閉鎖病棟

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

閉鎖病棟の評価:

4.32/5点 レビュー 133件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.32pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全220件 121〜140 7/11ページ
No.100
(4pt)

子供に読ませたい本

世に出回る精神病患者の本は猟奇性だとか残虐性といった負の側面ばかりを描いている作品が非常に多いと思います。
ただ、これはそうではなくて現役の医師から見た偏見のない姿がしっかりと描かれていると感じました。
精神科というのは確かに一線を画したもので、畏怖の念を抱く方もいるかもしれませんがこの小説を読めばきっと、少しだけ違う考えを抱くはずです。
閉鎖病棟―Closed Ward Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟―Closed Wardより
4103314079
No.99
(4pt)

子供に読ませたい本

世に出回る精神病患者の本は猟奇性だとか残虐性といった負の側面ばかりを描いている作品が非常に多いと思います。
ただ、これはそうではなくて現役の医師から見た偏見のない姿がしっかりと描かれていると感じました。
精神科というのは確かに一線を画したもので、畏怖の念を抱く方もいるかもしれませんがこの小説を読めばきっと、少しだけ違う考えを抱くはずです。
閉鎖病棟 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟 (新潮文庫)より
4101288070
No.98
(5pt)

何が正常で何が異常なのか

激しく心を揺り動かされた、涙が止まらなかったというわけではない。静かに切なく、静かに心温まる、本当に読んで良かったと思える作品だった。

登場人物の描写に温かみを感じながら読んだが、その温かみが決して同情や憐憫の情に支えられたものではないことに途中で気付く。むしろ患者を取り巻く現実を冷静に見つめる著者の視点は、そういった情を突き抜けたところに達していると感じた。上手く表現し得なかった感覚を、逢坂剛氏が見事にこれを解説していた。

「精神科病院の実態を、患者の立場からこれほど公正に描き切った小説はおそらく初めてだと思う。ここで公正というのは、(中略)長所も欠点も含めてまさに私達の仲間として描く、毅然とした姿勢を言うのである。」

そんな視点から描かれる世界では、もはや何が正常で何が異常なのかが分からなくなる。そして、その「正常」「異常」を病名で線引きすることに対する違和感を抱く。これこそが現役精神科医の著者が投げかける問題意識なのかもしれない。

本当に読んで良かった。
閉鎖病棟―Closed Ward Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟―Closed Wardより
4103314079
No.97
(5pt)

何が正常で何が異常なのか

激しく心を揺り動かされた、涙が止まらなかったというわけではない。静かに切なく、静かに心温まる、本当に読んで良かったと思える作品だった。

登場人物の描写に温かみを感じながら読んだが、その温かみが決して同情や憐憫の情に支えられたものではないことに途中で気付く。むしろ患者を取り巻く現実を冷静に見つめる著者の視点は、そういった情を突き抜けたところに達していると感じた。上手く表現し得なかった感覚を、逢坂剛氏が見事にこれを解説していた。

「精神科病院の実態を、患者の立場からこれほど公正に描き切った小説はおそらく初めてだと思う。ここで公正というのは、(中略)長所も欠点も含めてまさに私達の仲間として描く、毅然とした姿勢を言うのである。」

そんな視点から描かれる世界では、もはや何が正常で何が異常なのかが分からなくなる。そして、その「正常」「異常」を病名で線引きすることに対する違和感を抱く。これこそが現役精神科医の著者が投げかける問題意識なのかもしれない。

本当に読んで良かった。
閉鎖病棟 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟 (新潮文庫)より
4101288070
No.96
(5pt)

