こうしてぼくはスパイになった
- スパイ小説 (147)
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「ロンドン・アイの謎」(シヴォーン・ダウド 2022/7月)がすこぶる楽しかったこともあって、<児童書>と知りながら読んでみることにしました。勿論、私自身がこの時代の物語が好きなこともその理由の一つになります。 舞台は、1944年、ロンドン。第二次世界大戦。米国、英国を中心とした連合国軍は、アイゼンハワー将軍の指揮の下、<フランス上陸作戦>を密かに進行させていました。 十三歳の少年、バーティは"ザ・ブリッツ"と呼ばれるドイツ軍による大規模爆撃の下、不思議な米国人の少女、エレノアと出会い、尚且つ路上で若い女性、フランス人のヴィオレットが倒れているのを発見します。彼女は何者なのか?発見したのも束の間、バーティはヴィオレットの行方を喪失してしまいます。彼は彼女が残したノートの解析を進めますが、それはヴィオレットが書き残した暗号を解読することでもありました。そこから先については、(書きたいことは山ほどありますが)スパイ小説ですから明かすわけにはいきません。 バーティは、父親と共に暮らしていますが、母親と兄とは別々に暮らしていて、その理由に深い悲しみが込められています。十三歳が背負う悲しみって何?また、暗号を解読するにあたっては、数多くのシャーロック・ホームズ物語が参照されています。シャーロキアンには、たまらないでしょうね(笑)。 私は安易に<児童書>と書いてしまいましたが、主人公たちの年齢が若いというだけのことであって、その物語は当時の灯火管制下のロンドンの街並みと雰囲気を再現させて、また小さなエピソードを積み重ねながら描写される市民生活の痛みについては逆に少年たちの視点から描かれているが故に何故か胸に迫るものがありました。とは言え、作者はその悲壮感を前面に映し出そうとはしていませんね。(因みに最も印象深い登場人物?は、スパニエル犬のリトル・ルーです(笑)) バーティと民間防衛隊の隊長の会話の中、隊長はこう言ってのけます。 「・・・・・・人生にはね、一度に一歩ずつ進むしかないときもある」(p.233) ル・カレのスパイ小説の中ではそんな直接的な言葉を聞くことはありません。しかし、勇気を奮って誰かが言ってくれなければ理解できないこともあります。この時代から遥か八十年を経て、現在もまたそんな時代を迎えているのかもしれません。 ◻︎「こうしてぼくはスパイになった "How I Became A Spy: A Mystery of WWII London"」(デボラ・ホプキンソン 東京創元社) 2025/4/20。 | ||||
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