世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
評判
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドの評価:
4.24/5点 レビュー 267件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全238件 61〜80 4/12ページ
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4.24/5点 レビュー 267件。 B ランク
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この頃の村上春樹の作品はとても面白い.
若い人には是非,最近の作品ではなく,本作を中心とした作品群に手を出して欲しい.
個人的には,芸術家などの創作者は作品自体によって評価されるべきと考えているので,そもそもあまりメディアに露出しない人ではあるが,エッセイを除いた作品(単行本)をベースとしたレビューとする.一応,ファンなので,全部を読んでいる.
デビュー作が1979年7月の「風の歌を聴け」で,最新作が2010年4月の「1Q84 BOOK 3」 なので,作品ベースとしては31年のキャリアの作家となる.
個人的には「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(1985年6月),「回転木馬のデッド・ヒート」(1985年10月)あたりが一番好きな時代となる.
その後,「スプートニクの恋人」(1999年4月)あたりから,少し違和感を感じ,「海辺のカフカ」(2002年9月)でその違和感ははっきりしたものとなった.
結果としては「夜のくもざる」(1995年5月)までが,楽しく読めて,その後はイマイチということになる.
すると,約30年の氏のキャリアのなかで1995年に起きた阪神大震災,地下鉄サリン事件あたりを節目に前期,後期と便宜上分けたほうが,分かりやすいように思う.
前期,後期と分けたことから,ビートルズのベスト盤の通称「赤盤」「青盤」を引き合いにさせてもらうと,「赤盤」はロックンロールを中心としたストレートな楽曲が多く,「青盤」はロックに革命を起こしたとされるロックらしからぬ上質かつ緻密な音作りがされている.
音楽史のなかでいうと評価が高いのは「青盤」だろうが,私の好みは「赤盤」となる.
村上春樹も前期は荒削りでシンプルな文章が多いが,後期になると職業小説家らしく緻密な文章表現が多くなり,社会現象をベースとしたノンフィクションの執筆も始まる.
なんだか似通っているように思う.ビートルズはだんだんとキャリアを積むにつれて,音楽的な深みや演奏技術も増して,メッセージ色が強くなっていって,「赤盤」「青盤」では,まるで別のグループのように変貌する.
ビートルズの凄みは「赤盤」「青盤」の両方が傑作であり,優劣は個人的な好みにすぎないことだ.
「赤盤」が好みであるのは,音質は悪いが,一発録音が中心であるための演奏や歌の緊張感や,まだ自分の中に住んでいるティーンエイジャーに強く訴えかけるものがあるからだろう.
村上春樹も前期の作品,とくに「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」などを読むと,自分の中に住んでいるティーンエイジャーが強く共感する.この力は最近の作品群にはないものだ.
村上春樹の場合は残念だが,後期の作品群は正直あまり面白くない.1995年前にピークを迎えてしまったのだろう.文章表現は後期では向上しているのだが,表現するもの自体が面白くないので,面白いものではなくなっている.「東京奇譚集」(2005年9月)ぐらいだろうか.面白く読めたのは.
30歳ぐらいまでの若い方々,特に最近の作品を読んで面白くなかった方々には,前期の村上春樹作品を手に取って読んで欲しい.特に,この「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」が全体構成の面では発展途上的な印象も受けるが,内容のバランスが良いと思う.
この前後の作品はとても面白い.ちょうどあなたが仕事や生活のうえで感じているが言葉にならないことがあるとしたら,その一部が見事に文章化されている.