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傷痕
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傷痕の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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ネットでしかみつけられず。購入できてよかった。 | ||||
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高樹刑事の幼少期からの物語です。 この様な世界を生き抜いた男だからこそ、恐れられる刑事が誕生したのだと思います。 何度読んでも面白く、そして大きな感動を与えてくれます。 | ||||
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せつない。老犬の始まり | ||||
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13歳の少年たちの生きるための闘い。 子供であるからといって保護されてはいない。大人たちからさえも容赦なく強奪されながら、 少年たちが生き抜くさまはすさまじい。 老犬トレーの口笛がお互いの合言葉。 高樹警部の癖がここから端をほっしていたことがよくわかる。 いくら好きな曲でも何十年もの間の癖になるような曲というものはなさそうだが、 この生き様を考えると理解できる。 しかも北方謙三氏は高樹警部の癖を最初から考えながらこれまで書いてきてはいないのに、 本当に納得できる。 7歳の少年が"男”であろうとしたためにすさまじい死に方をし、 その復讐を13歳の少年がやり遂げる。 このラストの部分は読んでからもずっと心に残り、数日間、私は放心状態になるほどだった。 この「傷痕」と「眠りなき夜」は私の中で最も好きな北方ワールドです。 | ||||
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北方謙三は、別の小説に同じ人物を登場させるということをときどきやる。 ブラディ・ドールシリーズと、約束の街シリーズを合体させた離れ業などが一番目立った例だろうか。 そうした人物として印象深い一人が、通称「老いぼれ犬」の高樹警部である。 彼は、たとえば『檻』で準主役ともいうべき重要な脇役として、 挑戦シリーズではもうちょっと軽い脇役として登場する。 忘れがたい味を持つとはいえ、脇役と思われたこの高樹を、 意外にも主人公に据えてみせたのが「老犬シリーズ」だ。 中でも、その少年期を描いて異色作ともいえるこの『傷痕』は、目立たないが傑作だろう。 北方謙三はぎりぎりの人生を好んで描く。 手っ取り早いのは命のやり取りで、 現代ものだと、そこで犯罪、暴力が絡むようになる。 北方謙三の出発点であるハードボイルドである。 だがそれは、普通に考えれば(幸いなことに)一般人にはいささか縁遠い世界だ。 北方謙三はより普遍的な場を求めて歴史ものを書き始めた。 歴史ものは、より高次のリアリティを求めた結果だいう。 『傷痕』は、系列としてはハードボイルドだろう。 実際主人公は、他の小説ではいかにもハードボイルドの犯罪ものに登場する。 だが彼を主役に置いたこのシリーズ第一作は、むしろ一人の人間の歴史を描いたものだ。 むろん彼は現代人だから、たとえば南北朝ものとは色合いが異なるにしても、 戦後の戦後の闇の時代の厳しい生き様を描くことで、 物語は作者の歴史ものと同じリアリティを得ることになる。 生きる戦いが必然である状況なのである。 孤児といえば自動的に人権無視の悲惨な孤児院送りにされる時代、 自由と生存そのものを求めて戦う良文と幸太の戦災孤児コンビを軸に、 これにヤクザがからみ、必然的に暴力が描かれ、 他の孤児たちとの共同が生まれ、とにかく生きて行く戦いが語られる。 いつものダンディズムが見えないわけではないにせよ、 とにもかくにもまず生き抜くことという濃厚な前提があり、 それが全体を緊迫させ、躍動させ、そしてまだ少年である主人公らの傷が心に沁みる。 今までにない設定もあって、北方文学全体のなかでも特に印象的な一冊といっていいと思う。 これに近いのは、後の『望郷の道』だろうか。 こうした一面を持つというのもまたこの作者の豊かさであり、 読者にすれば嬉しい驚きである。 | ||||
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挑戦シリーズという別のシリーズにずっと出ていた名脇役の高樹刑事。老犬トレーを口ずさみ、手入れをしないとすぐに調子の悪くなるジッポのライターを持っているんですが、それらを大事そうにしているのはどうしてだろうとずっと思ってました。その真相がこの一冊で明らかになります。戦後の日本、わずか13歳の子供が生きて行くには過酷な時代。大人が子供の食べ物を奪うなんて当たり前の世界で、必死で生きようとする子供たちに胸を打たれます。「俺たちは二人合わせれば26歳だ」そう言って大人と張り合って必死に生きる彼らが本当に切ないです。世の中の不条理に対する怒りや悲しみ、無力感。いろんな感情が入り乱れて、どこへぶつけていいのかわからず読んでいて切なくなります。ラストもすごくあっけなくて呆然としてしまうんですが、そこがまたこの物語に合っていて溜め息が漏れる一冊でした。 | ||||
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集英社刊行の北方作品に頻繁に登場し、その存在感から主役を霞ませるほどキャラクターである「老いぼれ犬」こと高樹警部の少年時代を描く。 老犬シリーズ三部作の一。 時は昭和21年、終戦直後焼け野原の東京。 浮浪児狩りの目を逃れ、毎日を懸命に生き抜く13歳の高樹良文少年とその仲間達、そこには親友と言うよりもう一人の自分とも呼べる「兄弟」田代幸太の姿があった。 隙を見せれば暴力によって全てが奪われる戦後の混乱期、大人もやくざ達も少しでも弱い物を容赦無く蹂躙する。 良文と幸太は「二人合わせて26だ」と身体を張ってねぐらとする「孔雀城」の家族達を護ろうとしてゆく。 北方ワールドにて合言葉のように流れる魂の唄、「老犬トレー」と高樹刑事の敵を打ち倒す手錠の技のルーツが垣間見られる。 辻褄合わせで作ったとは思えない程の描写と読み応え、全神経を集中させて夜を明かせ。 | ||||
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これは、今まで北方謙三の作品に関心のなかった人達、まだ読んだ事のない人達にこそ読んで欲しい作品ですね。北方ワールドの魅力の全てが凝縮され、しかも、ハードボイルドだとか冒険小説だとかいったカテゴリーを超えて読者の胸に迫ってくる(かくいう私自身、別にハードボイルドのファンではありません)名作だと思います。初期の北方作品で、傍役ながら実に存在感の在る活躍ぶりを見せていた老いぼれ犬・高樹警部の何と少年時代の物語です。終戦直後の東京、戦災孤児として生きる良(高樹)の、壮絶と呼ぶには余りにも痛々しいストーリー。幸太の慟哭、里子の涙、早熟を強いられた少年少女達の叙事詩です。北方氏はもともとハードボイルド作家としてスタートしましたが、彼が本当に描きたかったのは、やくざとかアウトローの世界とかじゃなくて、こういった"生きる事に純粋な魂の叫び"だったのではないでしょうか。氏の近年の、一連の時代小説を読むにつけても、そのような気がますます私の中で強まってくるのですが。それにしてもこの作品は分類わけをするのが不可能な小説ですね。さきにも述べたように、いわゆるハードボイルドや冒険小説でもないし、少年小説と言って、本当の少年達に読ませられるような代物でもないしー。もはや"北方小説"としか言い様のない作品だと思います。 | ||||
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