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5.00/5点 レビュー 2件。 B ランク
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難民家族の生きづらさを描く
読んで本当によかったな、と思える本
ベトナム戦争の終結は1975年。その後、社会主義政権を逃れて「ボートピープル」となった難民たちが日本でも問題となったが、この小説の舞台は1996年ころで、カブラマッタはベトナム難民が多数暮らし、ドラッグ売買で治安の悪い街だった。
物語は主人公の弟デニーがレストランで殺された事件をめぐって展開するが、居合わせた関係者が口をつぐみ、両親までが真相解明に消極的な中で主人公が苦労しながら真相に迫っていく。
ただ、ミステリーの謎解きというよりも、難民家族の境遇に著者の視点は据えられている。意に反して故郷を捨て、文化も言語も慣習も異なる異国で暮らす人々の苦悩が様々な角度から繰り返し描かれる。逃げてきた親世代の不適応と無気力。子供時代に難民生活を送り、虐待され傷つけられた世代の反抗。そして、幼くて難民生活の記憶がほとんどないが、差別と不公平に抗って生きようとする主人公の世代と、難民の生き様が描き分けられている。
小説の技法としては、話者が次々に代わるポリフォニックな構造と、話者の意識の流れを時空を自由に移動させるプルーストやフォークナーのような饒舌な語りが注目される。
主人公と元親友ミニーとの互いに惹かれつつ反発し合う葛藤と対決は読み応えがあった。