花闇

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

花闇の評価:

4.71/5点 レビュー 14件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.71pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全44件 21〜40 2/3ページ
No.24
(3pt)

読者をえらぶ作品

これは読者をえらぶ小説だ。
私のように小さい頃から芝居(歌舞伎)を観て、その世界に親しんできた人々には、きわめて面白い一冊だと言えるだろう。
是非とも一度は読んでおきたい作品である。
しかし、芝居に馴染み薄い読者や、本作の語り手たる市川三すじの、やや斜に構えたものの見方に感情移入できない人々にとっては、なかなか難しい小説なのではないか(決して難解なのではない)。
田之助の驕慢狷介な性格に、いくらか嫌気がさす人だっているのではないだろうか。

小説というのは、いかにも真実味ある細部の積み重ねで成り立っているものなのに、著者の勉強不足から破綻しているディテールも見受けられる(たとえば、まだ爵位制度が定まる以前の明治初期だというのに、「伊藤博文伯など政府の高官たちもいて、」といった誤表記)。
贔屓の僧侶尚海との行く立てをもっと描き込んだほうが、女形役者の生涯により深みをもたせられたかも知れない。

いろいろと注文をつけたい点はあるものの、断じて本書は一部の圧力団体の手で葬り去られてはならないものだ(東京都心部の公共図書館の蔵書一覧に本書が欠落していた。意図的なものを感じさせる)。
言葉狩りで文章表現を貧しくさせる偏向には、うんざりである。

ともあれ、過度の期待感をいだいて読んだせいもあり、この評価とさせていただく。
花闇(はなやみ) Amazon書評・レビュー: 花闇(はなやみ)より
4120016021
No.23
(5pt)

痛ましくいとおしい田之助という花。

「美しい」と呼ぶにはあまりにもリアルな虚構だった。
小説を読んでいるというよりは、まるで三すじの隣りで田之助を目の前にしているようで、「美しい」という距離を置いた感情は湧いてこなかったから。
ただただ田之助が愛おしかった。

狷介で我が儘で傲慢。ゆえに他の役者からも疎まれたけれど、作品中の田之助は演じること以外何も持たぬ純粋な少年に思えた。
後ろ盾もなく、ただ自分の身ひとつを拠り所にして舞台で咲き誇ることがすべての花。

他の役者への罵りも、悪意も後先考えることも大人同士うまくやることもない無邪気な子どもゆえのものだったから、彼はまさか共演者や座元から自分がそこまで疎まれていたなんて思いもしなかったのだろう。

取り繕ったものがはがれ、「澤村田之助は、贅六野郎の見世物か」と滂沱と涙を流す場面は胸が痛んだ。彼は壊れやすく傷だらけで幼気な人だったのだと。

田之助は本当に狂っていたのだろうか。四肢をもがれ共演者から見捨てられ思い通りに舞台に立てず・・・役者として正常だったからこその狂態だったのではないか。

一見田之助と相反するかのような存在でありながら、田之助の中に流れ込みその一部として生きる三すじの田之助への心を愛と呼んでいいのか分からなかったけれど、
越後に辿り着いた彼の中にやわらかく田之助は蘇り、これからも確かに三すじの中で生き続けるのだろうと思った。









花闇(はなやみ) Amazon書評・レビュー: 花闇(はなやみ)より
4120016021
No.22
(5pt)

痛ましくいとおしい田之助という花。

「美しい」と呼ぶにはあまりにもリアルな虚構だった。
小説を読んでいるというよりは、まるで三すじの隣りで田之助を目の前にしているようで、「美しい」という距離を置いた感情は湧いてこなかったから。
ただただ田之助が愛おしかった。

狷介で我が儘で傲慢。ゆえに他の役者からも疎まれたけれど、作品中の田之助は演じること以外何も持たぬ純粋な少年に思えた。
後ろ盾もなく、ただ自分の身ひとつを拠り所にして舞台で咲き誇ることがすべての花。

他の役者への罵りも、悪意も後先考えることも大人同士うまくやることもない無邪気な子どもゆえのものだったから、彼はまさか共演者や座元から自分がそこまで疎まれていたなんて思いもしなかったのだろう。

取り繕ったものがはがれ、「澤村田之助は、贅六野郎の見世物か」と滂沱と涙を流す場面は胸が痛んだ。彼は壊れやすく傷だらけで幼気な人だったのだと。

田之助は本当に狂っていたのだろうか。四肢をもがれ共演者から見捨てられ思い通りに舞台に立てず・・・役者として正常だったからこその狂態だったのではないか。

一見田之助と相反するかのような存在でありながら、田之助の中に流れ込みその一部として生きる三すじの田之助への心を愛と呼んでいいのか分からなかったけれど、
越後に辿り着いた彼の中にやわらかく田之助は蘇り、これからも確かに三すじの中で生き続けるのだろうと思った。









