうほとんど何も残っていはいないように思える。しかし、私の中には失われたものの残照がおりのように残っていて、それが私をここまで生きながらえさせてきたのだ。
私はこの世界から消え去りたくはなかった。目を閉じると私は自分の心の揺らぎをはっきりと感じとることができた。それは悲しみや孤独感を超えた、私自身の存在を根底から揺り動かすような深く大きなうねりだった。そのうねりはいつまでもつづいた。私はベンチの背もたれに肘をついて、そのうねりに耐えた。
誰も私を助けてはくれなかった。誰にも私を救うことはできないのだ。
ちょうど私が誰をも救うことができなかったのと同じように。」
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.117
(5pt)

静と動

●1回目
高い壁に囲まれ、外界から虐げられた街で織りなされる静寂な幻想世界、“世界の終り”。 意識の核にある思考回路を組み込まれ、回路に隠された秘密を巡って活躍する波瀾万丈の冒険活劇の“ハードボイルド・ワンダーランド”。
この[静]と[動]の物語が同時並行的に展開されています。
「長いあいだ暗闇の中にいると、暗闇というものが本来あるべき正常な状態であって、光の方が不自然な異物のように感じられてくるものなのだ。」
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------●2回目
「進化というものはそういうものです。進化は常につらく、そしてさびしい。楽しい進化というものはありえんです」
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.116
(5pt)

村上本の最高傑作

20代の頃に村上氏の他作品と共に何度か読み
村上氏独特の比喩表現に感心しました
それが村上本の価値そのものであると思っていましたが
長らく押入れで眠っていたこの本を
50代になった今
読み返してみたところ
不思議なことに
私のこころの中に巣くっていた
老いや死に対する恐怖感が失せたような気がしました
人により様々な評価があるでしょうが
文句のつけようのない傑作だと思います
一通り読んだ後に
「世界の終り」だけを読み
その後に
「ハードボイルド・ワンダーランド」だけを読んでみたり
もしくはその順序を変えてみたり
とにかく何度読んでも新しい感慨を覚えます
それはこの本が私にとって
自分を映しだす鏡のような役目を担っているからなのかもしれません
それ故年齢を重ねるにつれ異なる感慨を覚えることになるのでしょう
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.115
(5pt)

泣きました…大好きです★

私は個人的にこの計算士の彼が大好きです☆こんな人が実際にいたら絶対ホレちゃいます。物知りで何でもこなしてステキ。そして内容…。言葉でうまく表現できないけど、私を支えるたくさんのことに感謝しなきゃいけないと思わせました。所々で心打たれた。泣いた。他のレビューで何度も読みたいと書かれてる方がいらっしゃいますが、私は逆に怖くて読み返せないです。なにせどっぷり物語に浸かりすぎて、しばらく夢から覚めることができなくなるから…。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.114
(5pt)

村上春樹にしか書けない冒険物語

とにかくものすごいパラレルワールド。
まず、「ハードボイルド・ワンダーランド」。
首都東京の地下では「やみくろ」が跋扈し、計算士と記号士がお互いにしのぎをけずる。
計算士である主人公は、地下道の奥に住む博士から秘密の依頼を受けて徐々にトラブルに巻き込まれていく。
そしてもうひとつのストーリー「世界の終わり」。
高い壁で周囲を覆われている、とある街。
そこには争いも、悲しみも、欲望さえも存在しない静かで完璧に完結した街だった。
主人公は両目に「夢読み」としての刻印を入れられ、図書館で毎夜一角獣の頭骨から淡々と古い夢を読むのが仕事だった。
このまったく繋がりがないかのような二つのストーリーが交互に展開していく。
「ハードボイルド・ワンダーランド」で、博士から一角獣の頭骨をお土産にもらった主人公は、その頭骨を調べた時から図書館に勤める女の子と親しくなる。
「世界の終わり」で、図書館で一角獣の頭骨から夢を読む主人公は、そこで世話をしてくれる「心がない」女の子に好意を抱く。
一角獣。
図書館。
奇妙な接点を見せながら進行していく二つのストーリーは、終盤に驚くような展開をみせる。
「ハードボイルド・ワンダーランド」で、主人公が行なうシャフリング。
これは、頭の中で行なう暗号化だ。
シャフリングとは、記号士の脳の奥深くに暗号化に必要な手術を行なうことによって、記号士本人にも気づくことが出来ないうちに暗号化を行なうこと。
主人公はシャフリングの手術を受けると同時に、ひそかに主人公の意識の核を人為的に映像化したもうひとつの「意識の核」を脳内に組み込まれていた。
「世界の終わり」では、最初に「影」と身体を切り離された主人公は、自らの「影」から街の地図を描いて届けるように依頼される。
門番の警戒を潜り抜けて「影」に地図を届けた主人公は、街から抜け出す方法を「影」から知らされる。
こういう「とてつもない」独特の物語を書くことが出来るのは、やっぱり村上春樹しかいないのだ。
登場人物が困難な状況に陥っても、誰一人狼狽しない。
これだけの冒険物語を、心静かに読ませることが出来るのは彼しかいない。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.113
(5pt)