“精神科の患者たちは、しばしば私達以上に純粋でまともな心の持ち主である”解説の逢坂剛

私は自ら精神科の閉鎖病棟で働いた経験を持つが、この小説には、著者が精神科医でなければ書き得ない患者の心理や、精神科医の間にある名医とそうでない医師の違いが描かれている。精神病には一般の人だけでなく、他の科に所属する医師、看護士のなかにも理解不足の人がいるが、この小説は医学生や医療従事者の偏見をなくすためにも勧めたい一冊。その一方で、精神病ではない“正常人”が、この小説の中では、実に残酷な仕打ちをする様子が描かれており、医学によって治療し得ない、これら“正常人”こそ社会の問題であることが理解できる。名言は以下。“人の人生はひと続きにみえるからこそ安定しているので、これがはじめからこま切れになると、意味を失うのです(p286)” “私が生きている限りその思い出が消えない。これから先、どんなこま切れの日がやってこようと、そこにその思い出を張りつけ、私は幸せに生きていける(p293)” “病院はついの棲み家ではありません。どんなに辛くてもいずれ翔び発って自分の巣に帰って欲しいのです(p299)” 以下はこの本の”解説”の逢坂剛の名言。“精神科の患者たちは、しばしば私達以上に純粋でまともな心の持ち主である” “本書においても、ただ一人の悪役を務める重宗のようなやくざに対してさえ救いのひと筆を惜しまないやさしさがある"
閉鎖病棟―Closed Ward Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟―Closed Wardより
4103314079
No.95
(5pt)

“精神科の患者たちは、しばしば私達以上に純粋でまともな心の持ち主である”解説の逢坂剛

私は自ら精神科の閉鎖病棟で働いた経験を持つが、この小説には、著者が精神科医でなければ書き得ない患者の心理や、精神科医の間にある名医とそうでない医師の違いが描かれている。精神病には一般の人だけでなく、他の科に所属する医師、看護士のなかにも理解不足の人がいるが、この小説は医学生や医療従事者の偏見をなくすためにも勧めたい一冊。その一方で、精神病ではない“正常人”が、この小説の中では、実に残酷な仕打ちをする様子が描かれており、医学によって治療し得ない、これら“正常人”こそ社会の問題であることが理解できる。名言は以下。“人の人生はひと続きにみえるからこそ安定しているので、これがはじめからこま切れになると、意味を失うのです(p286)” “私が生きている限りその思い出が消えない。これから先、どんなこま切れの日がやってこようと、そこにその思い出を張りつけ、私は幸せに生きていける(p293)” “病院はついの棲み家ではありません。どんなに辛くてもいずれ翔び発って自分の巣に帰って欲しいのです(p299)” 以下はこの本の”解説”の逢坂剛の名言。“精神科の患者たちは、しばしば私達以上に純粋でまともな心の持ち主である” “本書においても、ただ一人の悪役を務める重宗のようなやくざに対してさえ救いのひと筆を惜しまないやさしさがある"
閉鎖病棟 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟 (新潮文庫)より
4101288070
No.94
(5pt)

素晴らしい文学作品

久しぶりに良い小説を読ませてもらいました。
ミステリーだとかエンターテイメントだと何だとか、そんなつまらない枠組みを超えて、
非常に優れた「文学作品」だと思う。人間への信頼の眼差しが胸を打ちます。
それにしても残念なのは、この「表紙」。おそらく内容を読んでいないイラストレーターの方が、
題名から推して、安直に描かれたものではないか思われますが、あまりにも中身にそぐわない、無機質にして安っぽい絵であり、
この文庫本の価値を著しく損なっているのが、何としても惜しまれます。
装幀は、本の顔なのですから、編集者の方も、もう少し目配りされてはいかがでしょうか。
閉鎖病棟―Closed Ward Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟―Closed Wardより
4103314079
No.93
(5pt)

素晴らしい文学作品

久しぶりに良い小説を読ませてもらいました。
ミステリーだとかエンターテイメントだと何だとか、そんなつまらない枠組みを超えて、
非常に優れた「文学作品」だと思う。人間への信頼の眼差しが胸を打ちます。
それにしても残念なのは、この「表紙」。おそらく内容を読んでいないイラストレーターの方が、
題名から推して、安直に描かれたものではないか思われますが、あまりにも中身にそぐわない、無機質にして安っぽい絵であり、
この文庫本の価値を著しく損なっているのが、何としても惜しまれます。
装幀は、本の顔なのですから、編集者の方も、もう少し目配りされてはいかがでしょうか。
閉鎖病棟 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟 (新潮文庫)より
4101288070
No.92
(5pt)