花闇 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 花闇 (中公文庫)より
4122019567
No.21
(5pt)

痛ましくいとおしい田之助という花。

「美しい」と呼ぶにはあまりにもリアルな虚構だった。
小説を読んでいるというよりは、まるで三すじの隣りで田之助を目の前にしているようで、「美しい」という距離を置いた感情は湧いてこなかったから。
ただただ田之助が愛おしかった。

狷介で我が儘で傲慢。ゆえに他の役者からも疎まれたけれど、作品中の田之助は演じること以外何も持たぬ純粋な少年に思えた。
後ろ盾もなく、ただ自分の身ひとつを拠り所にして舞台で咲き誇ることがすべての花。

他の役者への罵りも、悪意も後先考えることも大人同士うまくやることもない無邪気な子どもゆえのものだったから、彼はまさか共演者や座元から自分がそこまで疎まれていたなんて思いもしなかったのだろう。

取り繕ったものがはがれ、「澤村田之助は、贅六野郎の見世物か」と滂沱と涙を流す場面は胸が痛んだ。彼は壊れやすく傷だらけで幼気な人だったのだと。

田之助は本当に狂っていたのだろうか。四肢をもがれ共演者から見捨てられ思い通りに舞台に立てず・・・役者として正常だったからこその狂態だったのではないか。

一見田之助と相反するかのような存在でありながら、田之助の中に流れ込みその一部として生きる三すじの田之助への心を愛と呼んでいいのか分からなかったけれど、
越後に辿り着いた彼の中にやわらかく田之助は蘇り、これからも確かに三すじの中で生き続けるのだろうと思った。









花闇 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 花闇 (集英社文庫)より
4087475204
No.20
(5pt)

美しいものが壊れていく美しさ

弟子の三すじの視線で綴る、三世澤村田之助の生涯。 読みながら私は、彼らと共に江戸の町で生きている様に感じていました。私も三すじと同じく、田之助の放つ毒を含ませた美酒の様な魅力にあてられたのです。読み終えた今もずっと。田之助は我儘で傲岸で、それでいて何よりも凜と美しい。足を失っても、尚。 猥雑で卑しいとされていた、庶民の最高の娯楽であった江戸の舞台。そこで生き、朽ちていく役者達。華やかさ、虚しさ、堕ちていく闇の中張り詰めた心。それでも未だ眩い舞台…。粋で色っぽくて哀しくて。 美しいものが壊れる姿は、切なさが加わる分更に美しく、自分でも意識していなかった残酷な心が惹かれてやまないのです。簡潔に述べます。私はこの本を読みながら三すじであり、心底田之助に惚れ、江戸の舞台に取り憑かれてしまった様です。
花闇(はなやみ) Amazon書評・レビュー: 花闇(はなやみ)より
4120016021
No.19
(5pt)

美しいものが壊れていく美しさ

弟子の三すじの視線で綴る、三世澤村田之助の生涯。 読みながら私は、彼らと共に江戸の町で生きている様に感じていました。私も三すじと同じく、田之助の放つ毒を含ませた美酒の様な魅力にあてられたのです。読み終えた今もずっと。田之助は我儘で傲岸で、それでいて何よりも凜と美しい。足を失っても、尚。 猥雑で卑しいとされていた、庶民の最高の娯楽であった江戸の舞台。そこで生き、朽ちていく役者達。華やかさ、虚しさ、堕ちていく闇の中張り詰めた心。それでも未だ眩い舞台…。粋で色っぽくて哀しくて。 美しいものが壊れる姿は、切なさが加わる分更に美しく、自分でも意識していなかった残酷な心が惹かれてやまないのです。簡潔に述べます。私はこの本を読みながら三すじであり、心底田之助に惚れ、江戸の舞台に取り憑かれてしまった様です。
花闇 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 花闇 (中公文庫)より
4122019567
No.18
(5pt)

美しいものが壊れていく美しさ

弟子の三すじの視線で綴る、三世澤村田之助の生涯。 読みながら私は、彼らと共に江戸の町で生きている様に感じていました。私も三すじと同じく、田之助の放つ毒を含ませた美酒の様な魅力にあてられたのです。読み終えた今もずっと。田之助は我儘で傲岸で、それでいて何よりも凜と美しい。足を失っても、尚。 猥雑で卑しいとされていた、庶民の最高の娯楽であった江戸の舞台。そこで生き、朽ちていく役者達。華やかさ、虚しさ、堕ちていく闇の中張り詰めた心。それでも未だ眩い舞台…。粋で色っぽくて哀しくて。 美しいものが壊れる姿は、切なさが加わる分更に美しく、自分でも意識していなかった残酷な心が惹かれてやまないのです。簡潔に述べます。私はこの本を読みながら三すじであり、心底田之助に惚れ、江戸の舞台に取り憑かれてしまった様です。
花闇 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 花闇 (集英社文庫)より
4087475204
No.17
(5pt)

