倒立する塔の殺人

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倒立する塔の殺人の評価:

4.17/5点 レビュー 29件。 B ランク

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平均点4.17pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全47件 21〜40 2/3ページ
No.27
(3pt)

戦中女学院文学ミステリ

これは時間をかけてじっくり情景を想像しながら味わう作品だと思います。
私は駆け足で読むようなもったいない読み方をしてしまったので、文章の醍醐味を感じ取れませんでした。

ミステリですが、日記文学といって言いぐらいに描写が細かいです。
著者の実体験か原風景を元にしたのでしょうか、人物だけでなく世界観もリアルでした。
……戦後生まれの私としては、戦中の生活の厳しさは刺激が強すぎて、受け入れにくかったです。
女学院での人物関係も、特殊さは感じても美しいと思う感性は私にはありませんでした。

ミステリとしては普通?
トリックは別として、話のオチはびっくりするような凝ったものだとは思いませんでした。
倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)より
4652086156
No.26
(3pt)

戦中女学院文学ミステリ

これは時間をかけてじっくり情景を想像しながら味わう作品だと思います。
私は駆け足で読むようなもったいない読み方をしてしまったので、文章の醍醐味を感じ取れませんでした。

ミステリですが、日記文学といって言いぐらいに描写が細かいです。
著者の実体験か原風景を元にしたのでしょうか、人物だけでなく世界観もリアルでした。
……戦後生まれの私としては、戦中の生活の厳しさは刺激が強すぎて、受け入れにくかったです。
女学院での人物関係も、特殊さは感じても美しいと思う感性は私にはありませんでした。

ミステリとしては普通?
トリックは別として、話のオチはびっくりするような凝ったものだとは思いませんでした。
倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)より
4569677533
No.25
(5pt)

著者ならではの雰囲気満点のミステリ

著者の作品は、何度も読み返し、前後関係を確認し、というのを繰り返すため、なかなか読むのに時間がかかる。
それは、微に入り細にわたる過剰な描写をしないためであり、そこが著者の作品の持ち味でもある。
つまり、読者が創造を広げる範囲が広い、ということだ。

本作は戦時下の女子高を舞台としたものであり、その雰囲気と、その時代に設定した必然性は十分である。
そして、登場する少女達の、女性作家でなければ描写できないであろうと思われる赤裸々な姿が、読みどころだ。
ミステリとしてはメタ、というジャンルに分類されてしまうかもしれないが、作中作が重要なキーとなる。
著者の他の作品と同様、本格度が低いという点はあるが、非常に面白い。
さらにはこのラストだ。
なかなかにダークである。

本作を読んで連想したのが、高木「わが一高時代〜」だった。
この両作の雰囲気の相似はどうだ。
もちろん設定も犯人もトリックも、ましてや作者の作品に対する意図も、まったく違うはずだ。
しかし、それでもこの両作は、戦時下が舞台というだけではなく、学生に及ぼす戦争の影が、非常に濃密に描かれている。
これがヤングアダルト向けの叢書の一冊として刊行されたことに、拍手を送りたい。
倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)より
4652086156
No.24
(5pt)

著者ならではの雰囲気満点のミステリ

著者の作品は、何度も読み返し、前後関係を確認し、というのを繰り返すため、なかなか読むのに時間がかかる。
それは、微に入り細にわたる過剰な描写をしないためであり、そこが著者の作品の持ち味でもある。
つまり、読者が創造を広げる範囲が広い、ということだ。

本作は戦時下の女子高を舞台としたものであり、その雰囲気と、その時代に設定した必然性は十分である。
そして、登場する少女達の、女性作家でなければ描写できないであろうと思われる赤裸々な姿が、読みどころだ。
ミステリとしてはメタ、というジャンルに分類されてしまうかもしれないが、作中作が重要なキーとなる。
著者の他の作品と同様、本格度が低いという点はあるが、非常に面白い。
さらにはこのラストだ。
なかなかにダークである。