最高閉鎖とかファンには、お勧め

最高ですね!皆さん、お勧めです!世界関が素晴らしいです!
閉鎖病棟―Closed Ward Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟―Closed Wardより
4103314079
No.91
(5pt)

最高閉鎖とかファンには、お勧め

最高ですね!皆さん、お勧めです!世界関が素晴らしいです!
閉鎖病棟 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟 (新潮文庫)より
4101288070
No.90
(5pt)

人生を直向きに歩きたいと思った

深い感動が残る小説でした。

精神病院で暮らす、不器用なあまりに様々な不幸な過去を経てきた人々が、日常に小さな幸福を感じ感謝して生きていく姿が、本当に印象的でした。

彼等の謙虚さに何度も心がハッとし、同時にその不憫さに胸が苦しくなりました。
日常の(私から見れば)些細な出来事に一喜一憂する彼等の様子を丁寧に描写する場面を見るにつけ、筆者の大事に伝えたい部分の1つはそこなのかな、と感じました。

悲しい過去を生きてきた秀丸さんに待つ、折り重なる重苦しい試練。
どうしてこんな試練ばかり乗り越えなければならないのだろう。
自由を手にしたチュウさん、島崎さん、昭八ちゃんも、行く手にはまた多くの困難があると思います。

フィクションとは言え、彼等の未来に少しでも多く、幸せだなと感じる瞬間が訪れるよう、切に願います。

これからの人生を前に、この本に出会えて良かったと思えた数少ない小説の1つでした。
閉鎖病棟―Closed Ward Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟―Closed Wardより
4103314079
No.89
(5pt)

人生を直向きに歩きたいと思った

深い感動が残る小説でした。

精神病院で暮らす、不器用なあまりに様々な不幸な過去を経てきた人々が、日常に小さな幸福を感じ感謝して生きていく姿が、本当に印象的でした。

彼等の謙虚さに何度も心がハッとし、同時にその不憫さに胸が苦しくなりました。
日常の(私から見れば)些細な出来事に一喜一憂する彼等の様子を丁寧に描写する場面を見るにつけ、筆者の大事に伝えたい部分の1つはそこなのかな、と感じました。

悲しい過去を生きてきた秀丸さんに待つ、折り重なる重苦しい試練。
どうしてこんな試練ばかり乗り越えなければならないのだろう。
自由を手にしたチュウさん、島崎さん、昭八ちゃんも、行く手にはまた多くの困難があると思います。

フィクションとは言え、彼等の未来に少しでも多く、幸せだなと感じる瞬間が訪れるよう、切に願います。

これからの人生を前に、この本に出会えて良かったと思えた数少ない小説の1つでした。
閉鎖病棟 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟 (新潮文庫)より
4101288070
No.88
(5pt)

「正常」の根拠を問う

「人間」の本質に迫った好著。精神科医ならではの作品である。
物語を表層的に言うと、精神障害者が集う病棟内における人間ドラマといえようか。
ただし、その根底には非常に深いテーマが横たわっている。
色々な言い方ができると思うが、それは「いわゆる『正常』の根拠は何なのか」であると思う。
少なくとも私はそう読んだ。

優れた文学作品がいずれも「人間」の本質をえぐり出しているように、
この『閉鎖病棟』にもドキリとさせられるシーンがたびたび出てくる。
何が「正常」で何が「異常」なのか、考えさせられた。

圧巻は、チュウさんの退院をめぐるシーンである。
具体的には、退院を希望する患者とそれを認める病院側とそれに反対する親族側の対立である。
一般的に言うと、親族側が「正常」な人間である。
だから、障害者との関わりを押し付けられる親族側に肩入れしそうになる。
しかし、それまで病院内の「正常」なチュウさんを目撃してきた読者は、
いわゆる「正常」な世界からの攻撃に対して疑問を持たざるを得なくなる。