「可能性の世界」について

 僕は春樹作品の中では、初期の感傷的な作品群やポップな短編・エッセイ群よりも、特に90年代半ばから連発されてきた、「世界」の闇に関する暗く重い小説の方を支持する立場だ。ファンの間では春樹の最高傑作に挙げる声も多い本作は、2009年春号「モンキー・ビジネス」のインタビューで作家本人が語っているように、後者のダーク作品の系譜に位置する作品である。
 一見捉えどころの無いストーリーの中に、言葉で表現不可能な「感情」をイメージとして埋め込んで伝えていくことに意識的なこの作家が、自意識と「世界」および無意識の狭間、情報化社会、都市(と日本)の暗黒、等などの暗いモチーフを「世界」をめぐる物語として語ったのが本作品である。膨大なイメージ群を緻密に構成したこの長編は、作家の確かな技量を示すものだと言えるだろう。個人的には、下巻後半の光・音のイメージ、「二人」の主人公のラストの描き方に感心した。この二つのラストに、読者は厳しさと希望のどちらも読むことができるだろう。(そして、「生きる」ということは、終盤で一人の主人公が語るとおり、常にその二つの可能性の塊なのだ。)
 
 P.オースターの初期三部作と並べても遜色のない作品だと思う。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.112
(4pt)

読ませる

ぎっちりと文字の詰まった膨大なページ数。
長々と続く比喩。
どこか抽象的なストーリー……。
最新作の1Q84よりは一般小説に近いかなー、と思いますが、やはり作者の芸風が色濃く出ています。
ファンタジーとリアル両刀の世界観は面白く、くどい文体もリズムに乗れればむしろ軽快。
一般小説とは一味違った魅力があることは確かです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.111
(4pt)

春樹嫌いでも

世界に引きずり込まれて夢中で読んだし、壮大で面白かった。
ファンタジーの傑作と思う。
村上春樹はあまり好きではないけどこの本は好き
(64/100点)
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.110
(4pt)

低俗風。

上巻を読んだだけの時点でのレビュー。
ストーリーの展開の仕方やストーリー自体は、まぁ巧いと思う。
なので、読み易いと言えば読み易い。
けれども、嫌な点が主に2つ。
1つは、巧くもない比喩が冗長過ぎるまでに織り込められている点。
結局、そういった「無駄」な部分を省いたら、中身は単純で薄い気がする。
それでもストーリーはしっかりしているので、そのストーリーに対する評価は「巧い」なのだが。
比喩の所為で興醒めする。
もう1つは、何彼に就けてセックスの話題を織り交ぜたがっている点。
それがハードボイルドだと勘違いでもしているのだろうか。
性欲に愚直な主人公と、身持ちの脆い(脆そうな)周辺女性のやり取りに、うんざり。
どう言い訳しても、かなり低俗に見える。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.109
(5pt)

最高傑作(異論は認める

そう言わざるを得ない作品です。数多くの村上作品を読んできましたが、これを越えるものは恐らくないと思います。村上春樹アレルギーじゃない人は絶対読むべき作品個人的なは世界の終りの世界観が大好きです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.108
(4pt)

すごい作品 一回みただけではわからない

一回見ただけでは何がなんだか・・・しょうじき筋がつかめません
はっきりって構成はでたらめな感じがします。ハルキムラカミの仕事はだいたいにおいてそうですが、一部例外を除けば、最初に大きなだいたいの地図を描くのでなく、地図の細部から描きだして、木の枝、植物の根のようにそれらを広げていきます。この手法では物語に落としどころをつけるのが非常に困難でしょう。しかしハルキムラカミはそれができる人です。だから物語として成立します。凡人はまねしないほうがいいです。痛い目にあいます。
この話ははっきりいいましてカオスです。そうです、ちょうど、私たちが夜に見る夢のようです。めちゃくちゃです。
まだ一回しか読んでないのでこんな感想ですみません。
次読むのは5年後ぐらいになりそうです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.107
(5pt)