美しいものが壊れていく美しさ

弟子の三すじの視線で綴る、三世澤村田之助の生涯。 読みながら私は、彼らと共に江戸の町で生きている様に感じていました。私も三すじと同じく、田之助の放つ毒を含ませた美酒の様な魅力にあてられたのです。読み終えた今もずっと。田之助は我儘で傲岸で、それでいて何よりも凜と美しい。足を失っても、尚。 猥雑で卑しいとされていた、庶民の最高の娯楽であった江戸の舞台。そこで生き、朽ちていく役者達。華やかさ、虚しさ、堕ちていく闇の中張り詰めた心。それでも未だ眩い舞台…。粋で色っぽくて哀しくて。 美しいものが壊れる姿は、切なさが加わる分更に美しく、自分でも意識していなかった残酷な心が惹かれてやまないのです。簡潔に述べます。私はこの本を読みながら三すじであり、心底田之助に惚れ、江戸の舞台に取り憑かれてしまった様です。
花闇(はなやみ) Amazon書評・レビュー: 花闇(はなやみ)より
4120016021
No.16
(5pt)

美しいものが壊れていく美しさ

弟子の三すじの視線で綴る、三世澤村田之助の生涯。 読みながら私は、彼らと共に江戸の町で生きている様に感じていました。私も三すじと同じく、田之助の放つ毒を含ませた美酒の様な魅力にあてられたのです。読み終えた今もずっと。田之助は我儘で傲岸で、それでいて何よりも凜と美しい。足を失っても、尚。 猥雑で卑しいとされていた、庶民の最高の娯楽であった江戸の舞台。そこで生き、朽ちていく役者達。華やかさ、虚しさ、堕ちていく闇の中張り詰めた心。それでも未だ眩い舞台…。粋で色っぽくて哀しくて。 美しいものが壊れる姿は、切なさが加わる分更に美しく、自分でも意識していなかった残酷な心が惹かれてやまないのです。簡潔に述べます。私はこの本を読みながら三すじであり、心底田之助に惚れ、江戸の舞台に取り憑かれてしまった様です。
花闇 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 花闇 (中公文庫)より
4122019567
No.15
(5pt)

美しいものが壊れていく美しさ

弟子の三すじの視線で綴る、三世澤村田之助の生涯。 読みながら私は、彼らと共に江戸の町で生きている様に感じていました。私も三すじと同じく、田之助の放つ毒を含ませた美酒の様な魅力にあてられたのです。読み終えた今もずっと。田之助は我儘で傲岸で、それでいて何よりも凜と美しい。足を失っても、尚。 猥雑で卑しいとされていた、庶民の最高の娯楽であった江戸の舞台。そこで生き、朽ちていく役者達。華やかさ、虚しさ、堕ちていく闇の中張り詰めた心。それでも未だ眩い舞台…。粋で色っぽくて哀しくて。 美しいものが壊れる姿は、切なさが加わる分更に美しく、自分でも意識していなかった残酷な心が惹かれてやまないのです。簡潔に述べます。私はこの本を読みながら三すじであり、心底田之助に惚れ、江戸の舞台に取り憑かれてしまった様です。
花闇 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 花闇 (集英社文庫)より
4087475204
No.14
(5pt)

いろっぺぇっす

文体、登場人物のキメ台詞、仕草の描写から容貌の形容にいたるまでこれでもか、ってくらい色っぽい小説でした。皆川氏の作品、短編、中編あるけれど、あたしは長編がすき。彼女のモチーフは、短編に詰め込むには大きすぎる時がある気がするから。読後の粘りつくような陶酔感は、ホントさすがって感じです。
花闇(はなやみ) Amazon書評・レビュー: 花闇(はなやみ)より
4120016021
No.13
(5pt)

いろっぺぇっす

文体、登場人物のキメ台詞、仕草の描写から容貌の形容にいたるまでこれでもか、ってくらい色っぽい小説でした。皆川氏の作品、短編、中編あるけれど、あたしは長編がすき。彼女のモチーフは、短編に詰め込むには大きすぎる時がある気がするから。読後の粘りつくような陶酔感は、ホントさすがって感じです。
花闇 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 花闇 (中公文庫)より
4122019567
No.12
(5pt)