主治医と親族との攻防戦に痺れを切らして、主任が割り込むシーンは感動的である。
人間を幻想から覚醒に導く過程を象徴する芸術的筆致である。
と同時に、「自分が自分でいられる理由」を教えてくれているように感じた。

我々の大半は自分たちを「正常」だと思っている。
そうやって無意識に自我を育み生きてきた。
ただ、その「正常」の根拠は他に「異常」を発見し、決めつけ差別することで成り立っている。
つまり、「正常」の根拠はぜい弱なのである。
だから、「異常」が実は「正常」であるかもしれないことを認めることはできない。
なぜなら、そうでなければ自我が成り立たなくなってしまうからである。

そのために―「正常」であり続けるために、あるいは自我を守るために、相手に攻撃を仕掛ける。
「異常」は「異常」でなければならないのである。

それが、丸一と新川医師のやり取りである。
この果てしのない議論を喝破するのが主任の役割であり、読者はそこに一番の感動を覚えるだろう。
この本の良さはここにある。


閉鎖病棟―Closed Ward Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟―Closed Wardより
4103314079
No.87
(5pt)

「正常」の根拠を問う

「人間」の本質に迫った好著。精神科医ならではの作品である。
物語を表層的に言うと、精神障害者が集う病棟内における人間ドラマといえようか。
ただし、その根底には非常に深いテーマが横たわっている。
色々な言い方ができると思うが、それは「いわゆる『正常』の根拠は何なのか」であると思う。
少なくとも私はそう読んだ。

優れた文学作品がいずれも「人間」の本質をえぐり出しているように、
この『閉鎖病棟』にもドキリとさせられるシーンがたびたび出てくる。
何が「正常」で何が「異常」なのか、考えさせられた。

圧巻は、チュウさんの退院をめぐるシーンである。
具体的には、退院を希望する患者とそれを認める病院側とそれに反対する親族側の対立である。
一般的に言うと、親族側が「正常」な人間である。
だから、障害者との関わりを押し付けられる親族側に肩入れしそうになる。
しかし、それまで病院内の「正常」なチュウさんを目撃してきた読者は、
いわゆる「正常」な世界からの攻撃に対して疑問を持たざるを得なくなる。

主治医と親族との攻防戦に痺れを切らして、主任が割り込むシーンは感動的である。
人間を幻想から覚醒に導く過程を象徴する芸術的筆致である。
と同時に、「自分が自分でいられる理由」を教えてくれているように感じた。

我々の大半は自分たちを「正常」だと思っている。
そうやって無意識に自我を育み生きてきた。
ただ、その「正常」の根拠は他に「異常」を発見し、決めつけ差別することで成り立っている。
つまり、「正常」の根拠はぜい弱なのである。
だから、「異常」が実は「正常」であるかもしれないことを認めることはできない。
なぜなら、そうでなければ自我が成り立たなくなってしまうからである。

そのために―「正常」であり続けるために、あるいは自我を守るために、相手に攻撃を仕掛ける。
「異常」は「異常」でなければならないのである。

それが、丸一と新川医師のやり取りである。
この果てしのない議論を喝破するのが主任の役割であり、読者はそこに一番の感動を覚えるだろう。
この本の良さはここにある。


閉鎖病棟 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟 (新潮文庫)より
4101288070
No.86
(5pt)

人間が人間でいられる理由

「人間」の本質に迫った好著。精神科医ならではの作品である。
物語を表層的に言うと、精神障害者が集う病棟内における人間ドラマといえようか。
ただし、その根底には非常に深いテーマが横たわっている。
色々な言い方ができると思うが、それは「人間が人間でいられる理由」であると思う。
少なくとも私はそう読んだ。
優れた文学作品がいずれも「人間」の本質をえぐり出しているように、
この『閉鎖病棟』にもドキリとさせられるシーンがたびたび出てくる。
何が「正常」で何が「異常」なのか、考えさせられた。