リアルな物語

暗闇は空間を均一化する
明るいところでは自分を中心とした距離もありあそことこことに差があるが、暗闇はそれをすべて奪い去る、つまり、あそこもここも区別が無くなるということだ。
 「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」という作品は2つの世界が交互に現れる。ハードボイルド・ワンダーランドでは時間が加速したり減速したりひっきりなしに事件が起きて「私」はひと息つくこともできない。それに対し世界の終わりではゆったりとした時間が流れる、そして「僕」は光を失い「影」と別れる。生命の繰り返しがつづき人は記憶を失う。つまり、世界が「終わる」とは時間・空間の均質化なのである。世界自体は続くのではあるがそれは、「終わる」ということに等しいのだろう。
 ところで、私たちは今科学が発達したいわゆる文明社会というものに生きているが、このような均質化が身近なところに潜んではいないだろうか?タレントがはしゃぐだけのテレビ番組、いつ動作しても同じ結果しか出ないコンピューター。ハードボイルド・ワンダーランドで技術の発達が世界の終わりの危機をもたらしたように現代の科学技術も世界を終わらせうるものではないのだろうか?
 
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.106
(5pt)

「閉塞感 を伴った 開放感」 若しくは「アンダーグラウンドの12年前の村上の夢」

 反論もいくらでもあろうが 僕は本作が 現時点での村上の長編小説での最高傑作だと思う。その意味では本書を書きあげてから20年以上 村上は本書を超える作品を出せていないということだ。
 まず第一に圧倒的な物語がある。近未来的な「現在」を舞台とした筋と、「世界の終り」の国で語られる物語を同時並行して進めていく腕力が素晴らしい。その二つの世界を巧みに文体を変えながら リアリティーを持たせて書いていくことは紛れもなく今までの日本にもなかったような「豪腕」である。
 そうして その二つの物語が 最後に交差する瞬間は 一種の謎解き以上の美しさがあり それまで 手探りで読まされてきた読者に 「大きな閉塞感を伴った解放感」を与える。
 「大きな閉塞感を伴った開放感」とは 幾分トリッキーな表現かもしれない。但し この作品の底に流れる「閉塞感」が 本作の第二の持ち味だ。
 村上は その早い段階から「閉塞感」をテーマにした作品を書いてきたと思う。初めは 洒落た都会小説の底に「閉塞感」を忍び込ませて隠し味とする向きが強かったが 本作に来て 村上は 正面から「閉塞感」を書いたと僕は思う。「世界の終り」はまさしく「閉塞された」世界であり そこで どう僕は生きるのか というテーマを正面から掲げたのが本作であるからだ。
 本作の最後は 明るさを持っている。それが本作の読後感のすがすがしさにもなっている。但し 時代は そうはならなかったのかもしれない。
 この12年後 村上は「アンダーグラウンド」を書かなくてはならなくなった。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.105
(4pt)

村上春樹の妄想力に感嘆した海外幻想SFの訳本のような作品

灰羽連盟のグリの国のモデルといわれる「世界の終わり」に興味を持ち、読みました。回りくどい比喩や、妙にさめたキザな主人公、ジャズやロック、映画、小説の固有名詞を多用し、知識をひけらかすよう言い回しは鼻につくとはいえ、日本が舞台とは思えないような妄想力にとんだ物語に、知らず知らずのうちに引き込まれました。もし自分の死があと24時間しかないとしたら、この主人公のようにきざに死んでいけたらと思います。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.104
(5pt)

マトリョーシカみたいな

私が考えていることの一つに人間の意識と無意識の関係がある。私たちは無意識の存在に普段そう気付くことはない。たまに夢を見るときにわかるくらいだ。しかし明らかに無意識が「在る」としたらそれは意識と共に動いているのではないか。この作品を読んだとき、私は二つの物語は主人公の意識と無意識を表わしていると感じた。だからこの本は独立した二つの作品として平行に進行しながら、と同時にひとりの人間の心の動きを示した構成でもあると私には思えた。イメージでいうと前者が左右に、後者は上下に進行している。そして合わせて一つ。まるでマトリョーシカのような物語だ!そんな風に思わせてくれるこの本がとても気に入っている。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.103
(4pt)

いつも思うが!