いろっぺぇっす

文体、登場人物のキメ台詞、仕草の描写から容貌の形容にいたるまでこれでもか、ってくらい色っぽい小説でした。皆川氏の作品、短編、中編あるけれど、あたしは長編がすき。彼女のモチーフは、短編に詰め込むには大きすぎる時がある気がするから。読後の粘りつくような陶酔感は、ホントさすがって感じです。
花闇 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 花闇 (集英社文庫)より
4087475204
No.11
(5pt)

沢村田之助と言う役者人生

歌舞伎史上、最も異色な存在感を放つ三代目沢村田之助。彼の壮絶な生涯は、どこからともなく耳にしている方は多かろう。本書は、あくまでも小説と言うスタンスの物なので、登場人物との絡みや会話の内容など、どこまでが事実なのか分からないがともあれ、本書では田之助と言う人物を、実際見て来た様に生き生きと書ききっている。それだけに、その人生の末路がやるせ無くてならない。自己中心的で、人として一部欠落した面はあったが、別の面で補って余りある魅力を持っていた為、彼は多くの人に熱狂的に愛された。順風満帆な人生が許されないなら、片足の切断、それだけで十分な苦行になるはずだ。実際多大な葛藤の中、見事に苦難を乗り越える田之助だが、この華麗な復帰の行を、読者は暗胆たる気持ちで読み進めなければならない。何故なら現代の私達は、これがその後二度、三度と彼を襲う悲劇の幕開けに過ぎない事を知っているからだ。しかし、田之助は信じられない程のタフさで、再びそれらを乗り越えて行く。.....ように見えた。どれだけ傷めつけられても、輝きを失わない刀の様に見えた田之助の心は、実際にはヒビだらけで、ほんの少しのバランスの崩れで形もなく崩れ去ってしまう状態であったと言う事を、三すじの目線で伝える筆者の筆の巧みさは見事だった。本書はそんな希有な役者田之助の生涯と共に、非常に活気に満ちた当時の歌舞伎事情が実に上手く書かれている。
花闇(はなやみ) Amazon書評・レビュー: 花闇(はなやみ)より
4120016021
No.10
(5pt)

沢村田之助と言う役者人生

歌舞伎史上、最も異色な存在感を放つ三代目沢村田之助。彼の壮絶な生涯は、どこからともなく耳にしている方は多かろう。本書は、あくまでも小説と言うスタンスの物なので、登場人物との絡みや会話の内容など、どこまでが事実なのか分からないがともあれ、本書では田之助と言う人物を、実際見て来た様に生き生きと書ききっている。それだけに、その人生の末路がやるせ無くてならない。自己中心的で、人として一部欠落した面はあったが、別の面で補って余りある魅力を持っていた為、彼は多くの人に熱狂的に愛された。順風満帆な人生が許されないなら、片足の切断、それだけで十分な苦行になるはずだ。実際多大な葛藤の中、見事に苦難を乗り越える田之助だが、この華麗な復帰の行を、読者は暗胆たる気持ちで読み進めなければならない。何故なら現代の私達は、これがその後二度、三度と彼を襲う悲劇の幕開けに過ぎない事を知っているからだ。しかし、田之助は信じられない程のタフさで、再びそれらを乗り越えて行く。.....ように見えた。どれだけ傷めつけられても、輝きを失わない刀の様に見えた田之助の心は、実際にはヒビだらけで、ほんの少しのバランスの崩れで形もなく崩れ去ってしまう状態であったと言う事を、三すじの目線で伝える筆者の筆の巧みさは見事だった。本書はそんな希有な役者田之助の生涯と共に、非常に活気に満ちた当時の歌舞伎事情が実に上手く書かれている。
花闇 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 花闇 (中公文庫)より
4122019567
No.9
(5pt)

