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鏡地獄
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鏡地獄の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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怪奇小説として名高い乱歩の鏡地獄。 この作品は《メタ認知・客観的評価・論理的》と言われる思考に対する反証として作用する。"カイキ"と言うからにはややうがった見方かもしれないが、あの乱歩がただのエログロに終始するわけがない(と思いたい)。 鏡で他者を盗撮するシーンを第三者視点から我々に"盗撮"させる。鏡を使って巨大にうつしだした自分の顔で他人を恐怖にイタズラするシーンを読者の顔に差しむけるほか、、、。 近現代にかけて虚ろいゆく"日本的美"に対して最大のエールを贈るとしては、少々陰気ではあるが、このような印象をもってするとはさすが江戸川乱歩 | ||||
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It came safe in the package and without damage with other products | ||||
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"もし彼女が、私の椅子に生命を感じてくれたなら、ただの物質としてではなく、ひとつの生きものとして愛着を覚えてくれたなら、それだけでも、私は充分満足なのでございます"1997年発刊の本書は表題作に人間椅子を含む著者の怪奇・幻想もの傑作八篇を収めた良書。 個人的にはメタバース、clusterで主宰する読書会の課題図書として本書を手にとりました。 さて、そんな本書はレンズや鏡に異常な執着をいだく男を描いた表題作『鏡地獄』他、女性作家のもとにストーカー的な手紙が届く『人間椅子』未亡人の語る回想記的怪異譚『人でなしの恋』戦争で両手足、耳と口もつぶれた夫と夫人の歪んだ愛を描く『芋虫』あつい昼間の悪夢『白昼夢』道化役者の復讐劇『踊る一寸法師』瓜二つの人物と入れ替わって島にユートピアを築こうとする『パノラマ島奇談』著者自身をモデルにした復活作『陰獣』の中短編が収録されているわけですが。 大正時代発表というレトロな雰囲気が色濃く、収録されている作品のいくつかが映像化されているのもよくわかる独特な猟奇的魅力があって、どの作品も楽しませていただきました、 中でも、やはり『人間椅子』と『芋虫』がシンプルな筋書きなれど、イメージした時のインパクトの強さがあって特にお気に入り。映像作家の1人としてアレンジした作品をつくりたくなりました。 著者のミステリとは別の魅力。怪奇・幻想小説傑作に触れたい方や、大正時代のレトロな雰囲気好きな方にオススメ。 | ||||
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表題ほか、「人間椅子」、「芋虫」など著名な中短編を収録。 人間の極端に偏執狂的な行為を描く奇談で集成。多くの作品で見られる淫靡さも特徴。エログロな見世物の雰囲気が漂う。現在は差別的として使われない言葉も多く見られる。以下、個別に簡単な紹介文。 ---------- 「人間椅子」 美しい閨秀作家である佳子に届いた、家具職人だという男からの手紙は、自らの奇矯な行いを告白するものだった。単に椅子の中に入れるだけで、座っている人間の感触は伝わらない椅子と記憶していたが、違っていた。さすがに気付くでしょうと、無粋に思ってしまう。 「鏡地獄」 友人Kの不思議な話。Kの友人は子供のころからレンズに人一倍興味をもち、両親が亡くなって莫大な遺産を受け継いだ後はガラス工場の経営を始めるが、奇行がいっそう目立つようになる。ガラスの球体の中がどのように見えるか、現在の科学なら検証できるのだろうか。 「人でなしの恋」 お多福な京子が美男子で家柄もある夫の門野に嫁ぎ、幸福な日々を過ごすが、唯一夜更けに離れの蔵に通う夫の行動が気になっている。本書内では比較的大人しい話。 「芋虫」 戦争で両手両足を亡くし身体中に傷を負って口も利けなり、まるで芋虫のように変わり果てた元軍人の夫と暮らす女の話。過去に読んで強い印象を受けたが、今回の再読も相変わらず強烈だった。芋虫となった夫の描写そのものより、妻が夫の身体で唯一生き生きとしている眼に抱く、悪意に慄く。 「白昼夢」 薬屋の主人の演説の告白を聞く男の話。タイトル通り、夢のような印象。10頁足らずと最も短い。 「踊る一寸法師」 緑さんと呼ばれる小人の男が、一座のメンバーに嬲り者にされている。それを受けて、緑さんが美人玉乗りのお花に取った行動は。「白昼夢」に続いて悪夢のような作品。 「パノラマ島奇談」 30越えて仕事もない男は、かつての同級生で彼と瓜二つの富豪の死を聞き、復活を装い遺産を手に入れる計画を思いつく。本書中で最も長い中編の約140ページ。男が築き上げるパノラマ島の描写は、個人的には冗長だった。 「陰獣」 中編ミステリー作品。主人公の寒川に悩み事を依頼するのは美しい人妻の静子。静子は遠い過去に恋人だった、いまは著名なミステリ作家である平田という男の異様なストーカー行為に悩んでいる。同じく推理作家の寒川が、静子の依頼を聞き入れて平田と対峙する。本書中もっとも凝った作品。著者の複数の他作品を平田作という設定とし、その仕掛けに触れるといった、自作への自己言及の側面をもつ。 | ||||
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