圧巻は、チュウさんの退院をめぐるシーンである。
具体的には、退院を希望する患者とそれを認める病院側とそれに反対する親族側の対立である。
一般的に言うと、親族側が「正常」な人間である。
だから、障害者との関わりを押し付けられる親族側に肩入れしそうになる。
しかし、それまで病院内の「正常」なチュウさんを目撃してきた読者は、
いわゆる「正常」な世界からの攻撃に対して疑問を持たざるを得なくなる。

主治医と親族との攻防戦に痺れを切らして主任が割り込むシーンは感動的である。
人間を幻想から覚醒に導く過程を象徴する芸術的筆致である。
と同時に、「人間が人間でいられる理由」を問うているように感じた。

我々の大半は自分たちを「正常」だと思っている。
そうやって自我を育み生きてきた。
ただ、その「正常」の根拠は他に「異常」を発見し、決めつけ差別することで成り立っている。
つまり、「正常」の根拠はぜい弱なのである。
だから、「異常」が実は「正常」であるかもしれないことを認めることはできない。
なぜなら、そうでなければ自我が成り立たなくなってしまうからである。
だから、「正常」を保つために、あるいは自我を守るために、相手に攻撃を仕掛ける。
「異常」は「異常」でなければならないのである。

それが、丸一と新川医師のやり取りである。
この果てしのない議論を喝破するのが主任の役割であり、読者はそこに一番の感動を覚えるだろう。
この本のよさはここにある。


閉鎖病棟―Closed Ward Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟―Closed Wardより
4103314079
No.85
(5pt)

人間が人間でいられる理由

「人間」の本質に迫った好著。精神科医ならではの作品である。
物語を表層的に言うと、精神障害者が集う病棟内における人間ドラマといえようか。
ただし、その根底には非常に深いテーマが横たわっている。
色々な言い方ができると思うが、それは「人間が人間でいられる理由」であると思う。
少なくとも私はそう読んだ。
優れた文学作品がいずれも「人間」の本質をえぐり出しているように、
この『閉鎖病棟』にもドキリとさせられるシーンがたびたび出てくる。
何が「正常」で何が「異常」なのか、考えさせられた。

圧巻は、チュウさんの退院をめぐるシーンである。
具体的には、退院を希望する患者とそれを認める病院側とそれに反対する親族側の対立である。
一般的に言うと、親族側が「正常」な人間である。
だから、障害者との関わりを押し付けられる親族側に肩入れしそうになる。
しかし、それまで病院内の「正常」なチュウさんを目撃してきた読者は、
いわゆる「正常」な世界からの攻撃に対して疑問を持たざるを得なくなる。

主治医と親族との攻防戦に痺れを切らして主任が割り込むシーンは感動的である。
人間を幻想から覚醒に導く過程を象徴する芸術的筆致である。
と同時に、「人間が人間でいられる理由」を問うているように感じた。

我々の大半は自分たちを「正常」だと思っている。
そうやって自我を育み生きてきた。
ただ、その「正常」の根拠は他に「異常」を発見し、決めつけ差別することで成り立っている。
つまり、「正常」の根拠はぜい弱なのである。
だから、「異常」が実は「正常」であるかもしれないことを認めることはできない。
なぜなら、そうでなければ自我が成り立たなくなってしまうからである。
だから、「正常」を保つために、あるいは自我を守るために、相手に攻撃を仕掛ける。
「異常」は「異常」でなければならないのである。

それが、丸一と新川医師のやり取りである。
この果てしのない議論を喝破するのが主任の役割であり、読者はそこに一番の感動を覚えるだろう。
この本のよさはここにある。


閉鎖病棟 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟 (新潮文庫)より
4101288070
No.84
(4pt)