本作を読んで連想したのが、高木「わが一高時代〜」だった。
この両作の雰囲気の相似はどうだ。
もちろん設定も犯人もトリックも、ましてや作者の作品に対する意図も、まったく違うはずだ。
しかし、それでもこの両作は、戦時下が舞台というだけではなく、学生に及ぼす戦争の影が、非常に濃密に描かれている。
これがヤングアダルト向けの叢書の一冊として刊行されたことに、拍手を送りたい。
倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)より
4569677533
No.23
(4pt)

生まれつきの残酷さ

皆川博子という名前を見ると、つい引き寄せられてしまいます。
美醜や善悪が一体となって肉感のある形で描かれる大人向けの小説と違い、ガラス細工のように透明で緊張感のある物語でした。

女学校、薔薇、美少女、いかにもな設定やシチュエーションが
散りばめられているのだけれども、妙に描写に生活感があります。
10代の頃、普通に行われていたラベリングが、ただあるものとして書かれており、
様式的なキャラクターではなく、登場人物に人間臭さが十分に感じられることも、物語世界を生々しくしてます。
そこに現れる非日常的なズレが怖い。

物語の中で、軍需工場となった学校で働く阿部欣子(べー様)の
地に足の付いた視点が現れると、何となく落ち着きました。
この小説に限らず、皆川博子の小説は失われるものが多いのに、読後、ほっとする作品が多いような気がします。

文体の硬軟が書き分けられていて作者の性格別の文体分析が行われいるのかと思うと、
それも怖い。

中身に文句はありませんが、本の書体が気になってしまいました。
倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)より
4652086156
No.22
(4pt)

生まれつきの残酷さ

皆川博子という名前を見ると、つい引き寄せられてしまいます。
美醜や善悪が一体となって肉感のある形で描かれる大人向けの小説と違い、ガラス細工のように透明で緊張感のある物語でした。

女学校、薔薇、美少女、いかにもな設定やシチュエーションが
散りばめられているのだけれども、妙に描写に生活感があります。
10代の頃、普通に行われていたラベリングが、ただあるものとして書かれており、
様式的なキャラクターではなく、登場人物に人間臭さが十分に感じられることも、物語世界を生々しくしてます。
そこに現れる非日常的なズレが怖い。

物語の中で、軍需工場となった学校で働く阿部欣子(べー様)の
地に足の付いた視点が現れると、何となく落ち着きました。
この小説に限らず、皆川博子の小説は失われるものが多いのに、読後、ほっとする作品が多いような気がします。

文体の硬軟が書き分けられていて作者の性格別の文体分析が行われいるのかと思うと、
それも怖い。

中身に文句はありませんが、本の書体が気になってしまいました。
倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)より
4569677533
No.21
(4pt)

ヨーロッパものほど重くないが、皆川ワールドです

大戦末期の女学校が舞台なので、ヨーロッパものほど重厚ではなく、サクサク読むことができる。若い読者を対象としているようなので、まがまがしさと読後に残る余韻の中毒性は薄いが、それなりに皆川ワールドを味わうことができる。
倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)より
4652086156
No.20
(4pt)

ヨーロッパものほど重くないが、皆川ワールドです

大戦末期の女学校が舞台なので、ヨーロッパものほど重厚ではなく、サクサク読むことができる。若い読者を対象としているようなので、まがまがしさと読後に残る余韻の中毒性は薄いが、それなりに皆川ワールドを味わうことができる。
倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)より
4569677533
No.19
(5pt)

楽しく読みやすい

皆川博子さんの作品には、はまれるものとはまれないものがあるのですが、
文庫・装画・モティーフ(戦中・後の女子校)に引かれ購入しました。
あまりの読み安さに驚きました。


何と言ってもキャラクターが皆可愛い。
可愛い正統派ヒロインみたいな小枝ちゃん、
カッコいいベー様、
素敵な先輩の上月さんと七尾さん、
いなくちゃ困る設楽さん。
皆魅力的でいきいきしてました。