村上さんの小説を読んでいつも思うのが、酒を飲んでるシーンと、女と抱き合ってるシーンがとても素敵に書かれていると思います。
このハードボイルドでも破壊されつくされた自分の部屋で、台所の流しの中に残ったウイスキーを飲みながら小説(ツルゲーネフのルージン)を読んでいるシーンがなんとも味わい深くて好きです。図書館の女の人も何とも魅力的な女性でそんな女性とベッドインしている主人公がうらやましく思ってしまいます。
激しい「ハードボイルドワンダーランド」と、静かな「世界の終り」の関係がだんだんと交わってきて、いいテンポで読むことができました。最初読んだ時はハードボイルドの方が面白かったですが、再読している今回は世界の終りのタンタンとした雰囲気がとても面白く感じられます。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.102
(5pt)

確か3日くらいで読んだ気がします、うん

「自分の中の世界」と「世界の中の自分」の対立を具現化した、極めて斬新かつ完成度の高い作品と思います。賛否あるでしょうが、「上手なレビューを書いた」程度で満足している僕たちには到底及ばない位置に作者も作品も存在していることを、もっと切実に痛感すべきではないでしょうか。こんな事を言うと気を悪くする方もいらっしゃるかも知れませんが、少なくとも僕(あるいは皆さん)はこの作品にあれこれ言及する資格すら持ち合わせていないと、考えています。批評が通用するのはそれ自体が創造の域にまで達した時だけです、多分。作者=小説の書き手という幻想を取り払わなければ、この小説の真価は見えてこない。村上作品はどれも読み手としての能力を存分に問うものばかりですから、信者もアンチも今一度読み直す機会を自分に与えるべきと思います。生意気言って申し訳ないです。いい小説ですよ、これ。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.101
(5pt)

★5つじゃ足りないかな

これまでの読書人生の中で上位5位に入る小説です。
すでに数年おきに3回読んでいます。
個人的には村上作品の中でも一番の秀作だと考えています。
ハードボイルド・ワンダーランドと世界の終わりのそれぞれの章が交互に書かれています。
ハードボイルド・ワンダーランドは、主人公が活躍?する現代日本を舞台としたハードボイルド・ワンダーランドなのですが、では世界の終わりとは?
なかなか真相は明らかになりません。しかしだんだん明らかになります。小説を読むときによくありがちですが、読む速度はだんだん加速します。
でもその展開だけではありません。本当にこの作品は深いのです。だからこそ、繰り返し読んでしまうのです。
ちなみに、ボブ・ディランの曲がよく登場するので、彼の音楽を聴く方は、一層楽しめます。
前に夜中に読むのが好きと書かれていた方もいましたが、私はこの小説は秋の終わり〜冬に読みたくなります。「世界の終わり」の秋から冬が印象的だったからだと思います。
それで、秋が来たのでレビューを書いてみました。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.100
(5pt)

楽しく、かつ深い小説

「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」とは何やら意味深なタイトルですが、何のことはありません。「世界の終り」という小説と「ハードボイルド・ワンダーランド」という小説が章ごとに交互に登場するわけです。というわけで、タイトルを深読みしようとすると肩すかしを喰うのですが、内容の方はいくら深読みし過ぎてもし過ぎることはないような、深い小説です。「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」は全く別の物語のように見えて、実はつながりがあることが最後にわかるのですが、それがどんなつながりなのかを言葉できちんと説明するのは難しいです。
とは言え、決して小難しくて娯楽性のない小説ではありません。まるでハリウッド映画のようなエンターテイメント性に溢れているところが本作の魅力です。また、村上春樹の他の作品と通底するテーマを扱っているにもかかわらず、本作には自己憐憫的な色彩が少なく、落ち込まずに読めるのも良いですね。私が読んだ中では村上春樹のベストだと思います。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.99
(5pt)

2つの世界のつながりが読むものを魅了する

 世界的にも高い評価を受けている村上春樹の傑作の一つです。
 リアルな世界(ハードボイルド・ワンダーランド)と主人公の意識の中の世界(世界の終り)がパラレルに展開していく。
 前半ではそれぞれの世界が別々に進行しているようである。しかし読み進めていくと、実はつながって、それぞれの物語がもう一つの物語に大きく影響を及ぼしているということが分かってくる。世界のつながりを理解するとともにどんどんと小説に引き込まれていく。
 実に巧妙に描かれた作品だと思います。一つ一つのの形容表現も、もっとも適切で無駄がありません。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340