人間のエゴイズムによる犠牲者たち

現在、精神科ローテート中の研修医。日々さまざまな人が外来に訪れるが、その人たちの社会的背景の悲惨さに心を痛める。自分勝手な人間のなんと多く、それにより生みだされる悲劇のなんと多いことかと。特に、最近の若い親たちの精神的未熟さに、やりようのない怒りを覚える。健診に来ない妊婦、非常識、育児放棄、子への無関心。それらの一つ一つが、どれほど子どもを傷つけるか考えもないままに、自分勝手な快楽に身を任せて子どもを設ける。それこそ立派な犯罪ではないか?あのような親達の子どもが大人になりかけたとき、悲劇は顕在化するのだろう。うつ病にせよ、統合失調症にせよ、病前の性格はいたって真面目、几帳面、他人本位で純粋な人が多い。一生懸命に生きてきたのに、その純粋さ・不器用さゆえ社会の歪みに打ちのめされ、追い詰められた人たちがやがて精神疾患を発症する(それがすべてではないが)。言い換えれば、我々、正常と考えられている人間は、弱い人間を犠牲にすることで自分の心を守ることができた、より邪悪で利己的な人間なのだと思う。そもそも我々は、誰でも純粋さ・邪悪さを持ち合わせて生まれるが、親や周囲の人間に愛情を注がれることで自信を養い、安定した精神状態、困難に立ち向かう勇気や根性を身につける。しいては内なる邪悪さを抑え、他人に優しくできるようになり、幸せを得る。はじめから他人を傷つけたいと思って生まれてくる人などいない。ずっと求め続けた愛情をついに得られず、自分の存在意義を見いだせなかったとき、周りに対する怒り・憎しみが増幅され、犯罪や発病という結果を生むのだと思う。精神病患者にせよ、犯罪者にせよ、社会で生きていくために必要不可欠なものが与えられなかった、社会の犠牲者ではないか。殺人などの犯罪のニュースを聞くと、自分はどちらかというと犯人に同情してしまうことがある。それまでのその人の人生がいかに悲惨で、どれほどその人が苦しんできたか計り知れないから。同時に、そのような結果を招いた犯罪者の親や周囲の環境に対し、強い憤りを覚える。これは、貧困とか社会的地位とは別問題。重要なのは1点だけ、ただ無条件の愛だ。それさえあれば救われたのに、与えられなかった人たちの、その後の数十年の人生は地獄より悲惨なものではなかったか。本作品に登場する患者たちもまた、親や周囲の人々の利己心、他人の痛みを理解しない貧しい心、偏見などにより追い詰められた挙句、精神病院へ辿り着いた。つまるところ、人間のエゴイズムがすべての悲劇を生み出している。閉鎖病棟の患者達は、決して消えることのない罪の意識にさいなまれながら生きている。罪滅ぼしの意識も助かって、患者たちは他人のために生きるという精神を見出した。「自らの命を捨てるものは返ってこれを得る」キリストの有名な言葉だが、この言葉の意味・深さを今一度考えさせられた。「無知は罪」これは、愚かな親によって人生を台無しにされた兄を持つ、自分が辿り着いた真理。人は一生、自ら学び続けなければならない。そうしなければ罪を犯し続けることになるからだ。
閉鎖病棟―Closed Ward Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟―Closed Wardより
4103314079
No.83
(4pt)