皆川作品らしい闇は押さえ気味で、いやあ面白かった。

倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)より
4652086156
No.18
(5pt)

楽しく読みやすい

皆川博子さんの作品には、はまれるものとはまれないものがあるのですが、
文庫・装画・モティーフ(戦中・後の女子校)に引かれ購入しました。
あまりの読み安さに驚きました。


何と言ってもキャラクターが皆可愛い。
可愛い正統派ヒロインみたいな小枝ちゃん、
カッコいいベー様、
素敵な先輩の上月さんと七尾さん、
いなくちゃ困る設楽さん。
皆魅力的でいきいきしてました。


皆川作品らしい闇は押さえ気味で、いやあ面白かった。

倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)より
4569677533
No.17
(5pt)

少女たちのうつくしさと残酷さと。

少女期特有のうつくしさと、残酷さが描かれていく。
この刹那的な閉塞感が好きだ。
でも、ただ退廃的なだけで終わらなくて、
最後に挿入される、ある登場人物のモノローグに、
未来へと続いて行く確かな希望をも感じさせてくれる。

物語世界の雰囲気が具現化されたような、
カバーイラストも含めたパッケージも秀逸で、
手元に置いておきたくなる一冊。
倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)より
4569677533
No.16
(5pt)

少女たちのうつくしさと残酷さと。

少女期特有のうつくしさと、残酷さが描かれていく。この刹那的な閉塞感が好きだ。でも、ただ退廃的なだけで終わらなくて、最後に挿入される、ある登場人物のモノローグに、未来へと続いて行く確かな希望をも感じさせてくれる。物語世界の雰囲気が具現化されたような、カバーイラストも含めたパッケージも秀逸で、手元に置いておきたくなる一冊。
倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)より
4652086156
No.15
(3pt)

雰囲気は好き

戦時中の女学生(たぶんわりあい裕福なインテリ家庭の子供だとは思うけど)はこんな感じだったのか……とか 昔の女子校生活を知ることができて楽しい。絵画とか小説とか詩とか 随所に散りばめられたプロップも好き。全体的に漂っている雰囲気はすごく素敵。だから、それだけでよかったのでは?と自分は思う。正直、予定調和的につくったようなプロット?ストーリー?はつまらない。終盤にいくにつれて、つじつまを合わせるためか、話がバタバタ、バタバタ展開する。それがそれまでの優雅な流れを断ち切ってしまっている。……とエラそうなことを書いたけど、珍しいタイプの小説なので、一読の価値はあると思う。
倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)より
4652086156
No.14
(5pt)

倒立する感覚を追体験

皆川博子さんの特徴はなんといってもアカデミックで耽美幻想的な上質の文章、極上の酩酊を誘う退廃的な雰囲気、清濁併せ呑む世界観、美麗な登場人物……数え上げたらきりがないんですが、とにかく一度はまると抜け出せない、麻薬のような魅力があります。
毒にも薬にもならない小説が多い中で、皆川博子の小説はどれも強烈な毒をもっている。
感性があうひとにはたまらないんじゃないでしょうか。

