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B:鉛筆と私の500日
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B:鉛筆と私の500日の評価:
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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コロナ禍で外出禁止となった一年(365日)の間に、 著者エドワード・ケアリーさんは1日1枚鉛筆画を描き続けました。 その鉛筆画365点を載せた本が英語で刊行されました。 その一年が過ぎても、ケアリーさんは描き続けました。 500点もの鉛筆画がたまりました。 一日一枚の習慣が、勢い余って自然に500点まで描いてしまったようです。 計500点全部の鉛筆画がイタリア語版として刊行されました。 本書の日本語版にも、計500点の画全部が掲載されています。 各画には数字が付されています。描き始めてから「何日目の画か」を示しています。 「500日目」の画は「決然とした青年 その10」(278頁)。 ケアリーさんの自画像です。 ケアリーさんは、1970年の生まれ。 「500日目」の時(2021年)、ケアリーさんは御年51歳になっていました。 「決然とした青年」と自称してはいますが、顔の表情は不安そうです。 右腕には、コロナ・ワクチンを打った後のテープが二つ。痛々しい画です。 この決然とした青年の画は、 1日目、100日目、150日目、200日目、250日目、300日目、352日目、400日目、450日目、そして「500日目」と計10枚、本書に載っています。 365日目は、「2回目のワクチンを打った自画像」(216頁)となっています。 385日目には「自画像。51歳の誕生日に」がありました。 472日目にも「自画像。見慣れない器具と共に」があります。 コロナの感染有無の検査棒が鼻の穴に差し込まれています。 目はつぶっている画です。よく自画像が描けたものですね。 ケアリーさんは、見えるものだけを描く画家ではありません。 目に見えないものだって描いてしまうんです。 11日目の「家の精霊 ブラウニー」とか、12日目の「メデューサ」なんて、 この世に実在しないものでしょう。よく鉛筆画に描けたものです。 それに、描く順序も支離滅裂です。 15日目の「長靴をはいた猫」を描いた翌日に、 「16日目 メアリ・ウルストンクラフト」の肖像画を描いています。 「メアリ・ウルストンクラフト」って誰? 巻末に、「画のキャプションの註」を訳者の古谷美登里さんが作ってくれたので、 大助かりです。ウルストンクラフトは18世紀後半の思想家だそうです。 360日目に描かれた「翡翠(かわせみ)」の画は、美登里さんへ捧げられています。 謝辞の中にも、 「さまざまな形で応援して私に絵を描かせてくれた方々」(279頁)の一人として、 古谷美登里さんの名前が挙げられていました。 この本の支離滅裂なように見える画の羅列の裏に、 ケアリーさんを「さまざまな形で」応援した人たちが こんなにも大勢存在していたことを知りました。 4日目の「猫のマーガレット」(15頁)にまで感謝しているケアリーさん。 猫アレルギーの友人が救い出してきた猫だそうです。友人も偉い。 人間だけでなく、鳥たち(40点も入っているそうです)や動物たちのような生き物たちまで、 コロナ禍の日々を一緒に生き延びてきた仲間に入れるケアリーさん。 ケアリーさんの物語は、不気味な「ヴァーチャル」(15頁)な世界のことのようでいて、 不思議な温かみを感じられます。 この世のすべてを慈しむケアリーさんのお人柄のせいなのでしょう。 すてきな絵本になっています。 | ||||
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2004年に『アルヴァとイルヴァ』で、ケアリーの立体造形に瞠目して以来、わたしは彼のイラストや彫塑作品に魅せられてきました。20年近くずっと。 ですから、つらいパンデミックのあいだも、ケアリーがTwitterに載せてくれる、かわいかったり奇妙だったりする様々なスケッチだけは、嬉しくて仕方がありませんでした。365枚の絵にどんなにかなぐさめられ励まされたことでしょう。 そのスケッチが(しかも作品は500点以上)36篇のエッセイとともに、一冊の本になったのです。 どの絵もそれはそれは見事で、思わずため息をついたり、くすっと笑ってしまうものばかり。エッセイもそれぞれが得も言われぬ面白さ! もう一冊買って、お気に入りの絵に水彩絵の具で色をつけてみようか . . . それともBの鉛筆画のままで、一枚ずつ額に入れて飾ろうか、しばらくは本を矯めつ眇めつしながら、悩むことになりそうです。なんという贅沢で幸せな時間 . . . ! 原題は "B A Year in Plagues & Pencils "(B 疫病と鉛筆に刻まれた一年) 『B:鉛筆と私の500日』という日本語版のタイトル、すばらしいです!! | ||||
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