沢村田之助と言う役者人生

歌舞伎史上、最も異色な存在感を放つ三代目沢村田之助。彼の壮絶な生涯は、どこからともなく耳にしている方は多かろう。本書は、あくまでも小説と言うスタンスの物なので、登場人物との絡みや会話の内容など、どこまでが事実なのか分からないがともあれ、本書では田之助と言う人物を、実際見て来た様に生き生きと書ききっている。それだけに、その人生の末路がやるせ無くてならない。自己中心的で、人として一部欠落した面はあったが、別の面で補って余りある魅力を持っていた為、彼は多くの人に熱狂的に愛された。順風満帆な人生が許されないなら、片足の切断、それだけで十分な苦行になるはずだ。実際多大な葛藤の中、見事に苦難を乗り越える田之助だが、この華麗な復帰の行を、読者は暗胆たる気持ちで読み進めなければならない。何故なら現代の私達は、これがその後二度、三度と彼を襲う悲劇の幕開けに過ぎない事を知っているからだ。しかし、田之助は信じられない程のタフさで、再びそれらを乗り越えて行く。.....ように見えた。どれだけ傷めつけられても、輝きを失わない刀の様に見えた田之助の心は、実際にはヒビだらけで、ほんの少しのバランスの崩れで形もなく崩れ去ってしまう状態であったと言う事を、三すじの目線で伝える筆者の筆の巧みさは見事だった。本書はそんな希有な役者田之助の生涯と共に、非常に活気に満ちた当時の歌舞伎事情が実に上手く書かれている。
花闇 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 花闇 (集英社文庫)より
4087475204
No.8
(5pt)

情熱、愛憎、嫉妬、執念、哀感...全てが詰った美しい小説

生まれながらの才能を持つ美貌の女形役者、田之助と、彼を最期まで観続けた同じ歌舞伎座の女形役者の主人公三すじ。田之助の執念や情熱と対比するように、ヒヤリとした目で事の次第を観続ける三すじに切なささえ感じた。感情を殺している三すじとは反対に、田之助は舞台に対して貪欲で、感情の起伏が激しい。けれど、どこかなにかに対して欠落していたようでいて、胸中の思いをどこにぶつけていいのか困惑し、葛藤している三すじの方が人間臭さを感じる。壮絶な幕末の時代を舞台に生き、衰退していくにもかかわらず、田之助の引き際は最期まで妖艶で悲しく、それを胸に生きる三すじの人生は、これからが始まりなのではないか...
花闇(はなやみ) Amazon書評・レビュー: 花闇(はなやみ)より
4120016021
No.7
(5pt)

情熱、愛憎、嫉妬、執念、哀感...全てが詰った美しい小説

生まれながらの才能を持つ美貌の女形役者、田之助と、彼を最期まで観続けた同じ歌舞伎座の女形役者の主人公三すじ。田之助の執念や情熱と対比するように、ヒヤリとした目で事の次第を観続ける三すじに切なささえ感じた。感情を殺している三すじとは反対に、田之助は舞台に対して貪欲で、感情の起伏が激しい。けれど、どこかなにかに対して欠落していたようでいて、胸中の思いをどこにぶつけていいのか困惑し、葛藤している三すじの方が人間臭さを感じる。壮絶な幕末の時代を舞台に生き、衰退していくにもかかわらず、田之助の引き際は最期まで妖艶で悲しく、それを胸に生きる三すじの人生は、これからが始まりなのではないか...
花闇 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 花闇 (中公文庫)より
4122019567
No.6
(5pt)

情熱、愛憎、嫉妬、執念、哀感...全てが詰った美しい小説

生まれながらの才能を持つ美貌の女形役者、田之助と、彼を最期まで観続けた同じ歌舞伎座の女形役者の主人公三すじ。田之助の執念や情熱と対比するように、ヒヤリとした目で事の次第を観続ける三すじに切なささえ感じた。感情を殺している三すじとは反対に、田之助は舞台に対して貪欲で、感情の起伏が激しい。けれど、どこかなにかに対して欠落していたようでいて、胸中の思いをどこにぶつけていいのか困惑し、葛藤している三すじの方が人間臭さを感じる。壮絶な幕末の時代を舞台に生き、衰退していくにもかかわらず、田之助の引き際は最期まで妖艶で悲しく、それを胸に生きる三すじの人生は、これからが始まりなのではないか...
花闇 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 花闇 (集英社文庫)より
4087475204
No.5
(5pt)

主人公演ずる女形はあまりに妖しく美しい

生まれながらに花を持ち、「演ずる」ために生まれてきた「立女形」。すべてが光のままにあると思われたとき、その身体が徐々に朽ちていく・・・。美と才に秀で、右足を失いながらも凄絶なまでに芸の道をしがみつく立女形と、その行き様を愛し終生脇役を選ぶ「彼」の想いは、赤江瀑の「夜の藤十郎」(短編集「春喪祭」収録)を彷彿とさせながらもより冷徹な目で描かれています。それにしても主人公の演ずる女形は美しい。皆川博子氏は「死の泉」で、そのスケールの大きさに驚いたのですが、本書でも主人公の生き様に留まらず、まだ庶民のものであった歌舞伎界の仕組みや幕末から明治に至る時代の流れをも描かれています。
花闇(はなやみ) Amazon書評・レビュー: 花闇(はなやみ)より
4120016021