第二次世界大戦終戦直後、焼け野原と化した東京のミッションスクールのチャペルで、一人の女子生徒が変死を遂げた。
その生徒の死には「倒立する塔の殺人」と題され、ミッションスクールの生徒間で回し書きされた小説が絡んでいるらしい。
死んだ女生徒に憧れていた小枝は、異分子のイブとあだ名される同級生の力を借り、未完の小説の続編を模索するー……。
シスターの頭文字をとりSと呼ばれる特殊な関係、友情。
物資が欠乏し女学生であっても工場に駆り出された過酷な時代の中、語り手から語り手へと受け継がれる禁断のノートがもたらすのは災厄か、それとも……
美術や文学の教養の深さに裏打ちされたアカデミックな会話、驕慢で清楚、可憐で邪悪な少女達の描写が素敵すぎる。
「カラマーゾフの兄弟」が重要なキーワード……ってほどでもないですが、登場人物を繋ぎ合わせるキーアイテムとなってるので、カラマーゾフ既読の方にもぜひ読んでほしい。どの登場人物が好きかで性格がわかるという指摘にはぎくりとします。
擬似姉妹愛をメインに据えたミッション・スクール物としても読めるのですが、ミステリ的なギミックも仕掛けられていて、ラストの二重の陥穽には「やられた!」と感嘆しました。
恩田陸の「蛇行する川のほとり」とか好きな人は絶対ハマると思います。
一冊のノートとともに語り手が受け継がれていく形式は桜庭一樹の「青年のための読書クラブ」と共通ですね。あわせて読んでみると楽しいかもしれません。
ただ、難を言うなら、設楽さんが可哀相すぎる……聡明な子なのに、あの扱いは酷え……。
ラストで自信たっぷりに将来の夢を語るところでは皆川さん本人がモデル?と勘ぐりましたが、どうなんでしょうね。
最後になりましたが。
「倒立する塔の殺人」、ぜひ中村明日美子さんに漫画化してほしい!
倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)より
4569677533
No.13
(5pt)

倒立する感覚を追体験

皆川博子さんの特徴はなんといってもアカデミックで耽美幻想的な上質の文章、極上の酩酊を誘う退廃的な雰囲気、清濁併せ呑む世界観、美麗な登場人物……数え上げたらきりがないんですが、とにかく一度はまると抜け出せない、麻薬のような魅力があります。
毒にも薬にもならない小説が多い中で、皆川博子の小説はどれも強烈な毒をもっている。
感性があうひとにはたまらないんじゃないでしょうか。
第二次世界大戦終戦直後、焼け野原と化した東京のミッションスクールのチャペルで、一人の女子生徒が変死を遂げた。
その生徒の死には「倒立する塔の殺人」と題され、ミッションスクールの生徒間で回し書きされた小説が絡んでいるらしい。
死んだ女生徒に憧れていた小枝は、異分子のイブとあだ名される同級生の力を借り、未完の小説の続編を模索するー……。
シスターの頭文字をとりSと呼ばれる特殊な関係、友情。
物資が欠乏し女学生であっても工場に駆り出された過酷な時代の中、語り手から語り手へと受け継がれる禁断のノートがもたらすのは災厄か、それとも……
美術や文学の教養の深さに裏打ちされたアカデミックな会話、驕慢で清楚、可憐で邪悪な少女達の描写が素敵すぎる。
「カラマーゾフの兄弟」が重要なキーワード……ってほどでもないですが、登場人物を繋ぎ合わせるキーアイテムとなってるので、カラマーゾフ既読の方にもぜひ読んでほしい。どの登場人物が好きかで性格がわかるという指摘にはぎくりとします。
擬似姉妹愛をメインに据えたミッション・スクール物としても読めるのですが、ミステリ的なギミックも仕掛けられていて、ラストの二重の陥穽には「やられた!」と感嘆しました。
恩田陸の「蛇行する川のほとり」とか好きな人は絶対ハマると思います。
一冊のノートとともに語り手が受け継がれていく形式は桜庭一樹の「青年のための読書クラブ」と共通ですね。あわせて読んでみると楽しいかもしれません。
ただ、難を言うなら、設楽さんが可哀相すぎる……聡明な子なのに、あの扱いは酷え……。
ラストで自信たっぷりに将来の夢を語るところでは皆川さん本人がモデル?と勘ぐりましたが、どうなんでしょうね。
最後になりましたが。
「倒立する塔の殺人」、ぜひ中村明日美子さんに漫画化してほしい!
倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)より
4652086156
No.12
(5pt)

シュールでグロテスク・・・そして妖しくも美し い!

かなり読みにくい・・・途中で投げだそうかと思いましたが、一種独特の「雰囲気」に惹かれてズルズルと最後まで・・・。そして・・・何とか読了して・・・思わず唸りました!

