俺ではない炎上
評判
俺ではない炎上の評価:
3.98/5点 レビュー 83件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全115件 101〜115 6/6ページ
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一方、学園大の学生・住吉初羽馬(しょうま)は、顔見知り程度の「さくら(んぼ)」という学生から、殺害されたのは自分の高校時代の同級生だと告げられる。そして車を持っている初羽馬に、山縣泰介を一緒に追ってほしいと頼むのだが……。
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浅倉秋成氏の小説といえば、2019年に出版された『 教室が、ひとりになるまで 』はSFと本格ミステリを見事に融合させた秀作でしたし、同じ19年の『 九度目の十八歳を迎えた君と 』は美しも妖しい魅惑の物語でした。また、今年2022年の本屋大賞候補作となった『 六人の嘘つきな大学生 』は群を抜く面白さを持ったミステリで、わずか1日で読み終えてしまったことをよく覚えています。
最新作は書き下ろし作品の『俺ではない炎上』です。タイトルから私はブラックユーモア青春小説のようなイメージを勝手に抱き、予備知識もないまま読み始めました。
事件の発端は猟奇的な殺人事件であり、なおかつ、SNSを使った匿名集団による(冤罪被害者に対する)容赦のない私刑(リンチ)の文言が続きますので、暗澹たる物語を読まされる思いが拭えません。そういう小説を手にする気分ではたまたまなかったので、もしこれが初の浅倉秋成氏作品であったならば、中途で放棄してしまうか、しばらく時を置いて気分が上向くのを待ったかもしれません。
しかし多少の忍耐をしながらも頁を繰る手を休めなかったのは、朝倉作品が、人間に対する信頼を決して手放さないことを物語の最後で強く打ち出すことが常であることを私は知っていたからです。つまりイヤミスでは終わらないことがわかっていたからです。
この作品もそうでした。紛れもない朝倉秋成氏の小説であり、私の期待する朝倉作品でした。実に鮮やかで爽やかな幕切れが待っています。
そしてまた、鮮やかといえば、これは読者を鮮やかに欺く物語だといえます。
この作品は、巧みに読者を罠にはめてくれます。私は最終ページを閉じた後に、朝倉氏の仕掛けた罠の巧妙さ、そして読者である自分の目の節穴ぶりを確かめるため、もう一度小説の要所要所を読み返してみました。この小説に対して自らが抱いていた思い込みは、Twitter上で冤罪被害者を生み出してしまう不特定多数の匿名ユーザーたちの無邪気な思い込みと底がつながっているような気がします。
この空恐ろしい小説を、私は大いに堪能しました。
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