人間のエゴイズムによる犠牲者たち

現在、精神科ローテート中の研修医。日々さまざまな人が外来に訪れるが、その人たちの社会的背景の悲惨さに心を痛める。自分勝手な人間のなんと多く、それにより生みだされる悲劇のなんと多いことかと。特に、最近の若い親たちの精神的未熟さに、やりようのない怒りを覚える。健診に来ない妊婦、非常識、育児放棄、子への無関心。それらの一つ一つが、どれほど子どもを傷つけるか考えもないままに、自分勝手な快楽に身を任せて子どもを設ける。それこそ立派な犯罪ではないか?あのような親達の子どもが大人になりかけたとき、悲劇は顕在化するのだろう。うつ病にせよ、統合失調症にせよ、病前の性格はいたって真面目、几帳面、他人本位で純粋な人が多い。一生懸命に生きてきたのに、その純粋さ・不器用さゆえ社会の歪みに打ちのめされ、追い詰められた人たちがやがて精神疾患を発症する(それがすべてではないが)。言い換えれば、我々、正常と考えられている人間は、弱い人間を犠牲にすることで自分の心を守ることができた、より邪悪で利己的な人間なのだと思う。そもそも我々は、誰でも純粋さ・邪悪さを持ち合わせて生まれるが、親や周囲の人間に愛情を注がれることで自信を養い、安定した精神状態、困難に立ち向かう勇気や根性を身につける。しいては内なる邪悪さを抑え、他人に優しくできるようになり、幸せを得る。はじめから他人を傷つけたいと思って生まれてくる人などいない。ずっと求め続けた愛情をついに得られず、自分の存在意義を見いだせなかったとき、周りに対する怒り・憎しみが増幅され、犯罪や発病という結果を生むのだと思う。精神病患者にせよ、犯罪者にせよ、社会で生きていくために必要不可欠なものが与えられなかった、社会の犠牲者ではないか。殺人などの犯罪のニュースを聞くと、自分はどちらかというと犯人に同情してしまうことがある。それまでのその人の人生がいかに悲惨で、どれほどその人が苦しんできたか計り知れないから。同時に、そのような結果を招いた犯罪者の親や周囲の環境に対し、強い憤りを覚える。これは、貧困とか社会的地位とは別問題。重要なのは1点だけ、ただ無条件の愛だ。それさえあれば救われたのに、与えられなかった人たちの、その後の数十年の人生は地獄より悲惨なものではなかったか。本作品に登場する患者たちもまた、親や周囲の人々の利己心、他人の痛みを理解しない貧しい心、偏見などにより追い詰められた挙句、精神病院へ辿り着いた。つまるところ、人間のエゴイズムがすべての悲劇を生み出している。閉鎖病棟の患者達は、決して消えることのない罪の意識にさいなまれながら生きている。罪滅ぼしの意識も助かって、患者たちは他人のために生きるという精神を見出した。「自らの命を捨てるものは返ってこれを得る」キリストの有名な言葉だが、この言葉の意味・深さを今一度考えさせられた。「無知は罪」これは、愚かな親によって人生を台無しにされた兄を持つ、自分が辿り着いた真理。人は一生、自ら学び続けなければならない。そうしなければ罪を犯し続けることになるからだ。
閉鎖病棟 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟 (新潮文庫)より
4101288070
No.82
(5pt)

多彩な人物の描写力が鮮やかで読みやすい

 箒木氏の作品は、安心感があります。
タイトルにもドキドキさせられますが、決してそれを裏切らない(いい意味で内容が思っていなかったものだったりということもありますが)安定感があります。
そして、くじけても立ち上がる人が必ずと言っていいほど出てきます。
 今回に関して言えば、少女を大事に思う人たちの心です。
病院ものでは、とても辛いものが多いのですが、ジャンル分けができないところにまで踏み込んでの作品に、圧巻でした。
 30冊でやめるなどとは言わずに(もう超えていますよきっと〜)どんどん書いて頂きたい!
 箒木さんの作品の初心者さんにはガツンときてくれるであろうお勧めの一冊です。
閉鎖病棟―Closed Ward Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟―Closed Wardより
4103314079
No.81
(5pt)

多彩な人物の描写力が鮮やかで読みやすい

 箒木氏の作品は、安心感があります。
タイトルにもドキドキさせられますが、決してそれを裏切らない(いい意味で内容が思っていなかったものだったりということもありますが)安定感があります。
そして、くじけても立ち上がる人が必ずと言っていいほど出てきます。
 今回に関して言えば、少女を大事に思う人たちの心です。
病院ものでは、とても辛いものが多いのですが、ジャンル分けができないところにまで踏み込んでの作品に、圧巻でした。
 30冊でやめるなどとは言わずに(もう超えていますよきっと〜)どんどん書いて頂きたい!
 箒木さんの作品の初心者さんにはガツンときてくれるであろうお勧めの一冊です。
閉鎖病棟 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 閉鎖病棟 (新潮文庫)より
4101288070