物語は太平洋戦争末期の戦中戦後、東京の女学校が舞台。女学校特有の先輩後輩の間の愛憎シーンや同級生の間の軋轢、友情、激しさを増す空襲の中で失われる 命、女子挺身隊として過酷な労働に励む日常と、その中でも交わされる少女たちの密やかな交流の様子などが描かれる。それに絡んでくるのは空襲の最中の不可 解な「死」、そして書き手を引き継ぐことを期待された謎めいた手書きの本・・・。

手書きの「本」の物語に少女たちの「過去」や「今」が混じり合い、百合的な面に目が奪われていると、グロテスクな「悪意」や「恐怖」の存在も伺わせ る・・・。多数の小説や画集の描写もあるが、これがまた思春期特有の一筋縄では行かないものばかり・・・。シュールでグロテスク・・・そして妖しくも美し い・・・・・・。結末はミステリー的な面もあるが作者はあからさまには描かない。好きだからこそ・・・そうせずにはいられなかった・・・そこはかとなく・・・切ない終わり方です。

戦中戦後の激動の時代を生きた作者が、「あの頃」の自分を重ね合わせて書いたと思える具体的な描写、その上にほとんど幻想的と思える世界が重ね合わさ れた不思議なお話です。美しいバラには棘があるように一筋縄ではいかない展開ですが、結末の見事さを思えば耐えるべきでしょう。

倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)より
4569677533
No.11
(5pt)

シュールでグロテスク・・・そして妖しくも美し い!

かなり読みにくい・・・途中で投げだそうかと思いましたが、一種独特の「雰囲気」に惹かれてズルズルと最後まで・・・。そして・・・何とか読了して・・・思わず唸りました!
物語は太平洋戦争末期の戦中戦後、東京の女学校が舞台。女学校特有の先輩後輩の間の愛憎シーンや同級生の間の軋轢、友情、激しさを増す空襲の中で失われる 命、女子挺身隊として過酷な労働に励む日常と、その中でも交わされる少女たちの密やかな交流の様子などが描かれる。それに絡んでくるのは空襲の最中の不可 解な「死」、そして書き手を引き継ぐことを期待された謎めいた手書きの本・・・。
手書きの「本」の物語に少女たちの「過去」や「今」が混じり合い、百合的な面に目が奪われていると、グロテスクな「悪意」や「恐怖」の存在も伺わせ る・・・。多数の小説や画集の描写もあるが、これがまた思春期特有の一筋縄では行かないものばかり・・・。シュールでグロテスク・・・そして妖しくも美し い・・・・・・。結末はミステリー的な面もあるが作者はあからさまには描かない。好きだからこそ・・・そうせずにはいられなかった・・・そこはかとなく・・・切ない終わり方です。
戦中戦後の激動の時代を生きた作者が、「あの頃」の自分を重ね合わせて書いたと思える具体的な描写、その上にほとんど幻想的と思える世界が重ね合わさ れた不思議なお話です。美しいバラには棘があるように一筋縄ではいかない展開ですが、結末の見事さを思えば耐えるべきでしょう。
倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)より
4652086156
No.10
(5pt)

素敵な物語をありがとう。

戦時下のミッションスクールを舞台に描かれる女の園での不可解な事件。「ああ、おねえさま」という世界が描かれているがそこにエロティックな要素はなく、むしろ無味無臭の健全な印象を与える。驚くのは、その緻密な入れ子構造だ。作中作だけではなく、まだその中に手記があったりして奇妙な幻惑効果をあげている。また時制を無理なく自然に前後させることによって、叙述トリックが最大限にいかされ、案外やさしいこのメイントリックに簡単にだまされてしまった。一応本書はYAレーベルで刊行されているが、中身は立派に大人対象だ。というか、少年少女たちにはちょっと荷が重いんじゃないかな?でも、作中で登場人物も言ってるように、小学生で「カラマーゾフの兄弟」を読む人もいるのだから、大人が勝手に判断する『子どもには合わないんじゃないか』という無意味な危惧は必要ないのだろう。相変わらず、皆川女史は作中に絵画や詩を無数に散りばめて、一種独特の雰囲気を醸し出している。それは凄惨な美であり、現実離れした快楽だ。独特の浮遊感と匂いたつような透明感が物語を包みこみ、ファンタジーめいた舞台装置として機能しているのである。物語に耽溺する少女たちというのも非常に魅力的な要素だった。その大きな枠組みにより成立している本書は、危険と紙一重のスリルや空想の世界に心とらわれる非現実感を巧みにストーリーの中に抽出し、読む者に本を愛で愉しむ喜びを与えてくれる。皆川氏のお歳を考えると、この完成度は素晴らしい。ますます畏敬の念にとらわれる。山田風太郎亡きいま、ぼくが心から敬い大切に思う作家は皆川博子ただ一人だ。いま、あなたと同時代に生きれて、ぼくは本当に幸せです。素敵な物語をありがとう。

倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)より
4569677533
No.9
(5pt)

素敵な物語をありがとう。

戦時下のミッションスクールを舞台に描かれる女の園での不可解な事件。「ああ、おねえさま」という世界が描かれているがそこにエロティックな要素はなく、むしろ無味無臭の健全な印象を与える。驚くのは、その緻密な入れ子構造だ。作中作だけではなく、まだその中に手記があったりして奇妙な幻惑効果をあげている。また時制を無理なく自然に前後させることによって、叙述トリックが最大限にいかされ、案外やさしいこのメイントリックに簡単にだまされてしまった。一応本書はYAレーベルで刊行されているが、中身は立派に大人対象だ。というか、少年少女たちにはちょっと荷が重いんじゃないかな?でも、作中で登場人物も言ってるように、小学生で「カラマーゾフの兄弟」を読む人もいるのだから、大人が勝手に判断する『子どもには合わないんじゃないか』という無意味な危惧は必要ないのだろう。相変わらず、皆川女史は作中に絵画や詩を無数に散りばめて、一種独特の雰囲気を醸し出している。それは凄惨な美であり、現実離れした快楽だ。独特の浮遊感と匂いたつような透明感が物語を包みこみ、ファンタジーめいた舞台装置として機能しているのである。物語に耽溺する少女たちというのも非常に魅力的な要素だった。その大きな枠組みにより成立している本書は、危険と紙一重のスリルや空想の世界に心とらわれる非現実感を巧みにストーリーの中に抽出し、読む者に本を愛で愉しむ喜びを与えてくれる。皆川氏のお歳を考えると、この完成度は素晴らしい。ますます畏敬の念にとらわれる。山田風太郎亡きいま、ぼくが心から敬い大切に思う作家は皆川博子ただ一人だ。いま、あなたと同時代に生きれて、ぼくは本当に幸せです。素敵な物語をありがとう。
倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)より
4652086156
No.8
(2pt)

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戦時中の女学校での殺人――!!少女達の間で交わされる小説の回し書きと、実際の事件との関連とは!?戦下の女学校という奇妙な閉鎖された世界の中で、少女達の秘められた妖しい想いが交錯する...

登場人物たちをつづった部分と、登場人物たちがつづった物語が織り交ざり、女学校という特殊な世界の感覚と合い混ざり、幻想的で、不思議な世界を作っています。それでいて、戦争中の一種殺伐とした、軍隊特有の世界が垣間見えたり、妖しいだけでなく、どこか、つなぎとめられた部分もあり、一種独特な世界観があります。ただ、そこにうまく入り込めるかというと、読み手を選ぶのかもしれません。私はだめでした。ラストを読むと、「最初からもう一度読み返すとおもっとおもしろいかも」と思います。(でも、私はそれでいて、もう一度読む気にはなれないのですが...)はまれる人にはよいかも。
倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)より
4569677533